表紙

もくじ

====もくじ=====
- 第340話 死臭の聖者(1995/02作品)
- 増刊第43話 50年目の亡霊(1995/08作品)
- 第339話 スティンガー(1995/01作品)
- 増刊第38話 スナイパー・ストリート(1994/08作品)
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第340話 死臭の聖者(1995/02作品)
脚本協力:国分康一
ページ数:82ページ
依頼者:ニューヨーク市警のトミー
ターゲット:ロシアマフィアで元ロシア正教会司祭ミハイル
依頼金額:不明
殺害場所:
1)アメリカ ニューヨーク 地下駐車場
2)通称ロシアの城と呼ばれるビルの地下
殺害人数:
1)9人
2)1人
殺害相手:
1)ゴルゴ13を襲撃したロシアマフィア・ミハイルの部下
2)ロシアマフィアで元ロシア正教会司祭ミハイル
H:0人
Part1 ロシアマフィア
ニューヨーク市警本部
チャンと呼ばれるニューヨークのチャイニーズマフィアを束ねる男の仲間が3人、この一か月で殺された。
チャンはロシアマフィアのミハイルに怯えきっていた。
ソ連崩壊後ニューヨークにロシアマフィアが入ってきたが、既存のマフィアに太刀打ちできなかったが、ミハイルが2年前にやってくると、ロシアマフィアを並外れた戦闘部隊に作り変えた、とニューヨーク市警本部のトミーが言った。
彼らには一切の恐怖がなく、命を失う恐怖心もないのだった。
Part2 恐怖の街角
車の中でチャンと部下が話している。
ミハイルの部下のロシア人はコートから手榴弾を取り出し、まるでリンゴを子供に差し出すようにテーブルに置き、コーザ・ノストラの幹部3人もろとも死んだ。
チャンの部下のタンとトニーは手榴弾を持ったミハイルの部下に抱き疲れて死んだ。
そして1年前からミハイルは姿をプッツリと見せなくなった。
チャン達の乗った車の前で追突事故があり、その原因となったトラックから兵士たちが現れ機関銃で銃撃し、チャンをミハイルの所に連れ去った。
Part3 "ロシアの城"
ロシアの城と呼ばれるビルの中でミハイルの前に連れてこられたチャンは、命乞いをするが殺された。
Part4 呪われたミハイル
ニューヨーク市警のトミーは、チャンが殺されたことを知り、ミハイルの目的がギャング同士の抗争と言うより何か別の目的を持ったテロ行為と考えた方がいいと話す。
彼はミハイルがロシア正教の司祭だったときの写真を入手した。
ミハイルはロシア正教の分離派だった。
ロシア革命以前からロシア正教分離派は弾圧されていたが、ロシア革命以降、ソビエト政府はロシア正教を弾圧したが、分離派への弾圧はそれ以上だった。
1961年、ニキタ・フルシチョフの時代、異端派の宣教師である父親に手を引かれてミハイルは西シベリア地方、オビ川流域の小さな村を訪れた。
そこで父親は民警の手で惨殺された。
天涯孤独となったミハイルは正教会に引き取られ聖職者の道を歩む。
成長するにつれ、病人を治すなどの奇跡を起こすようになる。
ミハイルはあちこちで奇跡を起こし、熱狂的な信者を増やし続けた。
突然布教活動を中止し姿を消し、翌年、ニューヨークに現れた。
Part5 カレンの決心
イリノイ州・シカゴ
シカゴスティール会長のジョン・キングマンに手榴弾を持った男が突然抱きつき爆死した。
トミーの部下、カレンは、ロシアの城へ潜入する決意を、トミーに話した。
カレンはナターシャという名前で、ロシアの城に潜入した。
ミハイルはマスクをした姿で現れた。
Part6 生まれ変わるために
ナターシャは、ロシアの城で知り合ったマリアに、なぜミハイルが顔を隠しているか、きいた。
マリアは一年前に母親の病を治してもらった時には素顔だったが、その後アクシデントがあった、と答えた。
翌日、ミハイルの説教があった。
そこで、マリアは自分を拳銃で撃ってくれ、とミハイルに懇願する。
ナターシャにその拳銃を渡し、自分を撃ってくれ、というマリア。
ナターシャは引き金を引けなかったが、ミハイルが拳銃を撃つとそれは空砲だった。
Part7 深夜の地下鉄で
地下鉄でゴルゴ13に会ったニューヨーク市警のトミー。
