haruichibanの読書&視聴のおと

読書メモや映画やテレビ番組視聴メモです

手塚治虫『プライム・ローズ』秋田書店(1998/10/10)

f:id:Haruichiban0707:20220125210255j:plain

手塚治虫『プライム・ローズ』秋田書店

 

手塚治虫が『少年チャンピオン』1982年7月9号から1983年6月3日号まで連載した漫画。

ククリット国とグロマン国は長年の争っていたが、グロマン国がククリット国を支配している。平和のために両国は第三王女と第三王子を交換した。元グロマン国第三王女でククリット国で育てられているのが本作の主人公エミヤことプライム・ローズだ。とんでもなおてんば娘で身分の違うタロに恋している。ククリット国を支配しているピラール総督が交換された第三王子だ。収容所に入れられたタロは脱走しようとして殺される。タンバラ・ガイというククリット人でもグロマン人でもない謎の人物やジンバという謎の乞食が登場する。グロマン人にとって好都合な歴史教科書を作るコンピュータを管理するロイ。しかし彼は本当はコンピュータを破壊しようとしており、エミヤはそれに協力する。そのため追われる立場になり、ジンバとともに逃げる。

グロマン国第十七代国王はアブミスといった。アブミスは平和のために三女をククリット国に送ったのだったが、反対する側近のゴールダが王位を簒奪した。ゴールダと、5人の息子と養子ピラールを含めた六本指連盟がグロマン国を統治している。

ジンバは六本指連盟の一人キリコ(『ブラックジャック』のドクターキリコ)に殺される。そのときに、実はエミヤの父アブミスだったことがわかる。プライム・ローズは決闘しキリコに斬られそうになるが、その時石になってしまった。グロマン人はピンチの時に自分の身体を石に変えられるのだ。普通は数分で元の身体に戻るのだが、この時プライム・ローズは戻らなかった。

一方、新たな登場人物、胆原分烈が登場する。彼はタンバラ・ガイ(胆原凱)の弟だった。タンバラ・ガイはタイムパトロールの一員だった。ある時、千葉県九十九里アメリカのダラスの土地が人間含めてまるごと消えた事件を調べるために1万年後のこの世界に来ていたのだ。ククリット人は九十九里の人々の子孫だったのだ。タンバラ・ガイは反乱軍のリーダーになっていた。

警備が薄くなっていた総督邸に忍び込んだタンバラ・ガイは石になったプライム・ローズを救いだし元の身体に戻す。胆原分烈はプライム・ローズそっくりの姿をした悪魔に会い、九十九里とダラスがタイムスリップした原因を聞く。ある国が作った軍事衛星デス・マスクが老朽化し、九十九里とダラスに落ちたのだった。反乱は成功しククリット国は勝利した。だが、グロマン国本隊50万人の軍勢が松本零士風の空飛ぶ巨艦に乗って、ククリット国に迫ってきた。タンバラ・ガイは、この戦争を止めるためにピラールとともに、デス・マスクが打ち上げられないように、打ち上げ直前の工場にタイムスリップし、破壊する。分烈は残して・・・。分裂は九十九里に行き、アメリカのダラスからの留学生エミヤに会って物語は終わる。

 

プライム・ローズを愛するタンバラ・ガイとピラール。登場人物とストーリー展開は手塚治虫らしくいいテンポで進む。プライム・ローズは、寺沢武一の登場人物みたいな衣装だが、手塚治虫の絵なのでセクシー度は今一歩だ。

王族同士の因縁や、戦争に革命に、剣による戦いに、タイムマシンなどが交錯した大活劇で面白い物語だ。分烈が会った悪魔が何者かだけ答が明かされない。

少年誌に女性の主人公だとあまりヒットしなかったかもしれないが、ストーリーは痛快でとても面白いと思う。