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第581話『深海の盾・無音潜水艦』(2018/05作品)(脚本協力 テーラー平良)
ページ数:137
依頼者:オーストラリア政府
ターゲット:1) バルチャー 2) スミス秘書官
依頼金額:不明
狙撃場所:1)マレーシアのバルチャーのアジト近海 2)オーストラリアシドニー湾
殺害人数・相手:6人(バルチャーと4人の部下 スミス秘書官)
Part1 相手が上手
海賊退治のために、海賊の隠れ家にオーストラリア海軍のコリンズ級潜水艦が迫る。
海賊のボスはアメリ海軍の腕のいいパイロットであるバルチャーを雇い、潜水艦に爆雷を落とさせる。
その潜水艦にはゴルゴ13が乗艦しており、「相手の方が上手だ。」と言って撤退を勧める。
Part2 潜水艦、惨敗
バルチャーによる爆雷攻撃は的確だ。ゴルゴ13はデコイ(囮)を放出し脱出することを艦長に指示する。やむを得ず、オーストラリア海軍の潜水艦は脱出する。
Part3 俺が真の海賊
バルチャーはボスを裏切り、上空からボス達を銃撃する。
彼は最初から乗っ取るつもりだったのだ。
Part4 "禿鷹"という男
オーストラリア 首相執務室
アコット首相がレビン国防長官を叱責する。
レビン国防長官の娘は小型ヨットでマレーシアに向かったきり行方不明で囚われの身になっているという噂もある。
スミス秘書官は、通称バルチャー、禿鷹。本名エミリオ・ゴメスの経歴をアコット首相に伝える。バルチャーはもともとはコロンビア麻薬カルテルの潜水艇を沈めていたが、麻薬カルテルから大金で丸め込まれ仲間になり、それがバレて軍を脱走したのだった。
バルチャーの存在をゴルゴ13に伝えていなかったため、本来はゴルゴ13との契約違反だが、故意ではないことを理解したゴルゴ13は艦長を許した。
コリンズ級潜水艦でバルチャーの爆雷攻撃から脱出した潜水艦上で、「この艦では永遠に奴らのアジトには近づくことさえできんぞ・・・」とゴルゴ13に艦長は言われた。
Part5 共産党のアキレス腱
南沙諸島に全長3000m、幅300mの航空機基地を建設中の中国。
視察にきたのが情報総本部のエースで元北京大学心理学教授の泳光剣だ。
彼の横には腹心の女がいた。
彼女は、「この基地を建設した目的はアメリカと対立した際、石油の輸送航路を守るためだ」と強く主張する。「しかし、それが危機に陥っている」と続ける。
理由はオーストラリアが入手しようとしてる高性能潜水艦だ。ドイツの212型、フランスのスコルベヌ、日本の竜神型が候補にあがっている。特に日本の竜神型の静粛性はとてつもなくまさに”無音潜水艦”なのだ。彼女はその情報をスミス秘書官と寝たことで入手していたのだ。
Part6 洋上の話し合い
オーストラリア シドニー湾
泳光剣と女がスミス秘書官のクルーザーに向かう。
Part7 怒りの種
アコット首相とレビン国防長官の会話の録音をスミス秘書官が泳光剣と女に聞かせる。
そこでは次期潜水艦にドイツの212型や日本の竜神型が候補になっていることが語られていた。
その情報をリークすれば、造船会社の労働組合のプライドが踏みにじられ、怒りの矛先がアコット首相に向かい、親中派のタブール議員が首相となる可能性が出てくる。
Part8 工場見学
ジャパン K造船会社
