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白土三平『カムイ外伝 伍』(小学館)(1998/03/10)



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もくじはこちら

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第3部[黒塚の風]

 第4話 百日童(ももかわらし)

第3部[変身の色]

 第1話 日暮れて

 第2話 人狩り

第3部[黒塚の風]

第4話 百日童(ももかわらし)

 カムイが旅を続けているが、その後を黒塚のお蝶が自分の金を取り戻すためにカムイをつけていく。カムイを落とし穴に落とそうとして穴を掘ろうとするが、力が足りなくて困っていると男の子が現れ手伝わせる。男の子が道を行く人々にも手伝わせるが、人々が目的を聞くと、男の子がお蝶を指差し落とし穴を作るという。人々がお蝶を追いかけるのでお蝶と男の子は逃げる。

 桑名の浜に来た二人の前で新船を祝っており無礼講だった。お蝶は酒をもらい、餅をもらった。カムイも顔に泥をつけられた。

 道を歩くカムイの前にウツセが現れた。その殺気に気づいたカムイは大ジャンプをしてかわす。

 伊賀、下柘植の下人・・・百日(ももか)のウツセ。産まれて百日経たないうちに捨てられ、伊賀の下忍に拾われ、剣の天分を見込まれ尾州柳生の下働きをしていた。新陰流の秘太刀を盗み柳生から追われる身となりながら、義父(不動)の仇を討つべく追忍としてカムイを追っていた。

 カムイは何かを焼いて食事をするが、黒塚のお蝶は何も食べられずひもじい思いで夜を過ごしていた。そこに男の子が現れお蝶と一緒に寝る。

 飢えたお蝶と男の子は犬の餌になった饅頭を犬から盗む。お銚子一本あったら、と言うお蝶の声を聞いた男の子は酒を盗みに行き捕まった。お蝶は自分がお銚子一本あったら、と言ったためだということ、血のつながりがないと話すと、それを粋に感じた男が、酒と饅頭をくれた。

 男の子は地蔵峠をこえ、大日向村、独古山の裏側の日陰村の隣にある石積村から来たのだ。道で男の子の姉と出会った。男の子の名はモモカと言った。姉は二十両で女衒に買われていたのだった。

 女衒に連れられていく姉を追いかけるお蝶とモモカだったが、金がないので、川で溺れて助けられた。

 その頃モモカの姉は女衒の頭に大きな石を叩きつけて女衒から逃げ出した。

 お蝶とモモカは、店で飼っている鶏をつかまえて焼いて食べていた。

 姉とモモカが合流できた。

 お蝶は売春して金を稼ぐ。そして荷車に乗せてもらったり野宿して石積村に戻る道を行く。

 山で灯りが見えたのでそこで一泊することにした。中にはお婆さんが一人いた。風呂に入れてもらい、食事を食べた三人は、お婆さんの紹介で住み込みで働くことにする。その家の主はあの女衒だった。

 女衒はモモカの姉を拷問し、モモカとお蝶を追い出した。モモカの姉を助けるには三十両の金が必要だった。

 お蝶は働き口を探すが見つからない。そして殺しの手伝いをすることになる。島出雲に卵を使った目つぶしを仕掛けたが、島出雲は目つぶしを受けながらも刺客を返り討ちにし、お蝶の左耳をそぎ落とした。刺客が持っていた金を盗んだお蝶はモモカを探す。モモカは女郎屋で姫買いの吉を殺して放火し、姉と共に逃げていた。

 お蝶とモモカと姉の三人は雪山を逃げていた。女衒達は犬を使って追跡していた。追いついた女衒達が犬をけしかけた。三人は必死に戦う。女衒達はその姿を見て、あきらめて去った。しかし、モモカと姉はそこで息絶えた。

 お蝶は二人の骨を石積村に埋めてやろうと持っていく。

 石積村に着いたがそこは廃墟だった。カムイが現れ、石積村は数年前に飢饉で絶えたと言った。そしてカムイはモモカを見ていないとも言った。お蝶が二人の骨の袋を開けて骨を埋めようとしたら砂しか入っていなかった。

 お蝶の前にあるのは百日塚(ももかづか)だった。百日経たずに捨てられ逝った子らは百日童(ももかわらし)になるという。成仏できずにこの世をさまようという・・・もし運良く親に巡り合えば必ず親孝行するという。

 「するとあの子は・・・」と泣くお蝶。

 「心当たりでも・・・」ときくカムイ。

 「そんなものがあたしなんかに・・・モモカ!」と泣くお蝶。

 カムイはお蝶を置いて去って行った。

 お蝶は旅をするが、若い娘に親切に声をかける。

 (1983/01/23作品)

 

[感想]

 モモカはお蝶の子供で百日童(ももかわらし)だったのだろう。

 お蝶は心当たりがないと言ったが、本当はあったのだと思う。人の心の動き絶妙に描いた傑作だと思う。

 

第3部[変身の色]

第1話 日暮れて

 尾州尾張藩では新田開発のための荒地伐採が行われていた。カムイもそこで働いていて一人の老剣士と会った。

 二人が居酒屋で呑んでいるとチンピラがやってきた。カムイは殴られたが、老剣士が外に出てチンピラと戦ったが、老剣士が膝を崩した。石つぶてによってチンピラがひるみ復活した老剣士がチンピラを倒した。

 老剣士はやってきた役人に「生国は越前貴田」と話した。役人は「新当流の貴田源心先生で・・・」ときく。役人は「戸波鉄之進の実弟兵助」と名乗った。「あの師範代の戸波の・・・」と答えた源心だった。

