haruichiban0707の読書のおと(ネタバレ注意)

読書メモなのでネタバレあります

週刊新説戦乱の日本史(1) 長篠の戦い 織田信長 2008/2/5号 (小学館ウィークリーブック) 雑誌

長篠の戦いは鉄砲隊の三段撃ちがなかったというのが最近の説だ。

本誌では、長篠の戦いを時系列で紹介している。

武田勝頼軍1万5000、徳川家康軍8000、織田信長軍3万が激突した。井沢元彦は鉄砲隊の轟音に武田軍の馬が驚いた、という新説をあげている。

 戦いの経過や分析は、さらっと触れているだけで、深みがないのが残念。

カミュ『ペスト』(新潮文庫)

 

新型コロナのパンデミックのため、この本は書店の店頭に大量に山積みされていた。ペストとコロナの違いはあっても感染症という点と感染症の蔓延と封鎖という点では共通するからだろう。

 数十年前に一回読んだが、改めて読むと、凄い本だ。カミュがこの小説を書いた当時は、今よりずっと感染症が身近だったとはいえ、パンデミックと都市封鎖の状況をノンフィクションではなく、小説として描いたのだから凄い。

 以前読んだ時には「こうなったらもっと暴動があったり反乱のようなことになるだろうな。甘い見通しじゃないかなぁ」と思ったが、どの国もほぼこの小説通りだったように思う。

 急に感染者が減少していく描写、都市封鎖が終了しそうになっていくと、人々がだんだんと元気になっていく様は、見事なものだ。

 この小説は新たな感染症が登場するたびにいつまでも再読され続ける名作だと思う。

吾妻ひでお『失踪日記』

 

吾妻ひでおがうつになって全ての仕事を投げ出し失踪し、警察に保護され家に戻り、また失踪し、ガス管工事会社で働いたり、アル中になってアル中病棟に入院した話を、淡々とほのぼのと描いた漫画。

家族は大変だったろうな、と思うが、そういう本当にタイヘンなところは描いていない。

この本読むと、アル中になってもうつになって仕事を全て投げ出して失踪してもなんだか人間は生きていけそうな気がしてくる。

石森章太郎『ザ・スターボウ』(講談社)

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石森章太郎『ザ・スターボウ』

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石森章太郎『ザ・スターボウ』


 恒星間移動が自由にできる未来。暗黒星軍団が支配する宇宙。主人公ヒロはハンター。リンクルスターの王女リリルと半人半馬のケタルスと出会い、最終兵器を探す旅を始める。ヒロの父の形見であり、現在はヒロの腕にあるリングが最終兵器を動かす重要なものであり、リングは7人が7個持っているという。王女リリル、王女の忠実な部下ケタルス、ヒロで3個。残りは、哲学者・宗教家のシーバ。メカニックのピュー。ヒロに積極的に迫る自由奔放で変身能力のあるカ・レン。かつて王女リリルの父の元で将軍をしており、今は無敵のサイボーグで暗黒星軍団と闘うレジスタンスのリーダー、リッヒ将軍。

 この7人で、悪の皇帝ゴッドダークIII世率いる暗黒星軍団と戦い、最終兵器を手に入れる。天使と仏像を合わせたようなデザインの最終兵器に7個のリングを祈りを込めて挿入すると、悪が一瞬にして消えてしまった。

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最終兵器アーマゲ・ボム

 石ノ森章太郎作品では、いつもテーマになるのが、「悪」や「正義」についての問いかけは、この作品にはない。単純な勧善懲悪ものだ。ちょうど『スター・ウォーズ』(STAR WARS)公開時期と重なって連載されたからだろうか、宇宙戦艦のデザインがインペリアル級スター・デストロイヤー(Imperial-class Star Destroyer)によく似ている。

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暗黒星軍団の戦艦

 暗黒星軍団のやられキャラはどことなくハカイダーに似ている。

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ハカイダーを彷彿とさせる暗黒星軍団のやられキャラ

 個性豊かな7人を集め、悪と闘うために旅をする・・・。少年漫画(石ノ森章太郎だから萬画か)の王道を行くストーリー。石ノ森章太郎SFが持つ暗さがない明るいスペース・オペラものとして楽しめる作品だ。

 

 下記リンク先(マンガ全巻ドットコム)で読むこともできる。

 

www.mangazenkan.com

 

Newton(ニュートン) 2021年12月号

2021年12月号の『Newton』の特集は、「円周率π」人類は何千年も円周率を研究してきたことがすごい。そしてそれでもわからない円周率とは凄い。

オイラーの等式は、素人ながら、美しいと思った。

 

この時期はノーベル賞受賞後なので、その速報もある。今年はやはり真鍋俊郎博士!

