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さいとう・たかを『ゴルゴ13 16 九竜(カオルン)の飢狼』(リイド社)(1976/02/25)

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====もくじ=====

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第62話 九龍(カオルン)の飢狼(1972/08作品)

ページ数:85ページ

依頼者:金塊密輸組織

ターゲット:ベルジェ・ザネ

依頼金額:不明

殺害場所:1)シンガポール 

     2)香港 啓徳空港

     3)シンガポール ユーミンの家

     4)香港 九竜 錦田城

殺害人数:1)2人

     2)1人

     3)1人

     4)3人

殺害相手:1)ゴルゴ13をトリック攻撃した男達

     2)散弾銃スミニーが警護を任されたイギリス外交官

     3)ベルジェ・ザネの愛人ユーミン

     4)ベルジェ・ザネ、その部下、散弾銃(ショットガン)スミニーことダーク・張・スミス警部

H:1人(ベルジェ・ザネの愛人ユーミン)

 

Part1 散弾銃(ショットガン)・スミニー

香港・九龍で、強盗犯が子どもを人質を取った。

散弾銃(ショットガン)スミニーとあだ名される警部のダーク・張・スミスは、犯人が人質を放したが銃を離さなかったため、ショットガンで犯人を射殺した。

Part2 金塊密輸組織

ICPO(国際刑事警察機構)が懸命に追及している金塊密輸組織がある。本部はベイルートで、地区本部がロンドン、チューリッヒ、ジュネーブ、ニューデリー、香港、ニューヨーク、アンカレッジにある。

Part3 鉄の掟

シンガポールでひとりの女が拷問されていた。

金塊を私しようとしたことと、香港の散弾銃スミニーに密告したことが理由だった。

拷問の結果、明日午後0時30分、チャンばあさんの家で、スミニーと会うことを吐いた女だった。

ベルジェ・ガネ(p.27)と言う名前のボスとその部下の二人だった。部下は散弾銃スミニー対策に何かアイデアを持っていた。

Part4 トリック攻撃作戦

翌日の午後11時30分 シンガポール

ゴルゴ13を発見した男達が、襲いかかる。暗闇の中、ヘッドライトを点灯した車1台がゴルゴ13を背後から襲う。転がって逃げたゴルゴ13が拳銃2発で2台の車のタイヤを撃ち抜いた!!

片方のヘッドライトを点灯した2台の車が並走して1台に見せかけたトリック攻撃だった。

ゴルゴ13はエンジン音が2台なのでトリック攻撃であることをゴルゴ13は見抜いたのだ。

運転手だった男は断末魔に散弾銃スミニーの名前を呼んでこときれた。

男達は本当は散弾銃スミニーを狙ったのに間違ってゴルゴ13を狙ってしまったのだ。

Part5 トリック攻撃をかわした男の正体

ベルジェ・ガネに、トリック攻撃がかわされたこと、散弾銃スミニーがチャンばあさんの家に入ったことが伝わった。また、ベルジェ・ガネが本部をさしおいて東側と取引したことが本部に知られてこと、本部が一流の”殺し屋”にベルジェ・ガネ暗殺を依頼したことが、ベルジェ・ガネの耳に入った。

ベルジェ・ガネはその殺し屋がゴルゴ13だとわかり、自分の身が危険であることを悟った。そして散弾銃スミニーとゴルゴ13をかみ合わせることにする。

Part6 ゴルゴ13はどこにいる!?

ベルジェ・ガネと部下は散弾銃スミニーの所を訪れる。

この時、彼はベルジェ・ガネではなくベルジェ・ザネと名乗る(p.46)。これ以下、ベルジェ・ガネではなくベルジェ・ザネと記載する。

2年前に、ある人物をゴルゴ13が撃ち抜いたことがあった。その人物のガードを任されていたのが散弾銃スミニーだった。ベルジェ・ザネはゴルゴ13がシンガポールにいることを話す。怒りに燃えた散弾銃スミニーだった。