防衛装備移転審議官 鮫川と海星艦長は、静谷の小さな工場を訪れる。
竜神型の静粛性の裏には静谷のような工員達の努力があった。
しかし高齢化のため、オーストラリアへの技術移転は困難なのだ。
Part9 レビンの策略
オーストラリア 首相官邸
レビン国防長官は娘デイジーを殺された恨みがある海賊を退治することが次期潜水艦選定基準にした。
既にドイツは212型に乗ってハーバー艦長が指揮してマレーシアに向かっていた。
Part10 ドイツ製の弱み
ドイツの212型艦内では謎の感染症が流行していた。
艦が小さいため長期航海には向かないのだった。
Part11 暗躍する中国
ドイツ ベルリン
泳光剣と女が会話する。
どうやら女がドイツの潜水艦に感染症が流行するように何か仕組んだようだ。彼女も苦しんでおり、泳光剣が何やら注射する。
泳光剣は竜神を選定から外す工作をしに、オーストラリアに飛ぶ。
女には休暇を与えた。
Part12 フランス製も・・・
フランス製潜水艦スコルベヌ型もバルチャーの爆雷攻撃で航行不能になり水上艦に曳航されて引き揚げる。
竜神艦内にはゴルゴ13とオーストラリア海軍の潜水艦艦長が乗っていた。
Part13 中国の罠
レビン国防長官にインタビュワーの記者達が、次期潜水艦候補が外国製であることで詰め寄る。泳光剣とスミス秘書官はこれでアコット首相の責任が問われタブール議員が首相に選ばれると高笑いする。
Part14 バルチャーの耳
バルチャーはブイにディッピング・ソナーを吊るし海中の音を聴いていた。しかし何かに気づき、すぐに飛び出した。
Part15 バラクーダ
ゴルゴ13を外へ出そうとして脱出筒に海水を入れた音がバルチャーに聞こえたのだろう。
バルチャーが発射した魚雷は最新型Mk50バラクーダだった。
竜神は最初はバブル攪乱をしたが、効果がないとわかったので、急速潜航を続けて逃げる。
570まで潜ったところで、バラクーダは圧壊した。
Part16 波は波の中に
竜神艦内ではゴルゴ13を外に出すためにどうやって浮上するか検討していた。
低気圧が近づいていることをゴルゴ13が指摘すると、その低気圧が起こす波に隠れて潜望鏡深度に浮上することを決めた。それまでは沈底し時期を待つことになった。
Part17 駆け引き
海上を監視するバルチャーと部下達。
バルチャーは嵐の後、潜望鏡を上げた時を狙って、潜水艦を狩るつもりだ。
Part18 とっておきの・・・
オーストラリア アデレードでは、造船業界の労働者のデモがテレビで放送されている。
それを見て、スミス秘書官と泳光剣と女は喜んでいる。
一方、バルチャーのアジト近海の海底では、竜神型が沈底して3日目になった。
海上は波が荒れていたが、バルチャーの飛行艇は飛び立った。最新のレーダーソフトが波頭と潜望鏡を見分けるのだ。
Part19 エンジン音がっ!!
竜神が浮上し潜望鏡を出した。
バルチャーは潜望鏡を確認した。
Part20 俺が始末する
竜神では、バルチャーのPBY飛行艇のエンジン音が消えていた。
ゴルゴ13は「気づかれたんだ・・・滑空してこちらに向かっているからだと見た方がいい・・・」と言う。竜神には対空ミサイルは装備されていない。バルチャーとの距離が近いので今回は逃げ切れない。
「浮上しろ、俺が始末する」とゴルゴ13が言う。
Part21 浮上!?
