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さいとう・たかを『ゴルゴ13』第642話『女の平和』(『ビッグコミック』2024/09/25号, 2024/10/10号)

 

『女の平和』(脚本協力 氷室勲) (『ビッグコミック』2024/09/25号)

78ページ

依頼者:日本政府の男

ターゲット:アイスランドの元大統領ベルディス・インガルドゥティルが企画した『女の平和』を妨害する者達

依頼金額:不明

狙撃場所:1)東京都内の地下のどこか

     2)旧防衛庁跡地 東京ミッドタウン

殺害人数・相手:1)3名(アイスランドの元大統領ベルディス・インガルドゥティルが企画した『女の平和』を妨害する者達)

     2)3名(アイスランドの元大統領ベルディス・インガルドゥティルが企画した『女の平和』を妨害する者達)

 

前編『ビッグコミック』(2024/09/25号)

 

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1954年

アイスランド、レイキャビクで、ベルディス・インガルドゥティルは『女の平和』のリューシストラテーみたいに劇団でがんばっていた。

1954年2月、クリミア州はロシアからウクライナへ移管され、日本の六本木劇場が開館し、アメリカのミシガン州ではマイケル・ムーアが爆誕した。

2024年4月15日、1954年から70年が経ち、ベルディスは94歳になり、シワシワのひいおばあちゃんになった。

 

Part1 元大統領の願い

ベルディス・インガルドゥティルはアイスランドの第4代大統領で舞台人でもある。

ロシアによるウクライナ侵攻をどうやって止めようかと考えていた。

彼女は、日本の六本木劇場が老朽化で閉館すること、その劇場が1954年開館、つまり、彼女が舞台に関わり始めた年であることに気づいた。

彼女は自分の誕生日パーティーで、自分が冷戦を終わらせる流れを作ったことを話し、もう一度、やろうと決心した。

 

そして日本に向けてビデオレターを作り始めた。

ウクライナとロシアの平和のために”六本木劇場の1日”を提供してほしい、と訴えた。

 

Part2 大使館員の困惑

日本、東京、駐日アイスランド大使館

大使館員はベルディスのビデオレターをどうするか、話し合っていた。

ともかく、日本語訳を開始した。

 

Part3 六本木劇場

駐日アイスランド大使館の三人が六本木劇場に向かった。

ベルディスはアイスランドの元大統領で1986年に米ソ首脳平和会談を主宰し、それが冷戦終結につながった。

ベルディスの依頼は、1日1ステージ、六本木劇場を貸してほしいということだ。1954年の同館のこけら落としがアリストパーネスの『女の平和』だから、2024年の今あらためて六本木劇場で『女の平和』を上演しインターネットで世界同時生中継するのだ。そしてこの戯曲の”セックス・ストライキ”を拡散させるのだ。

この戯曲では戦争中に女達がセックス・ストライキを始め、男達が禁欲に音を上げて戦争をやめると言うストーリーだ。

演者は日本在住のアマチュアのウクライナ人とロシア人を公募し、リーディングスタイル(朗読劇)にするのだ。

 

Part4 ある呼びかけ

ウクライナ人は避難者。六本木に大使館があるロシアを逆なですることになる。

だが、六本木劇場の支配人はベルディスの依頼を受けることにした。

 

Part5 キャスト集め

梨園で働く男がベルディスの呼びかけをスマホで見た。

語学学校で働く男がベルディスの呼びかけをスマホで見て応募することを決意した。

料理学校で働く女がベルディスの呼びかけをスマホで見て応募する決心をした。

 

[感想]

ベルディスの企画は突拍子もない企画だ。ロシアを逆なでするだろうし、演者同士もロシア人とウクライナ人ではもめそうだ。

果たしてうまくいくのだろうか?ゴルゴ13はこれにどう関わってくるのだろうか?

 

後編『ビッグコミック』(2024/10/10号)

 

 

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Part1 東京ミッドタウン

ロシアがベルディスの企画を潰そうとするのを防ぐことを、日本政府の男がゴルゴ13に依頼する。条件は必ず殺すことだった。

 

Part2 全体けいこ

参加者24人が揃い、全体けいこが始まった。

 

Part3 ネズミが3匹

ゴルゴ13は首都電力でケーブル交換のために保安システムを解除中というガセ情報を流し、銃弾が貫通しにくいベルギー製FN P90を使って、引っかかった者3名を始末した。

3名を始末したゴルゴ13は依頼者に3名の始末の結果と、明日は制服や私服警官の配備と依頼者自身に一働きしてもらうことを、話した。

 

Part4 仕上げへ

最後のけいこが始まった。クリミア半島のセバストポリを重なるペロポネーソス半島西岸のピュロス湾を返してくれ、という場面の練習だ。

 

Part5 ムササビの飛翔

ゴルゴ13は依頼者なら同類を嗅ぎ分けられるだろう、と言って、依頼者に東京タワーの警備を命じた。依頼者の男は3人連れの外国人に目をつけた。案の定、3人は東京タワーの係員を銃で脅し、外に出て、ムササビのようなウイングスーツを着て六本木の空に飛んだ。

 

Part6 そして幕が開く

依頼者の男はゴルゴ13に連絡した。男は外務省飯倉公館上空で始末するようゴルゴ13に依頼する。死体の始末がしやすいからだ。ゴルゴ13はその依頼を受け入れた。

そしてウイングスーツの3人の眉間を撃ち抜いた。

ゴルゴ13が「・・・ここが防衛庁の跡地でなければ展開も違っていたかもしれんな・・・」と心の中でつぶやく。

そして劇の幕が開いた。

[感想]

地下の戦いでは珍しくゴルゴ13が「動くな・・・」と警告してから3人を殺した。

いつもなら何も言わずに撃つのにどうしてだろう。

舞台になった六本木や飯倉や東京タワー界隈は、個人的にはかつてよく行っていた場所なので、背景の細かい所までじっと魅入ってしまった。空を飛ぶテロリスト3人組の背景に描かれた、独特のピラミッド状の形をした霊友会の建物も懐かしい。

東京タワーから旧防衛庁という

Googleマップで計測したら、東京タワーから飯倉公館まで約600m。東京ミッドタウン(旧防衛庁)から飯倉公館まで約1,000mだ。飯倉公館より東京タワー寄りに敵が来た時に銃弾を当てただろうから、1,000m以上、1,600m以下の距離での狙撃だ。

なにげに凄い狙撃をやってしまうゴルゴ13の射撃スキルが凄い。