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さいとう・たかを『ゴルゴ13 214 マルタの騎士(カヴァリエーレ)』(リイド社)(2024/09/19)

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第582話『マルタの騎士(カヴァリエーレ) 』(2018/07作品)(脚本協力 氷室勲)

ページ数:103

依頼者:マルタ騎士団国の男

ターゲット:不正をしているマルタ首相特別顧問ベンクリー

      不正をしているオンラインカジノ経営者3人

      スウェーデンのオンラインカジノ会社会長ヨハンソン

      ドイツのオンラインカジノ会社社長マンハイム

      イタリアのオンラインカジノ会社社長サバティーニ

依頼金額:不明

場所:マルタ共和国

殺害人数:4人

殺害相手:不正をしているマルタ首相特別顧問ベンクリー

      不正をしているオンラインカジノ経営者3人

      スウェーデンのオンラインカジノ会社会長ヨハンソン

      ドイツのオンラインカジノ会社社長マンハイム

      イタリアのオンラインカジノ会社社長サバティーニ

H:0人

 

Part1 驚きの発表

マルタ共和国 2014年1月 首相官邸

マルタの騎士(カヴァリエーレ)とあだ名される記者、カナリア・ガイヤルドが記者会見に行った先で、マルタ共和国官房長官が、財政再建のために相応の寄付をした人に市民権を提供することを発表した。

 

Part2 ベンクリーの野心

マルタ島中央部の町、ラバト

マルタ共和国官房長官の発表をテレビで見ているゴルゴ13。

マルタの騎士(カヴァリエーレ)ら記者達が質問する。

マルタの市民権を得ればEU域内を自由に行き来できる。

寄付に加えて面接もして身元確認を厳格に行うということだ。

陰で見ているマルタ首相特別顧問ベンクリーは、世界中から金を余らせている人達がやって来て、市民権を与える審査が難航していると言えば・・・と心の中で思いながらほくそ笑んでいた。

 

Part3 Gの会社

ゴルゴ13は市民権を得るために面接を受けていた。10年ほど前に彼はマルタの水産会社を所有しており、ラバトに50万ユーロの土地建物を所有していた。35万ユーロ以上の不動産所有という条件はクリアしている。

ゴルゴ13を面接した男がベンクリーのもとに今週の申請者の状況を報告に行った。

申請者は中国人が多かった。汪浩然(ワンハオラン)という男は審査に通らないがベンクリーの所へ行けば何とかしてくれるかもしれない、と言ってやれ、とベンクリーが部下に言う。

ゴルゴ13の申請書を見たベンクリーは驚くが、普通に市民権を出すように命じた。

 

Part4 マネロンの手法

ゴルゴ13は二度目の面接で市民権を得られることになった。115万ユーロを指定口座に送金したら終わりだ。

汪浩然(ワンハオラン)はベンクリーに会っており、賄賂を送金する、と約束した。ベンクリーはほくそ笑む。

スウェーデンのオンラインカジノ会社会長ヨハンソン、ドイツのオンラインカジノ会社社長マンハイム、イタリアのオンラインカジノ会社社長サバティーニとベンクリーが飲んでいる。ベンクリーの骨折りのおかげでオンラインカジノの免許が付与されたお礼だ。

ベンクリーは、イタリアのマフィアがマネーロンダリングしているという話しを聞いて、発覚したときにとばっちりが来ないか確認する。

イタリアのオンラインカジノ会社社長サバティーニが、何十回に一回だけカジノ側と賭ける側が結託して目を操作し当てさせる手口を説明する。マンハイムがベンクリーにベンクリーへの賄賂送付先口座がバレないかと質問した。ベンクリーはカサック・フィンセコという法律事務所の口座だから大丈夫だと答えた。

 

