第350話 沖縄シンドローム(1996/01作品)
脚本協力:テーラー平良
ページ数:130ページ
依頼者:琉球王朝の末裔で南アルプスに住む老人
ターゲット:沖縄独立計画(オペレーション・トロイ)の阻止と菱井グループ松方の暗殺
依頼金額:依頼人の家に伝わる骨董品
殺害場所:日本・沖縄と日本・東京
殺害人数:2人
狙撃対象:沖縄独立計画(オペレーション・トロイ)の首謀者伊波天臣と菱井グループの長である松方
H:0人
沖縄・中城(なかぐすく)城で琉球空手剛柔流の空手家達が裏切り者を消した。
Part1 不審な郵便情報
東京で麻生は、沖縄取材の記事を書いていた。編集長が渡した中に、オペレーション・トロイ(沖縄独立計画)という資料があったが、麻生は無視した。
夜のニュースで、中城城で、航空自衛隊北部航空方面隊の二等空尉、大城義正28歳が死体で見つかった、と報道されていた。麻生が沖縄で名士を渡した男だった。
麻生はオペレーション・トロイを思い出した。それは北部航空方面隊一等空尉の伊波天臣によって率いられた沖縄出身自衛官が沖縄独立を目指した軍事計画だった。
麻生が沖縄に行ったのは、工場団地を建設した菱井グループの取材だった。菱井グループの松方と知花知事がセレモニーでスピーチしていた。そのセレモニーに伊波も大城もいたのだ。
Part2 天才パイロット伊波一等空尉
沖縄・航空自衛隊那覇基地で取材する麻生は、伊波が琉球王家ゆかりの一族で、凄腕のパイロットだと知った。
模擬戦闘訓練で、伊波は圧勝した。
Part3 沖縄の憂鬱
麻生は沖縄の製造業が不振なことや、基地があることなど、沖縄の暗部を取材した。
Part4 憤る者たち
伊波や島袋や金城らが、集まって話していた。
かつて、GHQは、本土は1ドル360円の円安に、沖縄は1ドル120円の超円高に設定し、沖縄の産業を潰し、沖縄の人々を基地建設に使った、と伊波が言った。伊波たちは3000の兵を集め、三沢や習志野や八戸その他に同志もいた。
伊波たち5人は、琉球王家代々の墓に行き、事を起こそうとしていた。
Part4 菱井・松方の沈黙
(※)本来ならPart5だと思うが、Part4と記載してあるのでそのままとした。
第三次行革審議委員・経過報告会で、経団連の重鎮で規制緩和の旗振り役の松方は黙っていた。菱井は、議長に対して、もはや官僚たちには期待しない、と言い切った。
菱井の車に伊波が乗っていた。菱井グループの工場の沖縄移転準備は着々と進んでいた。伊波は独立後の沖縄経済に菱井グループを期待していた。
Part5 反乱シミュレーション
麻生は編集長に伊波達が反乱を起こそうとしていることを話し、記事にしようとするが反対される。
総理官邸では、総理が官房長官にオペレーション・トロイの文書について確認する。沖縄に駐留する米軍基地を友軍が奇襲したら沖縄の米軍も落とされるかもしれない、と官房長官が答えた。三田教授と共に防衛大でシミュレーションを行った結果、第一攻撃隊が沖縄四軍の長であるヒューズ少将をキャンプ・コートニーで捕虜にし、別働隊が普天間飛行場と嘉手納の第十八航空団を占拠し、海兵隊のいるキャンプ・フォスターやキャンプ・帆船を3時間で掌握することができた。伊波は米兵家族が暮らすハウジングエリアの家族一万人を人質にするだろう。
三田教授は、伊波達が米軍攻撃型原子力潜水艦を奪うと、決定的な力を持つ、と言った。
Part6 近づいた"蜂起"
伊波は仲間と蜂起の時期が近づいたことを話していた。沖縄がアメリカ一の基地になっていた。
ヨーロッパ・南アルプスにいる老人のもとに伊波天臣から封書が届き、読んだ老人の手が震え便せんを落とした。
菱井グループでは、松方が蜂起の時を楽しみにしていた。
総理は米軍に頼んで伊波の蜂起を止めようとするが、それは難しいと閣僚達が答える。そして官房長官が独断でやった、ということで、世界最高のプロフェッショナルに依頼することになった。
Part7 沖縄へ向かう人々
麻生は沖縄に向かう機上にいた。乗っているのは男ばかりだった。どうやら自衛隊員のようだ。
ゴルゴ13が成田に到着したが、日本政府からの依頼は断られた。
Part8 通信機関沈黙
