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第59話『日本人・東研作』(1972/06作品)
ページ数:126ページ
依頼者:フィリピン情報局のカラスコ
ターゲット:武器密輸団の伊藤忠政
依頼金額:不明
殺害場所:1)京都の上賀茂
2)東京
殺害人数:1)1人
2)1人
殺害相手:1)武器密輸団のフィリピン人
2)I(アイ)機関を組織した武器密輸団の伊藤忠政
H:0人
Part1 夕やけを背に
日本の東京国際空港にマンディ・ワシントンが降り立った。
Part2 マンディと大山
『マフィアの内幕』や『東南アジアの暗雲』で有名なジャーナリストのマンディ・ワシントンが大山英雄のところに連絡した。
Part3 日本へ来た目的は!?
大山英雄はマンディ・ワシントンとホテルで会った。マンディ・ワシントンはゴルゴ13を取材していた。彼は1957年東研作の写真を入手し、その写真がゴルゴ13に酷似していることから、ゴルゴ13=東研作を証明しようとしていた。その写真は、ラスベガスで交通事故で即死した女性のハンドバックから発見されたもので、女性の名は一ツ橋の榊原千恵子だった。マンディ・ワシントンは大山に調査協力を依頼し場合によっては共著でも構わないと言ったが、大山はあまり深入りしたくない、と返した。
Part4 過去への追跡
マンディ・ワシントンと大山はまず、榊原千恵子の夫の所に行った。千恵子の旧姓は東だった。京都の上賀茂の旧家だったが、父の候作が亡くなってから没落したそうだ。
榊原家を出たところで二人は車上から拳銃で襲われた。
Part5 東京発”ひかり”最終
マンディ・ワシントンと大山英雄は、東京駅から最終のひかり号で京都に向かった。
Part6 "古都"は静かに
マンディ・ワシントンと大山英雄は東家の跡地に向かった。建物には灯りがともっていた。
老婆が出た。老婆が奉公にあがったとき、ご主人はなく、奥様と男と女の子どもが住んでいた。男の子が東研作だった。母親は屋敷に下宿していたウイリアムという若い将校と寝ており、その現場で東研作が二人を撃ち殺した。
その後、東研作は米軍憲兵に連れて行かれ戻ってきた後、遠縁の伊藤家に、妹の千恵子は土井家へ引き取られた。
Part7 それはハプニング!?
マンディ・ワシントンと大山英雄が東家を出ると、駐車してある自動車で外国人が射殺されていた。
Part8 モンタージュの顔
京都の警察署では東家のそばで殺された外国人の捜査をしていた。目撃者の証言をもとに作ったモンタージュ写真の顔はゴルゴ13そっくりだった。
Part9 伊藤忠政のI(アイ)機関
マンディ・ワシントンのもとに大山英雄が、京都府警の捜査官をしている河野を連れてきた。
彼は東研作を引き取ったのが元陸軍大佐の伊藤忠政ではないか、と言う。伊藤忠政はもう10年も前から消息を絶っていた。彼はC級戦犯として逮捕されたが、釈放され”I(アイ)機関”と呼ばれる特殊工作グループを設立して戦後史の裏面で活躍したと言われる男だった。
I機関は既になく、伊藤忠政の屋敷も荒れ果てている、ということだった。また前夜の殺人事件の外国人はフィリピン人らしいが身元不明だった。
Part10 そこに見た!!
マンディ・ワシントンはホテルのロビーでゴルゴ13を見た!!
トイレに行った大山英雄を呼びに行って戻ってくるともういなかった。
Part11 伊藤屋敷の"亡者"
荒れ果てた伊藤忠政の屋敷に、マンディ・ワシントンと大山英雄が向かった。そこには一人のアルコール中毒の男が住み着いていた。その男はI機関で東研作の仲間だった。彼の話では、10歳から20歳くらいの8人の仲間がいて、その後12人まで増えた。毎日、”大佐”の指揮の下、格闘技や射撃やナイフ投げや木登り、医学、心理学、薬学、毒物学、語学、暗号法、写真術などの諜報理論と実際などをたたき込まれた。脱走を試みた年下の少年を追った二人だったが、その男には殺せなかった。しかし東研作は無表情で脱走者を殺した。
CIC(極東軍事情報部)の指示で、全国の共産党や左翼民主団体にもぐりこんで情報をCICに流していた。ある時、CIAの依頼で、ソ連大使館員を消す任務についた二人だったが、東研作は冷静沈着に行動し、ニコライ、ボルゾフと偶然居合わせた中国人を殺し、アル中の男はボルゾフの妻と娘を撃ち殺した。その後男はアルコール中毒になり、昭和39年に日本に戻ってきた。東研作と別れたのは11年前だった。
Part12 大山狙撃さる!!