Part5 衝撃の文書

2015年8月 ミュンヘン ドイツ平和新聞本社

匿名のリーク者が2.6テラバイトの情報を送ってきたのだ。それはICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)にも提供された。その情報はカサック・フィンセコという法律事務所の内部情報だった。多数の著名人が関わっていたので、その情報は、ナパーム(焼夷)文書と名付けられた。

マルタの騎士(カヴァリエーレ)、ことカナリア・ガイヤルドと同僚がナパーム文書を調査していた。夫は買い物に出て行った。

カナリア・ガイヤルドはトムスカ首相やベンクリーの悪事を暴いて総辞職に追い込んでやる、と決意する。

 

Part6 地上げの主

カナリア・ガイヤルドはマルタ・ゲーミング・オーソリティ(MGA)でオンラインカジノのサーバーのおもりをやっていた男から、スウェーデンとドイツとイタリアのオンラインカジノが、不正防止のためのシーリングをしていない、と話した。つまり、客をわざと勝たせたり負けさせたりするのを自由にできるのだ。カナリア・ガイヤルドはナパーム文書で、ベンクリーの不正を調べ上げた。

その頃、トムスカ首相は官房長官やベンクリーと相談していた。官房長官は全て認めて総辞職することを提案した。ベンクリーは法律の範囲内の節税だとつっぱねることを主張した。トムスカ首相はベンクリーの提案に乗ることにした。

官房長官はラバト地区の地上げについて、ベンクリーが黒幕ではないか、確認する。ベンクリーは自分ではない、と言い切る。ベンクリーはカナリア・ガイヤルドがブログで攻撃してきたらキーボードを打てなくしてやる、と心の中で思う。トムスカ首相は”あの国”が地上げをしているのではないか、と疑う。

 

Part7 攻めるカナリア

記者会見で、ナパーム文書にトムスカ首相の妻やベンクリーの名前があること、オンラインカジノ会社三社がシーリングを受けていないこと、ベンクリーが賄賂をもらっていることなどを、官房長官にカナリア・ガイヤルドが質問をぶつける。官房長官はのらりくらりとかわす。

カナリア・ガイヤルドは、市民権を買った人物のうちラバトに住所があるのがデューク・トウゴウと汪浩然(ワンハオラン)であること、そして、汪浩然(ワンハオラン)はベンクリーに金を送っていることをつきとめた。彼女は、この二人のどちらかが、ラバト地区の地上げに関わっていると推理した。

カナリア・ガイヤルドは夫のアンソニーに、デューク・トウゴウと汪浩然(ワンハオラン)について、知っていることがないか、尋ねた。アンソニーは、デューク・トウゴウが10年ほど前に一度会ったこと、ラバトの一番の高額納税者であること、を妻に話した。

カナリア・ガイヤルドは節税しないデューク・トウゴウが怪しいと感じた。

 

Part8 社長への取材

カナリア・ガイヤルドはデューク・トウゴウの会社に取材に訪れた。デューク・トウゴウは10年ほど前に会社をまるごと買い上げた。社長も株主総会の時に年に一度会う程度だった。

カナリア・ガイヤルドが去った後、社長は彼女が来たことと当たり障りのない話をしたことを、誰かにスマホで報告した。

 

Part9 帰れっ!!

デューク・トウゴウの屋敷にカナリア・ガイヤルドが現れたが、使用人が水をかけて追い返した。デューク・トウゴウは使用人に約束のない者は追い返せ、と命じ、潮時だから手放すかと考える。

 

Part10 やはり中国!?

カナリア・ガイヤルドは地上げが進行している地域を見て回る。中国語の看板が多い。ある店に入り、汪浩然(ワンハオラン)について質問すると、水をかけられそうになり、追い返された。

汪浩然(ワンハオラン)の家の前までカナリア・ガイヤルドは行ったが、取材は控えて引き揚げた。

 

Part11 マルタに領土を!

