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- 第577話『重慶の土龍(どりゅう) 』(2017/12作品)(脚本協力 品川恵比寿)
- 第576話『夢の国』(2017/11作品)(脚本協力 香川まさひと)
- 第578話『洋上の偽り』(2018/02作品)(脚本協力 加久時丸)
第577話『重慶の土龍(どりゅう) 』(2017/12作品)(脚本協力 品川恵比寿)
ページ数:103
依頼者:中国系IT企業CEO郭猛林
ターゲット:兄で土龍技術主任の郭元仁が開発してきた核ミサイル土龍の始末
依頼金額:不明
場所:中国 重慶 816地下核工程
殺害人数:5人
殺害相手:816地下核工程情報管理室でゴルゴ13に襲いかかった男
816地下核工程の兵士3人
816地下核工程の長である兆主任
H:0人
Part1 観光スポット
中国 重慶 816地下核工程
地下100m、14,000平方メートル、18の洞窟、130のトンネルの816地下核工程は、当時世界最大級の人工洞窟だった。今は1/3が観光スポットとして利用されている。
Part2 G登場
立入禁止区域近くにゴルゴ13が登場し、ペットボトルを置いた。
Part3 天才技術者
816地下核工程で働く軍人の中には、観光地化することに反対の者もいた。
だが、老朽化した施設を取り壊すのにも金がかかるし、人民の愛国心高揚のために展示することにしたのだ。
だがここには戦術核兵器の象徴ともいえる”土龍"があり、それが知られたら国際条約違反になるのだ。
兆主任が部下に背景を説明する。
その時、6号サイロで燃料の一部が漏洩と警告が出た。
6号サイロは故障が頻発していた。
そこには、中国製ICBM土龍8号だった。中国に攻め込もうとする国があれば、未曾有の反撃を食らうから敵国は躊躇し断念する・・・超大国が核を保有することで他国を威嚇し自国を防衛しているのだ。
土龍8号の開発には技術主任郭元仁の力が大きい。
兆主任から見ると、最近の郭元仁は、仕事に力が入っていないしリーダーシップも感じられないのだった。
郭元仁は配管を見に行っていた。
Part4 郭の思い
郭と2人の作業員が液体燃料パイプの交換をしていた。作業員を帰した後、郭が一人でセンサーを無効にした。心の中で、「父の仇を討つべく私の手で、羽ばたかせてやるっ!!」と思いながら。
そこに兆主任と部下2名がやってきた。郭技術主任も兆主任も親子二代この施設で働いていた。そして、兆主任の父が郭技術主任の父にプルトニウムの粉を手で拾うよう、命じたことを、郭技術主任は恨んでいたのだ。
Part5 G始動!
ゴルゴ13が何やらスイッチを起動すると、ペットボトルが爆発した。
その煙にまぎれて、ゴルゴ13は拳や手刀で4人の兵士を気絶させた。
Part6 焦る中国軍
ゴルゴ13はドアから中に侵入した。中国軍は観光客を出口に誘導し敷地から出さないようにする。
Part7 もう一人の郭
アメリカ ニューヨーク
郭猛林CEOは中国で成功後、アメリカのソーシャルメディア界の風雲児になった。グーゲル社との提携は、進めない。なぜなら中小企業の小魚が巨大魚に安易に近づくと餌になって尾張だからだ。
Part8 遺言書
郭猛林は、毎晩美女を抱き、天文学的な富を得ていた。郭元仁技術主任の弟だった。
父の遺言書が見つかり、そこに70年代のずさんな核管理が原因だったことが書かれていた。郭元仁は、共産党に蜂の一刺しをくれてやる、と言うのだった。
Part9 弟の依頼
郭猛林は、兄の郭元仁が土龍を眠りから解き放つ前に土龍の始末をゴルゴ13に依頼した。
Part10 警戒する米国
アメリカ国防総省(ペンタゴン)
ドッケン部長に中国の816地下核工程でボヤ騒ぎが起こっている、という報告が上がった。アメリカは中国がそこに12基の核ミサイルを配備していることを知っていた。
CIA職員を現地に向かわせることと、シュミット次長に衛星監視の集中と反撃レベル1を命令した。
816地下核工程のカマボコ型施設でのボヤ騒ぎなのだ。
Part11 変装するG
倒した4人の兵士のうちの一人の軍服を着たゴルゴ13は、基地内の情報管理室に入った。そこにいた2人を気絶させ、1人に、PCのアクセスコードを打ち込ませ、核施設全域を見るために見取り図を表示させた。その1人がゴルゴ13に襲いかかったので、ゴルゴ13は手刀を打ち込み、その男の首を折った。
警報が鳴ったことで、ゴルゴ13は、最初に倒した4人が見つかったことに気づいた。銃を組み立て基地内をさらに進む。
Part12 急げっ!!