伊藤家の庭に出たマンディ・ワシントンと大山英雄だったが、大山英雄が狙撃され死んだ。
Part13 私は狙われている!!
新幹線に乗り、東京に戻るマンディ・ワシントン。彼はゴルゴ13を目撃した。マンディ・ワシントンはゴルゴ13に大山英雄が殺され、自分も狙われていると思っていた。
ゴルゴ13から逃れるようにグリーン車に向かうと、京都府警の河野と会った。
事情を話したマンディ・ワシントンだった。河野が尾行している男がゴルゴ13だった。
そしてゴルゴ13を尾行していたためゴルゴ13にアリバイがアリ大山英雄を狙撃していないことを河野は話した。
Part14 職務質問
河野はゴルゴ13に職務質問をした。その間にマンディ・ワシントンは脱出した。
Part15 危険は突然!!
ゴルゴ13から逃れたマンディ・ワシントンだったが、突然何者かに襲われ拉致された。
Part16 武器密輸団
河野はゴルゴ13を見失った。
会長呼ばれる男のもとに、マンディ・ワシントンが連れてこられた。会長の部下が、自分が大山英雄を殺した、と話した。
マンディ・ワシントンが『東南アジアの暗雲』で武器密輸の頭目としてとりあげたZが会長と呼ばれる男だった。会長は『東南アジアの暗雲』のために10年ぶりに帰国した。そして、マンディ・ワシントンがZの過去をあばこうとしていると考え、マンディ・ワシントンには死んでもらう、と話した。
Part17 "Z"の正体
Zはマンディ・ワシントンの持ち物にあった東研作の名は知っていた。ゴルゴ13の姿は知らないようだった。そしてゴルゴ13と東研作は別人だと言った。6年前に、KGBの依頼でスパイ活動中にトルコでCIAの男達3人工作員の銃弾を全身に浴びて東研作は死んだ、と話した。そしてZは死んだはずの伊藤忠政だった。
窓際に立った伊藤忠政の眉間を銃弾が貫いた!
武器密輸団のボスである伊藤忠政の射殺を依頼されたゴルゴ13は、マンディ・ワシントンの来日と彼を狙う武器密輸団の動きを知って、マンディ・ワシントンを尾行したのだった。上賀茂で殺されたフィリピン人はゴルゴ13がマンディ・ワシントンを死なせたくなかったために殺したのだ、とマンディ・ワシントンは推理した。武器密輸団はマンディ・ワシントンを殺そうとしたが、そこに刑事達が入ってきた。どうやらゴルゴ13による通報のようだった。
Part18 そして・・・"彼"はふり返らなかった
東京国際空港で、河野とマンディ・ワシントンが別れを告げた。
ゴルゴ13の眼前にフィリピン情報局のカラスコが現れ、武器密輸団の伊藤忠政射殺のお礼を伝えた。ゴルゴ13は「報酬を受けとった時あんたとおれとの関係は消滅してしまっている・・・」と言って去って行った。
[感想]
ゴルゴ13のルーツ編でも人気のある作品の一つだ。
伊藤忠政の言葉が正しければゴルゴ13は東研作ではないことになる。
ゴルゴ13の写真を見たときの反応からすると、伊藤忠政は嘘を言っていないように思える。
マンディ・ワシントンは、真実に迫っているように見えて、ターゲットに近づくための単なる道案内役だったことが、ラストでわかる。そのシナリオの巧妙さに驚く。
第58話『カリブ海の死影』(1972/05作品)
44ページ
依頼者:MI6のヒューム卿
ターゲット:コール・フリム・ロジャース医師と彼が情報受け渡す人物
依頼金額:不明
殺害場所:1)ジャマイカの首都キングストンのバンガロー
2)ジャマイカ・首都キングストンの桟橋
殺害人数:1)4人
2)4人
殺害相手:1)デモの煽動者ジョナサン”剣(スウォード)"クーガー一味(ジャック、ハリー、ジョニィ、トム)
2)コール・フリム・ロジャース医師と妻アイリーン。ロジャース医師が情報受け渡す人物2人
