haruichibanの読書&視聴のおと

読書メモや映画やテレビ番組視聴メモです

1_感想:戦史

田村尚也『イラストでまなぶ!用兵思想入門 近世・近代編』ホビージャパン(2021/03/31)

もくじは次の通り テーマは「用兵思想」だが、イラストを交えていてとてもわかりやすい。 紀元前26から25世紀(今から4600から4400年前)の密集方陣が人類史上もっとも古い戦闘隊形とのことだ。紀元前371年の「レウクトラの戦い」での重点形成が用兵思想の始ま…

半藤一利原作・星野之宣漫画『日本のいちばん長い日』文藝春秋(2022/07/30)

映画にもなった半藤一利の『日本のいちばん長い日』を星野之宣が描いた漫画版だ。 星野之宣のリアルな絵で描いているので迫力が凄い。 星野之宣の想像が含まれているのが、原作や映画と違うところだ。 77年前の今日から明日にかけてを描いた傑作だ。 原作、…

ジェームズ・B・ウッド『「太平洋戦争」は無謀な戦争だったのか』ワック(2009/12/10)

もくじはこちら。 「太平洋戦争」のifを、アメリカの視点で、検討した書籍だ。 第1章、第2章は、「外郭要地攻略」作戦をせず、当初のとおり、絶対国防圏の中で防衛に専念すればよかった。 第3章で、日本に戦勝をもたらしうる戦略として、次の10項目をあげて…

小沢郁郎『つらい真実 虚構の特攻隊神話』同成社(1983/04/20)

Amazon単行本へのリンク 出版社 ‏ : 同成社 (1983/1/1) 発売日 ‏ : 1983/1/1 言語 ‏ : 日本語 単行本 ‏ : 208ページ ISBN-10 ‏ : 4886210147 ISBN-13 ‏ : 978-4886210142 「特攻隊は、祖国日本を守るために、志願した人達が、自らの命を賭けて戦ったのだ」と…

黒野耐『「たられば」の日本戦争史 もし真珠湾攻撃がなかったら』講談社(2011/07/15)

Amazon 文庫本へのリンク Amazon Kindle版へのリンク 日清戦争から大東亜戦争までの11個の歴史のイフを検証した本。 黒文字は本書の概要。青文字は私個人の感想だ。 第1章 日清戦争ー北京を攻略していたら 清国政府が瓦解し交渉相手を失う。列強の武力干渉必…

冨永謙吾『大本営発表の真相史 元報道部員の証言』中央公論新社(2017/05/25)

「大本営発表」といえば今では政府機関による虚報の代名詞となっているだろう。 本書は昭和16年12月8日から昭和20年8月26日までの大本営発表、大本営陸軍部発表、大本営海軍部発表を並べ、実際の戦果・損害と比較したり、米軍側発表と対比したものである。 …

三野正洋『「地勢」で読み解く太平洋戦争の謎』PHP(2016/07/15)

タイトルには今流行の「地勢」が入っているが、あまり「地勢」は語っていない。 タイトルには「謎」が入っており、章名が皆、疑問文になっているが、「謎」でもない。 満洲事変から日中戦争、太平洋戦争の概略を、わかりやすい文章と多くの地図をあげて説明…

半藤一利・加藤陽子・保坂正康『太平洋戦争への道 1931-1941』NHK出版新書659(2021/7/10)

半藤一利・加藤陽子・保坂正康による太平洋戦争に至る道に関する鼎談。 三人の著作からエッセンスを語っている。 二・二六事件や五・一五事件で、事件を起こした軍人を裁けなかったこと。裁けなかった理由は国民世論に逆らえなかったため。 満洲事変を起こし…

ミリタリー・クラシックス vol.76

■季刊ミリタリー・クラシックス vol.76 2022年冬号■出版社: イカロス出版■雑誌18441-03■発売日: 2022/1/20 もくじは次の通り。 第一特集は、金剛型高速戦艦。 第二特集は、ホーカーハリケーン。 スピットファイアの陰に隠れてハリケーンについてはあまり知…

平間洋一『日英同盟 同盟の選択と国家の盛衰 (角川ソフィア文庫)』(2015/8/25)

先の戦争を語る時、満洲事変から語り始めることが多いが、本当は日英同盟廃棄が大きな転換点だったのではないか、と思ったことが、本書を読み始めたきっかけだった。 そう思ったのは、国際的な孤立=>短期的な視点で日独伊三国同盟を締結=>連合軍との戦争に突…

