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さいとう・たかを『ゴルゴ13 111 偽空座標X』(リイド社)(1999/01/05)

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第342話 偽空座標X(1995/04作品)

 

脚本協力:熊坂俊太郎
ページ数:84ページ
依頼者:CIA
ターゲット:不明
依頼金額:なし
殺害場所:アメリカ・アパラチア山脈上空
殺害人数:1人と1機
殺害対象:ARPA人工知能開発担当責任者ラズベリー中尉と試作戦闘機F25
H:0人

 

Part1 謎の迎撃機
 アメリカ・アパラチア山脈上空
 F15戦闘機のSID(識別システム)が、敵性機が表示された。
 その機からAIM1(サイドワインダー)が発射された。
 パイロットが失神した。後席にいたゴルゴ13が咄嗟にミサイルをかわした。
 
Part2 依頼の延期
 米空軍RE12基地
 着陸したゴルゴ13が、依頼者のCIAに、説明を求め、24時間以内に、極秘空域に関するすべてのフライトプランと偵察衛星による補足データの提出を命じた。
 
Part3 天才の野望
 ワシントン・米国戦略計画統括局(ARPA)のAI・DEV(人工知能研究室)では、人工知能の軍事利用研究を専門としていた。
 ARPA人工知能開発担当責任者ラズベリー中尉が中心となって、米軍次期戦闘機F25の人工知能攻撃システム(エキスパートシステム)を開発していた。
 スタッフは他に5人(トンプソン、トニー、マックス、ラドたち)だった。
 彼らは、軍事衛星KH-13が捕捉したデータで、ゴルゴ13を襲い、F25のためのデータを入手しようとしたのだ。
 大統領に、ARPA人工知能開発チームが暴走し始めた、という報告が上がった。
 
Part4 ドーピングデータ
 AIM1(サイドワインダー)に襲われたときのゴルゴ13の動きをARPA人工知能開発チームが研究していた。
 人間の能力を超えた動きだった。瞬間的に12.6Gを超えていた。
 
Part5 次期戦闘機"F25"
 ARPA人工知能開発チームがゴルゴ13のデータを入手しようとしたことが、バレたら、ゴルゴ13が報復することを、大統領達は、恐れていた。
 
Part6 ラドの決意
 ラドは、ARPA人工知能開発チームから一人抜け出して、誰かにデータを渡した。
 それがバレて、ラズベリー中尉に殺された。
 
Part7 政府の見解
 ワシントン郊外・小遊園地の迷路で、レスピン長官が、ラズベリー中尉らと会い、F25の人工知能プログラム開発の凍結を大統領が命じたことを、伝えた。
 RE12空軍基地のF25試作機地下格納庫で、フライト試験を急きょ行うことになったのでプログラムを今夜中に装備することになった。
 
Part8 2機の発信
 F25の模擬敵機(デコイ)との戦いが始まった。
 米軍空母にゴルゴ13が乗り込み、F15で飛び立った。
 
Part9 九十秒間の勝敗
 アパラチア山脈上空の模擬空戦で人工知能はデコイを次々と撃墜する。
 
Part10 魔の空域
 わずか九十秒間でデコイを次々と撃墜した。
 最後の撃破は、敵機の排出熱に誘導したのだ。
 人工知能は敵機が残っていると察知しAIM1を残したのだ。
 実際にもう一機の"敵"がいた。
 それはゴルゴ13が乗ったF15だった。
 ゴルゴ13のデータを採り入れた人工知能とゴルゴ13の戦いだった。
 
Part11 米政府関知せず
 ラズベリー中尉が乗ったF25は撃墜された。
 F25の人工知能はインプットされた地形データを基に作動していた。
 ところがゴルゴ13がミサイルで地形を変えたため、人工知能の中に存在しない空間"偽空座標X"を創り出したのだった。
 そのためにミサイルは追撃できず、人工知能は判断を停止したのだった。
 大統領は、「いずれにしても・・・彼の要求してきたF15を提供したんだ・・・これで彼を"敵"に回さずにすんだという事だ・・・」とホッとした表情でつぶやいた。
 
【感想】
 CIAの依頼がどういうものだったかは、わからないが、ゴルゴ13は自分を狙ったラズベリー中尉を許さなかった。
 作品中に描かれなかったが、おそらく他の4人も殺されただろう。
 ゴルゴ13が乗ったF15が空母から離陸しているが、同機は空母から離着陸できないのではないか、と思ったが、物語の進行にはどうでもいいことだ。
 ゴルゴ13が陸上だけでなくパイロットとしても凄腕を持っているのは、他の作品でも描かれているが、本作品での操縦は見事だ。
 一時的とはいえ、12.6Gに耐えたゴルゴ13の肉体は凄い。
 人工知能の裏をかいて山の形を変えた戦術は凄い。

