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田村尚也『イラストでまなぶ!用兵思想入門 近世・近代編』ホビージャパン(2021/03/31)


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もくじは次の通り
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テーマは「用兵思想」だが、イラストを交えていてとてもわかりやすい。

 

紀元前26から25世紀(今から4600から4400年前)の密集方陣が人類史上もっとも古い戦闘隊形とのことだ。紀元前371年の「レウクトラの戦い」での重点形成が用兵思想の始まりだ。

 

「『孫子』や日本の戦国時代やナポレオン戦争は?」と思ったが、そこから一気にジョミニクラウゼヴィッツに飛ぶ。

 

ジョミニの立場は戦争に「不変の原則」があることだ。

 

ジョミニの基本原則

1.戦略的運動によって大兵力を自軍の連絡線を危険にさらすことなく、可能な限り敵の連絡線もしくは戦地に投入すること

2.我が全力で敵の分力と戦うよう機動すること

3.戦闘が行われる時には、戦術的運動によって大兵力を戦場の決勝地点もしくは前線のもっとも重要な地点に投入すること

4.これら大兵力は決勝地点にただ存在するだけでなく、活発かつ一斉に戦闘に加入すること

 

その影響がアメリカ陸軍の戦いの9原則、そして統合作戦の原則に影響を与えている。

アメリカ陸軍の統合作戦の原則

1.目標の原則(Objective)

2.攻勢の原則(Offensive)

3.集中の原則(Mass)

4.兵力節用の原則(Economy of Force)

5.機動の原則(Maneuver)

6.指揮統一の原則(Unity of Command)

7.警戒の原則(Security)

8.奇襲の原則(Surprise)

9.簡明性の原則(Simplicity)

10.抑制の原則(Restraint)

11.忍耐の原則(Perseverance)

12.正当性の原則(Legitimacy)

 

一方、クラウゼヴィッツは、戦争そのものを考察している。彼の有名な言葉は「戦争とは他の手段をもってする政策の継続にすぎない」だ。そして彼はジョミニと異なり戦争に「絶対の原則」がない、という考え方だ。理由は、1.精神的な要素、2.敵との相互作用、3.情報の不確実性だ。

 

第3講は、モルトケだ。「外線作戦」と「内線作戦」がある。

通常、内線作戦の方が外線作戦より有利だと言われてきた。モルトケは鉄道の活用によって外線作戦を有利にした。

モルトケの言う「委任戦術」とは、「上級指揮官の「企図」の範囲内で与えられた「目標」達成するための「方法」を決定し、それを実行するものだ。「集権指揮」ではなく「分権指揮」だ。

 

第4講はシェリーフェン・プラン。第5講第一次世界大戦塹壕線。そしてドイツ軍による浸透戦術(旧日本軍では滲透(しんとう)戦術という漢字を使用)。

これを読むと、『戦闘指揮官』(Squad Leader)シリーズの理解が深まる。

 

第6講は機甲戦術だ。戦車の発明だ。菱形戦車(正確には平行四辺形戦車だが)による塹壕線突破戦術の考え方がよくわかった。

このドクトリンだから1930年代の戦車がああいう要目だったのだ、と納得できた。

日本軍だけ装甲が薄くて武装の非力な戦車を作ったのではなく、1930年代はこういう考え方だったからどの国もああいう戦車だったのだ。

日本は開発スピードが遅かったため、1930年代の戦車のまま大戦を戦い通さなければならなかったのが悲劇だったのがよくわかった。

 

そして、いよいよ、第6講の後半で、第二次世界大戦のドイツ軍による電撃戦の考え方と、その限界が紹介される。

 

次巻では、ソ連軍の作戦術、エアランド・バトルとマニューバー・ウォーフェア、ハイブリッド戦争が紹介される。こちらも楽しみだ。