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さいとう・たかを『ゴルゴ13 113 殺人マニュアル』(リイド社)(1999/08/05)

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第337話 殺人マニュアル(1994/12作品)

 

脚本協力:新井たかし
ページ数:82ページ
依頼者:なし
ターゲット:なし
依頼金額:なし
殺害場所:

  1)インド・ニューデリー ラシャバラク議員のパーティー会場

  2)インド・ニューデリー O・S・P協会理事長のリヴェッツの自宅

  3)インド・ニューデリーの廃工場
殺害人数:

  1)0人

  2)1人

  3)1人

狙撃対象:

  1)シン議員がかわいがり、次のリーダーと目されているラシャバラク議員のグラス

  2)O・S・P協会理事長のリヴェッツ

  3)O・S・P協会理事長のリヴェッツの実の息子でゴルゴ13のもの真似をしていたフランキー
H:0人

 

 ノーベル賞候補化学者 アラン・ディ・コベット博士がロンドンのレストラン前で射殺された。グローバルTVの人気キャスター、ジム・ダグラス氏がフロリダ沖のヨット上で射殺された。

 

Part1 夜を知らない男たち
 インドのニューデリーの町角でインド最大のトラック輸送会社社長が射殺された。

 イブニング・ニューデリー紙の記者ジョージがその事件の現場写真を撮って帰社した。

 

Part2 殺人事件の裏側

 ジョージはこれで今年になってから53回目のトップの座を守り、他の記者に他差をつけての第一位だった。

 ジョージの横にゴルゴ13が接近して、話をした。過去にジョージはカシミールの件でゴルゴ13に情報を送ったことがあったが今回は別件だった。

 ジョージは情報屋でタクシー運転手のガネーシャを呼び、中で会話する。ゴルゴ13は、イブニング・ニューデリーに載った殺人事件やアラン・ディ・コベット博士射殺事件が、かつてのゴルゴ13の"狙撃"の手順をなぞったもの、つまり、誰かがゴルゴ13のもの真似をしているので、誰の仕業か調べろ、とジョージにゴルゴ13が依頼した。3万米ドル払うということだ。

 

Part3 コンノート・プレイス殺人事件

 コンノート・プレイスでまた殺人事件が発生した。ジョージはその様子を写真におさめた。

 

Part4 共通点を探せ!

 ジョージはコンノート・プレイスの現場写真をゴルゴ13に見せた。被害者はシンガポールの証券業界を牛耳っている男だった。ゴルゴ13は被害者の共通点を探せ、と指示した。ジョージはデータベースで早速調査した。

 

Part5 不気味な"共通点"

 ジョージは、ゴルゴ13に報告した。第一の共通点は、ゴルゴ13のテクニックを使っていること。第二の共通点は、被害者の連中がみな功なり名を遂げた人たち、高い社会的地位に就いている人たちだ。第三の共通点が四人とも臓器移植手術の"経験者"だった。ボンベイの同じ病院で手術を受けていた。

 ゴルゴ13は、政界で病気の噂のある奴、今すぐにでも新しい臓器を必要としている奴の周辺を調べるよう指示した。

 

Part6 アクシデント

 ジョージは国会の老いぼれ議員のシンの所に向かった。その時、何者かがシン議員を射殺したのを目撃した。第二弾がジョージを狙ってきた。ゴルゴ13らしくなくジョージに命中させられなかった狙撃者フランキーは、闇雲にジョージを狙って何発も撃ってきた。フランキーは、逃走した。

 

Part7 臓器移植の疑惑

 ジョージはシン議員夫人から、臓器移植を確実にするための秘密倶楽部の存在を聞き出した。ゴルゴ13はシン議員と仲の良い人物、つながっている人物がいないか、ジョージに聞く。ジョージは、主義主張が同じで次のリーダー、ラシャバラクだろう、と答えた。

 

Part8 射抜かれたグラス

 ラシャバラク議員はシン議員が射殺されたが、パーティーを中止せず開催していた。

ゴルゴ13がラシャバラク議員のグラスを射抜いた。

 

Part9 倶楽部を脅かす"者"

 ラシャバラク議員が倶楽部のボスの所に抗議に言った。ボスが、シン議員のように倶楽部を抜けたいと言うのか、とラシャバラク議員を問い詰める。

 そんな事はない、だからあんな脅しはやめてくれ、とラシャバラク議員が答える。

 ボスがフランキーに、何かやったか、きくと、フランキーは知らない、と答えた。

 ボスはフランキーにラシャバラク議員を追い怪しい行動が見えたら殺せ、と命じた。

 ゴルゴ13がラシャバラク議員を尾行しているところをフランキーが見た!

