表紙
もくじ
SPコミックスコンパクトは、文庫サイズで、中に含まれる話は、SPコミックス版と異なり、最初のうちは、発表順となっている。
SPコミックス版にはない、SPコミックスコンパクト独自として、杉森昌武氏の解説が入っている。杉森昌武氏は、ゴルゴ13研究家兼デューク東郷研究所所長、『THEゴルゴ学』(小学館)編集総監督だ。
解説だけでない。
SPコミックス版にはない、構成、脚本、構図、作画、担当者それぞれのスタッフの名前がきちんと入っている。
なお、それぞれの話の内容は、SPコミックス版を参照するようリンクだけを貼っておく。
第5話『檻の中の眠り』(1969/03作品)
第6話『白夜は愛のうめき』(1969/04作品)
第7話『ブービートラップ』(1969/05作品)
第8話『黒い熱風』(1969/05作品)
第9話『南仏海岸(コートダジュール)』(1969/05作品)
第10話『ゴルゴin砂嵐(サンドストーム)』(1969/06作品)
解説:杉森昌武
ゴルゴ13シリーズ開始当時は、冷戦の最中で、イデオロギー全盛期だったが、イデオロギーに左右されないゴルゴ13が受けたのは社会学的、心理学的な興味の対象となる。
杉森昌武氏は『ゴルゴ13』が絶大な人気を保っている理由を、「『ゴルゴ13』という作品が、あるいはゴルゴという主人公の生き方が、体制やイデオロギーや正義といった、いわば一時的な流行にすぎない幻想、虚構にはじめからとらわれることなく、より普遍的な人間としての本質の部分を追及してきたららではないだろうか」「それは、既成のどんなイデオロギーにも影響されることのない、確固とした人間の歩みなのだ」「そうしたゴルゴの生きざまへの共感」と説明している。
杉森氏はゴルゴ13の生きざまへの共感がゴルゴ13が読み継がれている理由だろう、と書いているが、その通りだと思う。
第5話は、「初期作品の中で、間違いなく名作の一つに数えてよい作品だろう。」と杉森昌武氏は言う。確かに、仕事をするためにわざわざ刑務所に入り、ターゲットに近づき、脱獄した上で殺す、という手の込んだ方法をとっている。
第6話は、後に『ゴルゴ13』のシナリオを手がける工藤かずや氏が、その1ページ目を見てびっくりしたそうだ。映画的カットで、マンガの既成概念とまるで違っていたのだ。ラストは海外小説のようにしゃれていて、思わず「え?」と唸ったという。情緒的な作品である点も珍しい。タイトルも他がほとんど活字なのに対して、ロゴ(書き文字)になっている点も特異な点だ。女に尾行されて気づかなかったり、驚いて汗をかくゴルゴ13も、ゴルゴ13の未熟さが現れている。
第7話ではゴルゴ13の観察力の鋭さが光る。また、ゴルゴ13の胸中のセリフも聞ける。自分自身を「ゴルゴ13」と呼んでいるのが興味深い。
第8話の冒頭シーンは衝撃的だ。ゴルゴ13が銃殺刑に処せられようとしていた。いったいゴルゴ13はどうするつもりだったのか、この状況をどうやって自力で切り抜けようとしていたのか、知りたい。
第9話には、『ゴルゴ13』初のライバル、イクシオンが登場する。この強敵を斃すために、銃を捨てるという意表をついた作戦をとった。主人を失った盲導犬ケンタウロスを殺すゴルゴ13の姿は、ゴルゴ13の優しさのシーンとされている。
第10話は1967年6月の第3次中東戦争におけるイスラエル軍の電撃的勝利の裏にゴルゴ13の活躍があった、という物語だ。実在の人物が登場して、実際に起こった歴史的事件を舞台にゴルゴ13が活躍する物語だ。
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