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さいとう・たかを『ゴルゴ13 97 覚醒・クーデターの謎』(リイド社)(1996/01/08)

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第302話 覚醒・クーデターの謎(1991/11作品)

脚本協力:ながいみちのり
ページ数:138ページ
依頼者:ソビエト連邦共和国エリツィン
ターゲット:クーデター計画の首謀者ソルコフ大佐
依頼金額:不明
殺害場所:
  1)ウクライナ
  2)ウクライナ
殺害人数:
  1)2人
  2)11人
殺害相手:
  1)ロシア軍兵士
  2)ソルコフ大佐と戦車兵とソ連軍兵士とナーシャ
H:0人

 1947年ウクライナでイワノフとサジフスキーが戦っていたが、サジフスキーは戦車にひき殺された。
 1991年6月ソビエト連邦モスクワで、暴走族によって一人の男がひき殺された。
 
Part1 "危険人物"
 KGB(国家保安委員会)本部で、男が情報漏れの始末をしたことを報告していた。
 病院で、ニコライの父の意識が戻った。息子のニコライは、父が昔よく草笛で吹いてくれたメロディーを口ずさんでいるのを聞いた。
 ゴルバチョフ大統領とその側近がスパイだったエリチェフが残した情報をもとに、会議をしていた。
 ゴルバチョフ大統領は軍やKGBに対してできる限りの努力をすること、そのために危険人物の排除を行う、と話した。
 
Part2 軍部の憂慮
 7月第1週、ウクライナに行きたくないこと、モスクワの第4課の病院に入りたいことを、ニコライの妻が、ニコライに話した。
 7月第2週、ソルコフ大佐らが食事をしていた。ソルコフ大佐はゴルバチョフ大統領にたてついてきたのでウクライナに行くことになった。
 
Part3 密告の電話
 8月1日、モスクワキエフ駅から、ニコライがリヴォフに向けて出発した。
 8月第1週、ウクライナでソルコフ大佐に、内通者に気をつけろ、という電話が入った。ソルコフ大佐はユージンに計画のガードの厳重化と関係者全員のチェックのやり直しを命じた。
 
Part4 軍部に睨まれた男
 8月第2週、ニコライとナーシャが会って食事をした。カウンターにはゴルゴ13がいた。
 ソルコフ大佐にユージンが、ニコライが一番怪しい、と報告した。
 ニコライは党幹部の父親がいるお人好しのボンボンなので、ユージンには納得がいかなかった。
 
Part5 郷土史研究の集い
 ナーシャがニコライを、上司のユーリに紹介した。ユーリはウクライナ郷土史研究サークルの会長だった。
 ニコライは、ウクライナ郷土史研究サークルに出席した。

Part6 見かけた猟師
 ソルコフ大佐とユージンが演習中に猟師(ゴルゴ13)を見かけた。
 猟師は遠距離で獲物をしとめた。
 
Part7 雨の夜の国道
 8月17日深夜、ユージンの車の前に、倒れている人物がいた。車を止めて近づいたユージンがナイフで殺された。
 
Part8 郷土史研究家の話
 8月18日
 ユージン軍曹の死がソルコフ大佐に報告された。ソルコフ大佐は、ニコライと例のグループを連行するよう命じた。
 そして、計画を早めてクリミアに向かうこと、大統領権限委譲書のサインはソルコフ大佐が到着するまでさせないこと、を伝えた。
 ユーリは、ニコライに、ウクライナについてどう思うかきいた。
 ニコライの祖父はウクライナにいたが、父の代でモスクワに行き、ニコライはモスクワ育ちだった。
 ユーリは、祖国独立のために結成されたウクライナ師団やウラソフについて、話を始めた。
 アンドレイ=アンドレイェヴィッチ=ウラソフは、ソ連軍司令官で、同時に反スターリンで知られて、独ソ戦の最中にドイツ軍捕虜となると、ロシア人捕虜を中心にロシア解放軍を組織した。
 ウラソフ達は1945年に東部戦線に投入され、その後チェコ政府に協力しドイツと戦い、アメリカに投降した。
 1947年、ウラソフは反逆罪として絞首刑に処せられた。
 もう一つの反スターリン勢力としてウクライナ師団があった。ウクライナ師団はSS(ナチス親衛隊)によって編制された。
 ウクライナ師団には師団歌もあった。ナーシャが口ずさむと、それは病床で父が口ずさんだメロディーだった。
 ユーリは、ニコライの祖父達もソ連軍相手に戦った、と話した。そしてイワノフという男に会え、と言った。
 
