

もくじはこちら
- 第590話『カタールの剣』 (2019/05作品)
- 第584話『情報屋の弟子』 (2018/04作品)
- 第594話『カリブ海の覇権』 (2019/11作品)
- 第589話『マークスマン選抜射手』(2019/05作品)
第590話『カタールの剣』 (2019/05作品)
脚本協力:品川恵比寿
ページ数:95ページ
依頼者:セネガルからの移民でカタール・サッカーチームのエースであるイシュタル
ターゲット:イシュタルの母をひき逃げしたタミル王子に警告すること
依頼金額:不明
殺害場所:
1)カタールの砂漠
2)カタールの町角
3)カタールのタミル王子が住む宮殿
殺害人数:
1)2人
2)1人
3)0人
殺害相手・狙撃対象:
1)タミル王子の手下
2)タミル王子の手下アジーラ
3)タミル王子が持つ剣にある王家の紋章
H:0人
2018年中東カタールで、サッカーワールドカップを見て喜ぶ男達。次はカタール開催だが、中東はどこも決勝トーナメントにすすめなかった。開催の頃にはイシュタル中心のチームで必ず勝つ、と言うカタールの男達だった。
Part1 若き英雄
1年後のカタール市内のサッカースタジアムで、若きFW(フォワード)アル・イシュタルがシュートを決めた。タミル王子は、観客の少なさを嘆いていた。2017年カタール外交危機を乗り切ろうと考えていたのだ。2017年カタール外交危機とは、サウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトが、カタールに強圧的な要望を突きつけ、聞き入れない場合、外交関係を断絶する、という要求だった。イランに対する米国による制裁への参加、トルコとの軍事協力中止、全テロリストとの関係断絶、アルジャジーラと国連報道機関の閉鎖などだ。
Part2 国籍問題
イシュタルは元セネガルの移民で、FIFA(国際サッカー連盟)が国籍調査中だった。タミル王子は、イシュタルにカタールW杯の宣伝大使になるよう依頼した。イシュタルは断った。イシュタルはサウジアラビアからの提案も断ったと言った。
Part3 事故
イシュタルの母がハウスメイドの仕事に向かっている途中、タミル王子の車が彼女をひき逃げした。
Part4 悲劇の英雄
カタール中央病院に向かったイシュタルだったが、母は意識が戻ることがない、と医師に言われた。
Part5 決裂
タミル王子とサウジアラビア王子ムハンマドがサッカー観戦していた。カタールは0-5で負けていた。ムハンマドはイシュタルが5年間サウジアラビアに滞在しカタールには1年しかいない、と言った。その上、13項目の要求を呑めば協力する、と言って立ち去った。
Part6 名誉の依頼
中東・カタール・ドーハ国際空港にゴルゴ13が降り立った。タミル王子はサウジアラビアによる狙撃と見せかけてイシュタルを殺すようゴルゴ13に依頼した。しかしゴルゴ13は、俺の趣味に反する、と言って、断った。
Part7 複雑化する問題
アメリカ東部・メリーランド州・USA(国家安全保障局)で、レブロン主任が危惧したように、カタールとサウジアラビア他が国交断絶状態だ。アメリカにとっては、サウジアラビアもカタールも重要な国なので現在の状況は国益に反するのだ。
Part8 無念と失意
イシュタルはサッカーに集中しようとしていた。
Part9 放たれた矢
タミル王子の手下は、ゴルゴ13を襲う。ゴルゴ13の車は破壊された。ゴルゴ13はM16で2人を射殺したが、アジールたちは去って行った。ゴルゴ13はスマホを破壊され、車も失った。
Part10 サバイバル
ナツメヤシで水分を補い、砂漠の砂の中に隠れてラクダを捕まえ、血液を吸い、ラクダに乗って逃げ出した。
Part11 生還
カタールの町に戻ったゴルゴ13は、タミル王子の手下アジーラを射殺した。
Part12 動揺する王子