 

p.11 「手洗い20秒」の理由 

この記事には驚いた。手洗い20秒について、物理学的な研究が今までなかった、というのが意外だった。イグ・ノーベル賞候補だな。

 

p.12 「恐竜から鳥への進化をめぐる新たな仮説

 この記事がこの号で一番面白かった。鳥の高い運動能力を支えているのが、1)効率よいガス交換をするための気嚢。2)多数のミトコンドリア

 気嚢は知っていたがミトコンドリアが多いというのは知らなかった。そしてミトコンドリアが増えたのは鳥にインスリン耐性があったから、というのが驚きだった。インスリン耐性とは、インスリンが効かない、つまり、高血糖ということだ。インスリンは、血液中のブドウ糖をグリコーゲンに変えて血糖値を下げる機能は知られているが、ミトコンドリアを減らす機能もある、というのは初耳。鳥はインスリン耐性があるため、高血糖かつミトコンドリアが多い、ということだ。「高血糖では血管傷めて脚を切断したり失明したりするのではないか?」と思ったら、血管を傷める最終糖化産物(AGE)を作るタンパク質が少ないそうだ。「鳥は凄い!」と思った。そのDNAをヒトに適用できたら、凄いオリンピック選手を作れそうだ、と思った。

 

 p.36 SNSと「バズる」心理学

 この記事も面白かった。情報をつぶやくインフォーマーと自分の体験・感情をつぶやくミーフォーマーがいて、2:8の比率だそうだ。感染症のSIRモデル、行列に集まるバンドワゴン効果、仲間内で偏った意見が拡散するエコーチェンバー効果など。またうわさの公式「R~ixa」も興味深い。(R=うわさ ~=比例 i=重要性 a=曖昧さ)

 

 p.108 クジラー海へ戻った哺乳類

 シロナガスクジラの写真に驚いた!!シロナガスクジラってこんなに細長かったのかぁ~~!!

もっと紡錘形なのかと思ったが、楊枝にヒレがついたような形なのが驚きだった。口や目やヒレが思ったより小さくてヒレから尾ビレまでがまっすぐ長い。一日に4トンのオキアミを食べる、ということだが、オキアミはいなくならないのか余計な心配してしまった。

 

p.118 日本刀の科学

 この記事も面白かった。硬いとよく斬れるが折れやすい。柔らかいとよく斬れない。日本刀はその両者のバランスとることで、切れ味鋭いが折れなくなっているのだ。日本刀製作の工程や構造、工程ごとの結晶構造の図もあり、とてもわかりやすい。

 

石ノ森章太郎『新・変身忍者嵐』大都社(1998/6/8)

『希望の友』(1972/4-73/3)に連載したもの。

前作と同じ登場人物が登場するが、ストーリーのつながりはない。

ハヤテは父鬼十を血車党の殺され、旅をして血車党の化身忍者達に復讐する。

今回は一人旅ではなく、竜巻、カスミ、ツムジと旅をする。血車党の副首領は同じ姿だが骨餓身丸と同じ姿だが、がいこつ丸と名前を変え、性格もより残忍になっている。

そして最終話で、化身忍者達が実は宇宙人であり、血車党は母星に帰るための宇宙船作りのために活動していたことがわかる。

 がいこつ丸に「一緒に帰ろう」と言われるが、ハヤテは断る。がいこつ丸はUFOに乗り込む。首領とハヤテが戦う。ハヤテは首領を倒すが、首領はロボットだった。がいこつ丸や化身忍者達はUFOでどこかへ飛び去って完結する。

 

 『変身忍者嵐』が親殺し、兄弟殺しという救われない終わり方だったが、こちらは一応なんとかなる終わり方だった。それにしてもこの頃の石ノ森章太郎は子ども向けとは思えないような暗さがあった。実際、高度経済成長や科学技術のゆがみ、資源不足や人口爆発、米ソ冷戦、核兵器ノストラダムスの大予言などディストピア的な未来ばかり見えていたから、その視点で見るとこういう作品になるのもわかる。