アメリカ・ホワイトハウスでは、伊波の蜂起を撃退せよ、と大統領が命じたが、既に沖縄への連絡ができなくなっていた。
Part9 指揮官到着
ゴルゴ13がグリーンベレーを指揮下にした。
亀甲墓に隠れていた伊波の部隊が米軍に囲まれた。
Part10 主力部隊連絡なし
伊波は各地で味方に連絡がとれないことからゴルゴ13が自分達の作戦を読んで先手を打ってきたと判断し、作戦中止を決断した。
Part11 日・米、安堵す
総理にアメリカ大統領から、反乱軍が鎮圧された、と連絡が入った。
総理は捕まった反乱自衛官らを内密に厳重処罰するように、命じた。
ホワイトハウスではゴルゴ13の全面的な協力を得られたことが僥倖だった、と会話していた。反乱軍の命を助けることが条件だった。依頼主が誰かはホワイトハウスでもわからなかった。
Part12 首里城の対決
伊波とゴルゴ13が首里城前で対峙していた。真剣を持つ伊波に対してゴルゴ13はM16を置いて素手で戦う。伊波はゴルゴ13の廻し蹴りを食らった。そして誰の依頼か聞くが、ゴルゴ13は無言だ。だが伊波はあの方の依頼だと気づき腹を切った。ゴルゴ13が拳銃で伊波を介錯した。
Part13 "木馬"の後始末
沖縄にいた自衛官達は涙を流しながら原隊に戻ろうと空港にいた。
東京で、菱井グループの松方が狙撃された。
ゴルゴ13は、南アルプスでの依頼を思い出す。
老人は、オペレーション・トロイの阻止と参加者の命を助けること、菱井グループの長である松方の暗殺を、依頼した。
【感想】
沖縄の諸問題をえぐり出した作品だ。GHQ占領時に本土と沖縄で円の価値が違ったのは驚いた。
沖縄が独立してやっていけるかどうかはわからないが、本作品のように、製造業が沖縄で花を開き、貿易立国と化したら可能性がある。
この作品発表時から約30年経過し、中国が強大化した今だと、無理だろう。中国の属国になってしまうだろう。
1996年頃の沖縄や日米中の国力の差が描かれた作品と言えるだろう。
第348話 鄧小平のXデー(1995/11作品)
脚本協力:国分康一
ページ数:81ページ
依頼者:元中国共産党指導部 劉白連
ターゲット:
1)鄧小平死後の後継者と予言された警備局長の陳大邦
2)気功師の揚銘飛
依頼金額:不明
殺害場所:中国・北京
殺害人数:2人
殺害相手:
1)鄧小平死後の後継者と予言された警備局長の陳大邦
2)気功師の揚銘飛
H:0人
Part1 超能力者 揚
中国・北京のホテルで揚銘飛が超能力を見せていた。日本人が余興に彼を使いたい、と名刺を出したが、スーツに火をつけられてしまった。
Part2 劉白連の危惧
中国有数の保養地・北戴河で、弁公庁北京事務局主任の李清林は劉白連と中国がどうなるか話していた。鄧小平のXデーに向けて権力争いが激化すると、劉白連が答える。共産と統治の初期は国民300人に1人の官吏だったのが、今では26人に1人になっている。劉白連は、鄧小平が亡くなれば必ず混乱が起こり、その混乱を最小限にできるかどうかに中国の将来が決まる、と言った。劉白連は、男に揚銘飛から目を離すな、と命じた。
天安門事件(1989年6月4日)、鄧小平は劉白連を追放した。
Part3 超能力者の予言
北京・中南海で劉白連は、未来を占う。
北京市内・地安門で意識はないが生きている鄧小平がベッドに横たわっていた。
気功師が鄧小平に強力な気を送っているのだ。
劉白連が陳大邦が中国の指導者になる、と予言した。
Part4 最高指導者への気功
李は、龍白連が陳大邦が中国の指導者になる、と予言したことを知った。李は切り札を出す時が来たことを悟った。
揚銘飛は、鄧小平に気を送った。
Part5 暴かれたトリック
揚銘飛がステージでショーをしているところに、李清林が近づき、揚銘飛がトリックを使った、と暴いた。しかし揚銘飛は動じることなく、逆に李清林を追いつめた。
Part6 超能力者の指導
揚銘飛は陳大邦と会い、鄧小平が一週間後に亡くなる、それも陳大邦が殺す、と言った。
Part7 劉白連の決心
李清林は劉白連と会っていた。
劉白連は李清林の運転手に変装して軟禁されていた家を抜け出した。劉白連はゴルゴ13に依頼することにした。
Part8 後継者候補は狙われる
