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さいとう・たかを『ゴルゴ13 100 黄金の男(エル・ドラード)』(リイド社)(1996/10/05)

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第305話 黄金の男(エル・ドラード)(1992/02作品)

 

脚本協力:犬丸らん
ページ数:88ページ
依頼者:なし
ターゲット:なし
依頼金額:なし
殺害場所:
  1)コロンビア・ボゴタ郊外の崖の上
  2)コロンビア・ボゴタ郊外の丘の上にあるロハス・ドミンゴの屋敷
殺害人数:
  1)1人
  2)4人
殺害相手:
  1)黄金の男と言われる男の手下
  2)黄金の男と言われるロハス・ドミンゴとその手下のホセ・ロドリゲスと手下2人
H:0人

 

Part1 日米合同密議
 日本の横浜港でコロンビアの貨物船からコカインが42キログラム発見された。末端価格で30億円だ。
 早急に対策を立てないと日本もアメリカの二の舞になる恐れがあった。
 アメリカのCIAのマックリーとDEA(司法省麻薬取締局)のパワーが来日し提案をする。
 DEAには麻薬組織に関する情報がありCIAにはプロに接触できる。そして日本は資金を提供できる。
 
Part2 接触(コンタクト)出来ず
 依頼しようとしたプロ、デューク・トウゴウことゴルゴ13への連絡がとれなくなっていた。
 黄金の男(エル・ドラード)と呼ばれるメデジン・カルテルのパブロ・エスコバルは刑務所にいながら健在だった。
 なんとしても彼の抹殺が必要だった。
 
Part3 助けられた男
 コロンビアのボゴタ市郊外で、ゴルゴ13が目を覚ました。
 ゴルゴ13は3日間気を失っていた。ゴルゴ13は回想する。
 
Part4 突然の銃弾
 ゴルゴ13がガソリンスタンドに入りビールを飲んでいるのを見た男達は、ゴルゴ13を追跡し銃撃した。
 追ってきたのはニューヨークでゴルゴ13に殺されたドン・ロドリゲスの弟ホセ・ロドリゲスだった。
 武器を持たないゴルゴ13は逃走するが、崖下に転落した。
   
Part5 コーヒー畑の家族
 ゴルゴ13は椅子に座れるまで回復した。
 日本の東京のアメリカ大使館では、まだゴルゴ13と接触できず、CIAもDEAも焦っていた。
 
Part6 コーヒーとコカ
 ゴルゴ13を助けた家族は3人で、夫のミゲルと妻マリアと息子パコだった。
 そこへゴルゴ13を襲ったホセ・ロドリゲスらがやってきて、コーヒーではなくコカを栽培しろ、と言う。
 ミゲルは断る。マリアが銃でホセ・ロドリゲスらを追い返す。
 1キロのコカイン・ペーストを作るのにコカの葉が200キロ必要で、それをコカイン・カルテルは150ドルで買う。
 それをアメリカでは12万ドルで売るのだ。中毒になるのはコカインを扱った人間だけではなくコカインを扱ってあぶく銭を設ける人間も中毒になるのだ、と話すミゲルだった。
 ゴルゴ13はしばらくミゲル達の世話になることにした。
 
Part7 パコのともだち
 パコはひもにおもりをつけた武器を木に向かって投げる。ゴルゴ13は2回投げて的に2回当てる。
 パコが驚き興奮する。
 
Part8 丘の上の屋敷
 ゴルゴ13は丘の上の屋敷をちらと見る。
 パコがホセ・ロドリゲスらに誘拐された。
 
Part9 男とプロの"けじめ"
 ミゲルは銃を持ち馬に乗って出かける。
 ゴルゴ13はパコは自分が取り戻すから残れ、やつらには個人的な貸しがある、と言う。
 ゴルゴ13はミゲルを気絶させて、マリアにパコを必ず取り戻す、と言ってミゲルの銃を持って馬に乗り出発する。
 
Part10 予期せぬ銃弾
 ゴルゴ13が見張りを斃し、ホセ・ロドリゲスとボスのパブロ・エスコバルが話しているのを見て、テレビを銃撃して、パブロ・エスコバルとホセ・ロドリゲスを殺した。
 パコを取り戻して、屋敷を後にする。
 
