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さいとう・たかを『ゴルゴ13 116 "E"工作』(リイド社)(2000/05/01)

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表紙


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もくじ

 

 

 

====もくじ=====

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第345話 "E"工作(1995/08作品)

脚本協力:国分康一

ページ数:82ページ
依頼者:CIA本部対外情報活動室の4代前の室長フランク・シンプソン
ターゲット:元外務大臣で閣僚経験も豊富でE情報を握りつぶした剣持十郎
依頼金額:不明
殺害場所:日本 京都
殺害人数:1人
殺害相手:元外務大臣で閣僚経験も豊富でE情報を握りつぶした剣持十郎
H:0人

 

 1945年7月チリの首都サンチャゴ近くの港町

 船に乗って逃走しようとした男が脚を撃たれて捕まった。

 彼は「こ、これで日本は・・・」と悔しそうに言う。

 

Part1 訪ねて来た男
 1995年初夏ースペイン・マヨルカ島の小さな漁村

 日本の新聞記者、東西新聞社会部のヨシダが、ミゲル・オストスという漁師を訪ねて来た。ヨシダは、終戦50周年企画として日本陸軍の原爆開発計画を追っていた。そこで、日本の諜報活動、”E工作”について、ミゲル・オストスにきこうとしていた。ヨシダは死体で浮かび、ミゲル・オストスは消えた。


 
Part2 英雄ミゲル・オストス
 マドリード-スペイン-

 ガルシアの子ども、マルコのもとに、ミゲル・オストスが訪ねてきた。

 マルコはミゲル・オストスに金と拳銃を渡した。それは父ガルシアが、ミゲル・オストスが来たら渡してくれ、と頼まれていたものだった。ミゲル・オストスは拳銃は置いて金だけ持って出て行った。ミゲル・オストスは、スペイン内戦でフランコ将軍派の諜報員として、敵対する人民戦線からは"地獄の使徒"と恐れられた男だった。

 

 バージニア州・ラングレー-U・S・A- 

 CIA本部対外情報活動室

 マヨルカ島からミゲルが消えた場合、あの指令を発動させなければいけない。それは四代も前の室長が結んだ指令でこの世で最も危険な男との契約だった。

 

Part3 沈黙を破りし者
 ミゲル・オストスはヨシダから、E工作のEはEAST(東)のことで、第二次世界大戦中に日本がアメリカにつくった諜報網を束ねていたのがミゲル・オストスだと言った。そしてE工作ではアメリカの原爆製造計画"マンハッタン計画"を把握していた。だが、ある人物がその情報を握りつぶした。その人物がヨシダに話したのだ。誰が話したかは取材源の秘匿を理由に、ヨシダはミゲル・オストスに話さなかった。

 

 ワシントン-U・S・A-

 四代前のCIA本部対外情報活動室室長フランク・シンプソンからの依頼でゴルゴ13と会った男ケリーは、フランク・シンプソンが何を依頼したかはわからなかったし、ゴルゴ13も何も答えなかった。

 

 ナリタ国際空港-ジャパン-

 ミゲル・オストスが日本に入国した。

 

 ワシントン公文書館

 CIA本部対外情報活動室でゴルゴ13に依頼した男ケリーは、ミゲル・オストスやゴルゴ13の目的を探ろうとする。


 
Part4 老人は証言する
 ボストン・コッド岬

 セバスチャンという老人にケリーが会って話を聞いていた。E工作の中心人物がミゲル・オストスで、マンハッタン計画に関する情報を得た。日米の混血児タダシ・ヘンダーソンは、米軍作戦指導部に教官として雇われており、彼の活躍でマンハッタン計画の情報を得ていた。

 
Part5 トウキョウの夜
 東京-ジャパン-

 病院に忍び込んだミゲル・オストスが警備員を締め殺した。

 

Part6 無視された情報

 ボストンの近く、コッド岬-U・S・A-

 セバスチャン老人は、ケリーに、マンハッタン計画の真の狙いについて話し始めた。二つあり、戦後処理の問題でスターリンに主導権を握らせないためにソ連参戦前に原爆を投下して戦争に決着をつけることと、日本人が白人ではない有色人種のアジアン人だから原爆の人体実験にうってつけだったことだ。

 E工作で集めた情報は、メキシコ国境の町メヒカリからカリブ海を運航するスペイン船へとリレーされマドリードの日本大使館からパープル暗号で発信された。他の情報は成果をあげたが、原爆情報だけ握りつぶされたのだ。

