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さいとう・たかを『ゴルゴ13 1 ビッグセイフ作戦』(リイド社)(1973/06/01)

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『ビッグ・セイフ作戦』(2008/12作品)

■依頼

依頼者:MI6

ターゲット:

 1)コンゴ革命軍ルナムバ将軍

 2)キプロス島の密輸ボスピーター・ゾル

 3)東独国家保安部副長官と運転手

 4)元ナチ親衛隊長ベルンハルト・ミューラー

依頼金額:15,000ポンド

狙撃場所:

 1)コンゴ レオポルドシティ

 2)キプロス島

 3)不明

 4)スイス チューリッヒ

殺害人数:7人

殺害相手

 1)コンゴ革命軍ルナムバ将軍

 2)キプロス島の密輸ボスピーター・ゾル

 3)東独国家保安部副長官と運転手

 4)ベルンハルトの部下

  元ナチ親衛隊長ベルンハルト・ミューラー

 

MI6から派遣された助手 ウッドペッカー

 

殺害人数・相手:7人(1)コンゴ革命軍ルナムバ将軍 2)キプロス島の密輸ボスピーター・ゾルド 3)東独国家保安部副長官と運転手 4)ベルンハルトの部下 元ナチ親衛隊長ベルンハルト・ミューラー MI6から派遣された助手 ウッドペッカー) 

 

ハンブルグで買った娼婦が背後に立ったため、反射的に殴りつけてしまったゴルゴ13は刑務所に入ることになった。そこでの番号がG1214だっため、ゴルゴ13とあだ名がついた。

彼が刑務所に張って1ヶ月後プラスチック爆弾2発が投げ込まれゴルゴ13の生死不明・・・

しかし、東独人民共和国国家保安部副長官と運転手が狙撃された。CIAでもMI6でもない何者かに依頼された結果だった。

 

MI6はベルンハルト作戦遂行のために外部の人間を15,000ポンドで雇った。

そして作戦遂行後、この男を逮捕することをMI6の部員達に命令した。

 

待ち合わせ地点にゴルゴ13は現れなかったが、ゴルゴ13は少年に金をやって電波発信機をつけて尾行したのだった。

 

話を聞くときに椅子に座らなかったり、全額支払わないと仕事を請け負わないゴルゴ13のルールが、描かれている。

 

標的はベルンハルト・ミューラー。元ナチ親衛隊長だ。

 

ゴルゴ13が仕事を請け負い、去った後、作戦終了後ゴルゴ13を殺すことを指令する。

 

ゴルゴ13はスイス チューリッヒに飛ぶ。アッパースィールのレークサイドホテルに入ったゴルゴ13に、商品見本とカモフラージュしたM16が届いていた。M16を組み立てたゴルゴ13は、窓の外にベルンハルト・ミューラーの手下を発見し拳銃で殺す。

 

ホテルのルームサービスを持ってきた女はMI6が送り込んだウッドペッカーと呼ばれる女だった。ウッドペッカーはゴルゴ13にベルンハルトの金庫の爆破を依頼する。そこにある札束が偽札であることを見抜いたゴルゴ13は、偽札を燃やすことは断った。

 

ゴルゴ13はセスナを使って金庫の上の屋根を手榴弾で爆破し、屋根を修理する作業員に変装して金庫の天井に穴を開ける。

 

ベルンハルトは2日に1回、金庫を開ける。その時をゴルゴ13は狙う。

 

金庫の天井に開けた穴から金庫に忍び込み、ベルンハルトが金庫を開けたとき、中から狙撃し、仕事を遂行し、再び金庫を閉めて逃走した。

 

ホテルに戻ったゴルゴ13銃口を向けるウッドペッカー。勝利を確信したウッドペッカーがおしゃべりしている間にゴルゴ13が反撃した。そしてボタンを押せば金庫の中身が吹っ飛ぶ、と話し、起爆スイッチを渡して去って行った。

 

ゴルゴ13の記念すべき第1作だ。

扉を開けるのが困難な金庫の中から外にいるターゲットを狙撃するとは、発想の転換が生んだ見事な狙撃だ。

その後のゴルゴ13のルールだと、ゴルゴ13殺害指令を出した人間は殺されるのだが、なぜかこの時は殺されなかった。後でできたルールだったのだろうか?

