- 第330話 白い皇軍(1994/09作品)
- 増刊第36話 アッシュ最良の日(1994/02作品)
- 増刊第39話 潮流激(たぎ)る南沙(ナンシャ)-G資金異聞-(1994/04作品)
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第330話 白い皇軍(1994/09作品)
脚本協力:国分康一
ページ数:126ページ
依頼者:モーガン家当主モーガン
ターゲット:武器商人アレクセイ・スミルノフ(正体はソ連のスパイであるユーリ・ナゴーレン)
依頼金額:不明
狙撃場所:日本 東京アレクセイ・スミルノフ(ユーリ・ナゴーレン)が立てこもっていたビルの部屋
殺害人数:2人
狙撃対象:モーガン家のボディーガードと武器商人アレクセイ・スミルノフ(正体はソ連のスパイであるユーリ・ナゴーレン)
H:0人
Part1 元防衛庁幕僚長暗殺事件
元防衛庁幕僚長の芦原武昭が狙撃されて殺された。狙撃地点は800m離れたビルの屋上だった。
Part2 二人の関わり
箱館で焼死した高木秀助はは、第二次世界大戦中、芦原武昭と同じ満洲国関東軍参謀本部第二課に所属していた。
その頃、ゴルゴ13が日本に入国している、という情報がもたらされた。
Part3 日本人、秦慎一の話
アメリカのロサンゼルスで警視庁公安第一課の田島隆三が、秦慎一に話をきく。
秦慎一は第二次世界大戦中、ハルピンの特務機関の通訳を務めていた。
田島隆三は秦慎一に、芦原武昭と高木秀助が相次いで殺された、という話をした。
秦慎一は、ロシア革命で亡命した貴族や官僚達による白系ロシア人部隊の話をした。
Part4 白露・外国人部隊
昭和18年(1943年)9月、浅井猛少将から、白露人部隊をソ連軍の軍服を着せて、ソ連軍を混乱させ、その間に日本人民間人を逃して、白露人部隊を見殺しにして時間稼ぎをする、という作戦を知らされた。
昭和18年12月、ユーリ・ナゴーレン大尉が、白露人部隊の教官として、やって来た。
Part5 ナゴーレンへの疑惑
ナゴーレンは白露部隊をあっという間に掌握した。
捕まったスパイがナゴーレンの顔を見ると表情を変えたが、ナゴーレンがムチで殺してしまった。
Part6 ナゴーレンの正体
ナゴーレンはムチで、スパイの声帯を潰し、心臓を潰して、殺したのだ。
1945年8月8日、ソ連が満洲に侵攻した前日、ナゴーレンは姿を消した。
ナゴーレンはソ連のスパイだった。
浅井猛少将は自決した。
ナゴーレンはムチで秦慎一の両目を潰した。
ナゴーレンを推薦したのは芦原武昭と高木秀助だった。二人は特別ルートで日本へ送還された。
秦慎一は、白系ロシア人の生き残りがプロに依頼して芦原武昭と高木秀助を殺した、と推理した。そしてもう一人ナゴーレンがいる、と。
Part7 "上"の命令
田島隆三に圧力がかかり捜査中止命令が出た。
田島隆三は納得できず、武器商人であるアレクセイ・スミルノフ(元ユーリ・ナゴーレン)に会いに行った。
ナゴーレンは、二重スパイの疑いをかけられたので、日本へ脱出したのだった。
Part8 裏通りの外国人
日雇いの仕事をしていた外国人が、仲間を襲ったチンピラを撃退した。その様子を黙って見ているゴルゴ13がいた。
Part9 狙われた"男"
ゴルゴ13に命を狙われていると見たアレクセイ・スミルノフはモーガン家にボディーガードを依頼している、と警視庁公安第一課の田島隆三らは推理していた。。
モーガン家のボディーガード達が、日雇いの仕事をしていた外国人のアパートを急襲したが、本人は闘争しており、狙撃銃PSG-1とロザリオを発見した。
ゴルゴ13がその様子を陰で見ていた。
肉体労働者の男が戻ってきた。ゴルゴ13はその様子も確認した。
モーガン家のボディーガード達は、アレクセイ・スミルノフに状況を報告した。
アレクセイ・スミルノフは自分を狙っている男が、元西ドイツ特殊部隊GSG-9(国境警備隊第九対テロ部隊)のNo.1カール・ホッファだと認識していた。
アレクセイ・スミルノフはロザリオを見て顔色を変えた。
Part10 不気味な尾行者
肉体労働者の外国人の男はカール・ホッファだった。彼はゴルゴ13に尾行されていることに気づいた。
Part11 アメリカからの情報
警視庁公安第一課の田島隆三も、アレクセイ・スミルノフを狙っているのがカール・ホッファだと知った。
Part12 要塞の入口突破
アレクセイ・スミルノフがたてこもるビルにカール・ホッファが1階正面から突入した。
Part13 突入!