 ジョージは、シン議員夫人から"臓器倶楽部"があり、臓器を優先的に斡旋してくれる秘密クラブだった。倶楽部は非合法なこと、つまり臓器を集めるために人身売買を始めたという噂を聞いたシン議員は、脱会しようとしたが、倶楽部はさまざまな脅迫を試み、シン議員は拒否し続けて殺されたのだった。

 

Part10 たぐられる"男"

 ゴルゴ13が誰が自分のスタイルをマネしているか調べている、と相棒のパソコンオタクのエドがフランキーに話した。ラシャバラク議員がO・S・P協会に飛んでいき、ボスのリヴェッツ氏が一連の殺人事件の裏にいることを、ゴルゴ13がたどりつくのも時間の問題だ、とパソコンオタクのエドが言った。

 ジョージはゴルゴ13に、O・S・P協会とその理事長のリヴェッツについて情報を得た。リヴェッツは、医療関係のボランティア活動で有名な実業家だった。

 パソコンオタクのエドは、フランキーとゴルゴ13が戦った場合、99.99%の確率でフランキーの負けだ、と言った。

 

Part11 深夜の訪問者

 O・S・P協会理事長のリヴェッツの元にゴルゴ13がやって来た。リヴェッツはフランキーがゴルゴ13のマネをしていることは知らなかった。フランキーを守るために銃口を向けたリヴェッツをゴルゴ13は返り討ちにした。

 

Part12 ただ一つの方法

 O・S・P協会理事長のリヴェッツの死を聞いたフランキーは、パソコンオタクのエドのもとに走った。ボスのリヴェッツはフランキーの父親だった。フランキーはエドにゴルゴ13に勝つ方法をコンピューターに出させろ、と頼む。断るエドだったが、とうとう、一つの方法を提示した。

 

Part13 ニセ者の逆襲

 フランキーはゴルゴ13に会い、廃工場に行き、振り向いた時が勝負だ、と言った。そして後方に銃弾を発射する仕込み銃でゴルゴ13を狙った。しかし、ゴルゴ13はそれを読んでいて、ジャンプしてフランキーを射殺した。
 
【感想】
 ゴルゴ13のもの真似をするくらいだから、フランキーの狙撃の術も凄い。だが、彼のような精神だと長生きはできなかっただろう。

 臓器移植のための人身売買については、恐ろしいが、インドだけでなく中国や東南アジア、もしかしたら日本でも(?)、現実に行われているだろう。

 そんな臓器移植の恐ろしさを先取りして描いたのが本作品だ。

 

増刊第42話 アムールの制裁(1995/05作品)

脚本協力:国分康一
ページ数:39ページ
依頼者:ソ連関係者
ターゲット:元ソ連国防軍特殊部隊隊員ユーリ・マルコフ
依頼金額:不明
殺害場所:ロシア・中国国境近くのタイガ
殺害人数:1人
殺害相手:元ソ連国防軍特殊部隊隊員ユーリ・マルコフ
H:0人

 シベリア鉄道で車掌からユーリ・マルコフが荷物を受け取った。車掌はカネを受け取った。男は車掌を殺して列車から突き落とした。

 アメリカ南部で、仕事をしていた世界的な文豪で著名なハンター、ホワイト・ガードナーに電話がかかってきた。男は一生に一度の機会だ、地球上で最も美しく、偉大な"獲物(トロフィー)"か、と喜んで猟銃を構える。

 ロシアのハバロフスクで、テレビ・ディレクターのヘンリーとホワイト・ガードナーが話をしていた。ホワイト・ガードナーがアムール虎のハンティングをしようとしていた。ユーリ・マルコフという男がやって来た。ユーリ・マルコフがアムール虎のもとへの案内人だった。

 ユーリ・マルコフと、ヘンリーとテレビ・クルーのマイケルとモートンとホワイト・ガードナーがアムール虎を追って歩く。

 ユーリ・マルコフが、アムール虎のテリトリーに着いた、と言った。

 一行がテントで休んでいた。ユーリ・マルコフがマイケルの死体を見つけた。ユーリ・マルコフがモートンをナイフで殺した。そしてホワイト・ガードナーの背後に回り殺そうとした。その時、ゴルゴ13がユーリ・マルコフを射殺した。生き残ったホワイト・ガードナーとヘンリーは逃走した。