カレンが潜入して一週間後、カレンも街灯に吊るされた。
カレンを愛していたトミーは自分でカネを出してカレンのうらみを晴らすために、ミハイル殺しをゴルゴ13に依頼した。
Part8 ミハイルの奇跡
ヤクーツク出身のワーシャ・ウラソフという偽名で、ロシアの城に潜入したゴルゴ13。
その眼前でミハイルが奇跡を起こした。
ミハイルが顔を見せないのは敵対するギャングの報復で大やけどを負ったからだ、とトミーが話した。
Part9 神を畏れぬ"者"
ミハイルの命を狙う東洋人の狙撃手がいる、という報告をミハイルは受けた。
彼はワーシャ・ウラソフ(ゴルゴ13)がその狙撃手だと確信した。
そして情報を集めるよう部下に指示した。
Part10 神からの攻撃
地下駐車場で、ミハイルの部下たちが機関銃で、ゴルゴ13を、襲撃した。
ゴルゴ13はリボルバー拳銃で反撃し9人を殺す。
そして地下の下水道に脱出した。
Part11 悪魔と契りを結んだ"男"
ゴルゴ13を取り逃がしたという部下の報告を聞くミハイル。
オビ川流域の異教徒たちの隠れ村に、ある村に生まれた子が悪魔と契りを結び行方を絶った、という伝説があり、ミハイルはなぜかゴルゴ13がその伝説の男と重なるのだった。
ミハイルは地下の集会場に行く。
地下にはコールタールをたたえた池があった。
マンホールは下水道とつながっていた。
マンホールに触ったミハイルは、ゴルゴ13が既に潜入していることに気づいた。
部下たちにビル中を探索させる。
人が減った時、コールタールからゴルゴ13が現れ、ミハイルの背後から首の骨を折って殺した。
その後コールタールに火をつけゴルゴ13は下水道を通って去った。
【感想】
ミハイルに奇跡を起こす力があったかどうか、作品中では明らかにされていない。
おそらく、超能力があったのだと私は思う。
だとすると、ある村に生まれた子が悪魔と契りを結び行方を絶った、という伝説がゴルゴ13のルーツと重なる気がする。
リボルバーの拳銃で機関銃を持った男たちに襲われたゴルゴ13の場面は絶体絶命のはずだったが、あっさりと描写されている。
洗脳され狂信的で死を恐れない男たちの恐怖をもっと丹念に描いたらよかったのに、と思う。
増刊第43話 50年目の亡霊(1995/08作品)
脚本協力:国分康一
ページ数:40ページ
依頼者:帝国物産会長 巽千太郎の秘書、有木
ターゲット:帝国物産会長でかつてシーザーと呼ばれるソ連側スパイだった巽千太郎
依頼金額:不明
殺害場所:日本 国際恒久平和会議の会議場
殺害人数:1人
殺害相手:帝国物産会長でかつてシーザーと呼ばれるソ連側スパイだった巽千太郎
H:0人
昭和39年、冬 北海道・オホーツク海で操業している漁船から、シベリアから帰った武と呼ばれる男が海に落ちた。
Part1 帝国物産会長 巽 千太郎
東京、現在、帝国物産本社
巽の所に、秘書の有木が手紙を持って来た。
その中にラストポロフの密使があった。
巽は有木に、妙な手紙のことを話す。それは昭和29年1月24日に起こったラストポロフ事件の話だった。
ソ連代表部二等書記官のユーリー・ラストポロフが行方不明になった。
ソ連は米国情報機関に拉致された、と発表したが、8月にワシントンでラストポロフが記者会見し、自発的に米国に亡命した、と言った。
日本当局は3人の外務省職員を逮捕し、1人は自殺し2人は起訴された。
巽は、この事件はすべて自分の指示で行われたが、自分の名前は出なかったと話した。
ラストポロフは米国諜報機関の移行で、日本当局に対して巽の名前を伏せ続けた。
つまり巽はソ連側のスパイだったのだ。
手紙には事件のすべてが綴ってあった。
巽が有木に話したのは、戦犯の疑いがあった有木を助けてから有木がよく巽に仕えたので、巽は有木を家族のように思っていて家族間では秘密はあってはならない、と考えたからだった。
巽は有木に手紙を見せて、自分を脅かそうとした代償がいかに高くつくか、骨の髄まで味合わせてやりたい、と言った。
巽のことをシーザーと呼ぶ男が、シベリアで巽に右目を抉られ、帰国して40年、巽への怨念を高ぶらせていた。
Part2 甦った堀内 武
巽は有木に手紙を見せる。
