1982年1月1日の試合5試合と1月28日の試合。
原点回帰、ストロング・スタイルの神髄を見せるというテーマの元旦決戦だ。
【1】藤原喜明 vs カール・ゴッチ 1982/01/01 後楽園ホール
当時58歳のカール・ゴッチと全盛期に近い藤原喜明の道場のスパーリングをそのままリング上で披露したような試合だった。
58歳とは思えないカール・ゴッチのコンディションの良さが光る。
フィニッシュのジャーマン・スープレックス・ホールドのブリッジは素晴らしい。
【2】長州力 vs アニマル浜口 1982/01/01 後楽園ホール
リキ・ラリアットを初披露した試合。
前半のグラウンドの攻防は見応えがある。
リキ・ラリアットは、将来、長州力の決め技になるような迫力も威力もなかった。
アニマル浜口は一応倒れたが、ラリアットの威力で倒れたというより、倒れてあげた、という感じだった。
打ち込んだ長州力の方が肘を痛そうにしていた。
この試合では、二人の間に相通ずるものがあったのだろう。好試合だった。
【3】タイガーマスク vs ダイナマイト・キッド 1982/01/01 後楽園ホール
タイガーマスクは足首の剥離骨折から復帰第一戦でいきなりのタイトルマッチだ。
足首の痛さは見えないが、試合を離れていたために試合勘が落ちている感じがする。
ダイナマイト・キッドはいつものように激しい攻撃だ。
返し技での決着。
【4】ボブ・バックランド vs 藤波辰巳 1982/01/01 後楽園ホール
バックランドのWWFヘビー級のベルトにヘビー級転向直後の藤波辰巳が挑戦した試合だ。うまく噛み合ったいい試合だった。それだけにラストが残念。
ローリング・クラッチ・ホールドを返そうとした藤波の両肩がついての3カウント。
勝者のバックランドが納得せず延長を要求し、ベルトを巻きたがらないという珍しい試合だった。
【5】アントニオ猪木 vs ローラン・ボック 1982/01/01 後楽園ホール
ヨーロッパ風に5分1ラウンドの戦いだ。
ローラン・ボックは大きな体格に組んだときのパワーが凄い。さすがは欧州の帝王という感じだ。猪木の組技には全くつき合わない。
じれた猪木がローキックを放ち、不利な状況を打開した。
これが最後の来日になったボックだが、もっと二人の戦いを見たかった。
【6】アントニオ猪木 vs アブドーラ・ザ・ブッチャー 1982/01/28 東京体育館
前年の1981年にブッチャーを引き抜いた新日本プロレスだが、ブッチャーを活かせず、猪木とのシングルマッチはこれが初。
ブッチャーのセコンドのバッドニュース・アレンの乱入で猪木の反則勝ち。
ブッチャーのファイトと猪木のファイトはやはり噛み合わないとあらためて思った。