H:0人
Part1 黒い炎(ブラック・ファイアー)
ジャマイカ・首都キングストン
黒人による白人の差別に対するデモが行われていた。
デモは暴動に化した。
逃亡するデモの煽動者達5人。デニスという男が怪我をしており、ジャックが抱えて走る。
ゴルゴ13の車が通りがかり、5人はその車に乗り込んだ。
ゴルゴ13は彼らを追ってきた警官2人をはねて逃走した。
Part2 ジョナサン”剣(スウォード)"クーガー一味
怪我をしたデニスの容体が悪くなったので、バンガローにつけた。
バンガローには6人の白人と1人の黒人がいた。
ロジャースという男が医師だった。彼がデニスの容体を見に行こうとすると、一人の白人がライフルをジャック達に向けた。ゴルゴ13がライフルを持った白人に灰皿を投げつけ手刀とパンチで気絶させた。
礼を言う煽動者達。ゴルゴ13は「あんたたちのためにやったことじゃない・・・」と答える。
そこに警官がやって来たが、うまく追い返した。
Part3 その男も”有色人種(カラード)”
2階で治療していたロジャース医師だったが、デニスは出血多量で死んだ。
煽動者達はデニスが黒人だからロジャースが見殺しにした、と怒っている。そしてロジャース医師とその妻アイリーンに銃口を向けた。その時、ゴルゴ13の拳銃が火を噴いた。ゴルゴ13は煽動者達を皆殺しにして立ち去った。
Part4 キングストンの落日
翌日、ロジャース医師とアイリーンが桟橋でボートに乗った人物と会っていた。
ゴルゴ13は崖の上から見下ろす。
ゴルゴ13の回想シーンになる。MI6のヒューム卿が、コール・フリム・ロジャースがスパイ活動をしていること、休暇旅行の名目でジャマイカに息、情報の交換あるいは機密文書の手渡しを行う事、相手が不明なことを、ゴルゴ13に話した。
そして、ボートから出てきた二人の男とロジャース医師とアイリーンの4人がゴルゴ13のスコープの中に入った。銃声が4回響き渡った。
[感想]
ゴルゴ13が有色人種だからジョナサン”剣(スウォード)"クーガー一味を助けたのかと思いきや標的が標的と会うのを邪魔するのを防いでいたというどんでん返しが秀逸な作品だ。
謎解きの仕掛けが面白い佳作だと思う。
第60話『砂漠(サハラ)の逆光』(1972/07作品)
84ページ
依頼者:USA・深南部(ディープ・サウス)のホイットニー婦人
ターゲット:デコック砦のウイルキンス大尉
依頼金額:5万ドルは下らない希望の雫(しずく)
殺害場所:1)ボンの中央心理防衛局
2)スペイン領サハラ・デコック砦の近く
殺害人数:1)4人
2)5人
殺害相手:1)ゲーレン機関の男達4人
2)ゲーレン機関の男達3人
ウイルキンス大尉とその部下1人
H:0人
Part1 ホイットニー家の嫡男
USA・深南部(ディープ・サウス)郊外
破産したホイットニー家に最後に残された財産”希望の雫(しずく)"を出すホイットニー婦人。
現金以外の取引はしない、と断るゴルゴ13だが、婦人はわけを話す。ホイットニー家の嫡男ピーターが世間に絶望し外人部隊に入り、デコック砦の隊長ウイルキンス大尉にしごかれ殺されたのだった。婦人の依頼は希望の雫を受け取ってもらい、ウイルキンス大尉を葬り去ることだった。
ゴルゴ13はダイヤを受け取り去った。
Part2 最後の幕をおろして
ゴルゴ13が去る姿の背後で婦人は飛び降りた。
Part3 はんぱ者の群れ
スペイン領・サハラ=エル・アイウン=
酒場で元ナチス・ドイツのフリッツが恋人と飲んでいた。そこにゴルゴ13がやって来た。外人部隊の古参兵に因縁をつけられたゴルゴ13はあっさりと古参兵達を蹴散らした。
