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さいとう・たかを『ゴルゴ13 175 不可能侵入』(リイド社)(2014/12/19)

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表紙


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もくじ

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====もくじ=====

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第484話 不可能侵入(2008/08作品)

脚本協力:加久時丸

121ページ
依頼者:ペルー屈指の企業規模を誇るファルファン・グループのクラウディオ・ファルファン
ターゲット:極右ゲリラのセンデロ・ルミノソの元幹部イリアナ・ベルズ
依頼金額:不明
殺害場所:ペルーの女子刑務所
殺害人数:1人
殺害相手:極右ゲリラのセンデロ・ルミノソの元幹部イリアナ・ベルズ
H:0人

 

Part1 大富豪の哀しみ

 リマ-ペルー

 クラウディオ・ファルファン邸

 ゴルゴ13とクラウディオ・ファルファンが会っている。クラウディオ・ファルファンがゴルゴ13に、極右ゲリラ"センデロ・ルミノソ"の元幹部、イリアナ・ベルズ暗殺を依頼した。90年にアルベルト・フジモリ大統領による強力なゲリラ掃討作戦によって、センデロ・ルミノソは弱体化したが、フジモリ大統領失脚後、勢力を盛り返しつつある。

 クラウディオ・ファルファン率いるファルファン・グループはペルー屈指の企業規模を誇るが、それゆえに、革命税という名の恐喝にさらされた。

 クラウディオ・ファルファンの一人娘スサーナは、100万ドルの革命税を払ったにもかかわらず、センデロ・ルミノソによって殺されたのだ。

 

Part2 イリアナ・ベルズという女

 イリアナ・ベルズは100万ドルの革命税うち50万ドルを懐にして、組織にはクラウディオ・ファルファンが金を出し渋ったと報告し、スサーナを殺したのだ。

 ところが、イリアナ・ベルズは逮捕され終身刑になり、女子刑務所に収監されている。そこの刑務所長サンドラ・ロホの方針で男は誰も入れない。

 ゴルゴ13はクラウディオ・ファルファンの依頼を受けた。

 

Part3 "不可能"への備え①

 ゴルゴ13はハッカーから刑務所の地図や構造、鍵などの情報も入手した。

 電子系にダメージを与えた場合の影響について質問した。

 

Part4 膨大なオーダー

 ゴルゴ13は、時限装置をつけたHPM(ハイパワーマイクロウェイブ)発生装置、感度を低くし発煙性を付加し機械式時計の時限装置をつけた混合爆弾、高翼で引込脚の小型機セスナ172RG、ウイングスーツ・ベースジャンピングのエキスパートを、依頼した。

 

Part5 "不可能"への備え②

 ゴルゴ13はウイングスーツ・ベースジャンピングのエキスパートの眼前で飛ぶ。彼らは、ゴルゴ13に完璧だ、と言う。ゴルゴ13は紙を見せて「その格好でトライしたい・・・」と言うが、エキスパート達は、この格好で飛ぶのを許したら自殺幇助とみなされる、と言い断った。

 

Part6 セスナ172RG飛び立つ

 ゴルゴ13の依頼に応えた男が、説明する。ゴルゴ13のIDカードでは、アンドレス・トウゴウ、日系ペルー人、ペルー・レアメタル社という鉱山会社のスタッフだ。ゴルゴ13は耳たぶに針金を入れた。

 そしてゴルゴ13が操縦するセスナ172RGが飛び立った。

 

Part7 決行

 セスナ172RGの燃料が切れ、煙を吐きながら、イリアナ・ベルズが収監されている刑務所に近づいていく。そして北側の壁のすぐ横に不時着した。

 

Part8 招かれざる"客"

 刑務所の警備班が武装して、不時着したセスナ172RG機に向かう。操縦席には気を失っているゴルゴ13がいた。警備班は、救急ヘリ基地に出動要請したがトラブルのため3時間ほど待ってくれ、とのことだった。そのため、ペレス医師が所内の診療室で応急処置に当たることになった。

 

Part9 傷だらけの男

 ゴルゴ13の身体検査をし、応急処置をして、部屋に鍵をかけて、救急ヘリが来るのを待つことになった。

 ゴルゴ13は、目を覚ますと耳たぶから針金を取り出し、ピッキングで部屋の鍵を開けた。

 