Part9 "英雄"の孫
 18日夕方、ソルコフ大佐は戦車隊を率いて移動した。猟師姿のゴルゴ13はそれを見ていた。
 ニコライとナーシャはイワノフのもとに行った。
 イワノフは、ニコライを見て、サジフスキーの孫か、と言った。ニコライの祖父サジフスキーは、ウクライナの英雄だった。
 イワノフとサジフスキーが知り合ったのは1945年のウクライナ第二師団でだった。サジフスキーは戦いで右脚を失った。その後捕虜となったが脱出し戦後はゲリラとしてソ連と戦った。
 ナーシャはニコライが英雄サジフスキーの孫として使命がある、と言った。
 
Part10 追われる二人
 ニコライとナーシャがユーリの家に戻ると、そこには軍関係者がいて、ユーリ達が逮捕され、ニコライも逮捕しようとしていた。
 ニコライとナーシャは逃走した。
 
Part11 突然の味方
 しかし二人の兵士に追われるニコライとナーシャ。そこをゴルゴ13が救った。
 二人の兵士の死を見た指揮官がソルコフ大佐に連絡して指示をあおぐ。ソルコフ大佐は自分が現場に向かう、と言った。

 

Part12 引き返せない男
 ニコライとナーシャとゴルゴ13は、イワノフの家に戻る。
 
Part13 祖父の遺品
 イワノフの家をロシア軍兵士が包囲した。
 イワノフはサジフスキーの遺品の銃をニコライに渡す。
 
Part14 追われる三人
 ニコライとナーシャとゴルゴ13は車で逃走する。
 
Part15 "ルート3"の攻防
 ゴルゴ13が追跡するジープ1台を破壊するが、三人の乗ったジープは動かなくなってしまった。
 ナーシャがゴルゴ13にサジフスキーの遺品を見せて、これは使えないか、ときいたが、その時がくれば使う、とゴルゴ13が答えた。
 
Part16 砲口は向けられた
 ソルコフ大佐はあの腕のいい猟師を思い出していた。
 数日前、モスクワで、ゴルゴ13は依頼を受けた。
 ソルコフ大佐の戦車がニコライの前に現れた。
 ソルコフ大佐は、モスクワが明日にも変わること、猟師姿のゴルゴ13に対して"クリミアの獲物"を狙っていることはわかっている、と話した。
 モスクワでクーデターが起こること、"クリミアの獲物"つまりゴルバチョフ大統領の命をゴルゴ13がねらている、とナーシャは推理した。
 ゴルゴ13はサジフスキーの銃でソルコフ大佐の戦車の砲口を狙う。戦車が発砲した瞬間に引き金を引き、銃弾が砲身で爆発し、ソルコフ大佐と戦車兵が死んだ。 
 ゴルゴ13はロシア軍兵士6人を次々と射殺した。
 ゴルゴ13は、ナーシャに何者か、ときいた。
 ナーシャは、ニコライを剃るコフ大佐に追わせ、ユーリ達を逮捕させたのだった。
 彼女はソルコフ大佐によってクーデター計画が進行していたことは知らなかった。
 ナーシャはゴルゴ13にナイフを投げつけ殺そうとしたが、ゴルゴ13に撃たれた。
 
 ゴルゴ13に依頼したのはエリツィンだった。エリツィンはソルコフ大佐がいなければクーデターは失敗すると読んでいた。
 8月19日、ウクライナ早朝、ソビエト保守派のクーデターは三日天下に終わった。8月24日、ウクライナ共和国最高会議は連邦からの独立を宣言した。