デューク・トウゴウが男に土地を売却した。その時、男に、慎重にやるように、と警告した。男は、将来マルタに領土を確保する、と言う。

アンソニーは、デューク・トウゴウが引っ越したことを妻に話した。役所では皆がガッカリしていると話した。カナリア・ガイヤルドの突撃取材のせいだと話すアンソニー。カナリア・ガイヤルドは地上げの首謀者がデューク・トウゴウではない、と推理した。

 

Part12 職業はテロリスト

カナリア・ガイヤルドはデューク・トウゴウの旧屋敷に忍び込んだが、有力な証拠は何もなかった。

カナリア・ガイヤルドの部下、アンソニーにカナリア・ガイヤルドが自分の推理を話す。デューク・トウゴウの名前を聞いた部下は、彼がゴルゴ13で、彼の職業がテロリストだと話した。部下はデューク・トウゴウを追ったジャーナリストが何人も死んでいると話し、ゴルゴ13を追うな、と強く警告する。

 

Part13 地下調査

洞窟探検のエキスパートのサルディレノとカナリア・ガイヤルドは教会の地下墳墓から旧デューク・トウゴウ邸に向かう。

 

Part14 脱出ルート

旧デューク・トウゴウ邸の真下に着いた二人だったが、縦穴の出口はコンクリートで塞いであった。この穴は脱出ルートだったのだ。

 

Part15 地上げだって!?

カナリア・ガイヤルドは汪浩然(ワンハオラン)の家に突撃取材した。

ベンクリーに賄賂を送っていないか、と迫り、その件を証言してくれたら、ベンクリーを告発できる、と言う。汪浩然(ワンハオラン)はとぼける。また、地上げの件でも追及するが、汪浩然(ワンハオラン)は知らないとシラを切る。

汪浩然(ワンハオラン)邸からの帰りにカナリア・ガイヤルドの車が爆発し彼女は死んだ。

 

Part16 悲劇

カナリア・ガイヤルド死亡のニュースがテレビで流れた。

 

Part17 犯人は俺じゃない

アンソニーはゴルゴ13の転居先をつきとめ、拳銃を持って仇を討とうとした。しかしゴルゴ13に拳銃を奪われた。そして「カナリア・ガイヤルドを殺したのは俺じゃあない。(中略)ただ、お前の無念は晴れるかもしれない・・・」と話して拳銃を返し「俺のことを忘れろ・・・」と言う。

 

Part18 地上げの真相

ベンクリーとオンラインカジノ会社3社が集まっていた。ベンクリーはカナリア・ガイヤルド殺害がゴルゴ13の仕業だという話を作ろうとしていた。カナリア・ガイヤルドを殺したイタリアのマフィアはその仕事を口外しないだろうが・・・とイタリアのオンラインカジノ会社社長サバティーニが言うが・・・。

彼ら4人の眉間に銃弾が撃ち込まれた!!

 

狙撃を終えたゴルゴ13の回想シーン

ゴルゴ13が土地を売った男がゴルゴ13にまた会っていた。ゴルゴ13が、また会いたいのはどんな用件か、ときく。

男はマルタ騎士団国の男だった。マルタ騎士団国とは、正式には「エルサレム、ロードス及びマルタにおける聖ヨハネ主権軍事病院騎士修道会」で、国民は約1万3500人だ。マルタ共和国政府に領土の平和的割譲を求めていたが黙殺されてきた。そのため、ラバト一帯を買収しマルタ政府に対してマルタ騎士団国の領土として主張するつもりだった。

男の依頼は、ベンクリーとイカサマを続けるオンラインカジノ経営者3人の射殺とサーバーの破壊だった。

 

Part19 依頼遂行

バレットM82A1を使って、サーバーを破壊した!!

 

Part20 カネが消えた!!

イタリア、ナポリではカジノのサーバー破壊によってマフィア達が50万ユーロが消えたことに気づいた。

マルタ首相官邸ではトムスカ首相が、マルタ騎士団国の強力なアピールであることに気づいていた。もし応じなければ次に殺されるのが自分であることも・・・

 

[感想]

誰がカナリア・ガイヤルドを殺したのか?