水面に近づくバルチャー。
浮上してくる潜水艦。
意表を突かれたバルチャー。
潜水艦の艦橋にはゴルゴ13だ。
勝利を確信し魚雷を発射したバルチャー
ゴルゴ13はその魚雷を狙って引き金を引く。
魚雷が大爆発しバルチャーもろともPBY飛行艇は墜落した。
Part22 野望果たせず
1年後 シドニー湾
ゴルゴ13がスミス秘書官を拳銃で射殺した。
アコット首相は、フランス製の新型潜水艦を建造して造船会社の労働組合を守ることを約束したタブール議員に負けた。
Part23 それぞれの思い
静谷と海星艦長はオーストラリアに行かなくてよかった、とホッとしていた。
泳光剣と女は”欲す鷹は爪落とす"・・・賢い鷹は身の丈に合った獲物しか選ばない、と言って、完全勝利ではないが最悪の結果を招かなかったことに喜んで去って行った。
日本の武器輸出や潜水艦の優秀性とオーストラリアと中国の対立を背景にしながら、手に汗握る潜水艦アクションを描いた傑作だ。
第579話『オーバーラン』(2018/03作品)(脚本協力 綾羅木恭一郎)
ページ数:103ページ
依頼者:1)サツマ商会社長ペドロ・ヤマモト 2)アメリカDEA(麻薬取締局)長官、ヘンリー・ニューマン
ターゲット:1)大日航空1214便の右主脚の電気ケーブル 2)ナヤリット・カルテルの幹部で連邦議会議員でもあるグスタポ・マルケス
依頼金額:不明
殺害場所:1)メキシコ・ベニート・フアレス国際空港 2)メキシコ グスタポ・マルケス邸
殺害人数:1人(ナヤリット・カルテルの幹部で連邦議会議員でもあるグスタポ・マルケス)
H:0人
Part1 エマージェンシー
アメリカDEA(麻薬取締局)長官、ヘンリー・ニューマンがゴルゴ13に何かを依頼する。
大日航空機1214便が空港に着陸しようとしたが、右の主脚ブレーキに異常があり止まれない。機長の藤村は左第一エンジンの逆噴射をカットしオーバーランさせて機体を止めた。
乗客は皆脱出した。
Part2 友人は事故調査官
東洋通信メキシコ支局では、支局長が事故の続報がないと怒っていた。
新人の沢口という女性記者が現場に向かったようだが、連絡がない。
岸田という男は別な案件を抱えていると言って行きたがらない。
航空事故調査官の平田和広と亀井雅之が来ると言ったら、梶本が「自分が行く」と珍しくやる気を見せる。
梶本が出ていくと、西野が「Fランの大学での調査官なんて・・・」とバカにする。
しかし、支局長も梶本も航空事故調査官も京都吉田山大学という東京の赤門大学と並ぶ国立大学の最高峰だった。
Part3 行方不明者
ベニート・フアレス国際空港
沢口と梶本は混雑している空港で出会った。オーバーランの原因は飛行機の右主脚のブレーキシステムの故障で、乗客は無事だが、”ヤマモト"という人物一人が行方不明であることがわかった。
Part4 何らかの外力
成田国際空港から航空事故調査官の平田和広と亀井雅之が飛び、現地で調査を始めた。
問題の右主脚を見ると電気ケーブルが切れていた。整備不良とは考えにくいし構造上の問題でもなさそうだ。すると何らかの外力の可能性が高い。
Part5 日本人の会社
東洋通信の沢口はヤマモトが行方不明になっているのでペドロ・ヤマモトが経営している貿易会社サツマ商会に向かう。梶本もついて行く。
しかしサツマ商会のオフィスは閉鎖していた。
そこにいたビルの管理人から、サツマ商会で働いていたアンヘラ・ムニョスという女性の居場所を聞いた二人はそこに向かう。
Part6 "トレセ”の意味
アンヘラ・ムニョスと会った二人は彼女から、副社長のゴメスが社長のヤマモトからの命令で会社を畳むと聞いたこと、その際十分な金をもらった上再就職先の面倒もみてもらったことを聞いた。またゴメスとヤマモトが「”トレセ”に依頼する」と話していたことも聞いた。
トレセとは13の意味だ。それを聞いた梶本はこの件からは手をひくように沢口に言うが、彼女はきかない。
何度もゴルゴ13と相対している梶本はトレセがゴルゴ13と直感したのだ。