郭元仁技術主任は、土龍を舞い上がらせて、父の復讐を果たすつもりだった。そのために修理点検やプログラム変更をしてきたのだった。
兆主任は、侵入者が情報管理室に入ったことに気づき、次にサイロに向かい爆破させるだろうと予想し、部下を向かわせる。
Part13 敵発見!
ゴルゴ13は発見されたが、3人の兵士を一瞬で斃した。1人が死ぬ直前に無線で連絡した。
Part14 全員退避!!
郭元仁技術主任はサイロの扉を開け、発射ロック機構を外し、上海に集結している共産党幹部目がけて土龍を発射させようとする。
「ミサイル発射まであと3分。全員退避」のアナウンスが入った。
兆主任がゴルゴ13の眼前に一人で現れた。
ゴルゴ13が兆主任を射殺した。
ゴルゴ13が緊急用出口から外に出ると土龍が発射された!
ゴルゴ13が発射したロケットランチャーが土龍に命中し土龍はコントロールを失って山に落下した。
郭元仁技術主任は国家反逆罪で逮捕された。
Part15 化学工場・・・!?
観光客は集められバスに乗せられた。日本人観光客はスパイ罪で5~6年は刑務所だ、とつぶやく。地元には化学工場の火事だと説明された。
Part16 俺は甘かった
郭猛林に、中国共産党から電話が入った。習主席がIoTについて話したいから上海に来るように、ということだった。上海に入った郭猛林だったが、出迎えたのは中国共産党公安部の龍だった。
兄の郭元仁がやったことは死刑に値する。弟の猛林も関与しているだろう、ということで捕まったのだ。
自分はゴルゴ13を雇って止めようとしたのだ・・・と言いかけた郭猛林だったが、それを言うとゴルゴ13に殺されることに気づいた。
詰めの甘さを嘆く郭猛林だった。
[感想]
Part3では「戦術核兵器」と書いてあるが、土龍はICBMなので、「戦略核兵器」が正しいだろう。
そんなのは小さなことで、土龍開発の中心人物である郭元仁・猛林兄弟の父に、防護服も着させずにプルトニウムを手で拾うよう、命じた兆主任の父親はひどい男だ。郭元仁が共産党に恨みを持つのもわかる。
郭猛林は兄を止めようとしてゴルゴ13を雇った。中国共産党を甘く見た猛林のミスだった。
液体燃料型のミサイルは、発射まで12時間かかるが、発射されれば40~50分で地球上どこにでも到達する。そんなミサイルが世界中に2000~2500発あるが正確な数はわからない、という。冷戦時代からずっとこれまで続いているが、発射されてどこかの都市に落ちて爆発するという事態が今まで一件も発生していないのが奇跡といっていい。
核兵器に関してはなくなってほしい技術だが、その可能性は限りなく薄いという現実が悲しい。
第576話『夢の国』(2017/11作品)(脚本協力 香川まさひと)
ページ数:69ページ
依頼者:ブラント大統領の影の仕事を受け持ってきたトレーシー・スミス
ターゲット:ブラント大統領の持つスマートフォン
依頼金額:不明
殺害場所:アメリカ ワシントンDC
殺害人数:0人
H:0人
Part1 思わぬハプニング
インド ムンバイ ジャングルカントリー建設予定地
ブラント大統領とキャプテンアリゲーターがセレモニーにやって来てセレモニーをしていた時、キャプテンアリゲーターが撃たれた!!