Part7 射撃場にて

ベルジェ・ザネとともに射撃場に来た散弾銃スミニーはゴルゴ13に対する怒りに燃えて激しい射撃訓練をする。

Part8 娼婦リリイ

酒場にゴルゴ13がやってきて、リリイを呼び、ベルジェ・ザネに会いたい、と言った。

それを止めようとした大男を左手刀、左膝蹴り、右手刀の三連撃で倒した。

Part9 ザネは情婦(おんな)の所

リリイが服を脱ぐが、ゴルゴ13は急いでいる、と言って、ベルジェ・ザネの居場所をきく。

リリイはもうベルジェ・ザネとは切れていた。今の情婦はユーミンでそこにいる、と言う。

Part10 散弾銃(ショットガン)スミニーの怒り

ユーミンの所にいるベルジェ・ザネと散弾銃スミニーの所に、ゴルゴ13がリリイの店に行ったとの情報が入った。散弾銃スミニーはその情報をもたらした男、チャーリイの両耳近くに散弾銃2発をぶち込んだ。

Part11 獲物の美しい脚(あし)

ユーミンの所に行ったゴルゴ13だったが、残っていたのはユーミン一人だった。ベルジェ・ザネ達は香港の九竜市の錦田城に逃げたとユーミンが言い、ゴルゴ13をベッドに誘惑する。

ゴルゴ13はユーミンを抱きかかえてベッドに連れて行く。

Part12 散弾銃(ショットガン)スミニーの作戦

香港、九竜市、錦田城で、ベルジェ・ザネらと散弾銃スミニーは、ユーミンの連絡が遅いと待っていた。

散弾銃スミニーはユーミンから情報を聞き出したゴルゴ13がユーミンを殺した、と読んでいた。そして、彼の残した弾痕から散弾銃スミニーが使っている実包は6号散弾で銃身を短くつめた絞りのない散弾銃で、弾丸の最大到達距離200mで実効射程距離50mであると判断して、200m以内に踏み込まず遠距離から撃ってくるだろうが、錦田城ではそんな遠距離から射撃できる場所がないので、散弾銃スミニーが有利だと作戦を立てていた。

さらにSSG弾を準備しており、それなら500mは飛び、6号散弾のつもりでゴルゴ13が近づいてきたときにゴルゴ13を殺せる、と散弾銃スミニーは豪語した。

Part13 路地をブチ抜いて

ベルジェ・ザネと部下は逃げだそうとしたところをゴルゴ13とばったり出会い、ゴルゴ13によって殺された。

そこに散弾銃スミニーが現れた。

左右は壁の狭い路地で二人が戦いを始めた。

ゴルゴ13はM16を散弾銃スミニーに投げつけた。散弾銃でゴルゴ13を狙ったスミニーだったがゴルゴ13は道路を転がりながら拳銃でスミニーを撃った。

散弾銃が下向きに弱いことを、ゴルゴ13はちゃんと計算に入れての戦いだった。

 

[感想]

クリント・イーストウッドの『ダーティー・ハリー』を彷彿とさせる散弾銃(ショットガン)スミニー。

だが、M16を放り投げるという奇策に動揺したスミニーも、しょせんゴルゴ13の敵ではなかった。

 

第67話『"Dabbie!!"(デビィ)』(1973/01作品)

86ページ

依頼者:COFO(各州合同協議会)の男

ターゲット:COFO(各州合同協議会)メンバーでありKKK団団員のクリストファー・ドレイク

依頼金額:不明

殺害場所:1)ミシシッピ流域の町グリーンヒルからテネシー州メンフィスにある不動産会社事務所に向かう路上

     2)アダムズの納屋

     3)ジャクソン・シティへ向かう途中

     4)ジャクソン・シティにある依頼者であるCOFO(各州合同協議会)幹部の家

殺害人数:1)1人

     2)6人

     3)5人

     4)1人

殺害相手:1)クリストファー・ドレイク

     2)ネッド・ブラウンの妹を犯そうとした男達(ティム、ジム、ダン、ビル、ロイ他)

     3)ハリイじいさん、ウォルトほか

     4)依頼者であるCOFO(各州合同協議会)幹部

H:0人

 

Part1 吊るし首の丘

吊るし首の丘で、ネッドと呼ばれる黒人男性が吊るされていた。

そこをゴルゴ13が車に乗って通りかかった。

Part2 白く長い線上の標的(ターゲット)

車を降りたゴルゴ13は銃を構えた。

標的はクリストファー・ドレイク

黒人の人権を守るCOFO(各州合同協議会)メンバーでありながらKKK団団員であり、仲間をKKK団に売っていた裏切り者だった。

ミシシッピ流域の町グリーンヒルからテネシー州メンフィスにある不動産会社事務所に向かう路上でゴルゴ13は時速100kmで走る車を横から狙撃しクリストファー・ドレイクを射殺した。

Part3 撃たれたのは白人(クラッカー)