誰が地上げをしているのか?

誰がゴルゴ13への依頼者なのか?

 

謎解きが面白い作品だ。

ゴルゴ13が土地を売った男が中国ではなくマルタ騎士団国だったとは!!意外だった。

このストーリー展開が凄い作品だ。

ちなみに、マルタ騎士団国は、本当にあるそうだ。 

マルタ騎士団 - Wikipedia

国際法上、主権実体として認められており、112か国と国交を結んでいるとのことだ。

日本はマルタ騎士団国を国家としては認めておらず、外交関係はない。


第572話『麻薬地下鉄』(2017/07作品)(脚本協力 夏緑)

ページ数:35ページ

依頼者:アメリカ ブラント大統領

ターゲット:メキシコ系アメリカ人ギャング団”M”の金庫番バキート・ムーニョス

依頼金額:不明

殺害場所:マイアミ ”M”の金庫番バキート・ムーニョスのアジト

殺害人数:1人

殺害相手:メキシコ系アメリカ人ギャング団”M”の金庫番バキート・ムーニョス

H:0人

 

マイアミビーチ、フロリダ、USA

マリファナを20ドルで売りつけようとする男がいた。

そこにゴルゴ13がやって来て、シアトルでは合法の一流ブランド品が6ドルで買える、と言う。男は”M”の商売の邪魔をするのか、と怒る。

ゴルゴ13はメキシコ系アメリカ人のギャング団か・・・といい、男が売人のエドアルド・アーモ、通称ラロだと指摘する。

ラロはナイフを持ってゴルゴ13に襲いかかるが、ゴルゴ13が手刀でラロの手の骨を折る。

 

マイアミのスラム街では、男達が積み荷から大麻花を運び込んでいた。

ガビーの姐御と呼ばれる女は、自分が大麻花のサンプルと伝票をボスの所に届けるので、部下達には積み荷を降ろしたら、列車を船着き場へ返しておくように命じた。

そこにラロがやって来て、チャイニーズ・マフィアにやられた、と報告した。西海岸から流れてきた”クリップス”という青いバンダナのギャングとも抗争しているので、やっかいだった。ボスはラロを連れてこい、と命じた。

ガビーの姐御は自分以外にアジトを知らせることを懸念したが、ボスはショバ荒しは別だと言って許可した。

 

ガビーの姐御は、大幹部のバキート・ムーニョス・・・麻薬地下鉄の管理とメキシコへの送金をになう”M”の金庫番のところに、ラロを連れて行った。

バキート・ムーニョスは早速、送金した。そして監視カメラに写った”M"のショバを荒らす害虫2人をラジコンヘリで駆除する。彼等は死ぬ前に、リーマンショックで不景気になった時に、オレンジ・コンピュータ社では移民から先に首を切り、その時に天才SEが”M”に転職した、と話していた。そのSEがバキート・ムーニョスなのだろう。

ラロからチャイニーズ・マフィア(ゴルゴ13)の容姿を聞いたバキート・ムーニョスは早速監視カメラで追跡し、ゴルゴ13を見つけた。

ゴルゴ13はフリーダム・ホテルにいた。バキート・ムーニョスはそのエレベーターをハッキングし、ゴルゴ13を殺した。

 

バキート・ムーニョスは、ラロをスタンガンで気絶させ、苛性ソーダをかけて殺した。完全なセキュリティ対策のためだった。

翌朝、目覚めたガビーの姐御は、クリップスの2人がラジコン事故で死んだことはニュースになっているのに、フリーダム・ホテルのエレベーターの事故がニュースになっていないことに驚いていた。