  

 

増刊第40話 36000秒分の1秒(1994/11作品)

脚本協力:横溝邦彦
ページ数:39ページ
依頼者:
  1)カルロンテのテロに巻きこまれた妻子を持つ男
  2)なし
ターゲット:
  1)テロリストのカルロンテ
  2)なし
依頼金額:不明
殺害場所:
  1)フランス・サンテ刑務所
  2)フランス・スポーツジム
殺害人数:
  1)1人
  2)1人
殺害相手:
  1)テロリストのカルロンテ
  2)元東ドイツのスポーツ医学者デグナー
H:0人

 ゴルゴ13が刑務所の出入り口をM16で狙う。
 狙いながら回想する。
 デグナーという元東ドイツのスポーツ医学者に、ブッハルト蔵相の口効きでゴルゴ13が会った。
 そして、薬の製造を依頼する。
 デグナーはゴルゴ13の身体的データを取得し、驚く。
 瞬発力も持続力も両方優れていたからだ。
 ゴルゴ13は10時間同じ姿勢をとり続ける"筋肉弛緩"を促す薬を要求した。
 その薬は、筋肉を24時間弛緩させるが、逆に俊敏な運動は3分の1まで低下する。
 ゴルゴ13はデグナーから薬を受け取りデータは目の前で破棄させた。
 
 ゴルゴ13は、依頼者と会った時を回想する。
 1983年、TGVでテロがあり、64人の死傷者が出た。
 その中に依頼者の妻と娘がいた。犯人カルロンテは逮捕され、フランス一厳重なサンテ刑務所の独房内だった。
 サンテ刑務所の独房には一切の窓がない。
 通路側の銅製の扉に小窓があるだけだ。通路はスライド扉によって遮られ日に何度か開くだけだ。
 その先には広場に通じる鉄の回転扉がある。
 スライド扉と回転扉が同時に開く一瞬にカルロンテの独房が狙え、そのとき、カルロンテが立ち上がって窓に接近していなければならない。
 そのチャンスは10時間に1回だった。
 
 ゴルゴ13は10時間にほんの数秒のチャンスを待ち続けた。
 回転扉がが開き、スライド扉も開き、カルロンテの独房の小窓にカルロンテがいた!!
 その一瞬にゴルゴ13の銃弾がカルロンテを貫いた。
 
 ゴルゴ13はジムに行き、デグナーのマッサージを受ける。
 デグナーが金のためにゴルゴ13を襲う。
 ゴルゴ13が反撃してデグナーを斃した。
 
【感想】
 ゴルゴ13の驚異的な身体能力が明らかになる。
 薬によって俊敏性が1/3に落ちているとはいえ、ゴルゴ13を襲撃するとは、デグナーは愚かなことだ。
 10時間に1回のわずかな狙撃のチャンスをものにしたゴルゴ13のスーパー・ショットの一つだ。
 

 

増刊第41話 黒い通信(1995/02作品)

脚本協力:ながいみちのり
ページ数:43ページ
依頼者:
  1)不明
  2)フランク・マードックの息子
ターゲット:
  1)マフィアの金庫番アルシオーネ
  2)ケリー主任が報告書を偽造したことの証明
依頼金額:
  1)不明
  2)依頼人自身の命
殺害場所:
  1)アメリカ・セント・マークス教会
  2)アメリカ・セント・マークス教会
殺害人数:
  1)1人
  2)0人
殺害相手:
  1)マフィアの金庫番アルシオーネ
  2)なし
H:0人

 アメリカ・セント・マークス教会の中で、アルシオーネというマフィアの金庫番を務めた男が教会内で祈り続ける。
 警護するフランク・マードックが"外からの狙撃"を心配していた。
 ケリー主任は心配ない、と断言する。
 祈りを終えたアルシオーネが狙撃された。
 
 アメリカ・アリゾナ州・フェニックスで、女性の情報屋にゴルゴ13が、通常出ないやり方でゴルゴ13にアクセスしてくる者が何者か調べるように依頼した。
 ゴルゴ13が宿泊するホテルのドアに「やはり気になってこの街にやってきたな。俺は、いつもお前を見ている・・・では、また」と書かれた黒い封筒のメモが入っていた。
 少年が交差点でゴルゴ13に薬莢が入ったものを渡す。
 ホテルでまた黒い封筒を受け取ったゴルゴ13が部屋を引き払うことにした。
 ゴルゴ13の所に、娼婦がやって来て黒い封筒を渡した。
 そこには「セント・マークス教会を知っているな?そこで仕事をしてもらう。・・・期日、標的は、後で連絡する。俺は、お前のすべてを知っている・・・」と書かれていた。
 ゴルゴ13は女情報屋に電話をして、セント・マークス教会を調べるよう指示した。
 女情報屋のもとに何者からか花が贈られていた。どうやらゴルゴ13の情報網も調査済のようだった。
 女情報屋から情報をもらったが、相手が誰かわからない。
 