 播州三木家五万石に禄をはむ藩剣法指南、貴田源心。剣聖塚原卜伝の高弟、松岡兵庫之助から新当流を修行し、数年前藩主の御前で名も無き旅の武芸者と試合い、三度に渡って戦い三度敗れたので、藩を辞し修業の旅に出た。

 そして柳生新陰流道場を訪ねと試合をし敗れた。新陰流には構えがなくただ「無行の位」があるのみだという。「転(まろばし)」の理だという。それがわからない源心だった。

 近づいたカムイに斬りかかり試した源心だった。

 カムイを置いて、二人を尾行していた忍者達に立ち向かう源心。

 源心は忍者達に無慚に斬られていた。それに気づいたカムイが忍者達と戦い、斃す。

 源心に近づいたカムイに「いかに望めど、草木は地を歩まず・・・されど人も老いて動(はたら)くをかなわず・・・」と言って源心は息を引き取った。

 「道遠くして日暮れる・・・・」と心の中でつぶやくカムイ。

 ウツセと小頭が来て、カムイにやられた忍者達に「なぜ俺が来るまで待たなかった」ときく。

 ウツセに島出雲が斬りかかる。小頭が引き受け、ウツセはカムイを追う。

 島出雲に煙幕をぶつけて小頭も去った。

 「日暮れて途(みち)遠し 追われる者あれば追う者を追う者あり 道は暗く光陰人を待たず・・・」というナレーションで終わる。

 (1983/02/24作品)

 

[感想]

 老いというのは避けられない宿命だ。だが、道は遠い。時間は限られている。

 人生の摂理を描いた作品だ。生老病死、諸行無常、盛者必衰などの仏教的な考えが描かれた佳作だと思う。

 

第2話 人狩り

  

 七万五千石岩津藩前藩主 森忠成 65歳。隠居して磐山と号す。

 関ヶ原の陣、大坂の陣に出陣し戦功を立てた。

 犬追物をしていたが、領内に犬がいなくなっていた。怒った森磐山は部下に弓を向ける。そして刑部と呼んだ部下に何やら耳打ちする。

 山に入って三日・・・空蝉(うつせみ)、逆足、山彦の術を使って追っ手をまこうとするカムイだったが、追っ手は着実に追ってくる。

 自己催眠による隠身(かくれみ)の術をしたカムイ。

 追跡していたのはウツセだったが、カムイの気配が消えて待つことにした。

 

 森磐山は御前試合をしていた。天流、石生(いそう)勘兵衛が勝利した。

 敗者は牢に入れられた。

 森磐山は天流の矢切の秘術を見せてほしい、と言う。

 石生勘兵衛に森磐山が弓を射ると、一文字、二文字と見せ、十文字の構えをとったところ、森磐山の家臣達が一斉に矢を射かけてきた。

 獣を狩るのに飽きた森磐山が人狩りの獲物に石生勘兵衛を選んだのだ。囲みを敗れば石生勘兵衛の勝ちだと笑う森磐山だった。石生勘兵衛は必死に戦い、人質を取って逃げる。森磐山は五番弓で遠当ての技で石生勘兵衛を射貫いた。

 とどめを刺そうと近づいた森磐山らに最期の戦いを挑んだ石生勘兵衛だった。森磐山の愛馬の脚を斬ったが、森磐山の槍によってとどめを刺された。

 近くの木のうろで隠身の術をしていたカムイが捕まった。

 ウツセも何者かによって網によって捕まった。

 仇討ちをしている所に、森磐山一行が通りかかり、その仇も牢に入れられた。そこには御前試合で負けた武芸者達やカムイもウツセもいた。

 

 翌日、仇討ちの続きが行われた。ただし仇の方には武器がなかった。仇討ちの姉弟だったが、なかなか仇討ちができないでいた。そのうち姉が逆襲を受けて敗勢になると森磐山が矢を仇の首に射た。形勢逆転して姉弟は見事本懐を遂げた。

 しかし、森磐山は二人を裸にし奴隷にしてしまう。

 武芸者も剣を渡され逃げるか奴隷になるか選ばされる。奴隷になって鳥の真似をさせられる武芸者。

 カムイが立ち上がった。

 森磐山がカムイを放つよう命じるが、ウツセを捕まえた忍者サグリが止める。サグリはカムイが公儀隠密と見ていた。森磐山はカムイに変わり身の術で石になれ、と言う。カムイは後ろ手に縛られていたが、凄い体術で森磐山の家臣達を翻弄する。ウツセもカムイに加勢する。

 森磐山を殺そうとするところをカムイが止めた。そして森磐山が仇討ちの姉弟や武芸者にやったことと同じ事を皆にやらせる。ミミズを食わされ、尻に木の棒を突っ込まれ、糞尿にまみれる森磐山だった。

 

 そして、カムイとウツセが戦いの火蓋を切る。

 カムイにはウツセの動きが見えなく、空間で激突したとき、カムイは肋骨を折られて、血を吐いていた。カムイは崖から落ちようとした時、ウツセの首に鎖をかけた。ウツセは首にカムイの重さを感じながら、自身も崖に縄一本でぶら下がっていた。

 (1983/04/19作品)

 

[感想]

 森磐山のサディストぶりはひどいものだ。しかしそんな彼もカムイにはかなわなかった。そして自分がしたことの報いを受けることになった。まさに「己(おのれ)の欲(ほっ)せざる所(ところ)は人(ひと)に施(ほどこ)すこと勿(なか)れ 」である。

 そしてウツセとカムイの戦いになる。想像はしていたが、カムイはウツセにかなわない。

 この後どうなるのか?