昭和39年オホーツク海に落ちて死んだと思われていた堀内武通訳武官が生きていて、巽会長を国際恒久平和会議の衆人環視の場で命を奪おうとしていた。
Part3 転落した外交官
1930年外務省官僚だった巽千太郎は、ロシア人女性カリーナと恋愛関係に陥った。
だが彼女はゲーペーウー(国家保安部)の放った工作員で、弱みを握られた巽は、ソ連側のスパイになった。暗号名シーザーだった。
協力者は通訳官の堀内武だった。
自分がソ連側スパイであることが発覚するのをおそれた巽は、終戦時に、巽は堀内武をシベリア送りにした。
Part4 秘書有木が雇った男
秘書有木はゴルゴ13を雇った。
堀内武が巽を撃つ前にゴルゴ13が堀内武を撃つ、と有木が断言する。
Part5 国際恒久平和会議
1995年8月15日
戦後50年経つ記念の会議で、巽会長がスピーチする。
有木が巽を支えて壇上に立たせる。
その時、有木が巽に「堀内が本当に生きていると思っているのか、シーザー?」とささやく。
「あんたに仕えて30年・・・この時を待っていたよ・・・」「すでに死刑執行の依頼は成された・・・さらばだ、シーザー!」と有木が言って巽のそばを離れた。
ゴルゴ13の銃弾が巽千太郎の眉間を撃ち貫いた。
ゴルゴ13は依頼時の有木を思い出す。
堀内武と有木は陸軍中野学校出身だった。
有木は自分が蓄えた金で、巽殺しをゴルゴ13に依頼していた。
【感想】
帝国物産会長の巽がソ連側スパイだったこと、彼の秘書の有木が巽を裏切ってゴルゴ13に依頼したことなどの大どんでん返しには驚く。
堀内武があちこちで登場するが、それがすべて幻だったのにも驚く。
右目を巽に抉られた堀内武の魂が宿っていることを示すために、右目をつぶって、ゴルゴ13に依頼した有木の執念が印象的だ。
第339話 スティンガー(1995/01作品)
脚本協力:横溝邦彦
ページ数:81ページ
依頼者:南アフリカアメリカ大使館員ヒンクル
ターゲット:スティンガーのプロフェッサーと呼ばれるハイジャッカーのサフード
依頼金額:不明
殺害場所:ザイールにあるサフードの本拠地
殺害人数:5人と1発
殺害相手:サフードの部下3人、スティンガーのプロフェッサーと呼ばれるハイジャッカーのサフード、携帯型対空ミサイル・スティンガーの先端部分の電子カメラ
H:0人
Part1 ハイジャック
ゴマ空港-ザイール-
国連査察の名目で米・仏・日の政治家がやって来て、査察が終わり、国連機に乗って飛び立った。
国連機の目前を飛ぶセスナをミサイルが襲い、撃墜した。
同じように国連機を撃ち落とす、と言われ、地上から国連機はハイジャックされた。
ハイジャック犯の要求は、ソマリアとルワンダでアメリカとフランスが撤退した本当の理由を公表することだった。
燃料はあと10時間分だった。
ハイジャッカーは、スティンガーのプロフェッサーと名乗った。
ソマリア、ルワンダからアメリカとフランスが撤退した理由はスティンガーというミサイルに撃墜されたからだった。
CIAのオメーラが緊急用の特殊無線機でCIA本部に連絡する。
Part2 CIAの決断
スティンガーのプロフェッサーは、名前はサフードでアフガン戦争時、アメリカがスティンガーを供与した時の窓口だった。
今、南アフリカにいるGに依頼することをオメーラが提案した。
Part3 賛美歌13番
ミザンビーク-南アフリカ-
賛美歌13番のニュースが流れた。
アメリカ南アフリカ大使館のヒンクルの所にゴルゴ13が現れた。
ルワンダでハイジャックが起こり、そのハイジャッカーの射殺が、依頼内容だった。
アフガニスタンに供与された400発のスティンガーが回収不能になり、ソマリア、ルワンダで使われた。
ヒンクルはゴルゴ13に、スティンガーのプロフェッサーと呼ばれるサフード殺しを依頼した。
Part4 牙を隠したジャングル
残り時間は5時間だった。
ヒンクルはゴルゴ13にハイジャックの目的をきいた。
ゴルゴ13はスティンガーの値段高騰を狙った示威行動だろう、と答えた。
Part5 作戦開始
ザイール最高のパイロットとジャングルの猟師たちと一番騒音の軽微なヘリコプターDH500をゴルゴ13は要求していた。
ヘリコプターに乗り込んだゴルゴ13がサフード捜索に飛ぶ。