 ゴルゴ13は依頼時を回想する。ユーリ・マルコフは、ハバロフスクからロシア・中国国境に向かっていて、ウラニウム235を持っていた。核兵器を欲しがっている東洋のごく小さな国のために国境地帯で受け渡そうとしていた。

 逃走してきたホワイト・ガードナーとヘンリーは、カメラやライフルを忘れてきてしまった。その時、何かの生き物の咆吼を聞いた。
 
【感想】
 ユーリ・マルコフがテレビ・クルーに紛れ込み核兵器の受け渡しをしようとしており、それをゴルゴ13が阻止した。

 アムール虎は本当に生き残っているのだろうか?ホワイト・ガードナーとヘンリーが聞いた咆吼は本当にアムール虎なのだろうか?
 

 

第344話 砂上の帝国(1995/06作品)

脚本協力:静夢
ページ数:119ページ
依頼者:ランベルト銀行ランベルト頭取
ターゲット:

  1)元KGB大佐でロシアンマフィアのボスでフロンティア・ファンドのボス グラチョフ

  2)フロンティア・ファンドの運用責任者 スミルノフ
依頼金額:不明
殺害場所:

  1)アメリカ・ニューヨーク
  2)キプロスの海上
殺害人数:
  1)1人
  2)1人
殺害相手:
  1)元KGB大佐でロシアンマフィアのボスでフロンティア・ファンドのボス グラチョフ
  2)フロンティア・ファンドの運用責任者 スミルノフ
H:0人

 

Part1 摘発

 スイス、ベルン、スイス連邦警察庁で、凄腕マイヤー捜査官によって、大規模マネーロンダリングを摘発し、1500万ドルの資金を没収した。

 マイヤー捜査官が麻薬中毒患者更正活動をしている神父のところに行った。そこには運動を物心両面で神父の活動を支えるランベルト銀行の頭取もいた。

 

Part2 満月

 チューリヒで、ランベルト銀行の頭取ランベルトの息子で副頭取の男が薬物を打ち、ホームレスを轢いた。そこを目撃されてしまった。

 

Part3 ロシアンマフィア

 ロシア、モスクワで、ロシアンマフィア達が様々な手段で1億ドルを溜め、外に乗り出そうとしていた。

 

Part4 スカウト

 イギリス、オックスフォードでKGBのグラチョフ大佐がイギリスの亡命したスミルノフ博士と会った。グラチョフ大佐は、スミルノフ博士にデリバティブによる資金運用を求めた。

 

Part5 ゆすり

 グラチョフがランベルト銀行副頭取の元を訪れ、現金1億ドルを多くの仮名口座に分散して預けさせろ、と言った。

 マイヤー捜査官は、大口預金リストの"G"についての情報を女から得た。

 

Part6 信用

 マイヤー捜査官はランベルト銀行副頭取に"G"について聞き出そうとしたが、副頭取の口は堅かった。

 あるパーティー会場で、ランベルト銀行副頭取のところにグラチョフが現れ、お友だちを紹介してほしい、と言った。

 

Part7 正体

 グラチョフにランベルト銀行副頭取が紹介した人が、グラチョフが出資しているデリバティブ・ファンドに出資することにした。

 マイヤー捜査官は"G"について調べていた。資料室の主が"G"がゴルゴ13であることを、伝えた。

 

Part8 反撃

 グラチョフの元に、ランベルト銀行副頭取がやって来て、自分とグラチョフの関係はまともじゃない、と言って抗議した。

 ランベルト銀行副頭取がヘロインの大量投与によるショック死した死体が発見された。

 操作していたマイヤー捜査官はランベルト副頭取のスーツの袖から駅のコインロッカーのキーを発見した。マイヤー捜査官はそこにグラチョフらロシアマフィアに関する資料を発見した。だが、マイヤー捜査官らがグラチョフのもとに着いた時にはもうグラチョフ達は逃げていた。

 

Part9 膨張

 キプロスのニコシアにグラチョフ一味がいた。スミルノフとスタッフ達が順調に仕事をしていた。

 

Part10 事情

 USA、ニューヨーク、ウォール街、大和銀行ニューヨーク支店、ディーリングルームには、元東亜銀行秘書室長の滝田がいた。円高ドル安の動きが盛んで、ヘッジファンドなどが、中央銀行の介入をものともせず、収益を得るために戦っていた。