バキート・ムーニョスのパソコンがハッキングされた。エレベーター事故の時、なかなかゴルゴ13が死ななくて5分ほどかかっていたときに逆探知していたのだ。

バキート・ムーニョスはガビーの姐御を先に脱出袋から脱出させた。

美しい海に驚くガビーの姐御。上空ではパラセーリングをしている人がいた。

バキート・ムーニョスが降りてくると、パラセーリングしている男がゴルゴ13と気づいたガビーの姐御は、バキート・ムーニョスに降りるな、と叫んだが、間に合わなかった。

ゴルゴ13は、政府に雇われハッカーを雇い、自分を囮にして、バキート・ムーニョスをおびき出したのだった。

”M”の金庫番の死を聞いて喜ぶのは、ワシントンD.C.のホワイトハウスに執務する大統領だった。

 

[感想]

ホテルのエレベーターをハッキングしてゴルゴ13を斃したバキート・ムーニョスは凄い。だが、それが実はゴルゴ13が雇ったハッカーによる偽映像だったのはもっと驚いた。ゴルゴ13がITにも強い面を見せた作品だ。

 

第586話『パンダ外交』(2018/12作品)(脚本協力 香川まさひと)

ページ数:69ページ

依頼者:ミャンマー政府財務副大臣秘書トゥン・シン

ターゲット:占い師スイ・スイ

依頼金額:不明

殺害場所:占い師スイ・スイ自宅

殺害人数:1人

殺害相手:占い師スイ・スイ

H:0人

 

Part1 予言者

2017年ヤンゴン ミャンマー

 

ミャンマー政府財務副大臣秘書トゥン・シン、財閥ライオングループのシェエ・マンが女性予言者スイ・スイの所に相談に来た。

北から来る動物のことだが、スイ・スイはやめるように即答した。

スイ・スイの進言で首都をネピドーに移したのだった。

 

Part2 パンダ外交

 

中国政府がパンダを使った外交政策は、1941年にアメリカに二頭、贈ったことに始まり、現在では17か国、58頭のパンダが外国の動物園、繁殖施設にいる。

レンタルでペアの場合、年間100万ドルで、子どもが産まれた場合の所有権は中国にある。友好関係の目的から現在では経済関係、政治関係にも利用されている。

 

ミャンマー政府財務副大臣フラ・ミン執務室で、財務副大臣秘書トゥン・シンは女予言者スイ・スイの言葉を、財務副大臣フラ・ミンに伝えた。

財務副大臣フラ・ミンは、中国の力を借りてインフラ整備することが目的でパンダは無関係なので、スイ・スイを信奉する財務大臣に彼女の言葉を伝えたら、話がご破算になることを懸念した。そこで、財務大臣にはスイ・スイに会えていない、と伝えることにした。

 

Part3 疑惑

財務副大臣秘書トゥン・シンが一人呑んでいると、ロンドンから帰ってきたジャーナリストの友人がやって来た。彼は中国系なのでパンダ外交のことを知っていた。男は、トゥン・シンからスイ・スイの言葉を聞き出し、彼女がインフラ整備プロジェクトに中国を入れたくない国に言わされているのではないか、と話す。

 

Part4 噂通り

東京の料亭で、外務省ミャンマー担当内藤料治と丸高商事亜細亜方面部長小関紘一が会っていた。内藤は小関がスイ・スイにパンダを断るように言わせた、と思っていたが、実際には、小関は会えていなかった。つまり、スイ・スイの予言能力は本物かもしれない。

 

Part5 真意

尖沙咀(チムサーチョイ) 香港

コンサルタント会社社長・孫がフラ・ミンと会っていた。孫は、"裏"の話を担当している男だった。孫は、スイ・スイがパンダを受け入れるな、と言っていることは、それでいい。インフラ整備計画が大事なのだ、と。日本は今、スイ・スイがパンダを受け入れるな、と言ったことで喜んでいるので、その裏で、ミャンマーと中国で契約を進めればいい、と話す。さらに、フラ・ミンの母の心臓が悪いことについて北京の名医を紹介した。その後二人は夕食をとり、フラ・ミンには女をあてがった。

