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さいとう・たかを『ゴルゴ13 212 琉球の羊』(リイド社)(2024/04/19)

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もくじはこちら

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第573話『琉球の羊』(2017/08作品)(脚本協力 品川恵比寿)

ページ数:137

依頼者:1年前=波照間大学准教授 比嘉良隆 なし

ターゲット:1年前=オスプレイ なし

依頼金額:1年前=金額不明 比嘉良隆が生家を売った金 なし

狙撃場所:1年前=宜野湾市 沖縄波照間大学 空港に向かう路上

殺害人数・相手:5人(米兵3人 沖縄地主会東京支部長の島袋耕介に雇われた殺し屋 米軍四軍調整官マーチン大佐)

 

沖縄でアメリカ軍のオスプレイが墜落した。

 

Part1 闘争の主役

沖縄、普天間基地ージャパンー

オスプレイ墜落を受け、沖縄でアメリカ軍基地事に対する反対デモが起こっていた。そのリーダーが波照間大学の准教授、比嘉良隆先生だった。デモで転倒しそうになった老人を助けたのは、波照間大学四年生、赤嶺万里亜だった。

沖縄及び北方対策担当大臣政務官若宮真也が比嘉良隆を見つめていた。

新知事の新里忠は神輿でそれを担いでいるのが比嘉良隆だった。

『沖縄で今、何が起こる?』『基地闘争こそ沖縄自立への道』などを上梓し日本ジャーナリスト大賞も受賞している。

もし比嘉がますます力をつけるようなら若宮が潰しにかかるしかないと心の中で思うのだった。

 

Part2 羊の群れ

事故から8か月後、辺野古・・・

オスプレイ事故から8か月経過しても反基地闘争は活発になるばかりだった。本土から来た活動家が5割も参加していた。

しかも軍用地主も糾弾する、と叫んでいた。

米軍関係者も苦い表情で、「この地がアメリカの支配地であることを思い知らせてやる」と言うのだった。

 

Part3 ウチナーンチュの主張

政府は日米安保条約を盾に県知事の反対を無視して工事を強行した。日本政府や本土のマスコミは”越権行為だ”と言わんばかりだが、越権行為ではなく知事には許認可などを主張できる法律がちゃんと存在している。大手マスコミは沖縄にわずかな貴社しか派遣していない。

中国軍が尖閣諸島で領海侵犯を繰り返しているのは事実だが、比嘉は沖縄に自衛隊が駐屯することまでは反対していない。

赤嶺万里亜は、中国と沖縄が貿易や観光で親密になれたらいいのに、と言う。

琉球王国が1429年に成立してから450年以上、独自の文化と歴史を築いてきた。1872年琉球藩となり沖縄県となった。

海が荒れてきてカヤックの仲間には引き揚げてもらおうとしていた。

 

Part4 荒れる沖縄

那覇

ゴルゴ13が車に乗って運転していた。

台湾のヨットが遭難信号を出して海上保安庁の救助船が現場に向かっている・・・台風3号と4号が発生して沖縄に向かっている、とラジオが報じていた。

ゴルゴ13が運転しているところを、情報分析官のギャレットが偶然発見して、上司に報告していた。

 

Part5 Gへの復讐

沖縄、嘉手納基地

ギャレットからの報告を受けたマーチン大佐は、昨年の屈辱ーゴルゴ13によって宜野湾に不時着したオスプレイの事故ーの復讐を果たそうと考えていた。

CIAもペンタゴンに問い合わせたが米国政府はゴルゴ13に依頼していなかった。

米軍は、米軍基地や辺野古埋め立てに反対している反基地闘争の連中かそれに協力する者の依頼を受けた可能性が高いとみていた。

ゴルゴ13は名護港に寄っていたが、M16を入手する予定だったが、台風のためヨットが転覆してM16を入手できなくなった可能性があった。

マーチン大佐はゴルゴ13に先制攻撃を仕掛けようとする。

 

Part6 逃走するG

ゴルゴ13の前にアメリカ軍が立ちはだかり銃撃を開始した。

ゴルゴ13は車から脱出した。米軍は赤外線探知機を使ってゴルゴ13を追跡する。

 

Part7 武器のないG

ゴルゴ13は大木を盾にして丘を登っていた。

ゴルゴ13は戦時中無数に掘られていた沖縄の防空壕跡にゴルゴ13が入っていた。

 