 

Part11 野望

 フロリダ沖で、グラチョフが旧ソ連の人達と船上パーティーをしていた。

 その船のボーイでカルロスという男がいた。それはゴルゴ13だった。

 

Part12 秘密

 マイヤー捜査官はランベルト銀行頭取のもとを訪ねた。彼はランベルトにゴルゴ13の写真を見せた。ランベルトは、顧客の秘密を守る、と断言した。

 

Part13 脅威

 ニューヨークで滝田は会食相手と、円ドル取り引きについて話していた。日米政府の足並みが揃っていないこと、ヘッジファンドのような投機取引が本来の取り引きの50倍に達しているのだ。

 アメリカ国務省にマイヤー捜査官がやって来て、グラチョフに関するレネ・ランベルト殺人容疑とマネーロンダリング容疑で、捜査協力を依頼するためだった。

 キプロスのニコシア、フロンティア・ファンドで、スミルノフが2日間以上も取り引きしていた。スミルノフが帰宅した。そして、マーケットが強さを求め、むだをそぎ落とし完璧を求め、完璧の彼方にあるのは"無"、それは”死”だ。マーケットを"死"に導くのは自分だ、と言う。

 

Part14 淘汰

 キプロス、ニコシアでスミルノフはどんどん値上がりする様子を見ていた。

 三日後、エマージングマーケットの通貨や株が大暴落を始めた。やまと銀行はさほどダメージを受けなかった。

 

Part15 暴走

 グラチョフとスミルノフが電話していた。スミルノフは、「マーケットを死に導くのはこの私だ。生まれ落ちて以来、私は死を見つめ続けていた・・・永遠の生を得るためには荘厳な"死"が必要なのだ・・・アメリカを、いや、世界を支える金融マーケットを私の手で葬り去ってやるのだ!」と答えた。

 怒り狂ったグラチョフはキプロスへ戻ろうとする。

 そこへマイヤー捜査官が現れた。グラチョフ一味が逃走したが、逮捕されそうになった。

 その瞬間、ゴルゴ13の銃弾がグラチョフの眉間を貫いた。

 

Part16 駆け引き

 円高はますます進んでいた。

 日本はアメリカ財務省に、協調介入を依頼したが、アメリカはドル安ではなく円高であって、日本の問題だ、と断言した。

 マイヤー捜査官は国務省の男から、グラチョフの"フロンティア・ファンド"の運用責任者のスミルノフとグラチョフの間にトラブルがあった、という推理を聞いた。マイヤー捜査官はゴルゴ13が同じ飛行機に乗っていることに気づいた。

 

 キプロス、ラテルナ空港でマイヤー捜査官は、俺の邪魔をするな、とゴルゴ13に言った。ゴルゴ13は無言で立ち去った。

 

Part17 誇り

 アメリカ財務長官宛てに黒い薔薇が送られた。

 キプロス、フロンティア・ファンド・オフィスに、マイヤー捜査官がやって来て、スミルノフに出てこい、と言った。

 スミルノフはヨットハーバーにいた。スミルノフはクルーザーで沖に向かった。その時、スミルノフが射殺された。

 ゴルゴ13はランベルト頭取の依頼時を回想する。ランベルト頭取は、息子の副頭取を食いものにし、大切なお金を弄ぶ奴らを許せない、と言った。

 

Part18 虚栄

 ドル安が起こっていた。株も底が抜けたようになった。アメリカがドル安・株安・債券安というトリプル安に陥った。

 もはや誰もアメリカを買い支えようとしない・・・
 
 
【感想】
 元KGB大佐でロシアンマフィアのグラチョフが、マネーロンダリングしてヘッジファンドを作り、大金を運用する。その運用担当者が天才スミルノフだが、彼はマーケットを破滅させようとしていた。

 この頃、ヘッジファンドがハゲタカファンドと呼ばれ、だいぶ叩かれていたと記憶している。ヘッジファンドの仕組みや、円高に対する日米の連携の悪さが、作品中で、巧みに描かれている。

 第320話『BEST BANK』や第328話 『BEST BANK II オフサイド・トラップ』に登場した滝田が三度目の登場だ。円高やマーケットの混乱に対応しようとするが、畑が違うからかこれまでのような活躍はできない。

 ゴルゴ13はあまり登場シーンは少ないが、ランベルト銀行頭取の依頼を忠実に実行した。

 

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