劉白連が脱出したこと、ゴルゴ13が入国したことを知った陳大邦は揚銘飛に相談する。
揚銘飛は、陳大邦が鄧小平を殺した後、自分がその事実を明かし、皇帝になろうとたくらんでいた。
Part9 巨大地下防空壕
ゴルゴ13に龍白連は、地下から鄧小平の自宅に潜入する方法を教えた。珍宝島(ダマンスキー島)事件の時、毛沢東はソ連の攻撃に対する防衛策として地下防空壕を建設した。その地下道の一つが鄧小平の自宅にもつながっていて、その地図は劉白連の頭の中にしかなかった。
Part10 最高指導者の"耳"
陳大邦が鄧小平の首に手をかけた時、ゴルゴ13が陳大邦を殺した。
鄧小平には意識があった。そしてゴルゴ13に話しかけた。後継者については本当にわからない、と言った。
龍白連と李清林は官憲に囲まれ、李清林は殺された。
Part11 最後の"奇跡"
揚銘飛がショーをしている時、ゴルゴ13の銃弾で殺された。そして、彼の超能力のトリックもバレた。
【感想】
鄧小平の死後、誰が権力を握るかは、当時の大きな話題だった。鄧小平亡き後、そのまま経済発展するか、それとも毛沢東時代に逆戻りするか、主席次第で決まると思われていた。実際には江沢民、胡錦濤、習近平と代が替わり、経済発展が続き、世界第二位の経済大国になった。
1995年の中国の様子を描いた好作品だ。
第351話 震えるタクト(1996/02作品)
脚本協力:新井たかし
ページ数:41ページ
依頼者:
1)不明
2)指揮者でCIAのスパイのルロイ・オッペンハイマー
ターゲット:若手天才指揮者ザウバー
依頼金額:不明
殺害場所:アメリカ・ニューヨーク
殺害人数:
1)1人
2)1人
殺害相手:
1)不明
2)若き天才指揮者ザウバー
H:0人
1960年代のモスクワ・赤の広場で、ルロイ・オッペンハイマーという若き音楽家に、亡命をすすめる男がいた。その条件は・・・
Part1 HHAの実力
現代、東京・ジャパンで、ヴォルフ・ザイフェルトの来日が中止だ、とHHA(ハロルド・ハーバート・エージェント)が記者会見で説明していた。代役はグスタフ・リヒターだと発表した。記者達は、そっちの方がよほど大物だと驚いた。
Part2 ”演奏旅行”
ルロイ・オッペンハイマーはHHAとの間の契約書を、いつもは二つ返事でサインしていたが、今回はいったん、持ち帰る。
ルロイ・オッペンハイマーの演奏会場で、若手天才指揮者のザウバーは、退屈していた。ゴルゴ13が銃撃した音を聞き、ゴルゴ13と会話する。
Part3 若き演奏家の不満
ザウバーはルロイ・オッペンハイマーに大きな仕事が行くことが不満だった。そこにルロイ・オッペンハイマーが入ってきた。そしてスパイをやめたい、と言った。ザウバーはその話を外で立ち聞きしていた。
Part4 怒りの人々
ザウバーが新聞にルロイ・オッペンハイマーがCIAのスパイだった、とリークした。
ルロイ・オッペンハイマーは姿を消した。HHAのハロルドはザウバーに仕事を与える。
Part5 アンコール
ルロイ・オッペンハイマーからザウバー宛に、一流の狙撃者を雇い、その日の演奏中に狙う、という脅迫状が届いた。ザウバーは自分の抜群の聴覚があるので大丈夫だ、と言う。
外の駐車場では情報をリークしたザウバーを懲らしめるためにCIAの男が待機していた。
演奏が始まった。
アンコールが始まった。
ゴルゴ13がザウバーを狙撃して殺した。曲のうち最も感動する箇所で、指揮者の心拍数が最大に達する。その時、指揮者の神経はすべて曲に注がれる。その時、ゴルゴ13が撃ったのだ。
【感想】
ザウバーは凄い聴覚の超能力者だが、ゴルゴ13はその上をいく狙撃をした。冷戦が終わってもルロイ・オッペンハイマーというスパイは有効だったため、HHAのハロルドやCIAはスパイとしてルロイ・オッペンハイマーを使っていた。ザウバーは、ルロイ・オッペンハイマーがスパイだとリークして、オッペンハイマーの恨みを買い、ゴルゴ13に狙撃された。ザウバーなら実力で上に上がっていけただろうから焦らず待てばよかったのに・・・
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