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『燃えろ!新日本プロレス』 vol.1(2011/10/27)

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燃えろ!新日本プロレスvol.1  新日本プロレスの過去の名勝負が、DVDと冊子で甦る。第1号は、インパクト大の猪木vsホーガン、猪木vs前田、アンドレvsハンセン、タイガーマスクvsダイナマイト・キッドだ。どれも素晴らしい一戦だけに何度も見ることができるのは嬉しい。若手としてセコンドについている往年の名選手や、古舘伊知郎の名文句も大いに楽しめる。  冊子の方は、名解説者の桜井康雄や安田拡了が記事を書いている。猪木の戦績もある。旗揚げ戦ポスターやカール・ゴッチの写真もついているが、選手名鑑のようなデータ的なものがあるともっといい。

 

1.アントニオ猪木vsハルク・ホーガン1983/06/02 @蔵前国技館  

 第一回IWGP決勝戦。猪木がエプロンでホーガンのアックスボンバーを受け、失神KO負けして、世間にも衝撃を与えた試合。

 でかくてパワーだけが取り得だったホーガンが器用にグランドをこなすようになったのは新日本のリングに上がったからだ。試合をコントロールしているのは猪木だが、ホーガンがよくそれに応えている。猪木による観客の盛り上げ方をホーガンは確実に自分のものにして、後にWWFやWCWで活躍する基礎を築いたといっていい。そういう意味では猪木の一番優秀な弟子はホーガンだったのかもしれない。

 試合は場外にもつれて頭を鉄柱にぶつけた猪木がエプロンに上がった所をホーガンのアックスボンバーが襲い、猪木は失神KO負けしてしまう。私はもちろんリアルタイムで見ていたが、アックスボンバーを受けた猪木がしっかりロープをつかみ、頭からではなく足から腰にかけて落ちていった。だから失神したのは奇妙でならなかった。舌の出し方も変だったから当然立ち上がるものだと思っていた。随分後になってこの試合の真相を知って私は自分の目の確かさを確信した。

 素晴らしい試合をして、衝撃的な結末で世間をあっと驚かせた点で、この試合は、負けたけど猪木のベストバウトの一つと言ってよい。

 

2.アントニオ猪木vs前田明1983/05/27 @ 高松市民文化センター

 第一回IWGPでたった一回の二人の対戦。

どこか師匠猪木に遠慮がちな前田を目覚めさせる張り手合戦で一気に試合がヒートする。試合の流れをコントロールしているのは猪木だが、往年の冴えがない。アームホイップで投げられてもきれいに受け身がとれないし、若い前田の重い技に抗しきれない。ゴッチやシンと死闘を繰り広げていた全盛期を知る私にはこの頃の猪木は痛々しくて見ていられなかった。

 この試合もバックの取り合いから卍固めに行くあたりはいい動きをしていたが、前田のジャーマンスープレックス、ドラゴンスープレックスを浴び、ヘロヘロしていた。最後に延髄斬りで決めるのだが、延髄というより脳天をかすっているだけで説得力が無かった。リアルタイムで見ていたとき、猪木の落日を感じ、寂しさを感じた試合だった。

 

3.アンドレ・ザ・ジャイアントvsスタン・ハンセン 1981/09/23 @ 田園コロシアム

 アンドレとハンセンのリングを揺るがす死闘は文句なくベストバウトだ。

全盛期のアンドレがでかいだけでなくスピードがあるのに驚く。

アンドレが普段日本人相手にしているときは相手を傷つけないために自分で制限していたリミッターを完全に外して戦っている。そのアンドレのパワーとスピードに全然負けていないハンセンも凄い。このド迫力の戦いをDVDで何度も見られるのは嬉しい。

 

4.タイガーマスクvsダイナマイト・キッド 1981/04/23 @蔵前国技館

 初代タイガーマスクのデビュー戦。

ちゃちなマスクで失笑を買うがゴングが鳴るとタイガーマスクの軽やかなステップに観客がどよめく。オーソドックスな腕の取り合いだけでも魅せてくれるのはさすがだ。ローリングソバットのキレはさすがだ。キッドに投げられたときに着地に失敗したり、ドロップキックがほとんど当たっていなかったり、失敗もいくつか目に付く。しかし、派手な大技が無くても十分楽しめる。改めて見ると、トペやプランチャーのような空中殺法は意外にもやっていないのが驚きだ。サマーソルトキックだけだ。場外戦からジャーマンスープレックスで一気に勝負がついた。大技を連発しなくても観客を感動させることができることを証明している試合だ。