【感想】
 ウクライナ独立を横軸に、ソ連のクーデターを縦軸にして、歴史の暗部を描いた傑作だ。
 場面転換が早くてついていくのが大変だったが、徐々に話がつながっていき、クライマックスを迎える。
 この後、英雄サジフスキーの孫のニコライはどうなっていくのだろうか?
 2025年、彼はウクライナで何をしているのだろうか?
 この後の展開が気になる。

 

 

第310話 最後の顧客(1992/06作品)

脚本協力:熊坂俊太郎
ページ数:80ページ
依頼者:シュリット財閥のハインリッヒ社長(依頼時)
ターゲット:シュリット財閥のランバート会長
依頼金額:不明
殺害場所:スイス、アルプス山脈・オーバラント
殺害人数:1人
殺害相手:シュリット財閥のランバート会長
H:0人

 スイス、アルプス山脈・オーバラントで登山している、東西ドイツとの経済統合を担うシュリット財閥会長ランバートのザイルの金具が切れて、落下して死んだ。
 
Part1 アウザー・ハイツ銀行
 スイス、チューリヒで、アウザー・ハイツ銀行のハイツがランバート会長の死を新聞で読んだ。
 
Part2 ハイツの決断
 ハイツのパートナー達は、シュリット財閥の資産受入を拒否する。ハイツは自分が無限責任を負って受け入れることにする。
 シュリット財閥の新会長ハインリッヒはスイス弁護士協会で、資産の全面的な受入をビューラー会長に依頼した。
 弁護士協会のラッセルが依頼を受け、アウザー・ハイツ銀行を受け入れ先にする、と言った。
 そこにアウザー・ハイツが現れた。アウザー・ハイツは、口座は5年間凍結すること、資産内容に不備があれば契約を解除することの2点を条件に、契約を結ぶ、と話した。
 ハインリッヒは承諾した。
 
Part3 ハイツの正体
 アウザー・ハイツは、運転手のチャチャイに、ハインリッヒが嘘を言っている、と話した。
 ランバートの死も偶然とは思えないし、10億ドルの巨額の資金も謎だった。
 アウザー・ハイツは、チャチャイに、徹底的に調べるよう、命じた。
 アウザー・ハイツは、世界中のあらゆる顧客の資金を洗浄し保護して、再投資していた。
 ベトナム孤児のチャチャイは、アウザー・ハイツの謎、ユダヤ人孤児だったアウザー・ハイツがなぜ5代目を継いだか、知りたがった。
 チャチャイは、一人の人物のために開設している口座についても興味を持っていた。
 
Part4 完璧な事故死
 ドイツのボンにある連邦警察機構の会議で、ランバート会長のザイルのカラビナが外れたか、わからなかった。カラビナを狙撃したなら起こり得る、となったが、そんな狙撃をできる人はいない、ということになった。
 出席者の一人がチャチャイに会議の録音を渡し金を受け取った。
 
Part5 ドイツからの報告
 アウザー・ハイツは、チャチャイの調査報告を読んでいた。
 1968年、オランダ港を出港しイタリアのジェノバに向かった貨物船が1か月後にトルコの小さな港を経由してシチリア島のパレルモに向かった。この間に乗組員は全員入れ替わりつみにの200tの天然ウランが消えた。
 これがプラムバッド疑惑と呼ばれる事件だった。それにシュリット財閥が関わっていた可能性があった。
 ランバート会長の死体を見たアウザー・ハイツは、ランバート会長の手首にあったコインを見て驚いた。

Part6 友情のコイン
 1938年9月、ユダヤ人のベラは少年達にいじめられた。そこを助けたランバートに、ベラは友情の証しとしてコインを渡した。
 ベラはポーランドに向かった。
 
Part7 抹殺された友情
 チャチャイはコインについて、調べた。コインの裏にはベラ・ハウゼンと刻まれていた。
 それはアウザー・ハイツの本名だった。
 アウザー・ハイツは、銀行に戻り、ランバート会長の事故死の前に、シュリット財閥のハインリッヒ社長名義の口座からゴルゴ13の口座に入金があったことを確認した。
 アウザー・ハイツはゴルゴ13にコンタクトをとろうとする。
 
