石ノ森章太郎の自伝漫画をまとめた本だ。
少年時代に姉とともに漫画を描き始め、手塚治虫の電報で上京し、トキワ荘に住んで漫画家生活をし、有名になる。藤子不二雄や赤塚不二夫、そして手塚治虫との交流を描いている。漫画を芸術に高めようとするが、なかなかうまくいかない時、ジョン・フォードや黒澤明を例にあげ、姉が「むずかしいから”芸術"じゃないとおもうわ・・・」という言葉がいい。その姉が先に逝く・・・。悲しい。
手塚治虫の漫画と出会ったときに、手塚治虫の絵から音楽が聞こえてきた、という感動はすばらしい。その手塚治虫の電報で東京に出て、その手塚が石ノ森章太郎の作品をけなす手紙を編集部に送ったため、連載をやめる。その手塚が石ノ森の所に「なぜあんな手紙を送ったのかわからない」と謝りに来るシーン・・・。言葉が出ない。
石ノ森章太郎の”萬画"宣言。漫画を芸術にまで高めたのは、最初からその意識で描いていた石ノ森章太郎だったからだと思う。
日本の漫画史を概観する上でこの萬画は読んでおくべきだと思う。