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さいとう・たかを『ゴルゴ13 110 ジャパン・オリジナル』(リイド社)(1998/11/05)

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第332話 ジャパン・オリジナル(1994/06作品)

 

脚本協力:熊坂俊太郎
ページ数:84ページ
依頼者:極東重工中尾社長
ターゲット:ANNEX社ブラッド社長とMX2の離陸直前の破壊
依頼金額:不明
狙撃場所:アメリカ アトランタ市ANNEX本社専用滑走路
殺害人数:4人と1機
殺害対象:ANNEX社ブラッド社長とエイガー博士とマクベス弁護士と副操縦士とMX2
H:0人

 エイガー博士らは、日本側が開発担当したMX2の主翼設計にブラッド社長が開発した理論が使われていることを示す数値が出た。
 アメリカによる日本企業に対する特許侵害訴訟が数多く出されていて新たな日米摩擦の火種としてクローズアップされている。
 
Part1 先発明主義
 アメリカ、ANNEX社社長、ヘンリー・ブラッドは、対日本の特許侵害訴訟のことごとくに勝利しているマクベス弁護士が出演するテレビ放送を見ていた。
 ANNEX社本社飛行場に着陸したヘンリー・ブラッドはエイガー博士とマクベス弁護士と会う。
 ヘンリー・ブラッドは、日本と共同開発して、自社の"先発明主義"をタテに根本から日本を揺さぶり叩き潰すつもりだった。
 
Part2 どちらが先!?
 数日後、ヘンリー・ブラッドの発明と同じ事を戦時中に日本側も進めていたという証拠が出てきた。
 ヘンリー・ブラッドの兄は"カミカゼ"で死んでおり、日本に仕返しすることは兄の復讐でもあるのだ。
 マクベス弁護士の助手ジュディは、ヘンリー・ブラッドが1945年に発表した論文と同種の論文がヘイキチ・テラタニによって1942年に発表されていたことをつきとめた。
 論文は公文書館には残っていなかったが、本人が存命していた。
 
Part3 早すぎた理論
 ジャパン、新東京国際空港にマクベス弁護士が降り立ち、山梨県・甲府市に向かった。
 訪ねてきたマクベス弁護士に、ヘイキチ・テラタニは、1942年に論文を発表したこと、友人で現在極東重工社長の中尾に説明したことを話した。
 マクベス弁護士は、小切手を取り出した。
 
Part4 不吉な予感
 極東重工社長・中尾は寺谷と映った写真を落とした。
 山梨県甲府市、甲府中央病院に寺谷が運ばれ亡くなった。
 彼の腕には薬物投与の可能性が残っていた。
 マクベス弁護士は、寺谷が持っていた写真を破り捨てながら、「ばかな男だ・・・!」と心の中でつぶやいた。
 
Part5 政府の圧力
 東京、霞が関、通産省
 特許侵害を受けた極東重工社長・中尾を通産省の役人が追及し、確たる証拠がないと支援できない、と言った。
 MX2の調印式は来週でそれまでに覆さないといけなかった。
 終戦の日に書類が焼却されていた。
 
Part6 取りへの嫌悪
 寺谷の死を報ずる新聞を見たブラッド社長は、仕方ない、と言った。
 マクベス弁護士は寺谷の元から奪った論文の原本を暖炉に投げ込み焼却した。
 ブラッド社長は、鳥を嫌悪していた。
 
Part7 寺谷の遺産
 中尾社長は寺谷の葬儀に出席し、寺谷が残したものを見つけ出した。
 それは航空機の模型だった。
 
Part8 契約破棄
 極東重工社長・中尾はMX2調印の延期を主張した。
 模型の写真を見せて中尾は、あの翼の設計は寺谷のものだ、と言い切った。
 ブラッド社長は、調印延期に合意した。
 ブラッド社長は模型の写真にあるC7Kという試作コードから場所を特定した。
 
Part9 深夜の連絡
 寺谷の残した模型を隠してあった地下の研究所跡が全焼した、という連絡が中尾社長のもとに入った。
 
Part10 MX2初飛行
 アトランタ市、ANNEX本社専用滑走路
 MX2の初飛行が始まろうとしていた。
 中尾社長はゴルゴ13に、ブラッドへの復讐と共にMX2を離陸直前に破壊することを、依頼していた。
 ブラッド社長がMX2を滑走させる。
 ゴルゴ13が多数の鳥がいる木を撃った。
 鳥たちが飛び立ち、エンジンに吸い込まれる。
 そのまま滑走路脇の格納庫に激突して炎上した。
 
【感想】
 この頃、アメリカからの特許侵害訴訟が多発していた。
 この作品で描かれたようなずる賢いことが裏では多々あったことだろう。
 勧善懲悪の本作品のストーリーは痛快だ。
 