 

Part6 解任

財務副大臣フラ・ミンの部屋に財務大臣ウー・リーがやって来て、彼がスイ・スイに会い、パンダを断り、インフラ整備計画を中国と進めることもやめるように進言されたことを話し、フラ・ミンを解任した。財務副大臣秘書トゥン・シンをウー・リーの秘書に抜擢した。

トゥン・シンは友人にフラ・ミン解任、自分がウー・リーの秘書になったことを話し、スイ・スイに会いに行くことも話した。

 

 

Part7 不吉な予言

トゥン・シンはスイ・スイに会った。

そして、スイ・スイが誰かー日本ーに予言を言わされているのではないか、と問い詰める。

スイ・スイは”未来の声”を伝えている、と答える。そして、ワウンスンサーシー女史にとってまずいことが起こる、西欧からの支援が崩れることが起きるから日本に恩を売った方がいい、と伝える。

 

ミャンマーの教育水準は高いがインフラ整備が遅れている。インドや中国に対する国民感情は決してよくなく、一方、親日感情はとても良く、援助額がトップだった。

 

Part8 決意

トゥン・シンは友人にスイ・スイと会ったときの話をした。

西欧からの支援が崩れるとしたら少数民族のことかもしれない、と友人が言う。

陣痛が始まったトゥン・シンの妻のために、彼は病院に向かった。

女の子が産まれた。トゥン・シンはスイ・スイが全てを決めるのも軍事政権と同じで民主主義ではない、と考える。

 

Part9 凶弾

スイ・スイが自宅バルコニーにいるとき、彼女のそばを二発の凶弾が飛んだ。

スイ・スイは微動だにしなかった。

すぐにボディーガード達が犯人を取り押さえた。一人の男が逃亡した。

トゥン・シンは何者からの電話を受けた。

 

Part10 偶然と賭け

スイ・スイを襲ったのは、トゥン・シンに雇われたチンピラだった。

トゥン・シンは友人と呑んでいた。友人はゴルゴ13の事を調べていた。恐くなって彼は調べるのをやめた。その話を聞いたトゥン・シンは、帰りのタクシーに乗って、スイ・スイ殺害をゴルゴ13に依頼しようと考えた。次の信号が青になったら、ゴルゴ13に依頼する、と賭けた。信号は青だった。

 

Part11 依頼

トゥン・シンは義父に金を依頼し、その金でゴルゴ13にスイ・スイ狙撃を依頼することにした。ゴルゴ13に会ったトゥン・シンに、ゴルゴ13はどうして自分を知ったか、と聞いた。トゥン・シンの友達のテリー・チャンと指摘したゴルゴ13。しかも彼はテリー・チャンが調査をやめたことまで知っていた。

ゴルゴ13はトゥン・シンの依頼を受けた。その時、「俺の仕事のなかで、最も楽な仕事になるかもしれないな・・・」とつぶやく。

 

Part12 女の涙

スイ・スイは自分の死期を悟った。故郷に列車で戻り、母の手伝いでマンゴーを売っていたことを思い出す。

財閥ライオングループのシェエ・マンには、すぐに精密検査をすれば今なら間に合うと伝えた。

 

Part13 運命

スイ・スイは屋敷のバルコニーに出た。彼女は化粧をしていた。下にはゴルゴ13がいた。ゴルゴ13は彼女の額ではなく胸を撃った。

 

Part14 的中

トゥン・シンと友人のテリー・チャンが呑んでいた。ミャンマー軍によるロヒンギャ大量虐殺の新聞記事・・・それがスイ・スイ西側諸国を怒らせるという予言の答えだったのだろう。

テリー・チャンはスイ・スイの予言力はミャンマーに必要だったのではないか、と言う。

 

[感想]