 女情報屋が、護衛責任者のケリー主任がフランク・マードックに全責任を負わせるよう報告書を偽造していた。
 ケリー主任は出世して署長になっていた。
 一方、フランク・マードックは不遇のまま死んでいた。
 彼の身よりは一人だけで子どもだった。
 ゴルゴ13は、フランク・マードックの息子を見つけ出して話をした。
 フランク・マードックの息子は交差点で薬莢を渡した少年だった。
 少年は、ゴルゴ13の全資料をバラすから、自分の言うことをきけ、とゴルゴ13を脅す。
 ゴルゴ13は、「俺から手を引け!」と銘ずるが、少年は断った。
 ゴルゴ13が拳銃の引き金を引いた。
 ゴルゴ13は女情報屋に、ケリがついた、ご苦労だった、と電話した。
 ゴルゴ13に黒い封筒がまた届いた。中にはビデオテープが入っていた。
 そこには少年が自分の命と引き換えに、依頼していた。
 
 グラッデン市長とケリー署長がセント・マークス教会にいた。
 ケリー署長の報告書では、教会内部からの狙撃となっていたが、実際には、外部からのものではないか、とグラッデン市長が問い詰める。
 グラッデン市長のもとに「マードックの戯言(外部からの狙撃)を、今夜、証明して見せよう」というメッセージが届いていた。
 銃声が響き、銃弾はケリー署長の右ほほをかすめ、アルシオーネが死んだ時の弾痕のそばに新たな弾痕ができた。
 
 
【感想】
 ゴルゴ13への依頼金をつくれないフランク・マードックの息子が自分の命と引き換えに、ケリー主任(当時)の罪を暴いた。
 ケリーを殺してほしい、という依頼だとてっきり思ったが、少年は、ケリーの罪を暴くよう依頼していた。
 これは意外だったし、切ない依頼だ。
 ゴルゴ13はたびたび、命を賭けた依頼を受けているが、これもそんな依頼の一つだ。
 

 

第336話 マークのリクエスト(1994/11作品)

脚本協力:国分康一
ページ数:84ページ
依頼者:連邦刑務所囚人マーカス・モンゴメリー
ターゲット:FBI捜査官ウイリアム・ワトソン
依頼金額:なし
殺害場所:アメリカ・アトランタ・アメリカ連邦刑務所
殺害人数:1人
殺害相手:FBI捜査官ウイリアム・ワトソン
H:0人

 

Part1 異常犯罪者専門
 USA、ルイジアナ州・ニューオーリンズ、FBIニューオーリンズ支局
 解体現場から5人の白骨死体が出て、すべて女性で20代から30代だった。
 テッド・キャメロンとウイリアム・ワトソン主任が組むことになった。
 ウイリアム・ワトソン主任はテッド・キャメロンに異常犯罪者について注意せよ、と話す。
 
Part2 しぼられた"男"
 テッド・キャメロンは捜査してウイリアム・ワトソン主任に報告する。
 テッド・キャメロンは、アトランタのアメリカ連邦刑務所に終身犯そてい服役中の囚人番号96304、マーカス・モンゴメリーだ、と報告した。
 
Part3 囚人九六三〇四
 アトランタ連邦刑務所のマーカス・モンゴメリーの所に、ウイリアム・ワトソン主任とテッド・キャメロンが訪ねてきた。
 マーカス・モンゴメリーは実の母親殺しで収監されていたが、解体現場で見つかった5人を殺したのもマーカス・モンゴメリーだろう、と問い詰めるが、彼は心を閉ざしたままだった。
 看守は、マーカス・モンゴメリーが模範囚で、時々世界中から手紙が届き、届くとNBCの"夕べの祈り"とCBSの"宗教の時間"に賛美歌第13番をリクエストする、と言った。
 ウイリアム・ワトソン主任は、尋問中のマーカス・モンゴメリーの手が、"神は我と共にあり"となぞっていたことを気にしていた。
 
Part4 容疑者の"過去"
 テッド・キャメロンとウイリアム・ワトソン主任は、マーカス・モンゴメリーと共に演奏したベーシストを訪ねた。
 マーカス・モンゴメリーが教会には興味がなく、コールガールに興味があった、と話した。
 テッド・キャメロンは、マーカス・モンゴメリーを典型的な無秩序型犯罪者と決めつけた。
 ウイリアム・ワトソン主任には、友人の一人も居ない孤独な男と世界中から届く手紙がどこでどう結びつくのか、謎を探っていた。
 