Part8 似た者同士

沖縄、嘉手納基地

マーチン大佐は、部下にゴルゴ13殺害を命令した。

 

比嘉良隆のアパートに赤嶺万里亜がいた。比嘉良隆は実はハーフだった。母が那覇で米兵に強姦され比嘉良隆を身ごもったのだ。赤嶺万里亜の姉も米兵に犯されていた。二人は似た者同士であることで共感していた。

二人は結ばれる。

北部訓練場の国道で米軍による軍事行動の知らせが比嘉に届く。比嘉は仲間を集める。

 

Part9 挟み撃ち

現地に到着した比嘉達は、一台の車が激しい銃撃を受けて止まっていることに気づいた。比嘉はマーチン大佐に抗議の電話し、追われている男(ゴルゴ13)を追う。

マーチン大佐は抗議の声を無視しゴルゴ13の始末を最優先で海兵隊を送る。

ゴルゴ13は訓練基地内に出たが、前方から射撃を受ける。

ゴルゴ13はまた洞窟に戻る。

 

Part10 初めての威圧感

反基地闘争メンバーがメガホンで声をあげる。米軍はゴルゴ13をあと一息で仕留められそうだったが、撤収した。

マーチン大佐は比嘉がゴルゴ13に依頼したとみなした。

ゴルゴ13が比嘉の前に姿を現し去って行った。

比嘉は「ゴルゴ13が何の目的で再び沖縄に現れたのか・・・」と心の中で思う。

 

Part11 害虫駆除は・・・

那覇市内、公務員官舎

若宮は報告書を見ながら、一年前の反基地闘争が激化した要因を調べていた。

そこに何者からか電話があり、宜野湾市、波照間大学の比嘉の元に向かう。

軍用地主に対して政府から年間約1000億円の地代が支払われているが、比嘉は彼らは沖縄に住んでいないので沖縄の役に立っていない、と言う。沖縄に役立てるための何らかの罰則を造るべきだと、比嘉は主張する。

沖縄が日本一の基地提供県と比嘉は主張するが、在日米軍基地の総面積は102,822haで、沖縄は23,293haで役22.7%だ。北海道は役34.1%で、実際は北海道の方が広い、と若宮が話す。

比嘉は北海道はほぼ使われていないのに対し、沖縄は専用施設ではトップだ主張する。

比嘉の反基地闘争の核心は基地の面積ではなく、日本政府の沖縄への依存体質を改めることにある。

 

東京・・・島袋邸

沖縄及び北方対策担当大臣が、軍用地主の島袋のもとを訪れて、状況を話していた。

軍用地主達は政府からの金をもらって生活が成り立っている、とテーブルを叩く。

島袋は、「お前が無力ならば・・・害虫駆除はこの私がやる!!」と心の中で決意する。

 

Part12 緊急会議

六本木

沖縄地主会東京支部の会議で島袋は、反基地闘争のリーダー比嘉良隆が軍用地主糾弾集会が開くことに対して、既に手を撃ってあるので心配しないで、自分に任せてほしい、と言って説得する。

 

Part13 噛み合わぬ議論

沖縄、北西部

若宮政務官が沖縄の水族館やアメリカンショップや嘉手納基地に隣接する商店街を比嘉良隆と共に見学しながら議論する。

比嘉良隆は、中国脅威論に根拠がないと主張する。比嘉良隆は、非武装中立は夢物語で、集団的自衛権も認めている。しかし沖縄に基地負担を押しつけるのは間違いだと主張する。

日米地位協定について、比嘉は反対していた。

 

Part14 Gを探知した!!

嘉手納基地内部、地下核シェルター施設・・・

マーチン大佐が、ゴルゴ13に狙われているものとして、万一に備えて、地下核シェルターから指揮することになった。

オスプレイの10万時間当たりの事故件数は3.34件で、ハリアーが6.76件で他の航空機より少し高い程度だった。

オスプレイが通常の支援ヘリに比べて航続距離が3倍で、熊本地震でも支援物資の輸送に活躍した。

その時、ゴルゴ13が探知された。

 

Part15 この手紙は?