 

石森章太郎『変身忍者 嵐』朝日ソノラマ

 化身の術を身につけた嵐鬼十の息子ハヤテは、父嵐鬼十を殺し化身の術の秘密を奪った血車党の変身忍者を皆殺しするための旅に出ている。

 第1巻 第1話 「化身忍群、闇に踊る」 名張の竜巻が殺され、その娘カスミと息子ツムジを守り、ハンザキを殺す。テレビ番組では、カスミとツムジとともに旅していたが、漫画版では、ハヤテは一人旅だ。カスミ役の林寛子のミニスカートから見える脚は魅力的だった。

 第2話 「青い猫の夜」 肥前鍋島藩の化け猫の話を下敷きにし、猫魔を斬る。

 第3話 「白狐、枯れ野を走る」 親子三人幸せに暮らしていた化身忍者葛の葉(白狐に変身)を斬る。母親を失った息子の泣き声が悲しい。

 第4話 「視よ、蒼ざめたる馬、その名は死」古墳のはにわの馬と甲冑をつけた者が馬のはにわを置いた家の者は奴隷にならないといけない、という村に来たハヤテ。はにを置く馬と男は化身忍者だった。

 第5話 「地の底で黄金の牛が鳴く」 ギリシャ神話のミノタウロスを下敷きにしたのだろう。牛神という黄金の牛の姿をした者が支配する村。実は隠れて金を掘っており、そのための労働力を村から調達していたのだ。

 

 第2巻 第6話 「蜜蜂の羽音は地獄の子守唄」子どもが神隠しにあう村。実は蜜蜂の化身忍者がさらっていたのだ。嵐もつかまりその女の子どもにされそうになるが、斬る!

 第7話 「菩薩の牙が霧を裂く」 うねめ、白妙母娘のところにハヤテが現れる。実は二人は化身忍者だった。白妙は変身しなかったが、血車党の忍者と戦おうとして刃を抜いたところを、ハヤテが自分を殺そうとしていると誤解して彼女を斬ってしまう。うねめは、白象に変身するが、ハヤテは殺さず助ける。

 第8話 「獺祭の雷太鼓」 カワウソに化身する忍者大八。愛する女とその父を殺してしまう。ハヤテは大八とその仲間を閉じ込めて火薬で殺してしまう。

 第9話 「虎落笛(もがりぶえ)の遠い夏」 中国明から来日しハヤテとともに成長し虎に化身する李徴子。ハヤテはそんな親友と戦うことになり彼を斬ってしまう。

 第10話 「呪いの孔雀曼荼羅」 蛇の化身、孔雀の化身の2人を斬る。

 第11話 「血車がゆく、餓鬼阿弥の道」 血車党の副首領、骨餓身丸(ほねがみまる)がある墓の前で泣いている。街には流行病が蔓延し、血狂曼荼羅教というあやしい宗教がはやっている。なめくじの化身、梅雨道軒に石油をかけて斬る。かけるなら塩だと思うが。そして骨餓身丸も。じつは骨餓身丸は武士だったが、業病にとりつかれた。それなでも献身的に接してくれた照手姫。骨餓身丸が死んだ時、あの世からよみがえる化身の術を骨餓身丸が身につけていると知らない彼女は自害した。骨餓身丸は照手姫の墓前で泣いていたのだ。ハヤテは骨餓身丸を斬る。骨餓身丸はすでに戦う意思をなくしていた。

 第12話 「犬神の里に吠える」 犬吠埼に来たハヤテ。そこには多数の犬の化身の子ども達と女達がいた。そして血車党の首領 魔神斎も。犬の化身達を多数殺し、魔神斎も斬るハヤテ。魔神斎の仮面の下は、なんと記憶喪失になったハヤテの父親だった。

 そして犬の化身達は、ハヤテの兄弟達だった。つまり、ハヤテは知らずに親殺し、兄弟殺しをしていたのだ。

 なんとも暗い話だ。テレビに合わせろ、とか、もっと明るく楽しい話にしろ、と言われなかったか、と思ってしまう。