 
Part7 東京の空の下で
 東京-ジャパン-

 1945年7月16日、ニューメキシコ州の弾薬庫で大規模な爆発事故というニュースを目にしたタダシは、それが核爆発実験成功のニュースだとわかっていた。そこへFBIがやって来た。

 逃走したタダシは国境を突破し南米チリのサンチャゴからスペイン籍の貨物船に乗る寸前、消息を絶った。おそらくFBIの手で・・・と思い出すミゲル・オストス。
 
Part8 "裏切り者"許すまじ
 ケリーは、半世紀の間沈黙を守ったミゲル・オストスが今になって動いた理由を思い出していた。セバスチャン老人によれば、OSS(戦略情報局)がCIAに再編成された頃、ミゲル・オストスは仲間達の身の安全と引き換えにCIAの条件を呑み、諜報活動から足を洗いマヨルカ島から外へ一歩も出ないで生きていくことになった。ミゲル・オストスは、E情報を握りつぶした人間がA級戦犯として処刑されたと思っていた。ミゲル・オストスが姿を消したのは、E情報を握りつぶした人間が生きているとわかったからだ。ケリーは、CIA本部で調べて、誰がE情報を握りつぶした人間か調べ上げた。

 

Part9 戦後50周年
 元外務大臣で閣僚経験が豊富な剣持十郎がテレビで話をしていた。ミゲル・オストスはテレビを見ながら、針のようなものを剣持十郎に向けていた。

 
Part10 ”大文字”に消ゆ
 京都にいた剣持十郎をミゲル・オストスが訪ねてきた。

 2人が話している姿をゴルゴ13がスコープで見ていた。

 剣持は、ミゲルに、戦争末期、軍部の主戦派が力を握っており、和平派を抑えつけ、内乱状態に也国家秩序が崩壊していただろう、と話す。

 ミゲル・オストスは、剣持十郎の息子タダシが原爆情報を伝えようとして死んだ、と話す。

 剣持は、タダシがサンチャゴで捕らえられ、OSSからレクチャーを受けた。そして、実の父親が結果的にE情報を握りつぶしたとはいえ、日本の将来を考えた上で行動したか、そしてアメリカの戦略を支持したかを、理解した。そして名前を変え、整形し、CIAの一員としてアメリカの諜報活動に従事し、すでに亡くなった、と剣持はミゲル・オストスに話した。ミゲル・オストスが口に含んだ含み針で剣持十郎を殺そうとしたが、剣持十郎に見抜かれ、私服警官らに囲まれた。

 そこへゴルゴ13の一弾が飛んできて剣持十郎のこめかみを貫いた。

 仕事を終えたゴルゴ13は、フランク・シンプソンの依頼を回想する。フランク・シンプソンの本当の名前はタダシ・ヘンダーソンだった。タダシ・ヘンダーソンの依頼は、ミゲルの思いを遂げさせることだった。

 ケリーは剣持十郎が殺されたことを知った。ケリーの予想とは違ったようだった。

 

【感想】
 戦中の日本による諜報活動を扱った作品だ。

 50年経過して、戦争中のタダシ・ヘンダーソンの思いを遂げようとするミゲル・オストス。生きていたタダシ・ヘンダーソンは、ミゲル・オストスの思いを遂げさせるよう、ゴルゴ13に依頼していた。尊い男と男の約束・友情を描いた、と言ってもいい作品だ。

 

増刊第44話 神の手(GOD HAND)(1995/09作品)

脚本協力:ながいみちのり

ページ数:43ページ
依頼者:不動産成金トーマス・ミッチェル
ターゲット:神の手(GOD HAND)を持つといわれたポール・アンガス
依頼金額:不明
殺害場所:ウルグアイ 神の手(GOD HAND)を持つといわれたポール・アンガスの診療所
殺害人数:7人と2匹
殺害相手:神の手(GOD HAND)を持つといわれたポール・アンガス、と彼の診療所を守る警備員6人と警備犬2匹
H:0人

 

 神の手(GOD HAND)を持つといわれたポール・アンガス殺しを、不動産成金トーマス・ミッチェルから依頼されたゴルゴ13。

 

 メキシコシティーで、ゴルゴ13がドクに、死んだマルコの代わりを探すよう依頼していた。ドクはロペスとゴルゴ13を会わせる。

 

 南米・ウルグアイ(東方共和国)