Part7 口述聴取
平田和広と亀井雅之は関係者から口述聴取をしたが、ケーブル破損の原因はわからなかった。
Part8 ヘー・トレセ
ゴメスと会った沢口聡美はゴメスから次のようなことを聞き出した。
麻薬カルテルの一つナヤリット・カルテルに目をつけられ密輸に協力依頼するよう要求されていたこと
ヤマモトがそれを断ったこと
ヤマモトの実の妹セレーナ・ペレスとその娘エヴァンヘリーナが殺されたこと
会社を清算し従業員と取引先を手厚くフォローすること、資産の現金化と、ヤマモトが無事にメキシコに入国できるようにすることを、ゴメスはヤマモトから依頼されたのだった。
そしてゴメスはフェンスの金網を切ったことを話した。
「オーバーランさせたのは誰か?」という沢口の問いに、「それはヘー・トレセがやったことだ」とゴメスは答えた。ヘー・トレセとはG・13のことだ。
Part9 まぬけな空想
大日航空メキシコ事務所で平田和広と亀井雅之が記者の質問に答えている。
平田は梶本と同じ大学で同じサークルだった。
梶本が初歩的な質問の後行方不明者一人について質問する。平田はそれには答えない。梶本が追いかけて狙撃の可能性をきく。平田は笑ってまぬけな空想をするなと言う。
Part10 ヤマモトの依頼
10日前 カゴシマ
山本家の墓前でゴルゴ13と会見するヤマモト。
ヤマモトの妹セレーナ・ペレスとその娘エヴァンヘリーナを殺したのが組織の幹部で連邦議会議員でもあるグスタポ・マルケスであることを話す。
そして何かを依頼した。
Part11 狙撃!
3日前 ベニート・フアレス国際空港
Part12 居合い?
何の収穫もなかった梶本に沢口から電話が入った。
ヤマモトの妹と姪が殺されたこと。ヤマモトが示現流の達人であること。そしてヤマモトが自分の手で復讐をしようとしていることを沢口が梶本に話した。
Part13 プロの仕事
マルケスの屋敷に死に装束で向かうヤマモト。
しかしマルケスは既に何者かによって射殺されていた。
Part14 仇討ちは自分で
マルケス邸の前で梶本と沢口はヤマモトを見つけ保護する。
ヤマモトは自分自身の手で仇討ちをしようとしていたことを告白する。
Part15 依頼の理由
アメリカDEA(麻薬取締局)長官、ヘンリー・ニューマンに、ナヤリット・カルテルと敵対するハリスコ・カルテルの仕業でグスタポ・マルケスがゴルゴ13によって射殺されたことを、ナヤリット・カルテルに潜入していたカルロスが報告した。
ヘンリー・ニューマンは、グスタポ・マルケス射殺を依頼する。
また、ペドロ・ヤマモトのことも知っていた。
彼が動くとDEAの潜入捜査官が危険にさらされること、ナヤリット・カルテルとDEAの全面戦争になる恐れがあること、不器用な生き方の彼を死なせるのが忍びないことを話す。
Part16 銃声はなかった
グスタポ・マルケスの女が少し遅れてマルケスの所に来たときマルケスはゴルゴ13によって狙撃された。
カルロスはハリスコ・カルテルの仕業だと叫ぶ。
Part17 偶然か否か
東京 運輸安全委員会
ヤマモトが行方不明とするか失踪とするか、それによって事故とするか航空重大インシデントとするかで議論されていた。また電気ケーブルの損傷原因が秒速700から800mの物体が衝突したことだった。それが弾丸かどうかは発見されていないため、”小物体が衝突した可能性が考えられる”という表現にとどめていた。
Part18 ヤマモトが・・・!!
ヤマモトが割腹自殺した。
梶本は「日本人の俺でもわからねぇっ!!」と叫ぶ。
ゴメスがそこまでしゃべって彼の命は大丈夫なのか、心配になった。
機体の左側から右主脚の電気ケーブルを狙撃するゴルゴ13の狙撃技術は素晴らしい。妹と姪を殺され自分自身の手で復讐できなかったため割腹自殺したペドロ・ヤマモトが切ない。
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