Part5 圧力
 テッド・キャメロンとウイリアム・ワトソン主任に、マーカス・モンゴメリーから手を引け、と圧力がかかった。
 ウイリアム・ワトソン主任はワシントンD.C.のFBI本部情報部長で同期のジェイコブスに会って、マーカス・モンゴメリーに近づいてはいけない理由を問いただした。
 ウイリアム・ワトソン主任は口を割らないジェイコブスのスキャンダル写真で脅して、ジェイコブスから聞き出した。
 マーカス・モンゴメリーがゴルゴ13と関係がある、と。
 ゴルゴ13への連絡手段は次の手順だった。
  ゴルゴ13へ仕事を依頼する者は、マーカス・モンゴメリーに手紙を出す
  マーカス・モンゴメリーはNBCの"夕べの祈り"とCBSの"宗教の時間"に"賛美歌第13番"のリクエストを出す
  ニューヨークタイムズの雑件広告欄に"G13型トラクター商談に応ず"という三行広告が出る
  依頼者はその広告の連絡先として載せられた電話番号に連絡する
  
Part6 捜査官の暴走
 ウイリアム・ワトソン主任はテッド・キャメロンにマーカス・モンゴメリーとゴルゴ13が繋がっていることを話した。
 テッド・キャメロンは二人の関係を解明したい、と言い出した。
 二人はアトランタ郊外に、当時の捜査官を訪ねた。
 バットで滅多打ちにあって女性が殺された。
 息子のマーカス・モンゴメリーは一週間後、自ら出頭した。
 彼は、壁に"誰か、私を止めてくれ(WHY DON'T YOU STOP ME"と書いていた。
 
Part7 キャメロンの恐れ
 逃亡中のマーカス・モンゴメリーと接触したゴルゴ13がマーカス・モンゴメリーのすべてを理解して何かを語り、マーカス・モンゴメリーを今でも思うがままに操っている、とウイリアム・ワトソン主任は推理した。
 ゴルゴ13は完全な秩序型の犯罪者だから、マーカス・モンゴメリーが役に立たなくなったらボロ屑のようにするはずだ、とウイリアム・ワトソン主任は考えた。
 
Part8 "神"を崇める男
 アトランタのアメリカ連邦刑務所にマーカス・モンゴメリーを訪ねたウイリアム・ワトソン主任は、ゴルゴ13の写真を見せて、自分がすべてを知った以上、ゴルゴ13はもうこの連絡システムを使わなくなり、モンゴメリーを見捨てるだろう、と断言した。
 マーカス・モンゴメリーが怒り狂ってウイリアム・ワトソン主任に襲いかかった。
 マーカス・モンゴメリーの精神のバランスを保つ重しがゴルゴ13だったのだ。
 
Part9 崩壊したシステム
 ウイリアム・ワトソン主任は、ゴルゴ13が、自分の仕事の秘密が漏れないようマーカス・モンゴメリーを殺そうとすると推理した。
 マーカス・モンゴメリーは震えてベッドから出ないが、手紙が来ないがリクエストを出した。
 
Part10 正面からの突入
 アトランタのアメリカ連邦刑務所にゴルゴ13がトレーラーで突っ込んできた。
 そして侵入しマーカス・モンゴメリーに会った。
 
Part11 "神"は許さず
 マーカス・モンゴメリーは生きていて前のように戻っていた。また脱獄者もいなかった。
 秩序が帯状犯罪者のゴルゴ13とマーカス・モンゴメリーの間に信頼関係が成り立っていることを信じられないウイリアム・ワトソン主任が狙撃された。
 
Part12 "マークの日"戻る
 テッド・キャメロンに、ウイリアム・ワトソン主任が射殺されたことが伝わった。
 ウイリアム・ワトソン主任はゴルゴ13に深く関わりすぎたのだ。
 
【感想】
 ゴルゴ13がウイリアム・ワトソン主任を殺したのが、マーカス・モンゴメリーからの依頼なのか、自分の連絡網を破壊使用とした罰なのか判断できない。
 マーカス・モンゴメリーがどんな罪で刑務所に入ったか本作品で明らかになった。
 ゴルゴ13とマーカス・モンゴメリーの関係は全てではないが、かなり明らかになった。
 マーカス・モンゴメリーにとって、ゴルゴ13が"神"なのは確かだ。
 しかし、それだけでこれだけ長い信頼関係を築けるだろうか?

  

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