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山上たつひこ『鬼面帝国』秋田書店(1976/4/30)

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もくじ

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『がきデカ』で有名になる前の山上たつひこの作品。4個の短編がまとめられている。

 

『鬼面帝国』は、死後の世界の話だ。死後の世界もこちらと同じように、いやもっとひどい自由がない世界だった。そこでポイントを稼ぐとスカーヴァーティーという世界に行けるが、皆仏像のような同じ顔になってしまう。

 

『ウラシマ』は浦島太郎には実は弟の浦島次郎がいた。竜宮城は水棲人の住む世界で太郎と次郎は奴隷のような生活を強いられた。太郎はよく働いたので戻されたが次郎は反抗的だったためなかなか戻されなかった。竜宮城の亀が殺されたため乙姫が復讐に来る物語。

 

『ミステリ千夜一夜』は遥かな未来遠い宇宙の話。不正を働いているのではないか、監査に行った男が実は産業スパイだった。だがその男はその星に住むハチに刺され卵を産み付けられた・・・

 

『そこに奴が・・・』は切り裂きジャックの話がベースになっている。

刑事が調べていくと、ある劇団が劇中で殺人シーンのために作ったロボットが容疑者に浮上する。そのロボットは自由に変装もできるのだった。劇団側はそのロボットを破壊処分したと言っていたが、受け取ったロボット技術者がそのロボットを破壊していなかった。刑事の恋人にはほくろがあったはずだが刑事が彼女に会うとほくろがない・・・。恋人は殺されロボットが彼女に変装しその刑事も殺して去って行く・・・。

 

科学技術の進歩があっても人間に邪悪な心がある限り、科学技術は悪いことにも使われる。いずれもバッド・エンドな話ばかりだが、一面の真理を突いている。