クリストファー・ドレイクが殺された現場に白人警官が来て聞き取り捜査をしていた。

Part4 河を渡って来た少女

KKK団の白人達がクリストファー・ドレイク殺しの犯人を追ってたき火をしていた。

犯人を見つけたら警察に差し出す前に背後関係を吐かせて私刑にするつもりだった。

そこへ河を渡ってミズーリ州セントルイスからやってきたネッド・ブラウンの妹がやって来た。

彼女は男達に犯されそうになる。たき火の場所だとパトロールに見つかる可能性があるからアダムズの納屋へ連れて行く。

Part5 地獄の納屋(バーン)

納屋に連れて行かれた女を犯そうとした白人男5人だったが、納屋に隠されていた車から出てきたゴルゴ13によって殲滅された。

Part6 銃口は・・・

たき火の場所に残った2人のうち1人であるビルが納屋に向かう。

ゴルゴ13はネッド・ブラウンの妹に銃口を向ける。祈りを捧げる女

Part7 追われる野獣

ビルが納屋に入ったとき、ゴルゴ13が銃口を向け、外に他に何人いるか尋問する。ビルはゴルゴ13のスキをついてライフルを取ったがゴルゴ13によって射殺された。

ゴルゴ13は、最後に残ったじいさんに銃口を向けて、たき火の所に戻す。警官がやって来て、クリストファー・ドレイク殺しの犯人がゴルゴ13であることと体格や顔の特徴を伝えた。どうやら密告があったようだ。ゴルゴ13はハリイじいさんの車まで案内させる。

Part8ジャクソン・シティへ!!

トラックに乗ったゴルゴ13とハリイじいさんはミシシッピー州首都ジャクソン・シティへ向かう。ネッド・ブラウンの妹も荷台に乗り込んだ。

Part9 恐怖のKKK団(ク・クラックス・クラン)

KKK団の歴史がナレーションで語られる。

トラックはネッド・ブラウンが吊るされている丘の上の木のそばを通る。

Part10 野獣は傷ついた!

ハリイじいさんの仲間がトラックを止める。

ロイの車を使っているのを不審に思った4人組に、ゴルゴ13の拳銃が火を噴いた。

4人とハリイじいさんを撃ち殺したゴルゴ13だったが、左膝に銃弾を浴びて怪我をした。

ネッド・ブラウンの妹がゴルゴ13を助ける。

Part11 雨の中へ去った少女

ネッド・ブラウンの妹、デビィとともにどこかの納屋に隠れるゴルゴ13。デビィに兄が見つかったかと尋ねるゴルゴ13。デビィは、3km離れた丘の上のポプラの木の上にいる、と言われたと話す。ゴルゴ13は吊るされて殺されたネッド・ブラウンを思い出す。そして、ゴルゴ13はデビィに「行け」と言う。デビィはポケットの金に気づいた。

Part12 デビィ!!

街で買い物をしたデビィを警官が尋問しようとした。デビィは逃げ出したため射殺された。

Part13 野獣は起き上がった!!

傷が癒えたゴルゴ13は、依頼者のCOFO(各州合同協議会)幹部の家に向かった。

ゴルゴ13を密告した理由は、KKK団がCOFOに狙いを定めることを避けるためだった。

ゴルゴ13は密告した男を拳銃で射殺した。

Part14 去る時はいつもひとり・・・

ゴルゴ13は車に乗ってひとりで去った。

道ばたには、死んだデビィが買った瓶が落ちていた。

 

[感想]

激しい黒人差別が残るディープ・サウスとKKK団をテーマにした重い話だ。

ディープ・サウスの状況を知らずに兄ネッドを捜しに来た無垢なデビィの哀しい物語でもある。

本作が発表されてから半世紀以上経過するが、少しは改善されたのだろうか?

 

 

第64話『ペガサス計画 』(1972/12作品)

84ページ

依頼者:国防省DAI(国防省防衛解析研究所)副部長でCAI特殊幹部のDr・キャサリン・シルバーと米陸軍特殊部隊(通称グリーンベレー)の大佐

ターゲット:クレティス・H・リッチモンド少佐

依頼金額:不明

殺害場所:バリゲの僧院

殺害人数:3人

殺害相手:バリゲの僧院の警備兵

H:0人

 

Part1 激戦の要塞

北ベトナム国境 バリゲの僧院

ヘリコプターが上空から飛来し、コマンド部隊がそのスキに地上に攻め込んだ。

Part2 ナンバー4部隊帰還せず!!