チャールズ・マクドナルド『空挺作戦』(Airborne)サンケイ新聞出版局(1972/06/01)

チャールズ・マクドナルド/板井文也訳『空挺作戦』(Airborne)第二次世界大戦ブックス36 サンケイ新聞出版局(1972/06/01)を読んだ。 小中学生の頃、図書館にあった赤い背表紙のこのシリーズをずいぶん読んだものだった。 第二次世界大戦の各国の空挺作戦につ…

半藤一利・保坂正康『そして、メディアは日本を戦争に導いた』東洋経済新報社(2013/10/24)

半藤一利・保坂正康二人によるジャーナリズム批判。 対談の中で心に残った言葉。 「新聞社や雑誌社に勤めていたらジャーナリストか?」 「メディアが、裏調査、分析、判断をしなくなり、責任をとらなくなった。考える暇がない。・・・あれよ、あれよという間…

『あの戦争になぜ負けたのか』半藤一利・保坂正康・中西輝政・戸髙一成・福田和也・加藤陽子 文春新書 (2006/05/20)

第一部が座談会で「あの戦争になぜ負けたのか」 第二部 「あの戦争に思うこと」 座談会だし、それぞれ個性的な方々なので議論していないし、それぞれが思ったことを述べているのが並んでいて共通の結論が出ているわけではない。 日中戦争で中国軍の武器がほ…

ミリタリー・クラシックス vol.73

■季刊ミリタリー・クラシックス vol.73 2021年春号■出版社: イカロス出版■雑誌18441-06■発売日: 2021/6/1 第1特集の『松型/橘型駆逐艦』も面白いが、第2特集の『マーケット・ガーデン作戦』が面白かった。 昔、『遠すぎた橋』という映画があったが、あの背…

太平洋戦争「敗戦」の検証

満州事変からポツダム宣言受諾までの歴史の概略をたどりながら、16個のifを検証している。 16個のifには、「もしも満洲にアメリカ資本を参入させていれば?」「もしも日本がハル・ノートを受け入れていたら?」「もしも英蘭だけに宣戦布告していれば?」など…

別宮 暖朗 (著) 『帝国陸軍の栄光と転落 (文春新書)』

■別宮 暖朗 (著) ■帝国陸軍の栄光と転落 (文春新書) [新書] ■出版社: 文藝春秋 (2010/04) ■ISBN-10: 4166607502 ■ISBN-13: 978-4166607501 ■発売日: 2010/04 大日本帝国陸軍創設から滅亡までの通史である。日本陸軍の歴史を概観する入門書としてはお薦めの…

別宮暖朗 『日本海海戦の深層』

■別宮暖朗 ■日本海海戦の深層 (ちくま文庫) ■出版社: 筑摩書房 (2009/12/9) ■ISBN-10: 448042668X ■ISBN-13: 978-4480426680 ■発売日: 2009/12/9 日露戦争の日本海海戦の本当の姿を、事実に基づき冷静に分析した本である。 日本海海戦の歴史観は司馬遼太郎…

黒野耐『「たられば」の日本戦争史 もし真珠湾攻撃がなかったら 』講談社 (2011/07/15)

Amazon 文庫本へのリンク Amazon Kindle版へのリンク ■黒野耐 ■『「たられば」の日本戦争史 もし真珠湾攻撃がなかったら (講談社文庫)』 ■出版社: 講談社 (2011/07/15) ■ISBN-10: 4062769115 ■ISBN-13: 978-4062769112 ■発売日: 2011/7/15 歴史に「たら」「…

関川夏央 『「坂の上の雲」と日本人 (文春文庫)』(2009/10/09)

Amazon文庫本へのリンク Amazon Kindle版へのリンク ■出版社: 文藝春秋 (2009/10/09) ■ISBN-10: 4167519127 ■ISBN-13: 978-4167519124 ■発売日: 2009/10/9 ■評価:★★☆☆☆ 『坂の上の雲』が書かれた時の時代背景、その時代の中で、司馬遼太郎が何を言いたかっ…

清水政彦『新潮選書 零式艦上戦闘機』新潮社(2009/08/26)