 ポール・アンガスが原価1ドルの"特効薬"で治療をしていた。

 治らなかった患者もいた。不動産成金のトーマス・ミッチェル夫人だった。告訴を取り下げたようだ。

 ゴルゴ13はトーマス・ミッチェルから、ポール・アンガスが詰めている診療所が要塞と化していて、内側に3cmの銅板が張ってあることや、半年に一度庭でパーティーを開くことなどを聞いた。

 ロペスの指示で空き缶を自動拳銃で撃つ訓練をするゴルゴ13。50mは距離をとって拳銃で撃つのだった。ゴルゴ13は夜も倉庫で訓練する。ゴルゴ13は12時間以上も訓練していた。

 ロペスは、柵の補修と枝の刈り込みと称して、ポール・アンガスの庭に行った。そして木の枝に何かを仕掛けた。

 パーティーの日、ゴルゴ13も出席した。出席前にボディーチェックを受けていた。

 警備室では、ハンスという警備員が動いていないことがわかった。調べてみるとハンスが襲われ拳銃を奪われたことがわかった。

 ゴルゴ13が追われていた。ゴルゴ13の射撃によって5人と2頭の犬が殺された。

 あと一発になったところで、ゴルゴ13が立ち上がり、ロペスが仕掛けた地雷を撃った。そこから飛び出したものが診療所に向かって飛び出し、中にいたポール・アンガスを殺した!!

 西側が対戦車用に開発した"スキート"という兵器だった。空中地雷ともいうべきもので、空から戦車に向かって投下され、空中で爆発し、内蔵された銅板を噴出させ、弾丸上に形を変え、戦車の装甲板を貫くのだ。

 

【感想】
 怪しい医療を施すポール・アンガスに対して、妻を殺された成金トーマス・ミッチェルがゴルゴ13に復讐を依頼する。

 ゴルゴ13が激しい訓練をしているシーンが描かれる。ロペスを紹介する裏の人材派遣業者ドクや、その紹介でロペスが登場した。他にも登場すると面白そうな二人だ。

 

 

第352話 13人目の陪審員(1996/03作品)

脚本協力:国分康一

ページ数:83ページ
依頼者:レイモンド・キングリッチに強姦殺人されたシャーリー・ウォーズの父親
ターゲット:秘書のシャーリー・ウォーズを強姦殺人したレイモンド・キングリッチ
依頼金額:不明(勤めていた大学の退職金)
殺害場所:アメリカ ミシシッピー州 ゴドフリー・ライト神父の教会
殺害人数:1人
殺害相手:秘書のシャーリー・ウォーズを強姦殺人したレイモンド・キングリッチ
H:0人

 

ミシシッピ州で黒人女性がレイプされた・・・。

 

Part1 キングリッチ社のスキャンダル
 ルイジアナ州・ニューオーリンズ

 世界的な清涼飲料メーカー、キングリッチ社の会長ケントの息子で専務のレイモンドは、カーレースの末、犯人と断定された。被害者の黒人女性はシャーリー・ウォーズ25歳で、レイモンド専務の秘書だった。川に投げ込まれたシャーリー・ウォーズの死体にはレイモンド専務の歯形が残っており任意同行を求められる前に逃亡した。車の中にはシャーリーの血痕とレイモンド専務の体液が残っていた。

 

Part2 "スコーピオン"と呼ばれる弁護士

 スコーピオンと呼ばれる弁護士ファーガソンが、本番に備えた模擬裁判をしていた。ファーガソンは、真実が何かについては興味がなく、裁判の勝利だけに興味があった。手付金100万ドル、無罪を勝ち取ったときの報酬100万ドルを、キングリッチ会長はファーガソンに支払うのだ。拘置所の方が安全だから、保釈金は、払わないつもりだった。

 

Part3 警官への暴行容疑

 フランク・トウゴウ、日系三世前科ナシの男の裁判が行われていた。彼は警官に暴行して逮捕されたのだ。彼はゴルゴ13の変名だった。

 レイモンド専務と接見したファーガソンは、何もしゃべるな、と指示した。

 

Part4 陪審員リスト

 ファーガソンは陪審員候補者リストを集めていた。そして一人一人を説得するつもりだった。

 

Part5 二か所の法廷

 フランク・トウゴウことゴルゴ13の裁判では、ゴルゴ13は、背後から襲われ暗闇の中で、自分を判別できるとは思えない、と証言した。

 レイモンドの裁判では、陪審員12人のうち黒人は2人だけだった。弁護士が忌避権を行使したのだ。

 