サイゴン近郊 米陸軍特殊部隊(通称グリーンベレー)のペガサス計画ナンバー4部隊はヘリコプター1機が助かったが地上部隊は全員戦死した。

国防省DAI(国防省防衛解析研究所)副部長でCAI特殊幹部のDr・キャサリン・シルバーが、沈痛な会議室に入ってきた。

Part3 ペガサス計画G

バリゲの僧院にはクレティス・H・リッチモンド少佐が捕らわれていた。

クレティス・H・リッチモンド少佐奪還/殺害のための作戦がペガサス計画だった。最後の計画としてゴルゴ13を投入することになった。

Part4 空(から)のケースの意味は!?

輸送機が基地に到着した。ペガサス計画Gとして渡されたのは空っぽのケースだった。

出迎えたシルバーは、ペガサス計画Gは人間だ、と驚いて言った。

Part5”G”は来ていた!

シルバーと司令官が車で移動していた。

空っぽのケースの意味は何だろう、と議論していた。司令官は依頼を断ったのだ、と答えた。シルバーはそれなら連絡員にその旨言えばよい、と答えた。

運転手がゴルゴ13だった。空のケースの意味は時間どおり運んでもらうためのものだった。

Part6 拠点(ディストリクト)Z-1上空の惨事

拠点(ディストリクト)Z-1にある地対空ミサイルレーダーの人工降雨による作動妨害を目的とした米軍輸送機1機が拠点Z-1で撃墜された。その搭乗員の一人がクレティス・H・リッチモンド少佐だった。彼はディフェンダー計画の起案者の一人だった。ディフェンダー計画とは、最新のICBM(大陸間弾道弾)迎撃システムで迎撃衛星に微弱な赤外線/紫外線をとらえるTV装置を積み込み衛星から攻撃をかけてICBMを破壊するものだ。

GRUの拷問・洗脳によって、クレティス・H・リッチモンド少佐が落ちてしまったら、ディフェンダー計画が価値を失ってしまうことをアメリカは恐れていた。

Part7 可能性はひとつ!!

バリゲの僧院の写真を見ていたゴルゴ13は、険しい尾根に道があることに気づいた。

Part8 可能性への人選

ジープを運転するのが上手い人をテストするゴルゴ13。

だが合格者はいなかった。

最後の一人を呼んだ。

Part9 選ばれた男

呼ばれたのはジョン・マッカロー軍曹だった。彼は人種差別主義者だった。

彼の運転を試したゴルゴ13は、ジョン・マッカロー軍曹にやってもらうことにした。

Part10 ビッグ・ジョー

ビッグ・ジョーとあだ名されるジョン・マッカロー軍曹は、ゴルゴ13とジープに乗って任務に向かう。

Part11 夜を待つふたり

剣ヶ峰のように細い尾根を暗闇の中、無灯火で突っ走るのが今回の任務だ。

二人は夜を待つ。

Part12 ”G”は宙に浮いた!!

ゴルゴ13はジョン・マッカロー軍曹が運転するジープに引っ張ってもらい、パラ・セールで飛び上がり、バリゲの僧院に侵入するのだ。

パラ・セールの準備を終えたゴルゴ13の背中をジョン・マッカロー軍曹がポンと叩く。

ゴルゴ13は無事に空に飛び、ジープは崖下に落ちた。ジョン・マッカロー軍曹はかろうじて脱出した。侵入したゴルゴ13は僧侶を脅してリッチモンド少佐のところに向かう。

Part13 中は静かだった・・・

リッチモンド少佐の警護が少なかった。

既にリッチモンド少佐はだいぶ前に死んでいたのだ。

そこへ3人の男が入ってきたが、ゴルゴ13はバク転しながらの蹴りで一人、振り向きざまの右拳で一人、さらに右足刀蹴りで一人を倒した。拳で殴った男はまだ立っていたのでボディに右拳、左拳でアッパーカットで斃した。

そしてゴルゴ13はリッチモンド少佐の死体がある部屋を出て行った。

Part14 そして”G”は出て行った

ゴルゴ13はトラックを奪い、バルゲの僧院から脱出した。

 

 

[感想]

人種差別主義者だったジョン・マッカロー軍曹がゴルゴ13に信頼感を抱いた。

ジョン・マッカロー軍曹がゴルゴ13の背中を叩いてもゴルゴ13は文句も言わない。

ゴルゴ13とジョン・マッカロー軍曹の信頼関係が珍しい。

 

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