するとスティンガーが襲ってきた。
ゴルゴ13はガソリンタンクを落として狙撃し炎上させてスティンガーから逃れた。
Part6 サフードの狙い
サフードはゴルゴ13がやってくるところを待ち伏せする作戦だった。
決着の時間が近づいてきた。
国連機は時間稼ぎをする。
Part7 敵本拠地の爆発
スティンガーでゴルゴ13を狙ったアジズのボートをゴルゴ13のカヌーが尾行していた。
アジズが上陸した後、ゴルゴ13が上陸するところで爆弾が爆発した。
その爆発を見た国連機で、CIAのオメーラがあの爆発はゴルゴ13の死だ、と言って、国連機からパラシュートで飛び降りた。
Part8 "G"の逆襲
ゴルゴ13は河の中に潜んでいた。
ヘリコプターが飛来して縄梯子を垂らす。
縄梯子につかまって空中に飛びあがったゴルゴ13が、サフードの部下を撃つ。
国連機めがけて発射された携帯型地対空ミサイル・スティンガーの先端部分の電子カメラをゴルゴ13は撃ち抜いた。
そして、サフードの眉間も撃ち抜いた。
CIAのオメーラはゴルゴ13に見つからずに地上に降りた。
Part9 大陸に沈む夕日
ツチ族とフツ族の争いが再発した。
ハイジャックはゴルゴ13の活躍で無事解決し、マスコミには飛行機の扉の破損と計器の故障と発表された。
元CIAのオメーラは、ひと儲けをたくらむが、町で出会った女を抱いているときに殺されて、死体はゴミ捨て場に捨てられた。
【感想】
オメーラをゴルゴ13は気づいていて殺せただろうが、殺さなかったのはなぜだろう?ゴルゴ13を危機に陥れたのだから殺されて当然だと思うのだが・・・。
スティンガーに代表される高性能な小型火器がブラックマーケットに広がり世界の安全保障の脅威になっている。
今から30年前の作品だが、今もまだ世界は変わっていない、いやもしかしたら一層悪くなっているかもしれないのが、人間の悲劇だ。
増刊第38話 スナイパー・ストリート(1994/08作品)
脚本協力:ながいみちのり
ページ数:39ページ
依頼者:セルビア軍スポークスマンのシカティック
ターゲット:クロアチアの鷲と呼ばれる狙撃手アンドリッチ
依頼金額:不明
殺害場所:ボスニア・ヘルツェゴヴィナ スナイパー・ストリート
殺害人数:1人
殺害相手:クロアチアの鷲と呼ばれる狙撃手アンドリッチ
H:0人
内戦中のボスニア・ヘルツェゴビナでクロアチアの鷹といわれる狙撃手アンドリッチは非情で容赦なく百発百中の命中率で狙撃する。
彼は戦闘で身重の妻を敵に撃たれて失っていた。そのため、非情になって狙撃するのだった。
1984年のボスニア・ヘルツェゴヴィナで、セルビア人のシカティックとクロアチア人のアンドリッチは一緒に鹿狩りをしたのを思い出す。
妻のニーナのスカーフを頭に巻いた時、大物を仕留めたのでそれ以来、頭に巻いているのだった。
少年兵とともに配置についたアンドリッチだったが、トイレに行った時にロケット弾を撃ち込まれて少年兵が死んだ。
サラエボでセルビア軍スポークスマンのシカティックが、ゴルゴ13に、クロアチアの鷲と呼ばれる狙撃兵殺しを依頼した。
クロアチア人の間でも戦争が憎しみの連鎖につながるので戦争をやめよう、という声が高まってきていた。
アンドリッチはスナイパー・ストリートを見下ろすビルに上がった。
ゴルゴ13は、アンドリッチが来たことをシカティックに伝えた。
頭にスカーフを巻いていることも伝えた。
一週間前、UNPROFOR(国連保護軍)を通して一通の手紙がシカティックに届いた。
ゴルゴ13がアンドリッチを射殺した。
アンドリッチがクロアチアの鷲であること、そして"俺をさばけるのはお前しかいない、お前の手にかかるのなら本望だ"と書かれていた。
だが、シカティックは5年前から失明していて撃てなかったのだ。
【感想】
ユーゴスラビア紛争の悲惨な状況を背景にした、民族を超えた二人の男の友情を描いた哀しい物語だ。
なぜ、人類が民族によって分裂し、争うのだろうか
それが現実世界ではあるが、何とかならないか、と作者が叫んでいるように思う。
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