『捏造されたアセスメント』(脚本協力 宮口幸治) (『ビッグコミック』2024/06/10号)
依頼者:AADC社チリ現地スタッフ アマンダ
ターゲット:データ室に入りデータをダウンロードしてジャーナリストに転送することの援護
依頼金額:金額不明(原油の先物取引で蓄えた金、家を売った金、マルティンの保険機、二人で貯めた結婚資金)
狙撃場所:ブラジル・サンパウロ AADC社、アマンダがデータを転送しようとした場所
殺害人数・相手:なし
『ビッグコミック』(2024/06/10号)
Part1 港のできる場所
南米・チリ
マルティンとアマンダは仲のいい恋人同士だ。リカルドと三人で登山し、港ができる場所を上から眺める。
Part2 終末の用事
AADC社 ブラジル・サンパウロ
マルティンとリカルドは建設コンサルタント会社AADC社に勤務している同期の技術者だ。
発展途上国の開発にあたり、環境アセスメントを実施していた。二人は南米・チリの現地調査にやってきたのだ。
アマンダは現地スタッフとして採用された。
3年前
リカルドもマルティンもアマンダをアメフトに誘うが、アマンダはマルティンを選んだ。
Part3 住民説明会
住民説明会で、マルティンは港ができると村が豊かになると話す。住民は井戸が枯れると心配する。
港の建設はCGCH社が行うが、AADC社が井戸に影響の無いように進めていることをマルティンが説明する。
Part4 郷里への想い
マルティンにアマンダは港ができて豊かになること、学校も建ててほしいことなど、郷里への想いを伝える。
Part5 捏造疑惑
マルティンは地下水の水位が低下することに気づき上司のホセに報告した。上司はマテオ常務に相談すると言う。マルティンは計画書とは別の図面に取水井が描かれていることに気づいた。もしそうだとすると、余計に地下水位が下がることにアマンダが気づく。
マルティンはホセに取水井のことを報告するが、ホセはマルティンに口止めした。
ホセはマテオ常務に報告した。マテオ常務はマルティンが「あのこと」に気づいたかどうかホセに確認する。気づかれるのも時間の問題と考えてマテオ常務はホセに「分かっているな?」と話し、アセスメントの結果も地下水位が下がらないように作り変えるように命じた。
Part6 地下の秘密
マルティンは仕事をしているうちに取水井の意味に気づいた。アマンダのもとに向かう彼の車はハンドルとブレーキが効かなくなり崖下に転落した。その事故を見つめたリカルド・・・。
Part7 データ取得未遂
数ヶ月後・サンパウロ
ゴルゴ13と会うアマンダ。
アマンダは忘れ物をしたと言って、ホセの後から会社に入り、データを盗って出ていった。
リカルドが呼ばれ映像を見て、アマンダが死んだマルティンの元恋人だと話す。
マテオ常務は、アマンダがデータを盗んだとみて、ホセにアマンダをおびき出し証拠をつかんで連れてくるように指示する。
Part8 援護依頼
アマンダの祖父は元チリ政府の情報機関で働いていたニコラスで、彼の紹介でアマンダはゴルゴ13と連絡をとった。アマンダの依頼は、データ室に入りデータをダウンロードしてジャーナリストに転送するのを援護してほしい、というものだった。
報酬は原油の先物取引で蓄えた金、家を売った金、マルティンの保険機、二人で貯めた結婚資金だ。
アマンダが盗ろうとしていたデータは環境アセスメントの捏造データだ。
ゴルゴ13は依頼を引き受けた。
『ビッグコミック』(2024/06/25号)
Part1 秘密の共謀
ブラジル・サンパウロ
ゴルゴ13のスコープはAADC社に向けられていた。
アマンダと会った時を回想するゴルゴ13。AADC社とCGCH社が共謀して井戸を枯渇させて住民を移住させようとしているのだった。
Part2 産業スパイ
アマンダはリカルドにマルティンが殺されたことを話し、協力を依頼する。
だが、リカルドは、アマンダが産業スパイなので協力してほしいとホセに言われていた。
Part3 立ち上がったマンホール
アマンダがAADC社に入った。守衛からホセに連絡が行った。アマンダがデータをダウンロードした時、ホセ達に囲まれた。リカルドはホセに話していたのだ。
アマンダのネックレスに仕込まれた盗聴器で話を聞いていたゴルゴ13がAADC社のビルを狙撃した。
煙が出て火災報知器が鳴った。
アマンダはそのスキに逃走する。
ゴルゴ13は電気設備を狙撃しビルを停電にする。
アマンダは赤外線眼鏡を着けてビルから逃走する。
AADC社の警備員達が追跡する。
ゴルゴ13は道路上のマンホールを狙撃し、マンホールを踊らせて警備員の車を止める。
アマンダの依頼条件はデータ転送し終えるまで守ってほしいことと人を殺さないことだった。
ホセは他の車に乗り、GPSでアマンダを追跡する。
仕事が終わったゴルゴ13はM16を片付け、狙撃場所を離れた。
Part4 決死のデータ転送
アマンダが盗んだデータを転送しようとしたが、通信がおかしくつながらない。
そこにホセとリカルドとAADC社の警備員達が現れた。
リカルドがアマンダの車に発信器と電波障害装置をつけていたのだ。
アマンダのPCが警備員に奪われた。
「あなたがマルティンを殺したのね!?」と問い詰めるアマンダ。
「いったい何のことだ?」ととぼけるホセ。
あの村の地下にリチウムが眠っていることをアマンダは知っていた。
今度はリカルドが驚いた。彼はマルティンとアマンダに嫉妬していたが、リチウム目当てでホセに自分が利用されたことを知った。
リカルドは警備員からアマンダのパソコンを奪い、アマンダに渡した。リカルドは銃を構えた警備員の銃口に身を挺して撃たれた。
警備員2人がアマンダに銃口を向けると、彼らの銃身が次々と破壊された。
ゴルゴ13が銃を狙撃したのだ。
アマンダはパソコンでデータを送信し始めた。
再び銃口を向ける警備員達。
ゴルゴ13の銃声が彼らにも聞こえた。ゴルゴ13は彼らの頭上にあるアマダ商店の看板の支えを銃撃していたのだ。彼らの頭上に看板が降ってきた。
データ送信が完了した。
ホセは自分の身が終わったことに気づいた。
リカルドはアマンダに謝罪しアマンダのことがずっと好きだった、と告白し、彼女の腕の中で息を引き取った。
数日後、その村の地下にリチウム鉱床が発見されたというニュースが流れ、チリ政府はAADC社とCGCH社が鉱床発見を隠蔽したとして、契約を白紙にし港湾建設計画を白紙に戻した。
住民には多額の補償金が与えられ移住が計画された。
アマンダはマルティンとリカルドのことは一生忘れない、と言いながら、空を見上げた。
[感想]
マンホールを踊らせるゴルゴ13の銃撃スキルが凄い。また誰も殺さないでくれ、と言うアマンダの依頼条件を忠実に守るのも凄い。
AADC社とCGCH社が取水井を掘って水を枯渇させようとしていた狙いがわからなかったが、リチウム目当てということで納得した。
リカルドが嫉妬からマルティンを殺したことには驚いた。
理由のない余計な殺人をしないゴルゴ13の腕は凄い。