Part11 日米の安堵
 ロハス・ドミンゴが殺されたという情報が、CIAやDEAや日本に伝わった。彼らはカネを払わなくて目的が達成できて喜んでいた。
 
【感想】
 アメリカの麻薬問題の根深さと日本への浸透の恐れを描いた作品だ。
 ロハス・ドミンゴの手下らに襲われて瀕死の重傷を負ってしまったゴルゴ13は、その仕返しに彼らを斃した。
 瀕死の重傷を負うとは、ゴルゴ13らしくない。
 ミゲル一家に助けてもらう強運がなければここで『ゴルゴ13』が終わってしまっただろう。
 ゴルゴ13ファンは、ミゲル一家に感謝だ。
 

 

 

増刊第31話 ウエストウッドに死すX(1992/11作品)

脚本協力:ながいみちのり
ページ数:44ページ
依頼者:ロバート・ウインダム
ターゲット:元FBIロス支局長フレドリック・アトキンス
依頼金額:25万ドル
殺害場所:アメリカ ウエストウッド・メモリアルパーク
殺害人数:1人
殺害相手:元FBIロス支局長フレドリック・アトキンス
H:0人

 エディー神父からの紹介で、ロバート・ウインダムがロサンゼルスの映画館でゴルゴ13と会った。ロバート・ウインダムは彼が愛したただ一人の女性の恨みを晴らしてほしい、と言った。
 ゴルゴ13は依頼を受けた。
 
Part1 笑顔の死体
 クリアキン警部は、ロバート・ウインダムの死体を見ていた。
 一昨日にはチンピラがナイフで殺されていたが、そのチンピラのねぐらが隣のアパートだった。
 ここ数年は教会の雑用係をしていた。心臓が悪くアルコールは止められていたのに、祝杯をあげたようで満願を叶えた満足そうな笑顔だった。
 ロバート・ウインダムの部屋で、フレドリック・アトキンスあての脅迫状があった。元FBIロス支局長だった。
 
Part2 "プロ"との接点
 フレドリック・アトキンスは悠々自適な生活をしていた。
 クリアキン警部は部下のアキノにロバート・ウインダムの口座を調べるよう命じた。
 
Part3 元FBIロス支局長
 クリアキン警部はフレドリック・アトキンスのもとを訪ねた。
 フレドリック・アトキンスはロバート・ウインダムについて心当たりがない、と言った。
 ロバート・ウインダムの口座から25万ドルが引き出されていた。
 クリアキン警部のカンでは、フレドリック・アトキンスが絡んでいる、と感じていた。
 アキノをフレドリック・アトキンスに張り付けさせる。
 
Part4 見えてきた"元出"
 ロバート・ウインダムの部屋にあった写真では、彼は若かりしノーマ・ジーン=マリリン・モンローと一緒の写真だった。
 ロバート・ウインダムはマリリン・モンローと同じ孤児院にいたのだ。
 ロバート・ウインダムはマリリン・モンローが軍を慰問している写真にフレドリック・アトキンスが写っていることに気づいた。
 ロバート・ウインダムが死んだ時に来ていたジャケットはマリリン・モンローが着ていたジャケットと同じ物だった。
 ジャケットの中に封筒が入っていた。
 
Part5 四十年目の手紙
 ウエストウッド・メモリアルパークでフレドリック・アトキンスが墓参りをしていた。
 クリアキン警部はチンピラ殺しの容疑者としてフレドリック・アトキンスを逮捕しようとしていた。
 そこへクリアキン警部が現れた。フレドリック・アトキンスの暗号名"ハリー"がマリリン・モンローに送ったラブレターだった。
 フレドリック・アトキンスは1954年朝鮮半島でのマリリン・モンローの慰問時を回想する。
 ケネディ兄弟とマリリン・モンローがつきあうのをやめるよう、説得していた。
 マリリン・モンローのジャケットから出た手紙は彼女と"彼"との関係、モンローの死の真相が明らかになる決定的な証拠だった。
 ロバート・ウインダムはフレドリック・アトキンスから脅迫されていた。それはロバート・ウインダムが殺し屋を雇うカネが欲しかったからだ。
 ロバート・ウインダムはマリリン・モンローの敵であるロバート・ウインダムを殺したかったのだ。
 ロバート・ウインダムは、フレドリック・アトキンスがマリリン・モンローを殺したと思い込んでいた。
 実際には、フレドリック・アトキンスは直接手を下したわけではなかったが、阻止できる立場にありながら阻止できなかったのだ。
 フレドリック・アトキンスは、マリリン・モンローを愛しており、彼女への"罪ほろぼし"で自分を狙う殺し屋の依頼金を"提供"したのだ。
 フレドリック・アトキンスはゴルゴ13の銃弾を受けて満足そうな笑顔で死んだ。
 クリアキン警部は手紙を燃やした。

