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さいとう・たかを『ゴルゴ13 3 狙撃のGT』(リイド社)(SPコミックスコンパクト)(2002/10/30)

Amazon紙版へのリンク


表紙

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もくじ

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SPコミックスコンパクトは、文庫サイズで、中に含まれる話は、SPコミックス版と異なり、最初のうちは、発表順となっている。

SPコミックス版にはない、SPコミックスコンパクト独自として、杉森昌武氏の解説が入っている。杉森昌武氏は、ゴルゴ13研究家兼デューク東郷研究所所長、『THEゴルゴ学』(小学館)編集総監督だ。

解説だけでない。

SPコミックス版にはない、構成、脚本、構図、作画、担当者それぞれのスタッフの名前がきちんと入っている。

なお、それぞれの話の内容は、SPコミックス版を参照するようリンクだけを貼っておく。

 

第11話『駅馬車の通った町』(1969/07作品)

 

第12話『狙撃のGT』(1969/08作品)

 

第13話『メランコリー・夏(サマー)』(1969/08作品)

 

第14話『猟官・バニングス』(1969/09作品)

 

第15話『WHO!?』(1969/10作品)

 

第16話『殺意の交差』(1969/10作品)

 

解説:杉森昌武

 さいとう・たかを氏は様々なインタビューの中で、子どもの頃、「1足す1が2であるというのは、誰かが勝手に決めた単なる数学上の決まりに過ぎない」と思ったことが、『ゴルゴ13』を描く動機になったと述べているそうだ。

 敗戦により、大人たちや先生が教えてきた正義が一夜にして覆り、価値観が崩壊した時代に生きたさいとう・たかを氏らしい。

 

 第11話は、杉森氏は、「第2話「デロスの咆吼」が「大岡政談」的であるならば、この話は「水戸黄門」的である」と言う。「悪党どものボスが、ゴルゴの正体に気づいてあわてふためく様子は、水戸黄門の印籠を見て平伏する悪代官にも似て、まこととに痛快」だと言う。

 なるほど、そんな読み方もできるかもしれない。

 

 第12話ではゴルゴとコンタクトを取る方法の一つが紹介される。杉森昌武氏が「シリーズを通して、ゴルゴが複数の女性を同時に相手にしたという場面はない。彼の「習慣」に3Pプレイはない」と指摘している。その理由に「ふたりを相手にしてはスキが生まれるから用心した」と描いているが、そうかもしれない。

 

 第13話では、ゴルゴ13が標的の結婚が偽装結婚でないことを見抜いたゴルゴ13は、刑事としても一流だ、と杉森昌武氏が書く。「ふたりの愛が本当であったことを、当事者以外に唯一知っていたゴルゴ。そのゴルゴがふたりの愛を終焉に導く・・・。」哀しい結末だ。MI6のDG(部長)ヒュームの初登場作品である。

 

 第14話は、ゴルゴ13を執念で追い続けた刑事バニングス。彼の上司は囮捜査でゴルゴ13を逮捕しようとするが、案の定失敗する。バニングスはゴルゴと勝負を挑むが、彼のターゲットはジム・ヘンダーソンだった。ゴルゴ13が証拠となるテープを焼却した理由は、バニングスの周年に報いるためだったのか、謎だ。

 

 第15話は、アガサ・クリスティばりのミステリー仕立てだ。「この作品では、ゴルゴ13が仕事の結果を、依頼人に律儀に電話で報告しているのが珍しい」と杉森昌武氏は書いているが、依頼の条件に仕事の結果の報告が入っている時は報告しているので、珍しいことではないと私は思うのだが・・・。

 

 第16話は、ゴルゴ13が、同じ標的に対して一度にふたりの依頼人を持った極めて珍しいケースだ。仕事の一環で、相手を欺くためだと思うのでルール違反ではない、と私は思う。この作品でゴルゴ13の大問題なのは、ジョナサン・アープのマスコット・ボールに仕掛けられた時限爆弾に最後まで気づかなかったことだ。「運の強さもまた、プロにとっては必須の条件なのかもしれない。」と杉森昌武氏が書いているが、まさにその通りだと思う。

 

 

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