 


『デロスの咆吼』(1968/12作品)

■依頼

依頼者:フランス情報部部長 オマイリー

ターゲット:マクシミリアン国防長官の偽夫人と偽息子

依頼金額:不明

狙撃場所:

 1)ギリシャ デロス島 青い鳥の館

 

 2)ギリシャ アテネの近く

殺害人数:6人

 1)マクシミリアン国防長官の偽夫人と偽息子

 2)ボネ

  ボネの部下3人

 

フランス外務省にて、情報部部長のオマイリーが説明している。

フランスのマクシミリアン国防長官の夫人と息子はナチの秘密警察ゲシュタポに捕らえられ、トルコのスミルナにある収容所に送られ、終戦と同時にギリシャのデロス島に移ったが、記憶喪失だったため20余年も病床にいて名乗り出るのが遅れた。この頃フランスは、長距離核弾頭ミサイルの実験をサハラで実施しようとしている時で、もし、マクシミリアン国防長官に何かがあると国家の非常事態になる。

東側陣営はミサイル設置を妨害しようとしている。

そして今回、夫人と息子が名乗り出たのはあまりにタイミングが良すぎて偽物の可能性が否定できない。

しかも調べに行ったフランス諜報部員が全員謎の死を遂げた。

 

そんなとき、箝口令を敷いていたはずのマクシミリアン夫人と息子の発見が新聞に載ってしまった。フランス大統領はオマイリーを直接呼び出し、夫人と息子を消すことを、暗に命令した。

 

ゴルゴ13ギリシャのデロス島に入る。そこでボネという男と会う。ボネはフィリピン人貿易商サルル・デミオと名乗っているゴルゴ13に対して「同じ種類の文明人としてのカン」で、彼がフランス情報部が送った刺客であることを見抜いた。

 

ゴルゴ13にマクシミリアン夫人と息子の殺害を依頼したオマイリーだが、ゴルゴ13は「二人が偽物の場合、狙撃する」と条件を付ける。

 

パーティー会場で、ゴルゴ13は息子の手を撃つ。母親であるはずのマクシミリアン夫人が逃げようとしたので、偽物と確信し、夫人は胸を撃ち、息子はこめかみを狙って狙撃し、任務を遂行した。

 

しかしカメラで動静を全て見られていたため、ボネにつかまりシャンパンに混ぜた自白剤を飲まされる。

ボネは、今回の陰謀が、フランス政府の信用を失墜させ、革新派の勢力拡大によりミサイル計画中断を狙ってのものだと種明かしをする。

 

ゴルゴ13は何とか脱出しマダム・アルガリータを助け、脱出し、自白剤の禁断症状の中、アルガリータを抱く。

 

ゴルゴ13はボネ達の車のタイヤを狙撃し、タイヤ交換の後、車を狙撃し、ボネと一対一で対決する。ゴルゴ13のM16の銃弾はボネの眉間を貫き、ボネの拳銃弾はゴルゴ13の右肩をかすめたのだった。

 

ボネの仕掛けたカメラに見られたり、仕事の後の撤収時につかまったり、自白剤を飲まされたり、完璧なはずのゴルゴ13が、この頃はまだいろいろなミスをしている。

 

拳銃にしてはかなりの距離がある中、ゴルゴ13の右肩をかすめたのだからボネの銃の腕前はなかなか大したものだ。

 

 

『バラと狼の倒錯』(1969/01作品)

■依頼

依頼者:コロス・ロドリゲス

ターゲット:黄色いバラ

依頼金額:30,000ドル

狙撃場所:イラン イスパハン

殺害人数・相手:2人 "黄色いバラ"の部下ジャラ 黄色いバラ

 

 

バラの手入れをする依頼者のコロス・ロドリゲスの元に、二度目の来訪をしたゴルゴ13

 

理由は、ターゲットが男と言われていたが、スペイン・グラナダで彼のスコープに写ったのは女だったからだ。

 

ロドリゲスは、娘ミラーカを奪った男「黄色いバラ」を殺すことをゴルゴ13に依頼していたのだ。

 

ゴルゴ13は情報屋から、黄色いバラが浮名を流したフランス大使夫人が、イランのイスパハン近くの砂漠で、全裸で死んだ話を入手する。黄色いバラが媚薬を使っていると推理するゴルゴ13

情報屋は黄色いバラと浮名を流した大女優キティ・ムーアのブルーフィルム上映会があることを知る。

 

ゴルゴ13は、コルドバという男の上映会に招待され、コルドバを脅迫し、フィルムの出所をつかむ。

 

ゴルゴ13は、イラン イスパハンのトラック運転手アリーを気絶させ、じゅうたん工場に忍び込む。

 

じゅうたんのはしにフィルムを織り込んで売りさばいていたのだった。

 

工場で黄色いバラの手下達と戦うが、ミラーカを連れ出し、ベルセポリスで戦う。催涙ガスで手下達を片付けたゴルゴ13の目の前に、以前、グラナダでスコープにはいった女が現れた。

 

ゴルゴ13はわざと背中を見せ、トラックのバックミラーで、女の動きを観察する。女は8mmカメラに仕込んだ銃でゴルゴ13を撃つが、ゴルゴ13が一瞬早くM16で女の胸を撃った。

 

女は、実は男女両方の完全なUTENSILSがあったのだった!

 

探偵小説のような真犯人捜しの面白さと、黄色いバラの意外な正体。

展開の意外性が楽しめる傑作だ。

なお、178ページでゴルゴ13が握手をするシーンが描かれている。この頃はまだ握手をしない、というルールはなかったのか?これは貴重だ!