比嘉良隆は、「米軍による凶悪事件が年間100件も発生しており、40年間で5,700件も発生している。番犬(米軍)に噛まれているばかりなら沖縄は"独立"を模索せざるを得ない」と若宮に言う。

若宮は封筒に入った手紙を比嘉良隆に渡しながら、「昨年生家を売ってゴルゴ13に何を依頼したか」と詰問する。

比嘉良隆は若宮には答えなかった。

若宮が引き揚げた。

ゴルゴ13が比嘉良隆のもとに訪ねてきた。

 

Part16 現れたG

私服の米軍が波照間大学にやってきた。

ゴルゴ13はキックやパンチで3人の米兵を斃す。

凝るとM45A1・CQBを米兵から入手したゴルゴ13は、米軍の車を盗んで逃走した。

 

Part17 胸騒ぎが・・・

ペンタゴンーUSAー

海軍省レナード長官は今回のGへの依頼者を特定し、ゴルゴ13が誰を狙撃しても米国政府には痛手にならないから静観するように、と命令が下ったが、マーチン大佐は放っておくことにした。

若宮が置いていった封筒を開こうとしていた比嘉の所に、胸騒ぎがした赤嶺万里亜が訪ねてきて抱きついた。

 

Part18 真相

嵐の中、比嘉良隆は赤嶺万里亜を家に帰らせる。比嘉良隆はまだ仕事があるからと言って大学に残った。

若宮が残した封筒を前に泣きながら開けるかどうか悩む比嘉良隆の元に、沖縄地主会東京支部長の島袋耕介に雇われた殺し屋がやってきた。その殺し屋をゴルゴ13が射殺した。

島袋に先に依頼されたのはゴルゴ13だったが、ゴルゴ13のルールに反する依頼内容だったため、依頼を断っていた。

ゴルゴ13が沖縄に来たのは、比嘉良隆の依頼を米軍が知ったので、火の粉が降りかかる前に様子見に来ただけだった。

今、殺し屋を殺して比嘉を助けて、ゴルゴ13は比嘉良隆に助けられた借りを返した。

ゴルゴ13は去って行った。

 

Part19 密輸品

沖縄、嘉手納基地

マーチン大佐がゴルゴ13を追うよう命令した。

ホテルにいるゴルゴ13のもとにCAがやってきて、M16を渡す。もっと金をよこせ、というCAを追い返す。

 

Part20 手紙の内容

反基地闘争のデモをしようとする人達だが、リーダーの比嘉良隆は来ない。

家に行った赤嶺万里亜だが、家には比嘉良隆はいなかった。

大学の比嘉良隆の研究室に向かうと、そこには殺し屋の死体と拳銃自殺した比嘉良隆の死体があった。

「万里亜 私はもう疲れたごめん」と書かれた遺書が残されていた。

あの手紙には赤嶺万里亜が中国公安部の人間だと書かれていた。

 

Part21 追うマーチン

空港に向かう路上でマーチン大佐はゴルゴ13によって狙撃されて死んだ。

 

Part22 寝起きの・・・?

反基地闘争のメンバーは比嘉良隆と赤嶺万里亜を追って、比嘉良隆の研究室に向かった。

途中で呆然として赤嶺万里亜を見つけて声をかけたが彼女には聞こえなかった。

そこには殺し屋と比嘉良隆の死体があった。

 

2017年4月、辺野古の基地建設か開始された。2025年に建設完了予定で、普天間基地は日本に返還される予定だが、基地建設反対運動による工事の遅れで計画が先送りされる可能性がある。

 

[感想]

沖縄の基地問題を、少し長いが若宮と比嘉良隆の対話で解説している。

面積でいったら北海道の方が広いのは知らなかった。

比嘉良隆は非武装中立は夢物語、集団的自衛権も認めているが、それではどうするのかもう少し具体的な説を聞きたかった。

比嘉良隆はずっと前から赤嶺万里亜が中国公安部の人間と知っていたのだろう。だから手紙を読む前に既に泣いていたのだろう。彼のような人物なら自殺はしないと思うのだが・・・。

今回島袋はゴルゴ13のどんなルール違反をしたのだろうか

それが気になる。

結局、様子見のために沖縄に来たゴルゴ13だったが、丸腰で米軍に挟撃されるような危険な場面になってしまった。用意周到な彼らしくない行動だったと思う。

 

 


第574話『涙も凍る』(2017/10作品)(脚本協力 香川まさひと)

