死後の世界が存在し、あっちで死ぬとこっちに産まれ、こっちで死ぬとあっちに直接行くという話。現代社会の人口爆発は、あっちの世界の戦争で大量の戦死者がいるからだ。
主人公のイッチは幼い頃死にかけたせいで、死後の世界との連絡路となっている。昼間はパン屋で働き、定時制高校に通う高校生だ。
週刊珍重の記者本田はイッチと知り合い、死後の世界を記事にするが、交通事故で死んでしまう。
イッチは、駅で偶然出会った松本くるみと相思相愛の恋に落ちる。だが彼女は幽霊だった。
イッチは死後の世界から来た死に神によって殺されてしまう。
幽霊の世界にも戦争があり、強制収容所があり、反乱軍がいた。
あっちの世界で死ぬとこっちの世界に生まれ変わるが、あっちの世界でE・P・Dビームによって無にされると永遠に死んでしまう。
UFOは幽霊世界の乗り物だった。魂はプシー粒子の集まりだ、と説明している。
死後の世界に行ったイッチは松本くるみや本田記者を見つけ出す。
そして収容所に収容されていた7800万人(中にはベートーベンやマリリン・モンローや太宰治らが含まれている)とともにこの世に難民として脱出する。
日本国政府は7800万人の幽霊の難民を受け入れないので、彼らはアマゾンの奥地に行く。
イッチと松本くるみは生まれ変わることを選ぶ。生まれ変わるとそれまでの記憶を失い赤ん坊からやり直すこととなる。
初出は『高1コース』1974年4月号から1975年3月号だ。当時の流行だったSF、オカルトをとりいれ、生命の大切さをといている。「展開が支離滅裂でわけのわからない結末になった」とあとがきに手塚治虫自身が書いているが、漫画だからこその自由な展開で面白いと思う。
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