Part6 監房の3人

 フランク・トウゴウとレイモンドと体格がいい男が同じ監房だった。体格がいい男がレイモンドにレイプ野郎、といって、殴りかかる。ゴルゴ13が右廻し蹴りでその男をダウンさせた。

 

Part7 "本件審理終了"

 ゴルゴ13の裁判で、新たな証拠として、被害者である二人の警官が、パトロール中に呑んでいた酒の請求書が出てきた。公務中に酒を呑み金品を要求する悪徳警官だったのだ。ゴルゴ13の審理は終了した。

 ニューオーリンズ・FBI支局で、フランク・トウゴウがゴルゴ13だと判明した。

 

Part8 陪審員の評決は?

 ファーガソンは、裁判の休憩時間に、たとえ話としてだが、陪審員の情報かがわかっていれば、買収や脅迫がかんたんにできる、と言った。

 そして、レイモンド・キングリッチ裁判での陪審員の判断は、全員一致で無罪だった。

 パフォーマンス好きのケント・キングリッチとレイモンド・キングリッチは、厳重な警戒のもと、教会に向かう。

 

Part9 教職者の依頼

 墓場でM16を組み立てるゴルゴ13は、依頼時を回想する。ゴドフリー・ライト神父の紹介で、大学で教鞭をとった男で、シャーリー・ウォーズの父親とゴルゴ13が会った。そして、ゴルゴ13に有罪か無罪か判断し、有罪なら殺すように、復讐では無く裁くように、と依頼した。

 

Part10 有罪か無罪か

 ゴルゴ13は収監されていたとき、ヤク中のレイモンド・キングリッチにLSDを渡し、シャーリー・ウォーズをレイプ殺人したのかどうか聞き出していた。レイモンド・キングリッチはやった、と白状していた。

 キングリッチ父子が教会でひざまずいたとき、ゴルゴ13の銃弾が、レイモンド・キングリッチのこめかみを貫いた。

  

【感想】
 アメリカの陪審員制度の問題点は、『十二人の怒れる男』(12 Angry Men)でも描かれているが、この作品では、陪審員制度の問題点と南部の根強い黒人差別と、南北の違いを、巧みに描いている。

 13人目の陪審員としてゴルゴ13が、犯人であるレイモンド・キングリッチを裁く、という構成は見事だ。

 墓場から小さく見える教会を狙撃するゴルゴ13のスーパー・ショットも凄い。

 

第341話 遠い隣人(1995/03作品)

脚本協力:ながいみちのり
ページ数:42ページ
依頼者:不明
ターゲット:中国の工作員になっていた有沢の父のネタをもとに有沢から情報を引き出そうとした須山春雄
依頼金額:不明
殺害場所:日本 東京
殺害人数:1人
殺害相手:中国の工作員になっていた有沢の父のネタをもとに有沢から情報を引き出そうとした須山春雄
H:0人

 

 有沢の自宅に、須山春雄という男が訪ねてきた。死んだ須山の父が有沢の父に世話になったのだという。

 「・・・今頃、父の事で・・・なぜ?・・・」と気に病む有沢。

 須山春雄は、有沢がいないときに、有沢の自宅を訪れ、有沢の妻や娘の心をつかもうとしていた。有沢は須山を飲みに誘い、須山の本当の名前を聞き出そうとしたが、須山は拒んだ。

 有沢はマイクロチップで世界第4位のシェアを争う会社の第二技術部開発室党だった。須山は有沢の妻弘美や娘さやかを人質にして有沢から産業情報を盗み出そうとしていた。

 有沢は、妻弘美に、これまで話していなかったことを話し出した。有沢の父は大陸で敗戦を迎え、当時2歳の有沢とともに日本に帰ってきたのは、5年後だった。有沢の父は抑留生活の5年間のうちに、中国情報部の工作員になっていたのだった。それをネタに須山は有沢を脅迫して、情報を引き出そうとしていたのだ。

 弘美は娘さやかの安全のために、夫に須山の言うことをきいてほしい、と懇願した。

 有沢が須山に情報を渡そうとしたとき、エスカレーターの上からゴルゴ13が須山を撃ち殺した。

 

【感想】
 日本のどこにでもいるようなサラリーマンの有沢。彼の父の過去をネタにして、家族に入り込み産業スパイを働こうとする須山。須山に情報を渡す直前、ゴルゴ13が射殺した。

 ありふれた日常とゴルゴ13が活躍する非日常世界が交錯する珠玉の短編作品だ。

 

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