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ジーキル博士とハイド氏

 ロバート・ルイス・スティーヴンスン作

 日高八郎訳

 グーテンベルク21発行

 2003/06/23

 

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 「宝島」で有名なスティーヴンスンの作品だ。

 紳士的でまじめなジーキル博士が自分の二重人格に気づき、薬で悪の部分をハイド氏として、分離してしまう。

そのうち、悪であることの誘惑に勝てなくなったジーキル博士は、薬を濫用するようになり、とうとう、殺人まで犯してしまう。後悔したジーキル博士はハイド氏を封印しようとするが、薬が無くてもハイド氏に変身するようになってしまった。他に「水車小屋のウィル」「一夜の宿」という二編の短編を収めている。

 

 人間の善悪の二重人格を扱った古典的名作だ。日本の神話やギリシャ神話のような多神教世界の影響を受けているものには、不思議ではないのだろうが、キリスト教イスラーム教のような一神教世界では、善悪あわせ持つ人間の複雑さは説明し難いのかもしれない。

 子どもの時に読んだのとはまた違った観点で、大人になってから、こういった古典を読んでみるのは面白い。

 

 巻末にあるスティーヴンスンの一生についての解説が、私には興味深かった。彼が、若い頃は放蕩の限りを尽くしたこと、苦労して子持ちの年上の女性と結婚したこと、結核で苦しみ療養のために南太平洋に行ったことなどが、事実なだけに、小説よりも面白かった。