ゴルゴ13がゲーレン機関に依頼されて自分を殺しに来たと思ったフリッツは、ゴルゴ13に向かって行き、自分がフリッツ・シュナイダーでさっさと殺せ、と言った。
Part4 ゲーレン機関
ゴルゴ13はゲーレン機関からフリッツ・シュナイダー射殺を依頼された過去があった。標的を消す理由を聞いたゴルゴ13に対して、依頼者は、フリッツ・シュナイダー・元ナチ親衛隊(SS)少佐がユダヤ人に対してやった悪行の数々への恨みを晴らすためだと答えた。
しかし、彼等は本当はドイツ第三帝国再興を夢見るユダヤ人弾圧の秘密結社ゲーレン機関だったため、つじつまが合わない。本当は新ナチス主義を批判し機関の幹部を殺して姿を消したフリッツ・シュナイダーを許せなかったのだ。ゴルゴ13は依頼を断り、攻撃してきた5人を殺した。
Part5 生きるためのもの・・・
ゴルゴ13はフリッツが話す内容は3年前のことだという。
フリッツの恋人コリンヌがフリッツを殺すなら先に自分を殺してと言う。
ゴルゴ13はなんの関係もない、と言う。
Part6 デコック砦
ゴルゴ13はフリッツとコリンヌをデコック砦にジープで送る。
デコック砦に入った所で、車は機関銃による銃撃を受けた。
ウイルキンス大尉は、フリッツ・シュミット軍曹が、もとナチス親衛隊少佐フリッツ・シュナイダーで、多額な懸賞金を生み出すめんどりであることがわかり、拘束することにした。
Part7 檻(おり)の中のふたり
ウイルキンス大尉はゴルゴ13に名前や来た目的を聞き出そうとするが、ゴルゴ13は沈黙を守る。
ゴルゴ13とフリッツは檻の中に収監された。
Part8 砂漠(サハラ)に放せ
西ドイツ政府代表がウイルキンス大尉の元にやって来たが、身分証明書を提示しない。
どうやらゲーレン機関の者達だった。拷問をする、という機関の面々に、それは本当の苦しみではない、と笑うウイルキンス大尉。本当の苦しみは、水筒に石油をつめ、塩のこってりと効いた乾肉を持たせて砂漠(サハラ)に放すことだ、と言う。
Part9 責められる女
コリンヌを笞打ちするウイルキンス大尉。その上で強姦する。
Part10 砂漠(サハラ)の果てまでも
コリンヌへの拷問に疲れたウイルキンス大尉は眠ってしまった。
牢の鍵と水筒がテーブルの上に置いてあるのを見たコリンヌはそれを持ってフリッツの牢屋に向かった。二人は一緒に砂漠に逃げ出した。ゴルゴ13はその少し前に兵士によってどこかに連れて行かれた。
Part11 や、奴がいた!!
二人が砂漠に逃げ出したのをウイルキンス大尉は双眼鏡で見つめていた。
その時、フリッツを連れてきた男がゴルゴ13だと連絡が入った。機関の男達はウイルキンス大尉に引き渡しを求めた。
Part12 脱出
ゴルゴ13は希望の雫を牢番の男達に見せて脱獄した。
Part13 ジープが追いついた時
ウイルキンス大尉と機関の男達がゴルゴ13を追いかけ始めた。
ゴルゴ13の車のガソリンは抜いていたのでそんなに遠くまで行けないはずだった。
遠方からゴルゴ13の正確な射撃がウイルキンス大尉とその部下、機関の男3人に命中し、5人が死んだ。
Part14 砂丘をこえて・・・
夜明けと共にゴルゴ13がジープで砂漠を走っていると、幸せそうな表情のフリッツとコリンヌの死体があった。
[感想]
死を覚悟した依頼人からの依頼の場合、ゴルゴ13はルールを破っても金額が少なくても受け入れることが多い。今回もそんな依頼だった。
ホイットニー婦人やコリンヌの生と死を見ていると、この作品も哀しい女シリーズの一つとも言える。
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