Part2 田舎にて・・・
アメリカ テキサス州の牧場で、老人達がキャプテンアリゲーターが撃たれたことを噂にしていた。
Part3 大統領のツイート
ブラント大統領はキャプテンアリゲーターが撃たれたことに怒りをぶちまけ、そのツイートは凄いリツイート数だった。
Part4 サジを投げる性格
ブラント大統領のもとに、影の仕事を任されてきたトレーシー・スミスとブラントの娘婿のショーン・スコットが話している。
ブラントはインド人に対する入国審査を厳しくする、と言う。理由は彼等がアメリカ人のIT関連の雇用が減っているからだ。
トレーシー・スミスは反対する。ショーン・スコットは今回の事件で追い風になったからこそ正義を押し通すべきだという。
ブラントの部屋を出たショーンは、裏の仕事をトレーシー・スミスがやってきたことを理解していた。またブラントの性格のうち簡単にサジを投げることを心配していた。
だからこそ、私達は彼を仕向けないといけない、と言う。
Part 5 まずい事態
インド、デリーで、キャプテンアリゲーターを撃った犯人が逮捕された。
動機は政治的なものではなく、ジャングルカントリーから金を脅し取るための”脅迫行為”だった。
アメリカ人は「だったらブラント大統領と同じだ」と笑ってまた風向きが変わった。
また、狙撃されて、慌てふためくブラント大統領のフェイク動画や、その時にしゃべったことばが「撃たれたのがキャプテンアリゲーターで良かった・・・」と言っているのが読唇術で読み取られ拡散されていた。
ネットの動きを心配するトレーシー・スミスと気にしないブラント大統領が喧嘩してしまった。
Part6 大統領の孤独
ブラント大統領とトレーシー・スミスはいつも喧嘩しても、早いと1時間、遅くても翌日には、必ずブラントの方から謝罪して仲直りするのだった。
今回もブラントはトレーシー・スミスに謝罪した。そして大統領の孤独をつぶやいた。
Part7 誰も居ない地へ
数日後、バスの終点でトレーシー・スミスが降りた。
Part8 尾行者
公園のベンチに来たトレーシー・スミスだったが、30分待っても人は来なかった。そこへタクシーの運転手が別の公園のベンチに案内する。
そこへゴルゴ13が現れた。
Part9 トレーシーの依頼
トレーシー・スミスはショーン・スコットが、トレーシーを信頼せず尾行したのかとカマをかける。トレーシーは何のことだかわからない、と答える。
トレーシー・スミスがブラント大統領に依頼する。
Part10 大統領、来たる
トレーシーの孫ローズの誕生日当日、ブラントが現れた。
Part11 神業
トレーシーはブラントに、孫の誕生日でアクシデントに遭うことを予告した。そしてローズを身を挺して守るように依頼する。
そしてブラントがスマホを持ってローズと共に写真を撮ろうとしたとき、ゴルゴ13のM16が火を噴いた!
スマホが吹き飛んだ!しかしスマホを壊さず映像を使えるように撃ち抜いたのだ。
ブラントはローズを抱きかかえ伏せた!
Part12 支持率回復
狙撃されても助かり、子どもを守ろうとしたことから、ブラントの支持率が急上昇した。
ショーン・スコットがトレーシー・スミスを呼んだ。
Part13 手切れ金
ブラントは今回の作戦について、反対していた。それをショーン・スコットが説得したのだった。
そして、ブラントからの手切れ金をトレーシー・スミスに渡した。
[感想]
ゴルゴ13で描かれたことが後に現実になるのはよくある。
選挙活動中のトランプ大統領が2024年7月13日に狙撃されて耳を怪我した。
それに近い事件をさいとう・たかを氏は7年前に既に描いていた。
事件の結果、支持率が上昇した、という点も似ている。
こういう事件は、劇画の中だけにしてほしいものだ。
第578話『洋上の偽り』(2018/02作品)(脚本協力 加久時丸)
ページ数:68ページ
依頼者:全米商工会議所・会頭のコリン・へイグ
ターゲット:”全米愛国自衛協会”の顧問、ゴードン・シアラー
依頼金額:不明
殺害場所:1)豪華客船グレース号
2)バージニア州アーリントン国立墓地
殺害人数:1)4人
2)1人
殺害相手:1)グレース号オーナーのヘックマンと3人の部下
2)”全米愛国自衛協会”の顧問、ゴードン・シアラー
H:0人
テキサス州ヒューストン
2016年1月、テキサス州の州法が改められ公共の場において、他人に見える形で拳銃を携帯する「オープン・キャリー」が合法化された。
ゴルゴ13が食事をしてトイレに立つと、男がゴルゴ13に銃口を向けたが、銃を怖がらないゴルゴ13に逆に恐れをなして勘定を払わずに逃げていった。