 なお、Kindle版の奥付は1985年12月5日だが、109巻が1998年なので、誤記と判断し、Amazonコミック版の発行年月日に会わせて1998年11月5日発行とした。
  

 

第335話 天使と悪魔の"腕"(1994/10作品)

脚本協力:木村睡蓮
ページ数:83ページ
依頼者:州知事候補スタンツ
ターゲット:慈善家サミエル・ビューリー・ワサン
依頼金額:不明
殺害場所:アメリカ・シカゴ
殺害人数:2人
殺害相手:慈善家サミエル・ビューリー・ワサンと州知事候補スタンツ
H:0人

 アメリカ・イリノイ州 シカゴより北へ106マイル、ワザパマニ湖畔でゴルゴ13と、州知事候補スタンツが会っていた。
 ゴルゴ13は依頼を引き受けた。
 スタンツの腕時計の下にはナチスの鉤十字の入れ墨があった。
 
Part1 フリー・ウエーの災難
 シカゴ市内へ向かうフリー・ウエー47号線で、交通事故があった。対向車線から突っ込んできた車をよけきれなかったゴルゴ13はケガをしていた。
 病院では腕の悪い医師が当直だった。看護師は、カッター主任に連絡をとろうとしていた。
 意識を取り戻したゴルゴ13は・・・
 
Part2 整形外科医ヤン
 慈善家サミエル・ビューリー・ワサンが開いたパーティーが開催されていた。
 ワサンが育てたヤン・リー・カッターは目隠しをしてCDに触るだけでどのレコードか当てることができるほどの繊細な指先の神経を持っていた。
 天使の腕を持つ男だった。
 
Part3 "移民の子"たち
 ゴルゴ13は、病院を脱走した。
 ヤン・リー・カッターの孤児院時代の友人フレッドは運転手をしていたが、彼の部下が殺された。ハーケンクロイツを掛けられていた。
 
Part4 イリノイ・ナチ
 州知事候補のスタンツがサミエル・ビューリー・ワサンに、パーティーに行けなかったことを詫び、若き日の写真を返すように頼む。
 スタンツはかつて、イリノイ・ナチのメンバーだった。
 スタンツは超一流のスナイパーを連れてきた、とワサンに伝えた。
 
Part5 忍び込んだ患者
 ヤン・リー・カッターの家にゴルゴ13が忍び込んでいた。
 ゴルゴ13の右手は何も握れなかった。ゴルゴ13はヤン・リー・カッターに治療を依頼した。
 正中神経と尺骨神経がダメージを受けているようだった。
 
Part6 最後通告
 ワサンの自宅を訪ねてきたスタンツは、写真の返却を頼む。
 ワサンは州知事選までに公表する、と言って、渡すのを拒否する。
 スタンツはワサンにゴルゴ13を雇った、と言った。
 フレッドは、ゴルゴ13の写真を見てヤン・リー・カッターが治療した男がゴルゴ13だと気づいた。
 
Part7 医者として・・・
 手術から三週間経過して、ゴルゴ13の治療は順調だった。
 ヤン・リー・カッターは1966年、文化大革命の年にアメリカに来たが両親がすぐ死んでからはスリをしていた。
 ワサンに拾われて、整形外科医になったのだ。
 フレッドがヤン・リー・カッターにゴルゴ13の正体とゴルゴ13がワサンを狙っていることを話した。
 
Part8 期限は迫った
 あと5日で州知事選だ。スタンツは焦っていた。
 ゴルゴ13に狙われているワサンはフレッドにスタンツの写真がスプリングフィールドの生家の金庫の中だ、と伝えた。
 
Part9 依頼遂行
 ヤン・リー・カッターとフレッドはワサンにシカゴを離れるように言おうとした矢先、ワサンが狙撃されて死んだ。
 
Part10 犯人は左きき
 ワサンを殺した犯人は、狙撃現場に左きき用の銃を残していた。
 ワサンが死んで喜んでいたスタンツの所に、ゴルゴ13から電話がかかってきた。
 「・・・ルールを守らせてもらうぞ、Mr.スタンツ・・・」と。
 そしてスタンツが狙撃されて死んだ。
 
Part11 犯人は右きき
 スタンツ殺しの犯人は右きき用の銃を置いて逃走した。
 
【感想】
 ゴルゴ13が大怪我を負った。右腕が使えなくなる大ピンチだ。
 奇跡の腕を持つヤン・リー・カッターの手術と治療によって回復したが、ゴルゴ13の標的は、命の恩人であるヤン・リー・カッターの恩人だった。
 ゴルゴ13はヤン・リー・カッター医師への義理を果たすために左きき用の銃でワサンを殺した。
 そしてゴルゴ13のルールを破った依頼者であるスタンツは右きき用の銃で殺した。
 ワサンを殺した時はヤン・リー・カッターの手術や治療がなくても殺せた、とゴルゴ13は示したのだろう。
 スタンツを殺した時は、ヤン・リー・カッターの治療のおかげで右手が回復したことを伝え、ワサンの仇討ちをしたことを言いたかったのだと思う。
 