 

 

『色あせた紋章』(1969/02作品)

■依頼

依頼者:AVO長官クリューガー

ターゲット:ハンガリーAVO副長官セルゲイ少佐、ソ連保安部(KGV)部長キニスキー

依頼金額:100,000ドル

狙撃場所:オーストリアハンガリー国境の橋(通称ブラディ・ブリッジ 血まみれの橋)

殺害人数・相手:4人

1)AVO本部(ハンガリーAVO副長官セルゲイ少佐、ハンガリーAVOの通信士)

2)オーストリアハンガリーの国境 ブラッディ・ブリッジ(AVO長官クリューガー、勇者リーベック)

 

ゴルゴ13が、オーストリアハンガリー国境から、ハンガリー国内にスキーで飛んで入った。

 

場面は変わってアドリア海を航行する潜水艦の中。”幻のソーニャ"と呼ばれるソ連スパイがCIAにつかまり、黙秘している。CIAは彼女とそっくりの音声を使って、彼女がソ連に戻ってもシベリアに送られると言って、彼女を脅す。

 

また場面が変わって、ソ連製戦車内。勇者(ブレイブマン)リーベックとあだ名されるスパイが戦車内にいる。リーベックは西側のスパイだが、年をとり正当に評価されなくなったことに怒りを感じて東側に寝返り二重スパイになったと言う。しかし、東側は彼を信用せず、今回、"幻のソーニャ"とスパイ交換されるのだ。

 

ハンガリーに入りAVOの大佐の服を着たゴルゴ13は、車がエンコしたので民間人の車に乗せてもらい、ハンガリー秘密警察(AVO)に行こうとする。すると、AVOの車が後ろに来た。その車には、AVO副長官セルゲイ少佐が乗っていた。

セルゲイ少佐は、ゴルゴ13を疑い、銃を突きつけてAVOに連れて行く。AVOで、長官のクリューガーが「ハルダー大佐(ゴルゴ13)が派遣されてくることはクレムリンより私に知らせがはいっている!!」と言ってゴルゴ13をかばう。

クリューガーは1956年10月23日に1000人以上の同胞を虐殺した男だ。

 

セルゲイ少佐は、ハルダー大佐を疑い、秘かに電報を打とうとしたが、通信員ともどもゴルゴ13によって始末される。

どうやらこれは、一つの仕事だったようだ。しかし、クリューガーは、セルゲイ少佐が西側に通じているから始末するよう、依頼したようだ。だが、セルゲイは、純粋な共産主義者だった。

 

クリューガーは本当の話を始める。ハンガリー人1000人以上の命を奪ったから引退後ハンガリーで生きていけないので、スパイ交換の場を利用して亡命を希望している。それがバレそうになったので、セルゲイ少佐とソ連保安部(KGV)キニスキーを殺すことを依頼したのだ。西側はクリューガーを信用していないため、CIAのフーバーが陣頭指揮にやってくるのだ。

 

雪上車の中でCIAのフーバーは、勇者リーベックがわざと捕らえられ、今回のスパイ交換の本当の目的がクリューガーの亡命であることを部下に話す。

 

ソーニャに聞かれていいのだろうか?

 

スパイ交換が行われる橋に到着した。

 

東側はキニスキーとリーベックともう一人の男だったが、リーベックは隙をみてキニスキーの銃を奪いキニスキーを人質にする。

AVOのクリューガーはいきなりゴルゴ13銃口を向ける。

 

東側は、キニスキー、リーベック、クリューガーの3人が、西側はソーニャ、CIAフーバー、CIA要員の3人が、橋の両端に立ち、一歩ずつ近づいていく。リーベックとソーニャだけが歩き始め、すれ違う。

 

リーベックが、フーバーとCIA要員の下に付くと、いきなりCIA要員を射殺し、フーバーに銃口を向け、東側に拉致しようとする。

AVOの国境守備隊の砲が火を噴き、CIAの雪上車を撃破する。

クリューガーとリーベックが、勝利の雄叫びを上げる。

ソーニャは「完全に錯乱しているわ!!」と叫ぶ。

フーバーは「戦争を起こすのが目的だな!?」と叫ぶ。

このくらいのことで戦争が起こるはずはないのだが、東洋人であるゴルゴ13を使って、クリューガーとリーベックは中共を巻きこむつもりだったのだ。

 

ゴルゴ13は隙をみて脱出し、あらかじめ橋に仕掛けた爆薬を爆破する。

 

ゴルゴ13は隠しておいたバイクにまたがり、M16でリーベックとクリューガーを射殺し、「あとは東西の会談ってやつでかたをつけてもらおう!!」と呟き去って行った。

 

年をとり正当に評価されなくなり、昔の栄光である戦争を引き起こそうとするリーベックとクリューガーの野望は、ゴルゴ13によって、破られたのだった。

昔の栄光である紋章が、時が経ったため、色あせた紋章になった、というたとえだ。

これで戦争がまた始まり、クリューガーやリーベックに活躍の場が来るかというと疑問だが、年老いたスパイの哀しみがよくわかる。