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永井豪『バイオレンスジャック』中公文庫コミック版

 

 もともとは、週刊少年マガジンで、その後、月刊少年マガジン週刊漫画ゴラクに連載場所を移して18年かけて完成した永井豪の傑作漫画。

 関東地獄地震の影響で暴力が支配する世界に変わってしまった関東地方の物語。最大の悪役がスラムキング(本名、銅磨高虎)。彼の現れるところ必ず暴力を引き起こす謎の巨人、バイオレンスジャックとの戦い。

 『凄ノ王』、『ドロロンえん魔くん』、『はれんち学園』、『あばしり一家』、『アイアンマッスル』『獣神ライガー』『キューティーハニー』などの永井豪漫画のキャラクター総出演の豪華な漫画だ。ロボットの『マジンガーZ』はさすがに出てこないだろう、と思ったら盲目の空手家Zとして登場し、兜甲児はZの目として肩車して戦うとは驚いた。

 内容は31編。

 序、東京滅亡編、関東スラム街編、地獄の風編、激闘!門土編、ドラゴンの砦編、黄金都市編、関東地獄編、疾風ドラゴン編、関東鬼相撲編、死神警察編、野獣王編、ハイパーグラップル編、鉄の城編、黒の森編、魔王降臨編、学園番外地編、奴隷農場編、アイアンカイザー編、陽炎編、ハニー編、天馬編、ズバ蛮編、骨法編、九龍編、身堂編、超高層の悪魔編、ジャンヌ編、炎の魔神編、逆襲ハニー編、魔王編。

 

以下ネタバレあり。

 巨人のバイオレンスジャックが女の姿や子供の姿になったり、金色(白黒漫画だから色はわからないが私の想像では金色)の鷲を肩に乗せたり、地震を起こしたりするので、人間でないことがわかってくる。

 物語が収束するのか心配だったが、やがて、兄を助けようとする7人のハニー達と手を組んだ逞馬竜と天馬三郎と、スラムキングとその息子ズバ蛮こと銅磨蛮の戦いになっていく。スラムキングは腹心の部下スラムクイーンこと日美子や息子ズバ蛮に裏切られるが、バイオレンスジャックとの最後の戦いに向かう。

 バイオレンスジャックのジャックナイフによってついにスラムキングは首を切られる。これで物語が終わりかと思ったら、なんとスラムキングが復活する。彼が飼っていた人犬ことアスカリョウが実はルシファー、サタンであり、彼は『デビルマン』で世界を滅亡に導いた。『デビルマン』のラストで神が地球を創世記の星に変えた。サタンは東京を中心に関東の再生をとり戻したが、サタンの記憶に潜む破壊された東京の姿により関東地獄地震が発生した。不動明を欺き殺して全人類を滅ぼしたサタンの心に後悔の念、良心の部分があり、その結果が、人犬の姿になったアスカリョウだった。一方、サタンの心は分裂し、悪の精神は、スラムキングとなって自分(スラムキング)が自分(アスカリョウ)を苦しめていた。悪の心を滅ぼしたいという気持ちが逞馬や天馬を生み、悪の心が多数の悪人達を生んでいった。7人の天使ハニーはサタンの良心の分身だった。ハニーがアスカを救えばサタンは天使長ルシフェルの心を取り戻せたのだが、ハニーが死んだのでサタンが復活しこの世界を「無」に戻そうとする。それを止めようとするのは、サタンが愛してしまった不動明デビルマン、彼こそがバイオレンスジャックの正体だったのだ。

 そして、メガロポリス カントウ行政長官となった年とった逞馬竜が、バイオレンスジャックの記録を残して物語は終わる。

 

 かなりものすごいバイオレンスシーン、エロシーンが連発する漫画で、連載中は、ストーリーを終えなかったが、こうして18巻全部を読み通すと、内容がよくわかった。

 途中で、バイオレンスジャックは、実は力と愛の象徴ではないかと思った。少林寺拳法の開祖宗道臣が、「力のない愛は無力である。愛のない力は暴力である」と言ったが、暴力だけをふるう悪役達に対して、愛のある力をふるうのがバイオレンスジャックだった。彼は弱い者を助けるために力をふるうのだった。

 だんだん超能力がたくさん出てくるので物語が破綻するのでは、と思ったが、破綻せずに見事に昇華して完結した。まさか『デビルマン』と重なるとは思わなかったが。

 永井豪の傑作漫画であることは間違いない!!