カタールのサッカーチームはイシュタルが戻ると好調になってきた。タミル王子は、イシュタルを殺して、捨て駒にするつもりだった。アジールの死をタミル王子は知った。
サウジアラビアのムハンマド王子は、ゴルゴ13がカタールにいることを知り、自分が狙われているのか、と恐れる。
Part13 厳重警戒
タミル王子は、アジーラがゴルゴ13を襲って返り討ちに遭ったのなら、トバッチリが来ることを恐れ、警備を厳重にする。
Part14 事故の真相
イシュタルは母のスマホにタミル王子がひき逃げしたシーンが映っているのを見た。警察署長が見せたのだ。そしてゴルゴ13を紹介した。
Part15 不吉な兆し
試合が終わったが、防弾ガラス付きのVIPルームから出ないタミル王子だった。サウジアラビアのムハンマド王子はその様子を見てほくそ笑みながら席を立った。
Part16 凶刃(きょうじん)と恩義
タミル王子は手下に、サウジアラビア製のナイフを渡し、これでイシュタルに切りつけるよう命じた。ナイフには毒が塗ってあった。イシュタルを襲った男の手首を、ゴルゴ13が拳銃で撃ったゴルゴ13。襲った男は逃走した。ゴルゴ13は、イシュタルに依頼内容について念押しした。
Part17 砕かれた野心
イシュタルを襲った男がタミル王子に、しくじったことを報告した。その時、ヘリコプターが飛んできてタミル王子の剣にある王家の紋章を撃ち砕いた。
【感想】
タミル王子の名前が途中でナジム王子になっていた。別の二人なのか、誤字なのかはっきりしない。タミル王子からのイシュタル狙撃の依頼を、ゴルゴ13は、「俺の趣味に合わない」と言って断っている。この断り方は初めてだろう。ゴルゴ13はサッカー・ファンなのだろうか?
中東の複雑な政治・外交関係を巧みに描きだした印象に残る作品だ。
第584話『情報屋の弟子』 (2018/04作品)
脚本協力:夏緑
ページ数:35ページ
依頼者:不明
ターゲット:マイアミの不動産王
依頼金額:不明
殺害場所:マイアミの路上
殺害人数:1人
殺害相手:ギャング組織"M"に対抗するメキシコドラッグカルテルの殺し屋ドミンゴ
H:0人
マイアミの砂浜でスマホが爆発して男が死んだ。エレベーターが急に落下して男が死んだ。クレーンから鉄骨が車に落ちてきて男が死んだ。
マイアミ・ダウンタウンの情報屋ホルヘ・ムニョスの事務所で、ホルヘと弟子が仕事をしていた。ホルヘのお得意様のギャング組織"M"が抱えている殺し屋がこのところ10人以上変死しており、不審に思っていた。
ホルヘは別件の不動産王の情報をストリップ・バーの"フラミンゴ・ミルク"でGに渡せ、と命じた。
そこでゴルゴ13に会った弟子の男とゴルゴ13は外へ出る。すると、ダニー・ドミンゴというメキシコドラッグカルテルの殺し屋が、ゴルゴ13に銃撃してきた。メキシコドラッグカルテルは地元の"M"と敵対している。
ゴルゴ13と弟子は車を奪って逃走するが、無人車が襲ってきた。ゴルゴ13が無人車を銃撃して難を逃れた。次は無人のクレーンが二人の車を襲ってきた。ゴルゴ13が監視カメラを破壊して難を逃れた。
ドミンゴとドローンが二人を襲ってきた。ゴルゴ13はドローンを撃破し、ドミンゴも射殺した。ドミンゴは死ぬ前に「なぜ俺を狙った。何者だっ」と叫んだ。ドミンゴの死体を見ると、彼はゴルゴ13たちと出会う前にドローンに襲われたようだった。
情報屋の弟子がドローンから、サウスウエスト通りの公園の近くから操作されていたことをつきとめた。二人はそこに向かった。
ゴルゴ13は、情報屋の弟子を家の中に向かわせた。ピザの配達と称して中に入った情報屋の弟子だった。中には、父と母メアリーと息子のジョーイが住んでいた。ジョーイは夏休みの自由研究をAIペディアで実行中だった。AIペディアはデータを見る度に他のコンピュータをハッキングするので回収騒ぎになったものだった。"マイアミの人食いワニ"で検索していたい。弟子が見ると、ドミンゴや"M"の殺し屋の面々にゴルゴ13の写真まで収集されていた。ギャングがあつかるドラッグにワニ(クロコダイル)というのがあり、AIは"マイアミの人食いワニ"という単語をマイアミでクロコダイルを扱う殺し屋と判断したようだ。ギャングのデータベースを漁ったが、まだ生きている殺し屋の没年月日が埋まっていないので、データを埋めるために殺したのだ。
