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アリスⅣ

アリスⅣ  このアルバムはまたアリスのメンバーが曲作りをしている。アリスⅢで学んだことを活かした曲作りをしているが、まだヒット曲には結びついていない。しかし、ブレイクが近い明るさを感じるアルバムだ。 1. 黒い瞳の少女 映画『恋は緑の風の中』の主題歌。この映画は一度テレビでワンシーンだけ見たが、一度見たいと思っているのだが、機会が無い。曲はさわやかで、誰でも初恋の甘い喜びを思い出せるのではないだろうか。 2. 生きているから 「生きているから悲しいのです」という歌詞が、東日本大震災後、心にしみる。もちろんこの曲の「悲しい」は失恋だろう。だが、今の私には恋愛だけではなく人生全般の悲しみに思える。生きているから感じるのであって、生きていなければ感じることさえできないのだから。 3. 甘い夢 喫茶店でコーヒーを飲みながら、学生時代の甘い夢を思い出す中年男…。そんな何だかさえないおっさんの悲哀が感じられる歌だ。ドラムを矢沢透ではなく鈴木二郎が担当しているのはなぜだろう。 4. レンガ通り 谷村新司作詞、矢沢透作曲。郵便馬車にサンタクロースが登場するアリスⅠの頃のようなおとぎ話のような世界。恋にときめく心をそんな詞に託している。その詞の世界に見事に曲がマッチしている。  5. 恋は風車のように ギターを高中正義が担当している。これもアリスⅠの路線に戻ったような甘いラブソング。 6. やさしさに包まれて これも甘いラブソング。 7. ポイント・アフターの夜 ハワイのような熱帯地方で一晩踊り明かそうという情熱的な歌だ。ライブアルバム『エンドレスロード』でよりパワフルに歌われる。アリスⅣのこの曲は少し大人しい。もう少しパワフルなアレンジが良かった。この曲の2つの謎は、「ポイントアフターとは何か?」「Let's could dancing point afterというのは文法的に間違っていないか?」ということ。 8. 人生の道 ビートの効いたロック調の曲。私はこのアルバムの中で一番好きな曲だ。アリスが歌い続けていないのが理解できない。歌詞の中にある「三月二十日」が何の日なのかずっと知りたい疑問。 9. 想春賦 矢沢透作詞作曲。ギターを高中正義。バックコーラスをオフコースが担当。ブレイク前の矢沢透作品の中で間違い無くベストだと思う。 10. 太陽に背を向けて 「夢の中の君はいつも 太陽に背を向けながら」「ああ、誰にも言えぬ ああ、はりさけそうな思い」という歌詞は解釈に苦しむ。幻想的でいろいろな解釈ができる不思議な作品。 11. シベリア悲話 故郷を捨てて寒風吹きすさぶ北の国を旅する男の歌。谷村新司の歌によくあるテーマだ。場所はオホーツクの海に面した北海道のどこかだろう。だが、この曲を聴くと、私には、シベリア抑留された60万人の人々が重なる。「帰れない渡り鳥に似て シベリアの風の冷たさに力尽き翼おれて 朽ち果てる荒野にさえも」というラストの歌詞は故郷日本を思いながら死んでいった抑留者と重なってしまう。 12. 彷徨 この曲も、谷村新司の歌によくある失恋し故郷を離れ放浪するというテーマの曲だ。この曲からはもうすぐ立ち直れそうな明るさとより大きくなって帰ってきそうな希望を感じる。