Part8 山岳道路の事故死
 シュリット財閥のハインリッヒ社長が山岳道路で事故死した。
 
Part9 閉じられた金庫室
 アウザー・ハイツとゴルゴ13が金庫室で会った。
 そして金庫室を封鎖した。
 命の恩人であるランバート会長をゴルゴ13が殺したため、ゴルゴ13との契約を破棄するのだ。
 アウザー・ハイツは拳銃で自殺した。
 20分で金庫室内の酸素が切れる。
 ゴルゴ13は、預けた金塊の中に爆薬エッセンスを混入させて、金庫室という密室から脱出した。

 

【感想】
 スイスにある銀行群の闇の部分(マネーロンダリング)を描いた作品だ。
 ゴルゴ13の財産のパスワードは、アウザー・ハイツの頭の中だけだそうだが、そんな管理でいいのだろうか?

 

 

第307話 静かなる記念日(1992/04作品)

脚本協力:横溝邦彦
ページ数:42ページ
依頼者:クロアチアのブコバロア村に住むマコビッチの息子ミラン
ターゲット:ブコバロア村に駐留するセルビア軍
依頼金額:母の指輪
殺害場所:
  1)クロアチアの吊り橋
  2)クロアチアのブコバロア村
殺害人数:
  1)7人
  2)50人
殺害相手:
  1)クロアチアのブコバロア村に駐留するセルビア軍隊長と兵士
  2)クロアチアのブコバロア村に駐留するセルビア軍兵士
H:0人

 クロアチアのブコバロア村をイギリス人の男が、ローリェ婆さんの家に泊めてもらいにきた。
 イギリス人の男は内戦中のこの国をに東欧の古い村歩きが好きで旅していた。
 同宿の男は、この村はクロアチア人とセルビア人の勢力争いの分岐点に位置するのに不思議なことに軍隊すら近寄らない平和な地域だ、と言った。
 ローリェ婆さんの暖炉のそばに、夫婦と息子に見える男の写真が飾ってあった。
 その日は、13日の金曜日で、イギリス人の男にとって、妻シルビィを失った記念日でもあった。
 男には子どもがいなかった。
 ローリェ婆さんも記念日だと言って、話し始めた。
 10年前のコソヴォ事件が始まりだった。セルビア軍の一部がブコバロア村にもやって来た。
 戦闘派と逃走派が争う中、マコビッチは、プロ=ゴルゴ13を雇う提案をした。
 マコビッチの息子ミランと3人が脚に自信があるので、軍のスキをついてゴルゴ13に会うことになった。
 ローリェ婆さんが息子のミランに先祖のお守りを渡した。
 スパイが村に駐留するセルビア軍隊長に密告した。隊長は、すぐに5人を殺すよう命令した。
 怒った隊長はスパイを射殺した。
 ゴルゴ13との会見に向かった5人のうち4人が殺された。
 ミランが会見場の吊り橋にたどり着いた。そこにセルビア軍が迫ってきた。
 吊り橋からミランが転落した。ゴルゴ13が吊り橋に現れた。
 隊長が拳銃を構える。ゴルゴ13は隊長の腰にある手榴弾を拳銃で撃って吊り橋毎7人の兵士達を殺した。
 転落したミランが川岸にたどり着いた。そこにゴルゴ13がいた。依頼のための宝石を失ったミランは母の指輪を出して依頼した。
 翌朝、村では、セルビア軍兵士50人が死亡した。
 ミランもその時受けた傷がもとで10日後に死んだ。
 この村では13日の金曜日を静かに解放記念日にしていた。
 MI6(英国情報部)を退職した男が好奇心で始めた調査だったが、こんな秘密が隠されていたとは・・・
 内戦中でも村が平和なのはゴルゴ13の活躍があったからだった。
 
【感想】
 ゴルゴ13は、依頼人が命を賭けて依頼するときは、わずかな報酬でも依頼を受ける。
 そんなゴルゴ13の人間味が表れている作品だ。
 クロアチアを旅してきた男はMI6に勤めていたことがあったようだが、以前も登場した気がする。
 確認してみたいのだが、膨大な『ゴルゴ13』を読み返すことを考えると躊躇してしまう。

 

 

 

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