Amazonへのリンク ■出版社: 新潮社 (2009/08/26) ■ISBN-10: 4106036460 ■ISBN-13: 978-4106036460 ■発売日: 2009/8/26 ■評価:★★★★☆ 戦後世代が書いているので、兵器オタクに走らず、当時の歴史的制約を説明しながら、冷静に客観的に、零戦を分析している。…

中央公論別冊 日本国の「失敗の本質」 2012年 01月号(2011/11/24)

Amazonへのリンク ■中央公論別冊 日本国の「失敗の本質」 2012年 01月号 ■出版社: 中央公論新社; 不定版 (2011/11/24) ■ASIN: B0064BHOSK ■発売日: 2011/11/24 この雑誌は、今一番人気のある戦史研究家達が、太平洋戦争を題材にして、日本に今でも残る失敗…

森山康平『はじめてのノモンハン事件』PHP研究所 (2012/01/14)

Amazon新書版へのリンク Amazon Kindle版へのリンク ■森山康平 ■はじめてのノモンハン事件 ■出版社: PHP研究所 (2012/1/14) ■ISBN-10: 4569801811 ■ISBN-13: 978-4569801810 ■発売日: 2012/1/14 ノモンハン事件というのは、1939年に満州国とモンゴル国境で…

秦 郁彦,戸髙一成 半藤一利『連合艦隊・戦艦12隻を探偵する』PHP研究所 (2011/11/29)

Amazonへのリンク ■連合艦隊・戦艦12隻を探偵する [単行本] ■秦郁彦,戸髙一成 半藤一利 (著) ■出版社: PHP研究所 (2011/11/29) ■ISBN-10: 4569800459 ■ISBN-13: 978-4569800455 ■発売日: 2011/11/29 第二次世界大戦で活躍した12隻の日本の戦艦に関する座談…

三野正洋『「太平洋戦争」こう戦えば…―「If」の太平洋戦争史』ワック(2010/06/01)

Amazonへのリンク 歴史のifを考えるのはタブーとされているが、本書はあえて、それに挑んだ本だ。三野さんのことだから、何か新しい視点から、太平洋戦争のifに挑んでいるかと期待して読んでみたが、あまり新しい視点は含まれていなかったのが残念だ。 実際…

ジェームズ・B・ウッド (著), 茂木弘道 (翻訳)『「太平洋戦争」は無謀な戦争だったのか』ワック(2009/12/01)

Amazon 単行本へのリンク Amazon 新書へのリンク 太平洋戦争について、「もし、こう戦ったならば・・・・」といった書籍は多数出版されている。本書もその一つだが、戦略レベルについてまとめている。 本書の要旨は、次の5点だ。 1)日本軍は、第二段階作戦…

陸戦における補給戦の歴史がよくわかる  マーチン・ファン・クレフェルト『補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)』(2006/5/25)

Amazonへのリンク 軍事行動を左右するが、ほとんどの人が一顧だにしなかったのが、兵站である。 特に日本軍が軽視していたのは有名である。 本書では、ヨーロッパの陸戦における兵站の歴史を、ナポレオン戦争以前から、ノルマンディー戦まで、詳細に扱ってい…

地味だが重要な鉄道部隊の活躍を垣間見ることができる

北習志野出身の私は、新京成線をよく使っていた。この鉄道が、旧日本陸軍の鉄道聯隊のものだというのは知っていたが、自衛隊にも”幻の鉄道部隊"があったというのは知らなかった。 本書は、昭和35年から6年間、存在した自衛隊の鉄道部隊である第101建設隊の記…

やっぱり勝てない?太平洋戦争制作委員会『やっぱり勝てない?太平洋戦争』シミュレーションジャーナル(2005/05/01)

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保阪正康『太平洋戦争の失敗 10のポイント』PHP(2006/06/22)

Amazon Kindle版へのリンク Amazon ムック版へのリンク 著者:保阪正康 タイトル:太平洋戦争の失敗 10のポイント 出版社:PHP ISBN:4-569-57346-0 発行年:2006/6/22 価格:667円 真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦、国民統制、ガダルカナル戦、山本五十六、ア…

最終戦争論・戦争史大観 石原莞爾

Amazon Kindle版 Amazon Audible版 ■最終戦争論・戦争史大観 石原莞爾 中公文庫、中央公論社 1993(平成5)年7月10日初版 1995(平成7)年6月10日5版 あおぞら文庫 2001年8月31日修正版 満州事変から太平洋戦争に至る日本の歴史を考えると、この石原莞爾の思…