ゴルゴ13は屋上にいた。
カール・ホッファがエレベーターで上がっていき、モーガン家のボディーガードを2人斃したが、自分も銃弾を受けた。
アレクセイ・スミルノフ(ユーリ・ナゴーレン)はカール・ホッファに過去の話を始めた。
元・ロシア白軍中将、マクシム・セミョーノフに接近しその娘マリアと愛し合い、彼女に渡したのが、あのロザリオだった。
カール・ホッファは、アレクセイ・スミルノフとマリアの子だった。
だが、ユーリ・ナゴーレンは任務のため、突然、マリアの元を去った。
マリアは客に移された梅毒で死んだ、とカール・ホッファが言った。
そこへゴルゴ13が屋上から窓を突き破って突入しモーガン家のボディーガードを拳銃で射殺した。
カール・ホッファに剣を託されたゴルゴ13はアレクセイ・スミルノフ(ユーリ・ナゴーレン)を殺した。
Part14 闇の中
モーガン家の当主モーガンは、ニューヨークの夕日を眺めながら、ゴルゴ13との会見を思い出す。
彼がアレックス・スミルノフ殺しを依頼したのだ。
アレクセイ・スミルノフが図に乗りすぎたので、アレクセイ・スミルノフを狙っている男がやったように見せかけての殺害を依頼したのだ。
田島隆三は、アレクセイ・スミルノフとカール・ホッファの死を知ったがゴルゴ13の役割は闇の中だった。
【感想】
ロシア革命とソ連による満洲侵攻やモーガン家など歴史の闇を描き出した快作だ。
ゴルゴ13の役割を推理する、推理もののような楽しみもある。
アレクセイ・スミルノフとカール・ホッファが父子だったのに憎み合う悲劇もあり、哀しい作品だ。
増刊第36話 アッシュ最良の日(1994/02作品)
脚本協力:ながいみちのり
ページ数:37ページ
依頼者:前ボス・ウイルスンの古い知り合い
ターゲット:某組織次期ボス候補ヒューイット
依頼金額:不明
殺害場所:アメリカ ダウンタウンにある銀行前
殺害人数:1人
殺害相手:某組織次期ボス候補ヒューイット
H:0人
貧乏な芸術家アッシュは、ゴミを元に芸術作品をつくっていた。
家主のホリスキーは、アッシュに家賃の督促にやってきたが追い返された。
そんなアッシュを見つめるゴルゴ13がいた。
ゴルゴ13がアッシュの所にやって来た。
ホリスキーがアッシュの家に行くと、もぬけの殻だった。アッシュの友人であるロボがやって来て、アッシュがフロリダに行った、と伝えた。
そして滞納していた家賃も渡した。
ゴルゴ13はホリスキーの所に現れた。
某組織次期ボス候補ヒューイットが、銀行の前に車を止めた。
用心棒達が周囲を固めると、アパートが突然爆破され崩壊した。
その間隙を縫ってゴルゴ13がヒューイットを射殺した。
ゴルゴ13は、ホリスキーからアパートを現金で買い取ったのだ。
前ボス・ウイルスンの古い知り合いが、ゴルゴ13との会見を回想する。
ウイルスンの死が"事故死"ではなくヒューイットによる殺害だと見抜いた依頼者は、ゴルゴ13に、ヒューイット殺害を依頼したのだ。
アッシュはフロリダに向かう飛行機上にいた。
【感想】
ゴルゴ13が狙撃のためにアッシュの作品全てを買い取り、アパートも買い取り、アパートを爆破して、銃弾が通る道を作った、スーパー・ショットの一つだ。
狙撃を成功させるためのアイデアと実行力が凄い。
増刊第39話 潮流激(たぎ)る南沙(ナンシャ)-G資金異聞-(1994/04作品)
脚本協力:久留嶋直行
ページ数:78ページ
依頼者:なし
ターゲット:なし
依頼金額:なし
殺害場所:
1)南シナ海、N10°・E115°付近
2)インドネシア、バリ島、キンタマーニ高原のフォスターの別荘
殺害人数:
1)3人
2)1人
殺害相手:
1)マクレイニー石油開発会社ベイツとヘリコプター・パイロットともう一人
2)武器商人フォスター
H:0人
Part1 利権商社
東京丸菱物産本社に東堂が山岸に呼び出された。
東堂は農業支援運動を行っていた。山岸はゴルゴ13に東堂が面識があるか、ときいた。
南沙諸島の檄湯を巡って、中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、台湾、ブルネイなどが、動きを見せている。
向こう四年のうちに領有権を確立したら、200億ドルの開発資金が供与される、という噂が流れており、その資金が"G資金"だというのだ。