【感想】
 チンピラ殺害事件とロバート・ウインダムの死とそこにあった脅迫状からフレドリック・アトキンスが浮かび上がり、謎の死を遂げたマリリン・モンローに結びついていく。

 マリリン・モンローという悲劇の女性をテーマにした哀しい女シリーズの一つとも言える秀逸なミステリー作品だ。

 クリアキン警部が焼いてしまった手紙に何が書かれていたのだろうか?想像が尽きない。

 

 

増刊第30話 邯鄲(かんたん)の夢(1992/08作品)

脚本協力:ながいみちのり
ページ数:40ページ
依頼者:弁公庁、公安部、国務院など内外の諜報部をアゴで動かす男
ターゲット:毛沢東の肖像画運動を陰で仕掛けている保守派の老人、老青文に、自分自身の考えで悟り身を引かせること
依頼金額:不明
狙撃場所:中国・陝西省・漢中
殺害人数:0人
狙撃大将:窓脇の花瓶を割り、壁に飾ってあった毛沢東の肖像画の眉間
H:0人

 1992年2月、中国・北京市郊外で、弁公庁、公安部、国務院など内外の諜報部をアゴで動かす男とゴルゴ13が会った。
 男は毛沢東の写真を見せて、この人物を狙撃してもらいたい、と言った。
 
Part1 肖像画の効能
 中国・陝西省・漢中で、毛沢東の肖像画を飾っていない家が全焼した。
 この村では肖像画のおかげで病気が治ったという噂が飛び交っていた。
 張は毛沢東の肖像画を売って金儲けしていた。彼は半年前、化学肥料の横流しで摘発されて主任の職を失っていたが今は、肖像画のおかげ一儲けしていた。
 沈という男が張に肖像画を売らせていた。
 
Part2 割れた"小瓶(シャオピン)"
 沈は老先生と会っていた。老先生は、計画の進行状況を沈にきく。
 沈は万事ぬかりなく、と答えたので、老先生は満足そうにしていた。
 老先生の部下が窓ガラスを拭いていたとき、小瓶を割ってしまった。
 老先生は、気にするなと言う。小瓶と鄧小平の小平は同じ発音だった。
 
Part3 夕日を浴びる塔
 張は毛沢東の肖像画を売って儲けていた。そこへゴルゴ13が現れた。
 ゴルゴ13は大学の先生だと言う。張にカネを渡して村にある塔に登る。
 
Part4 "標的(ターゲット)"は!?
 ゴルゴ13は、依頼者の男と会ったときのことを思い出す。
 男は、毛沢東の肖像画運動を陰で仕掛けている保守派の老人、老青文に、自分自身の考えで悟り身を引かせることが依頼だった。
 老青文を殺すと保革のバランスが崩れるし抗日戦争の英雄なのでかんたんに手を下せないのだ。
 塔の中から老青文を狙うゴルゴ13だった。
 
Part5 "漢中の夢"
 沈が老青文の所にやって来て、ゴルゴ13が老を狙っている、と報告した。
 二人は、ゴルゴ13の銃弾が窓脇の花瓶を割り、壁に飾ってあった毛沢東の肖像画の眉間を貫いていることに気づいた。
 老青文は、北京の最後通告だと悟った。
 
Part6 北京の"夢"
 ゴルゴ13に依頼した男は毛沢東の肖像画人気を落とすために、肖像画を大量に複製させる。
 そのため、張は金儲けの機会を失った。

【感想】

 ほんの30年前の、貧しくて素朴な中国を描いた作品だ。この30年の間に中国は金満国家になり金持ちが日本のタワマンを買い漁りアメリカその他の国々に旅行や留学に行く時代になった。これもまたまさに邯鄲の夢と呼ぶにふさわしい。

 

第308話 傑作・アサルトライフル(1992/04作品)

脚本協力:横溝邦彦
ページ数:87ページ
依頼者:
  1)フランス・シトロエン社
  2)なし
ターゲット:
  1)パリ・ラ・カップラリーで走る日本車のタイヤ
  2)
依頼金額:不明
狙撃場所・殺害場所:
  1)アフリカ・ニジェール国内、テネレ砂漠地帯
  2)アフリカ・ニジェール国内、テネレ砂漠地帯
殺害人数:
  1)0人
  2)4人
狙撃対象・殺害相手:
  1)パリ・ラ・カップラリーで走る日本車パンサーのタイヤ
  2)新型アサルト・ライフルを使用した傭兵サビーヌ兄弟と開発者カイザー博士とその部下ピエール
H:0人

