もくじはこちら
- p.8 2024年ノーベル賞
- p.14 不死のサイエンス
- p.44 数式いらずの数学入門 第11回 三角関数
- p.54 変貌する地球
- p.68 宇宙はいくつあるのか?
- p.92 20億年前の岩石で生きた微生物発見
- p.96 世界の土木遺産
- p.118 子育てをする動物たち
- 次号予告
p.8 2024年ノーベル賞
2024年のノーベル賞受賞者と、その研究内容がわかりやすく紹介されている。
ノーベル生理学・医学賞 ビクター・アンブロス氏とゲイリー・ラブカン氏
20個程度の塩基からできているのがマイクロRNAで、遺伝子制御に重要な役目を担っていることを発見したのだ。
ノーベル物理学賞 ジョン・ホップフィールド氏とジェフリー・ヒントン氏
ニューラルネットワークによる機械学習の基礎技術の発明だ。
ノーベル化学賞 デイビッド・ベイカー氏とデミス・ハサビス氏とジョン・ジャンパー氏
AIとコンピュータによって自然界にないタンパク質を設計し最近に作らせ、マラリアのワクチン開発に活かした。
p.14 不死のサイエンス
今月号の第一特集だ。
カメがほとんど老化しない。ニシオンデンザメは400歳近くになる。ハダカデバネズミやコアホウドリも長寿命だ。これらの動物について研究が進んでいる。ハダカデバネズミは、老化細胞を除去する仕組みがあるそうだ。細胞にセロトニンをためておき細胞が老化するとセロトニンを分解し過酸化水素が発生し老化細胞だけ除去されるのだ。
ベニクラゲは若返りを9回繰り返した例があるそうだ。
分子・細胞が持つ「12の特徴」が老化防止や若返りの鍵をにぎる
次の12がそれだ。
- ゲノムの不安定性
- テロメアの短縮
- エピゲノムの変化
- タンパク質恒常性の喪失
- オートファジーの機能低下
- 栄養センシングの異常
- ミトコンドリアの機能異常
- 細胞老化
- 幹細胞の枯渇
- 細胞間コミュニケーションの変化
- 慢性炎症
- 腸内細菌の変化
老化の原因はDNAの読み取りミスで、エピゲノムというのはいわば本のしおりみたいなものだそうだ。
豚を使ってヒトの臓器を作り、移植させる研究やゾウリムシより小さなロボットで治療をするなどの研究も進んでいる。
脳を機械にアップロードする、というSFチックな研究も進んでいる。
これらの研究が進むとヒトにも応用できる可能性があると思うと楽しみだ。
p.44 数式いらずの数学入門 第11回 三角関数
世界最古の三角関数表は、イラク南部で発見された粘土板だそうだ。
三角関数が波を表現できる関数として生まれかわったことなど、三角関数の歴史がわかりやすく解説されている。
高校の数学で三角関数を習った時、その実用性に、私は感動したが、その感動が甦る素敵な読み物だ。
p.54 変貌する地球
宇宙から見た各地域の写真だ。ヒトの活動によって変わっていく地球の様子が痛々しい。
p.68 宇宙はいくつあるのか?
今回の第二特集だ。
マルチバース宇宙論だ。何と10の500乗以上、宇宙はあり得るそうだ。
マルチバースの生みの親はスティーブン・ワインバーグという人で、真空のエネルギー密度がちょうどよい私達の宇宙について疑問に思ったからだそうだ。
インフレーション理論や超ひも理論でも宇宙が一つである理由はないそうだ。
別宇宙と連絡をとることは不可能だそうだが、それは残念だ。
なんだか信じられない、SF世界の話にしか思えないのだが、最先端の宇宙論では、大真面目に議論されているそうだ。
p.92 20億年前の岩石で生きた微生物発見
南アフリカ北東部のブッシュフェルト複合岩体で、20億年程前に地下のマントルがからマグマが上昇し冷えて固まった特殊な地形だそうだ。東京大学の鈴木庸平准教授らのチームが深さ15mの所から取り出したサンプル中にDNAを持つ細胞がたくさん見つかったそうだ。
これが本当なら生物誕生や進化について、また新たな可能性が広がると思う。
p.96 世界の土木遺産
橋やトンネルやダムなどの土木遺産の美しい写真だ。
p.118 子育てをする動物たち
コウテイペンギンやタツノオトシゴなど、様々な子育てする動物の写真と解説だ。
オシドリが一夫多妻で「おしどり夫婦」ではないのには驚いた。
アフリカレンカクは一妻多夫で雌は他の雌のヒナを殺して雄とつがう。ライオンの雄による子殺しの逆バージョンだ。
カワラバトは口からミルクのような液体を出して子育てする。
オランウータンは8歳まで母乳を与えて子育てし、雌が性成熟するまでの生存率は96%とは驚きだ。
次号予告
次号の特集は「SFは実現可能か?」「感動する科学」だ。
どちらも楽しみだ。