ページ数:35ページ

依頼者:ビルメンテナンス管理、清掃会社川田クリーン会長 川田

ターゲット:シベリア抑留時に川田の父を苦しめた船員市川

依頼金額:不明

殺害場所:日本

殺害人数:1人(シベリア抑留時に川田の父を苦しめた船員市川)

H:0人

 

2015年10月、東京ージャパンー

ビルメンテナンス管理、清掃会社川田クリーンで「父を語る」というテーマで川田会長の父親について、川田会長がインタビューを受けていた。

川田の父は寡黙な男だったが、認知症になってから何かにひどくおびえだした。川田は父が寡黙になったこととひどく何かにおびえることが同じ原因から来ているとみていた。

川田の父はシベリア抑留のニュースを聞いて急におびえだしたのだ。

 

総合商社、墨大商事の坂出を訪ねた川田は、父がシベリア抑留者だったこと、認知症を患っておびえており、その際「イチ」に首を絞められた事があるようだと話した。

そして、坂出に何があったか調べるように依頼する。

10日後、坂出に紹介された磯貝という情報屋は川田に、川田の父を苦しめていた人物を特定した。川田の父と同じイルクーツク州・タイシェトに居た日本人の市川という男だった。ソビエト側の協力者が市川だった。

市川は船乗りだった。日本に帰国後船員として船に乗り、船会社の労働組合で幹部にまでなった。しかし彼は船会社側が組合に送り込んだスパイだった。保身のためなら裏切りでも私腹を肥やすなど何でもする男だった。

市川は川田の父に散々嫌がらせをし、暴行し、首吊りロープを首にかけ足下の椅子を蹴飛ばし、自分の非を認めるまで、気を失うまで続ける残酷な男だった。

市川は生きているが目が見えなくなっていて、アマチュア無線などをしていた。

 

数日後、川田はゴルゴ13に会った。そして市川に恐怖を味あわせて殺すことを依頼する。

 

音楽を聴いてい楽しんでいる市川をスコープに捉えたゴルゴ13。

ゴルゴ13はアマチュア無線用のアンテナ支柱に銃弾を何発も命中させる。

それはモールス信号だった。

「AKTIV!」

それを聞いた市川は「おれはそんな卑怯な男じゃないっ!仕方が無かったんだっ、俺が悪いんじゃないっ!ソ連が悪いっ、戦争が悪いんだ~~~っ!」と叫び眉間を撃たれて射殺された。

 

AKTIVとはロシア語で活動家の事だ。ソビエト側の手先という意味の蔑称だった。

 

川田の所に市川が射殺されたことが伝えられた。川田の父はその朝安らかに死んでいた。

 

[感想]

ソ連の戦争犯罪の一つにシベリア抑留がある。

シベリア抑留ではここに描かれたようなことがたくさんあったのだろうと思う。

 


第575話『魔女の銃弾』(2017/10作品)(脚本協力 夏緑)

ページ数:71ページ

依頼者:フィリピン大統領ドゥマゲテ大統領

ターゲット:トックハン自警団とタビジェ団長

依頼金額:不明

殺害場所:1)フィリピンマニラ 2)フィリピンマニラ郊外トックハン自警団本部

殺害人数:16人以上(1)フィリピンマニラの娼婦 2)トックハン自警団団員14人 トックハン自警団タビジェ団長)

H:2人(フィリピンマニラの娼婦 3年前に婚約者アレハンドロを殺されたクロエ・アンドラーダ=ヘイゼル・バスケス)

 

Part1 ドラッグ・・・!?

マニラーフィリピンー

HEAVEN STREETで娼婦と寝たゴルゴ13。

女はシャワーを浴びるとゴルゴ13に麻薬を注射しようとしたが、それに気づいたゴルゴ13の手刀を受け絶命した。

 

Part2 報奨金のため

翌日

フィリピンの自警団によるシャブ狩りが行われた。そこを通りがかるゴルゴ13を自警団が止める。フィリピンのドゥマゲテ大統領による麻薬撲滅政策はシャブの売人と中毒者を捕まえると生死を問わず報奨金がもらえるので、報奨金目当てで暴行が日常茶飯事なのだ。

ゴルゴ13に手を出そうとした自警団を男がショットガンを向けて追い返した。

 