Part10 HPM発生

 不時着機にしかけてあった時限装置付きHPMが起動し、刑務所内が停電になった。すぐ非常灯がついたが、ゴルゴ13がペレス医師の机の引き出しの拳銃を奪って、大人しくして命令に従うよう指示する。

 

Part11 所長の”弱み”

 所長のサンドラ・ロホの部屋に、ペレス医師を伴ったゴルゴ13が押し入った。ゴルゴ13は、金庫を開けさせマスターキーを奪おうとする。拒否するサンドラ・ロホ。ゴルゴ13はエレーナに銃口を向ける。ゴルゴ13はハッカーから、サンドラ・ロホとエレーナ・ペレスがレズ関係であることを聞いていた。サンドラ・ロホは、ゴルゴ13に従う。

 

Part12 不可能の中心へ

 エレーナ・ペレスがゴルゴ13を乗せたベッドを押して特別独居房に運ぶ。

 ベッドの下にはサンドラ・ロホが縛り付けられており、ベッドの上のゴルゴ1が拳銃を向けていた。

 看守がベッドを押すと異様に重いのでベッドの下を覗いた。ゴルゴ13が手刀で看守を気絶させ、ゴルゴ13は、サンドラ・ロホとエレーナ・ペレスと看守を縛り上げて独房に閉じ込めた。

 独房にはイリアナ・ベルズはいなかった。ゴルゴ13は懲罰房棟に向かう。懲罰房の数が多いので一つ一つ探す時間がない。ゴルゴ13は指笛でセンデロ・ルミノソの進軍歌を吹いた。イリアナ・ベルズが懲罰房の食事を入れる穴から声をあげると、ゴルゴ13が彼女を射殺した。

 

Part13 脱出

 ベッドの下に隠れたゴルゴ13はシーツを手に取り、刑務所の外に出た。セスナ172RGが時限装置によって爆発し、煙によって視界不良になった。シーツを手足と腰にまとっいウイングスーツのようにしたゴルゴ13は崖下に向かって飛び、海に飛び込み脱出した。

 

Part14 復讐果たせり

 沖には一隻のクルーザーが停泊していた。ゴルゴ13はそこに上がった。

 クラウディオ・ファルファンがいて、ゴルゴ13に礼を言った。

 

【感想】
女子だけの刑務所には、一時的に性転換でもしないと、さすがのゴルゴ13でも侵入不可能だ。そして、一時的な性転換は一部の魚はできるようだが、人間の場合、現在の技術では不可能だ。タイトルどおり不可能侵入だ。

どうやってゴルゴ13が侵入し任務を果たすのか、ハラハラしたが、みごとに依頼を果たしたゴルゴ13はさすがだ。

 

第481話 殺人投資(2008/05作品)

 

脚本協力:ながいみちのり
40ページ
依頼者:不明
ターゲット:ヘッジファンド、ガティの黒幕
依頼金額:不明
殺害場所:

  1)マーサの自宅、ビルとビルの間、モーターボート上、公園のベンチ、路上、空港

  2)路上
殺害人数:

  1)6人

  2)2人
殺害相手:

  1)FBIの職員マーサ他アイバンのエージェント達

  2)ヘッジファンド、ガティの黒幕アイバン会長と秘書のセーラ
H:0人

 

ニューヨーク-USA-

証券会社をクビになったファロンがジミーのバーで飲んだくれている。ファロンは顧客の金を勝手に流用したのがバレてクビになったのだ。

バーのカウンターにファロンと高校で同じクラスだったマーサが「絶対儲かる投資がある」と言う。

 

コネチカット州

アイバン会長という男がガソリンエンジンから水素エンジンに積み替えた世界に一台の手作りスポーツカーに乗っていた。メカニックのエックがやったのだ。

アイバン会長に電話が入った。秘書のセーラに特別仕入れ情報だ、と言い、証券会社に電話させる。アイバン会長は、今回は、英国のソナー製造会社の北米責任者が二週間後に休暇中のカナダで趣味の小型飛行機で飛行中に、と言う。

 

マーサを抱くファロンは、絶対儲かるヘッジファンドのことを聞こうとする。マーサはガティと言った。

 

