『医務官手帳』
『ビッグコミック』2025/02/10号
脚本協力 ながいみちのり
39ページ
依頼者:不明
ターゲット:どこかの大使館員
依頼金額:不明
殺害場所:アメリカがチャーターし、トリポリ港にとまっていた大型船マルタ
殺害人数:1人
殺害相手:どこかの大使館員
H:0人
東京の居酒屋で一冊の手帳を見る白髪の男に、「華生(はなお)先生」と声をかける日本大使館の池谷(いけたに)。
二人はリビアの日本大使館で共に働いていた。
池谷は公安調査庁からリビアに派遣され、華生は医務官だった。
二人はリビア時代の話をする。
2009年、リビア・トリポリ、日本大使館
アラブの春のため、治安が悪くなったリビアから、日本人家族達が帰国する。
「なぜ残っているんだい?」という華生の問いに、池谷は"小さな仕事"が残っている、と答えた、と医務官手帳に書いてあった。
撤退の日、空港がもう使えなくなったので、二人はトリポリ港に向かい、アメリカがチャーターした大型船"マルタ"で脱出することにした。
砂漠の冒険ツアーに参加していた人達のバスの運転手が運転できなくなったので、池谷が代わりにバスを運転することになった。
華生の自宅のメイドが大使館に電話をかけてきて、泣きわめいていた。
華生は、自分の車でトリポリ港に向かおうとすると、砂漠の冒険ツアーのバスからゴルゴ13が下りてきて、華生の車に乗る。
華生は、トリポリ港に向かう前に自宅に向かい、メイドの息子の気胸に応急対応する。
メイドとメイドの息子と華生を乗せ、ゴルゴ13が運転する。
病院に急ぎ、入院させた。
その時華生は、自分の懐中時計を現地の医療スタッフに渡した。
華生とゴルゴ13がトリポリ港に向かうと、銃を持った男が2人現れ、車を止め、車の鍵をとりあげる。
ゴルゴ13が交渉して車の鍵を取り戻した。
交渉とゴルゴ13は言ったが、実力行使したのだろう。
トリポリ港に着くと3日間足止めされ、やっと出港すると大荒れで、何とかマルタにたどり着いた。
マルタに日本だけ誰も出迎えに来なかった、と
出港待ちの時、どこかの大使館員がフェリー中の事故で、亡くなったことが、医務官手帳に書いてあった。
池谷は、華生にあれは事故だったか、ときいた。
池谷は、リビアに"ある男"が現れた、という情報を得ていた。
池谷は、砂漠の冒険ツアー参加者全員を追跡調査し、1人を除き全員シロであることを確認していた。
トリポリ港に着いた時、華生はゴルゴ13に、腕時計を貸してくれ、と頼む。
ゴルゴ13は、ここまでの交通費だから返す必要はない、と言って、車から降り姿を消した。
池谷は、華生の車に同乗していた男について、覚えていることをきくが、華生は何も覚えていない、と答えた。
居酒屋を出た華生は、ゴルゴ13の名前を聞いていなかったことを思い出した。
彼は、今でも左腕に、ゴルゴ13からもらった腕時計をつけていた。
【感想】
アラブの春の時の混乱状態のリビアの一日の話だ。
ゴルゴ13が誰に依頼されどんな仕事をしたのか、池谷の"小さな仕事"は何か、16年前の事件をなぜ今でも調べているのか、全てが謎のままの作品だ。
全てが明らかになる作品もいいが、読者がいろいろな想像を巡らすことができるこういう謎の作品もまた味があっていい。
次回第647話は、『コウモリ女』2019年の中国で未知のウイルスが発見された研究所の話だ。
楽しみだ。
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