山岸は、その話をゴルゴ13に伝えてくれ、と東堂に依頼した。
Part2 邂逅
1994年1月、岩手県下で東堂はゴルゴ13に会い、山岸から聞いた話を伝えた。
東堂は4年以内の領有権獲得について疑問を呈した。
ゴルゴ13は、「1997年・・・香港・・・」と答えた。
Part3 捜査(トレース)その1
1994年2月、ベトナム ホーチミン市で、ゴルゴ13が寝ている国家計画部副議長のグエン・ソム・ワンから薬で情報を聞き出した。
オイルメジャーに繋がりのない"G資金"が南沙諸島の石油開発に流れてきそうだ、という噂は本当だった。
Part4 捜査(トレース)その2
1994年2月、フィリピン、セブ島北部でジョセフ・サンダース元准将の元に、フランス・ルモンド紙アジア特派員アラン・サイジョーと名乗ったゴルゴ13が取材に訪れた。
ゴルゴ13は、アメリカがフィリピンから基地を完全撤退した理由について、質問した。
表向きはピナツボ火山の噴火だったが、真の理由は、南沙諸島を巡って各国が争い、米国兵器同士での戦いが起こることを避けるためだった。
ジョセフ・サンダース元准将は、石油を開発する資金をどうするのか、は知らなかった。
Part5 愚か者の海
1994年3月初旬、南シナ海、N10°・E115°付近
ベイツが乗ったヘリコプターを撃墜したゴルゴ13は、マクレイニー石油開発会社のベイツだけを助け出して岩場に連れて行った。
マクレイニー石油開発会社は、資金のあてがあるから、南沙諸島の石油採掘権を買ったことがわかった。
ゴルゴ13に襲いかかったベイツはゴルゴ13によって返り討ちにあった。
Part6 "G"の敗北
1994年3月某日、インドネシア、バリ島、キンタマーニ高原
フォスターという男の所にゴルゴ13がやって来た。
フォスターが描いたシナリオは、南沙諸島の石油利権を巡って各国が争うように仕向け、武器の需要を作ることだった。
"G資金"にしたのは、消去法だった。ロマノフ王朝、マルコス・マネー、パーレビ国王の遺産などを持ち出すと、それぞれの国が黙っていない。
マレーの虎、山下奉文の財宝やヒトラーの遺産は、これまで何度も詐欺まがいの手口に利用されてきた。
残ったのが華僑資本と"G資金"だった。だが華僑資本は少なくとも5つの幇(パン)に別れており、一本化が難しい。
最後に残ったのが"G資金"だった。
ゴルゴ13を巻きこんだのはマスコミが騒ぎゴルゴ13の活動が難しくするためだった。
ゴルゴ13は黙ってフォスターという男の前から立ち去った。
Part7 すべてを捨てし者
1994年4月2日、アメリカ ニューヨーク国連本部
5億ドルの額面40枚、200億ドル(2兆円)の、いろいろなスイス銀行振り出しの小切手が国連に届いた。
メッセージが同封されていて、3つの条件が書いてあった。
1)自然環境保護活動にのみ使用すること
2)特定の国家や団体などに投資したり贈与しないこと。白く獲得を意図してはいけないこと。
3)出資者を詮索しないこと
差出人は「全てを捨てし者」だった。
国連は記者会見を開いた。
ベトナム、マレーシア、ブルネイ、フィリピン、台湾、中国などで首脳がそれぞれ苦悩していた。
Part8 EPILOGUE
1994年4月4日朝、岩手県内で、東堂は新聞を読んでいた。
国連へ匿名の寄付2兆円
南シナ海石油開発を、共同事業化
そして、東堂の口座に1億円の振り込みがあった。
その新聞の片隅に、バリ島で別荘が爆発し、オランダ国籍の外国人が即死した、という記事もあった。
【感想】
第176話『穀物戦争 蟷螂(とうろう)の斧(おの)』や第180話『穀物戦争 蟷螂の斧 汚れた金(ポリューテッド・ゴールド)』に登場した東堂が三度目の登場だ。
フォスターの企みがゴルゴ13を追いつめた。
ゴルゴ13が敗北を認めフォスターの前を立ち去った後ろ姿が印象深い。
だが、最後はゴルゴ13がフォスターの息の根を止めたようだ。狙撃でなく爆破にした理由はわからない。
2兆円を国連に寄付して、G資金そのものをなくしてしまう、というアイデアは秀逸だが、これまでの財産を失ったゴルゴ13はどんな気持ちだったのだろう。
ラスト2ページのゴルゴ13の姿から想像するしかない・・・
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