アイバン会長は、マーロースター&シップ社の株を200万株成り行きでカラ売りする。

 

マーサのバッグの中味を見たファロンは、彼女がFBIだと知って驚いた。

 

後日、アイバン会長とセーラは、ニュースが入らないことを心配していた。1日遅れで、英国の国防メーカーの責任者がカナダ山中で遺体となって発見されたとニュースになった。

アイバン会長は買い戻しに走る。株価はどんどん下がっていく。

アイバン会長は絶対確実な情報はないが、あの男に関してなら100%信頼していい、と言う。セーラも、彼はウチの稼ぎ頭だ、と言う。

 

NY、グラウンド・ゼロ

危険情報にいつも接しているマーサは酒とセックスなしではやっていけない、と言う。

 

アイバン会長の前にファロンが立って声をかけた。

ガティという投資会社はもたらされた国家秘密情報を受け取ることでその投資先を決める。そのインサイダー情報は、情報機関の末端の職員がもたらしている。出世を見込めない彼らをうまく搦め捕ったシステムだった。

 

アイバン会長自身が出世を見込めない職員の一人だったのだ。

アイバン会長は最後の大勝負をして勝ち逃げするつもりだった。大統領候補が5日後の党員集会で人生にピリオドを打つことになるのだ。それを実行するのはゴルゴ13だった。その情報をマーサも上げてきていた。他のエージェントもその情報を上げていた。

それはゴルゴ13の罠だった。

 

マーサは眉間を撃ち抜かれて殺された。

アイバン会長のエージェント達5人も眉間を撃ち抜かれてあちこちで殺された。

アイバン会長とセーラは防弾仕様の車で、ハンプトンの別荘に逃げ込むことにした。

走行中の車の後部にある水素ボンベをゴルゴ13が撃ち抜いた。

車は大爆発を起こして炎上した。

ファロンはジミーのバーで飲んだくれるのだった。

 

【感想】
ゴルゴ13の狙撃を投資対象にするヘッジファンドとは、そのアイデアは凄い。

しかしそれはゴルゴ13のルールに反するものだ。ゴルゴ13の反撃に遭うのは当然だった。

 

第477話 死を呼ぶ汽笛(2007/12作品)

 

脚本協力:綾羅木恭一郎

89ページ
依頼者:平井物産の若社長、平井功輔
ターゲット:KBP(カーベーエル)社(再生資源会社)のウラジミール・クラーキン顧問(20年前ナホトカでクルチャトフという名の貿易商)
依頼金額:不明
殺害場所:酒田の北港の平井物産専用埠頭予定地付近

殺害人数:1

殺害相手:KBP(カーベーエル)社(再生資源会社)のウラジミール・クラーキン顧問(20年前ナホトカでクルチャトフという名の貿易商)

H:0人

 

坂田湾北港展望台 山形県酒田市ージャパン-

波力発電防波堤を双眼鏡で見る科学ジャーナリストの深川と案内する浅田。

深川は、堤防の上にゴルゴ13を発見した。

かつて、第401話 大地動く時 / 2000年12月(SPコミックス141巻)、第461話 至近狙撃 / 2006年5月(SPコミックス166巻)で、ゴルゴ13と関わった深沢は呆然とする。

ゴルゴ13と会っていたのは平井物産の若社長だった。

 

Part1 顧問クラーキン

 数ヶ月前、ウラジオストク-ロシア-

 KBP(カーベーエル)社(再生資源会社)

 クラーキン顧問にお茶を出す女イリーナは、クラーキンに、お前はいつまでもつかな、と言われる。クラーキンはマフィアグループのヴォルクに押しつけられているのだ。

 トレポフ社長と話しているのは日本の平井物産の若社長、平井功輔だった。

 商談中のトレポフ社長のところにクラーキン顧問が入ってきてハバロフスクへの視察を許可しろ、イリーナを同行させろ、と言った。トレポフ社長は仕方なく許可した。

 平井功輔は、トレポフ社長以下幹部の平井物産視察旅行の話をした。クラーキン顧問も来ることになった。

 