弟子は、AIペディアを停止させた。ゴルゴ13がPCのファンに銃弾を撃ち込み、PCが過熱暴走したように見せて破壊した。弟子がリサイクルセンターに持って行く、と言ってPCを預かった。
車に戻ると、ゴルゴ13は消えていて、多額の金が残っていた。
【感想】
AIの危険性を描いた異色短編作品だ。プロ意識のない、のんきな情報屋の弟子がなかなかいい仕事をしている。それでもゴルゴ13が多額の金を残したのは、彼の仕事に価値を感じたからだろう。また登場してほしいキャラクターの一人だ。
ゴルゴ13が情報屋に依頼したマイアミの不動産王の抹殺は描かれていない。ゴルゴ13のことだから当然任務を遂行しただろう。
第594話『カリブ海の覇権』 (2019/11作品)
脚本協力:渡邉優
ページ数:70ページ
依頼者:アメリカ ケース補佐官
ターゲット:潜水艦基地作りという秘密合意の存在をキューバ政府と国民と国際世論に暴露
依頼金額:不明
殺害場所:キューバ ハバナ
殺害人数:1人
殺害相手:キューバのラモン将軍と秘密協定の入ったアタッシェケース
H:0人
Part1 体制の岐路
キューバのハバナ キューバ国会議事堂で、国家評議会議長ディエゴとペドロ経済企画大臣が話していた。外国企業の進出を自由化すべきだと、ペドロ経済企画大臣は言った。ラモン将軍は反対し、中国との連帯こそが進むべき道だと言った。
Part2 キューバの現在(いま)
キューバは経済的危機に陥っていた。若手の指導者は共産主義経済を改革し外国に開放しようという動きもあるが、高齢の将軍達は反対していた。
Part3 友好国の密会
メキシコで、在キューバ日本大使・綾部は、酒を飲んでいた。そこで、キューバ革命軍のラモン将軍と中国の沈将軍が一緒にいるところを見た。
Part4 懐疑
キューバ経済企画省で、ラモン将軍が中国とすすめているシエンフエゴス港拡張計画の借款が尋常ではないことに気づき、データの調査を進めるよう指示が出た。
キューバ日本大使館では、ラモン将軍も沈将軍もメキシコ行きが秘密であることをつかみ、政府の中でも隠したい何かがある、と読んであらゆる可能性を調査することが指示された。
アメリカ大使ダグラス・テーラーと綾部はゴルフをしながら、ラモン将軍と沈将軍の会談の目的について話した。
Part5 カリブ海の脅威
一週間後、キューバ、アメリカ大使館で、アメリカ大使ダグラス・テーラーと綾部が会い、シエンフエゴス港拡張計画は、キューバと中国の軍事協力も含んだものだとつかんでいた。ダグラス・テーラー大使は、ホワイトハウスにも報告済みで、ディエゴ議長にも警告するつもりだ、と言った。
Part6 革命の記憶
ラモン将軍の息子は大佐になった。ラモン将軍は敵がアメリカ帝国主義だと息子に言った。
Part7 不安と焦り
ディエゴ議長にシエンフエゴス港拡張計画が中国の軍事基地建設を含むことを伝えようとしたペドロ大臣が自動車事故で殺された。
Part8 将軍の決意
ラモン将軍は、シエンフエゴス基地を中国海軍が使用するという話がデマだとディエゴ議長に断言した。
Part9 中国の世界戦略
アメリカ ホワイトハウスで、中国がキューバに軍事基地を建設しようとしていることを、大統領に報告されたが、大統領は、中国が挑戦してくるはずがない、と言って相手にしなかった。
Part10 全ては米国のために
ケース補佐官は、ゴルゴ13に、潜水艦基地作りという秘密合意の存在をキューバ政府と国民と国際世論に暴露してほしい、と依頼した。
Part11 同盟の始まり