 アサルトライフルの開発者であるカイザー博士は各種の銃を持った傭兵たちを相手に、自身が開発した銃AUG77とG11の試験をしていた。
 サビーヌ兄弟が他の傭兵達を殺しまくる。兄が持っていたAUG77は狙撃銃の命中製と接近戦での俊敏性が特徴だ。弟のG11は一度のトリガーで反動を抑えて三連発なので移動表的に最適だ。
 そしてM16とともにゴルゴ13を葬り去る、とうそぶく。
 
Part1 黄禍狙撃の依頼
 フランスのパリで、日本車の不朽がヨーロッパの伝統を汚染しているとうそぶく男とゴルゴ13が会っていた。
 パリ・ラ・カップラリーでフランス・シトロエン社の車が優勝すべきと言うその男は、ニジェールの砂漠地帯でタイヤを狙撃するよう依頼した。
 
Part2 スーパー・バレル
 スイスのチューリヒ郊外で、ベリンガーがゴルゴ13から依頼された銃身を製作していた。
 ミクロン単位以下の勝負だ、とベリンガーは言って、すべての技術を一週間銃身に注ぎようやく完成させた。
 
Part3 砂漠の"罠"
 アフリカ・ニジェール国内、テネレ砂漠地帯でゴルゴ13がラリー車のタイヤを狙撃した。
 ゴルゴ13は任務を遂行したが、自分を狙う敵に気づいた。
 バイクを破壊された。
 カイザー博士らはゴルゴ13とサビーヌ兄弟の戦いを見物する。
 
Part4 大統領専用機着く
 アメリカ・ミズーリ州・米軍基地にCIAのフレジャー次官がロイマン大佐と会っていた。
 ACR(アドバンスド・コンバット・ライフル)計画との絡みがあり、ゴルゴ13を倒す新型突撃銃(ニューアサルト・ライフル)の分析も進んでいた。
 
Part5 武器商人の狙い
 カイザー博士はヨーロッパの武器商人で改造銃の鬼才と呼ばれていた。
 フレジャー次官は大統領にどう報告するか悩む。
 
Part6 日没の攻防
 アフリカ・ニジェール国内、テネレ砂漠地帯では日没を迎えていた。
 ゴルゴ13のサイトは暗視用ではない。サビーヌ兄弟のスーパーサイトは暗視用だった。
 ゴルゴ13は動かない。
 煙を出してゴルゴ13が移動した。
 サビーヌ兄弟の前に姿を現したゴルゴ13だったが、サビーヌ兄弟の銃撃をすんでのところでかわした。
 ゴルゴ13は、敵の数、敵の位置、銃弾の性能、銃が二挺ともブル・バップで、一挺はAUGロングバレルであることを、知った。
 
Part7 ヨーロッパの旨味
 サビーヌ兄弟がゴルゴ13を追いつめる。
 ゴルゴ13も反撃する。
 サビーヌ兄弟が長期戦を狙う、とゴルゴ13が読むと考えその反対に短期決戦を挑む。
 姿を現したサビーヌ兄弟に対してゴルゴ13は空中に飛び上がり、二人を殺した。
 カイザー博士と部下のピエールは現場を急いで現場を離れようとする。
 ゴルゴ13がグレネード・ランチャーで装甲車を破壊した。
 サビーヌ兄弟を斜面に誘い、傾斜地での照準が水平での照準と異なるサイトの水平基準の目盛りの弱点をゴルゴ13はついたのだ。
 ゴルゴ13はカイザー博士を射殺した。
 
Part8 アーマライトA2カスタム
 南アフリカのケープタウンでベリンガーがゴルゴ13にM16A2カスタムをゴルゴ13に引き渡した。
 ゴルゴ13はM16A2を、10年の歳月を経てようやく使い始めることにした。
 ベリンガーはゴルゴ13に名指しで使ってもらえる銃を製作したことに職人冥利を感じていた。
 ゴルゴ13に傑作突撃銃(アサルト・ライフル)アーマライトA2の誕生だった。

 

【感想】
 サビーヌ兄弟との息詰まる戦いが素晴らしい傑作の一つだ。
 サビーヌ兄弟を斜面に誘い、傾斜地での照準が水平での照準と異なるサイトの水平基準の目盛りの弱点をついた頭脳的な作戦が功を奏した。
 これまでM16A1をカスタマイズしたゴルゴ13が、この作品以後M16A2を使い始めることになる記念すべき作品だ。

 

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