Part2 フリージャーナリスト深沢の訪問

 東京-ジャパン-平井物産本社

 酒田港湾事務所の浅田所長の紹介ということで、フリージャーナリスト深沢が平井物産社長平井功輔を訪ねた。

 平井が酒田の北港埠頭付近にいたことを、深沢は単刀直入に尋ねた。

 岸壁設計コンサルタントの技師だと答えた平井社長だった。だが、深沢はゴルゴ13と会っていたことを確信した。

 

Part3 呼び出された浅田

 深沢は浅田と会って平井功輔が誰かを殺そうとしている、動機について何か知らないか、と尋ねた。浅田は知らない、と答えた。先代社長の平井功一は心臓疾患で事件性がないことも話した。浅田は20年前のことを思い出した。

 

Part4 20年前の悲劇

 20年前、ナホトカ-ソ連-

 クルチャトフと商談する平井功一。通訳は妻の信子だった。秘書の信子を一晩貸せば条件を見直す、というクルチャトフ。断る平井にマフィア達が襲いかかり、信子は殺された。

 親子二代でクルチャトフに復讐しようとしているとすると不思議ではない。

 浅田は深沢を止める。

 

Part5 張り込み

 深沢は浅田の忠告を思い出しながらも、平井物産の前で張り込む。

 

Part6 顧問の暴挙

 クラーキン顧問は口述筆記中のイリーナに襲いかかった。イリーナは間一髪で主任のところに逃げた。クラーキン顧問はマフィアのヴォルクの威光を盾にしてやりたい放題だった。

 

Part7 ロシアからの使節団

 庄内空港-ジャパン-

 深沢は庄内空港で、平井物産が招いたロシアからの使節団を、待っていた。

 

Part8 待機

 酒田北港・宮海地区

 ゴルゴ13が現れた。

 使節団は酒田北港に向かう。深沢はその後を追う。

 

Part9 揺れる電線

 平井功輔が使節団を、専用埠頭を作る予定地に案内する。深沢はここで何かが起こる、と推理する。

 波力発電防波堤から伸びている電線が風で揺れる。

 平井功輔が、クラーキン顧問に20年前のことを覚えているか、ときく。

 「あなたは、ナホトカで一人の女性を殺し、一人の男性に重傷を負わせた」と平井功輔が言うと、思い出したクラーキン顧問は顔色が変わった。

 スコープでその様子を見るゴルゴ13。携帯電話で沖にいる船に連絡する。

 電話を受けた船長は、呼び出しが鳴った二秒後に五秒間の長音1回、さらにその二秒後に長音1回だったな、と確認する。

 汽笛が鳴った、と同時にゴルゴ13の銃弾がクラーキン顧問の足下の石を飛ばし、クラーキンの体勢が崩れて水たまりに右足を入れた。

 汽笛がもう一度鳴った。ゴルゴ13のM16から発射された銃弾が、波力発電防波堤から伸びている電線を切った。電線が水たまりに落ち、クラーキン顧問が感電した!!

 ゴルゴ13は依頼を受けた時を回想する。

 

Part10 依頼

 平井功輔は、ゴルゴ13への依頼方法を、父、功一の遺言書で知り、ゴルゴ13に依頼した。クラーキン顧問は、20年前のナホトカでクルチャトフという名の貿易商だった。成形して顔を変えウラジオストクに居たのだ。

 クラーキン殺害の条件は、平井功輔の父が眠る酒田で実行することと、不慮の事故死に見えることだった。

 

Part11 終了

 トレポフ社長は、クラーキンは社に貢献したが今ではその奔放な振るまいに困っていた、と言う。

 父の墓参りをする平井功輔のところに深沢が訪ねてきた。そして汽笛の長音の時にゴルゴ13が狙撃した、という深沢の推理を話した。そしてなぜこんな面倒なことをしたのか、ときいた。

 平井功輔は、会社を守り、KBP社のためでもある、と答えた。ヴォルクもクラーキンが厄介払いにKBP社に送った。KBP社も困っていたが、日本で事故で死んでもらうのが最善の方法だったのだ。

 

【感想】
風で揺れる電線を射撃する、というゴルゴ13のスーパーショットが光る作品だ。

平井功輔が深沢と会話しているシーンは、ゴルゴ13への裏切りに値するかどうか微妙なところだ。

 

 

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