 

第338話 冷血COOL BLOODキャサリン(1995/01作品)

脚本協力:国分康一
ページ数:74ページ
依頼者:
  1)IRA
  2)IRAキャサリン・マッコール
  3)MI6
ターゲット:
  1)UVF(アルスター義勇軍、プロテスタント系の過激組織)幹部マクギネス
  2)IRA
  3)IRAのテロリスト、パメラ
依頼金額:不明
殺害場所:
  1)北アイルランド西北の都市・デリー
  2)3)北アイルランド、ベルファストのパメラの部屋
  
殺害人数:
  1)1人
  2)3)1人
殺害相手:
  1)UVF(アルスター義勇軍、プロテスタント系の過激組織)幹部マクギネス
  2)3)IRAのテロリスト、パメラ
H:1人(IRAのテロリスト、キャサリン・マッコール)

 

 1990年春、北アイルランド、ベルファストで、IRAの女戦士二人が爆弾を爆破しようとしていた。
 キャサリンの手が震えたので、パメラが起爆装置を奪って爆破した。

Part1 過激派の巣
 1994年冬、北アイルランド、ベルファストで過激派の拠点として名高いフォールズ街
 パメラが、IRA幹部が停戦宣言を堅持することを強く批判していた。
 それをなだめようとするキャサリンだった。
 COOL BLOOD冷血キャサリンと噂された彼女だが、今やパメラに顔の上がらない"臆病者のキャサリン"になっていた。
 彼女は6年前は人質を平気で撃ち殺し、二丁拳銃で5人の警察官を撃ち殺すような冷血キャサリンだった。
 
Part2 IRAの苛立ち
 キャサリンはチャーリーと会っていた。
 パメラが武力闘争の継続を主張する仲間と立てこもっていることを、チャーリーとキャサリンは止めようしていた。
 チャーリーはキャサリンにパメラ説得を頼んだ。
 パメラはそんなチャーリーの車に爆弾を仕掛け、爆破して殺した。
 
Part3 キャサリンの返事
 キャサリンが拳銃で訓練していた。
 そこにジャックがやって来て、パメラが会いたい、と伝えた。
 キャサリンは、会いたくなったらこちらから連絡する、と言った。
 キャサリンは、死んだ父の無二の親友だったチャーリーを殺したパメラを許せなかった。
 
Part4 再開の海岸
 キャサリンは海岸でゴルゴ13と10年ぶりに会った。
 ゴルゴ13も「ああ・・・」と応じた。
 
Part5 キャサリンの決心
 ホテルでゴルゴ13とキャサリンは寝た。
 1985年にも北アイルランド西北の都市・デリーで、キャサリンはゴルゴ13のサポートについた。
 標的はUVF(アルスター義勇軍、プロテスタント系の過激組織)の幹部マクギネスだった。
 キャサリンはゴルゴ13にパメラ殺害を依頼した。
 報酬は入らない、とゴルゴ13が答えた。
 
Part6 パメラの"窓"
 冷血と呼ばれたキャサリンが変わったのは1989年冬、息子で黒髪の3歳のジョーイが爆弾で死んだ。
 キャサリンはパメラの部屋にあるインテリア上部のデザインの丸い輪の中である狙撃地点にパメラを立たせる、と言った。
 キャサリンはパメラに会いに行った。
 パメラは、MI6がパメラを消すためにゴルゴ13を送り込んだ、という情報を知っていた。
 パメラはキャサリンに銃口を向けて引き金を引いた。
 それを見てゴルゴ13はパメラの位置を特定しパメラを殺した。
 ゴルゴ13は銃口の閃光と窓ガラスを抜けた弾丸の位置から標的の位置を特定したのだ。
 北アイルランド紛争は、1994年8月31日、IRAの無期限停戦宣言で、今後の展開が注目される。
 
【感想】
 この作品が発表された頃、中東と並んでテロの多い地域だった。
 ラストシーンで、北アイルランド紛争がどうなるか、「今後の展開が注目される」となっているが、現実には以下のようになった。
 1998年4月の「ベルファスト合意」によって、テロは減少したが、完全になくなりはしなかった。
 2003年にIRAが武装解除を宣言し、2005年に武装解除を完了した。
 イギリスのEU離脱により、紛争が再燃するかと言われたが、関税ゼロが維持されたことで大きな混乱なく、イギリスのEU離脱が行われた。
 一応、テロが激化しなかったのは、よかったと思う。
 これもゴルゴ13の活躍のおかげだ。

  

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