キューバ シエンフエゴス港で、式典が始まった。そこに中国の潜水艦が姿を現した。
Part12 曝(あば)かれる合意
ゴルゴ13が式典のために置いてあったアタッシェケースを狙撃した。中の書類が飛び散った。そこに秘密合意としてシエンフエゴス港を中国海軍潜水艦基地にする、と書いてあった。
ラモン将軍が逃げ出した。
Part13 対立の果て
ラモン将軍自宅に警察が到着したが、ラモン将軍はいなかった。ラモン将軍はディエゴ議長のもとに現れ、ディエゴ議長に拳銃を向けた。そこをゴルゴ13が狙撃した。
【感想】
中国の世界戦略と、キューバの経済的な苦境や世代間の対立を見事に描いた作品だ。ゴルゴ13が、狙撃以外の依頼を受けた珍しいケースだ。
第589話『マークスマン選抜射手』(2019/05作品)
脚本協力:ながいみちのり
ページ数:35ページ
依頼者:不明
ターゲット:12年前にアフガニスタンで戦い企業会計顧問をして不正を発見した隊長
依頼金額:不明
殺害場所:隊長のコロラド州にある家の庭
殺害人数:2人
殺害相手:12年前にアフガニスタンで戦い企業会計顧問をして不正を発見した隊長とマークスマン
H:0人
Part1 スナイパーキラー
12年前のアフガニスタンで、狙撃手に射撃されたレックスを助けるために、射撃の名手である"マークスマン"(選抜射手)が2人の狙撃手を射殺した。
Part2 戦友の再会
現在のコロラド州で、庭でうとうとしている隊長の下に、脚を怪我したレックスと、マークスマンがやって来た。隊長は除隊後、CIAやUSAなどに関連する企業会計顧問をしていたときに不正を見つけた。会社の財務担当に報告したら、最初は否定、次に懐柔、買収を拒否すると警告、そして脅迫され、あくまで告発すると言うと無口になった。マークスマンはさりげなくカーテンを閉める。
会社は特別な狙撃手を雇い、セキュリティー担当幹部は先週殺された。隊長はレックスとマークスマンに、自分を守ってほしい、と言った。
Part3 対峙(たいじ)
隊長は庭に出たところをゴルゴ13に狙撃された。
Part4 対狙撃屋(スナイパー)プラン
マークスマンはゴルゴ13と戦うことを決意した。脚の悪いレックスはおりようとしたが、プランBをマークスマンが指示した。マークスマンがゴルゴ13をスコープに捉えたが、ゴルゴ13は太陽の光がレンズに反射するのに気づいてかわした。
Part5 雨中持久戦
雨が降ってきた。ゴルゴ13が姿を現し、マークスマンのそばの岩を撃つ。マークスマンがゴルゴ13を射撃したが彼の弾丸は外れた。同時にゴルゴ13は3点バースト(引き金を引くと3発銃弾が発射される機構)でマークスマンに2発の銃弾を当てた。岩を撃ったのは雨で直進性がどのくらい落ちるか確かめたのだった。マークスマンは死んだ。
Part6 プランB
レックスはマークスマンに言われた道に待機していたが、ゴルゴ13が歩いてきたのを見て、ヘリコプターに乗って逃走した。
【感想】
不正経理を知った隊長を殺すためにやってきたゴルゴ13。マークスマンとの1対1の戦いは手に汗握る迫力ある戦いだったが、やはりゴルゴ13の勝利だった。マークスマンは戦いを挑まなければ命を落とさなかったのに残念だ。
haruichiban0707-books.hatenadiary.com
haruichiban0707-books.hatenadiary.com
haruichiban0707-books.hatenadiary.com
haruichiban0707-books.hatenadiary.com
haruichiban0707-books.hatenadiary.com
haruichiban0707-books.hatenadiary.com
haruichiban0707-books.hatenadiary.com
haruichiban0707-books.hatenadiary.com