Part3 トックハン自警団

ゴルゴ13を助けた男に、ゴルゴ13はマニラ最大の麻薬撲滅組織トックハン自警団の本部の場所を聞きに来たのだった。

男は、案内役の女、本名クロエ・アンドラーダ、今の名はヘイゼル・バスケスを紹介する。彼女はアドリアン射撃場で働いていた。彼女はトックハン自警団に一年間も監禁されており生きて逃げてきたのだった。

トックハン自警団は5000人規模だった。男は最後に関わらない方がいいとゴルゴ13に警告した。

 

Part4 不可能射撃

アドリアン射撃場にヘイゼル・バスケスを訪ねてきたゴルゴ13に、彼女は10m先の池の中にいるティラピアを仕留められるかテストする。ゴルゴ13は後ろに下がってティラピアを仕留めた。近いと銃弾が飛び石のように弾丸が弾かれるから遠く離れたのだった。

 

Part5 残虐なタビジェ

マニラ郊外、トックハン自警団本部

トックハン自警団タビジェ団長は麻薬組織クリスタルのボスと幹部を戦車でひき殺す模様を中継していた。

 

Part6 ヘイゼルの過去

ゴルゴ13を自室に案内したヘイゼル・バスケス。

ヘイゼル・バスケスは3年前に婚約者アレハンドロと結婚式場の下見に外出していたときにタビジェ団長に出会い、アレハンドロは殺され、彼女は犯された。彼女はその後監禁され、団員の"福利厚生"のための慰み者にされた。彼女は復讐のために魔女になることを誓い情報を集め脱走した。

そして彼女はゴルゴ13の道案内を直々に行う事を約束した。

 

Part7 ISの台頭

ドゥマゲテ大統領はトックハン自警団を壊滅させる決意をしていた。麻薬対策局長は反対する。ドゥマゲテ大統領は麻薬組織が弱体化したところにIS(イスラム国)系武装組織が割り込み麻薬ルートを乗っ取ってしまい、その潤沢な資金を使いフィリピン政府に抗戦を続けている。麻薬撲滅政策を徹底した結果、麻薬組織より悪い害虫が増えたから麻薬組織を全滅させることをやめることにしたのだった。

大臣達が大きくなったトックハン自警団をどうやって潰すのか、と質問するが、ドゥマゲテ大統領は「私は・・・負けない!」と言うだけだった。

 

Part8 攻撃開始

数日後トックハン自警団本部に、小型機1機に乗ったゴルゴ13とヘイゼル・バスケス。ゴルゴ13は燃料を満載させた小型機を武器庫に落とし、自分達は脱出した。武器庫は大爆発を起こした。

 

Part9 敵は2人

ISの攻撃と考えたタビジェ団長は部下に乗員を探し出して皆殺しにするよう命令する。

ゴルゴ13はトックハン自警団団員9人を射殺する。

タビジェ団長は逃げだそうとした男の愛人を射殺し彼の死体を自分の死体に見せかけることにする。

 

Part10 炎の中の闘い

トックハン自警団団員を次々と殺しながらタビジェ団長の居場所に迫るゴルゴ13。

給油タンクを射撃し火災を起こす。

タビジェ団長は逃げるときに灯油をまいたようだが、火が回っていない所を見つけたゴルゴ13はそこにタビジェ団長がいると読んだ。

タビジェ団長がゴルゴ13を狙撃しようとしたが、火災の熱のために銃身が熱膨張を起こし外した。ゴルゴ13はタビジェ団長の居場所を特定し眉間を撃ち抜いた。

 

クロエ・アンドラーダ=ヘイゼル・バスケスは致命傷を負っていた。彼女にタビジェ団長を殺したことをゴルゴ13は告げた。彼女は夫アレハンドロの元へ・・・と言って息を引き取った。

ゴルゴ13は静かに立ち去った。

 

Part11 1人の軍隊

ドゥマゲテ大統領のもとにトックハン自警団が壊滅しタビジェ団長が死んだと報告が入った。ドゥマゲテ大統領は国防大臣に世界には”一人の軍隊”と呼ばれる存在がいる、と言って、空を見上げ、ゴルゴ13に礼を言った。

 

[感想]

フィリピンの麻薬やイスラム教徒との問題をえぐった作品だ。

ヘイゼル・バスケスが課した不可能射撃の試験は秀逸だ。それを読んでわざわざ後退して射撃したゴルゴ13も凄い。

トックハン自警団襲撃作戦におけるゴルゴ13のアクションとタビジェ団長との読み合いもスリルがあって面白かった。

 

 

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