Part1 洋上の社交場
ゴルゴ13はヘリコプターで航行中のグレース号に着船する。
グレース号にはIT界の革命児ことスティーブ・ゲイツをはじめとするセレブ達がいて、洋上の社交場だった。
Part2 元凶はこの男
全米商工会議所・会頭のコリン・へイグは、最近のアメリカでの銃乱射事件について話す。銃規制反対派は「もし銃を公然と携帯できていれば、それが抑止力、防御力となり銃乱射事件を防げた」と言う。コリン・へイグはそのような単純な図式を受け入れることができなかった。理由は最近顕在化しているローンオフェンダー型テロは実は第三者の意図的な力によって誘導されているからだ。”全米愛国自衛協会”の顧問、ゴードン・シアラーがすべての元凶なのだ。彼は元FBIで、引退時はFBIの公安部門であるNSB部長だった。彼がおとり捜査を強化したが、彼は引退後、対象者をあおるだけ煽り放置するようになったのだ。だからゴードン・シアラーを始末することが、ゴルゴ13への依頼だった。
Part3 始動するG
2週間後 バージニア州アーリントン
アーリントン墓地に散歩に向かうゴードン・シアラー。彼を狙撃しようと狙うゴルゴ13だったが、疑念が生じて、歩容認証を依頼する。
Part4 依頼主の死
歩容認証の結果はゴードン・シアラーはかえ玉だった。
そして、全米商工会議所・会頭のコリン・へイグと副会頭のジム・ロックがニューヨーク州の678号線で自動車事故で死んだ。
また、スティーブ・ゲイツが社長へ復帰する、というニュースも出ていた。そのニュースによりゲイツ社の株が急騰した。インサイダー取引があったのではないか、と疑われていた。
これらを勘案したゴルゴ13は、グレース号に急いで向かう。
Part5 船を追うG
Part6 深夜決行
ゴルゴ13はロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港からフロリダ州マイアミ国際空港に飛び、約350kmの洋上を航行するグレース号に夜間ダイビングする。
Part7 不自然なノイズ
ゴルゴ13は客室内の無線LANのセキュリティに問題がないか、盗聴器が仕掛けられていないか、調べるが問題はない。
そしてインマルサット用アンテナに登り、不自然な電子ノイズが発生していることをつきとめた。そのため、ゴルゴ13への依頼事項もスティーブ・ゲイツの復帰も傍受されたのだった。
Part8 ニセ情報
グレース号のオーナー・ルームに侵入したゴルゴ13はそこにいた4人のうち3人を拳銃で射殺した。
オーナーのヘックマンは、インマルサットアンテナを介する更新データを入手し闇ルートで高値で売っていたのだった。
ゴルゴ13はゴードン・シアラーに「ゴルゴ13がイエメンに向かっている」というニセ情報をメールさせた。
ゴルゴ13はヘックマンを射殺しサーバールームからデータを奪った。
Part9 本人と替え玉
バージニア州アーリントン シアラー邸
ゴルゴ13がイエメンにいる、という情報を得たゴードン・シアラーは、今日は自分が家を出る、と替え玉に伝えた。
Part10 敬礼・・・
バージニア州アーリントン国立墓地
ゴードン・シアラーは午後12時30分からの1時間、アーリントン国立墓地を訪れるのが日課だった。ゴルゴ13はゴードン・シアラーが本人であることを確認すると、彼を狙撃した。
[感想]
依頼者の死やスティーブ・ゲイツの復帰などのニュースから、グレース号から情報が外部に出ていることを知ったゴルゴ13の動きは速かった。
だが、さすがのゴルゴ13も、インマルサット・アンテナからの盗聴に、事前に気づかなかったのは意外だった。彼も完璧ではなかったということだ。
冒頭でゴルゴ13に銃口を向けた男は、殺されずにすんだのは運がよかった。彼は神に感謝すべきだ。
アメリカの銃問題と中絶問題は、私にはどうしても理解できない。
銃を持っていることが抑止力になる、というが、実際に銃弾が発射された理由は、自殺が1位、犯罪が2位で、正当防衛で使われたのはほとんどない、と聞いたことがある。
また、最近の銃乱射事件では、遠距離からの射撃のため、オープン・キャリーの効果がないことがナレーションで語られているがまさにその通りだと思う。
一度始めてしまったことをなかなかやめることができないという人間のどうしようもない性(さが)のあらわれだと思う。
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