『ゴルゴ13』は、SPコミックスが発売された頃に、関連する事象が発生する。

この話に関しても、2024年8月27日から29日にかけて二階俊博・元自民党幹事長ら『日中議員連盟』の5年ぶりの訪中だったが、習近平主席との面会は実現せず、パンダ貸与について前向きな話があった程度の成果だった。

人間、政治や経済を、よく観察して、可能性を探って、劇画化しているから、普遍性があるから、約6年から7年後、SPコミック化される頃、現実が『ゴルゴ13』に追いついてくるのだろう。

さいとう・たかを氏自身が予言者だと言える。

 

第580話『ビルに立つ男』(2018/04作品)(脚本協力 ながいみちのり)

ページ数:35ページ

依頼者:不明

ターゲット:地元の有力政治家と企業オーナー

依頼金額:不明

殺害場所:アリゾナ州のビルの上

殺害人数:2人

殺害相手:地元の有力政治家と企業オーナー

H:0人

 

アリゾナ州

高いビルの上に男が立っていた。それを見上げるゴルゴ13。

飛び降り自殺をしようとしているようだ。

刑事部長がやって来て、ダンという男に交渉を命じる。

 

雑踏を通り抜けたゴルゴ13の所にタクシーで一人の男がやって来た。ゴルゴ13が男に何か依頼した。

 

ダンが飛び降り自殺をしようとしている男に話しかけるが名前も聞き出せない。

ゴルゴ13が喫茶店で人を待っていると、ダンがやって来て、コーヒーをポットで、ホットサンド2つをオーダーした。

ゴルゴ13の前にはパソコンを操作する若い男がおり、ゴルゴ13が「頼む・・・」と一言。

ダンがホットサンドを男の元に持って上がる。男には9歳の息子がいるが、そこには帰れないと言う。刑事部長にダンが状況を報告すると、地下カジノの金庫が襲われたり、ショッピングモールでギャング団同士の喧嘩の報告が上がってきた。さらに亭主が妻を監禁する立てこもり事件が起こった。

刑事部長のところにマスコミのマーサという女がやって来てネタを聞きだし、飛び降り男の情報を得た。そこにゴルゴ13の前で話していた男がやって来て、マーサを誘った。

男はマーサから飛び降り男の情報を得てゴルゴ13に伝えた。

飛び降り男は難病の息子を助けるための金を投資詐欺で失い、取り戻そうとして博打に手を出し全てを失ったのだ。

ダンは何とか男を説得しようとする。そこに妻がやって来て、匿名の善意の金が届けられたと夫に報告した。

ダンは刑事部長に、ダンが名前も聞き出せないうちによく妻を連れてこられた、と驚いていた。刑事部長は、自分が連れてきたのではなく、妻の方から来たのだ、と言った。まだマスコミに発表していないのに不思議なことだ。

一時間後。ゴルゴ13は、飛び降り男が立っていた所にM16を持って立った。そして二人の男を射殺した。

翌日、ダンと刑事部長は、現場にやって来た。地元の有力政治家と企業オーナーが密談をかわして建物から出てきたところを撃ち抜かれて殺されたのだ。その他の事件はいずれも大したことはなかった。最後に起こった二人の射殺事件を除いて・・・

専門家はこのビル屋上からの狙撃だと答を出したのだが、そこにはなんの痕跡も残っていなかった。

刑事部長の市長への夢は断たれた。ゴルゴ13は一人車に乗って去って行った。

 

[感想]

飛び降り男、立てこもり事件やカジノの金庫襲撃などの事件とゴルゴ13の関連、タクシーでかけつけた男やゴルゴ13が任せた若い男の正体が、ほのめかされてはいるが、はっきりしないのがもどかしい。

タクシーでかけつけた男にゴルゴ13は金をやって、飛び降り男の妻を探し出して、飛び降り男をビルの屋上から去らせようとしたのだろう。

マーサもゴルゴ13が雇ったとみていいだろう。

どのように収束するのか、楽しめる短編作品だ。

 

 

 

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