- 『極北航路』(2010/12作品)(脚本協力 ながいみちのり)
- 『標的(ターゲット)は陽気な悪魔』(2010/09作品)(脚本協力 氷室勲)
- 『消えた原稿』(2010/12作品)(脚本協力 ながいみちのり)
『極北航路』(2010/12作品)(脚本協力 ながいみちのり)
依頼者:アメリカ ゲイツ
ターゲット:あおぞら党党首峯岸の弟シェバーキン
依頼金額:不明
狙撃場所:ロシア内陸部 シーニー山脈
殺害人数・相手:1人(あおぞら党党首峯岸の弟シェバーキン)
日本あおぞら党党首峯岸のもとに与党の久嶋元幹事長から電話が入る。
永田町で久嶋に会うと、ロシア大使館のシベリア抑留者名簿に峯岸の父・誠一郎の情報があり、父がロシアで生きており、峯岸に弟がいることがわかった。
峯岸は軽井沢で弟のシェバーキンと会った。峯岸の父はシェバーキンが10歳の時に事故で亡くなった。シェバーキンはマンモス・ハンターをし、レストランを経営し、中古車輸出入をしている実業家だった。
峯岸はウラジオストックにある父の墓を訪れる。そこで父と母のなれそめの話を聞いた。
その後、地球温暖化による極北航路の可能性について、シェバーキンから聞く。
場面が変わり、アメリカ・シアトルの墓地。『消えた原稿』で死んだガセルの墓を訪れたゲイツが、「我々の悪夢が現実になりそうだ。」「やつらの計画はこのゲイツが必ず潰す・・・」と心の中で誓う。
あおぞら党の執務室で、峯岸は、極北航路や北海道の港湾をハブ港湾にする構想を語り、”マリンニューディール計画”と名付ける。
峯岸は、ウラジオストックに日露出資の会社を作り、久嶋の口添えで国際協力銀行(JBIC)に出資させる考えだった。
増岡総理はその動きを嗅ぎつけた。
峯岸の弟シェバーキンは、自分がいじめられていたこと、母から銃の手ほどきをうけたことを、峯岸に話す。
ラスベガスで、ゲイツが、ゴルゴ13と会う。ゲイツは「史上最も危険なヒッチハイクだな・・・」と心の中でつぶやく。彼がゴルゴ13に何を依頼したのかわからず、場面が変わり、峯岸は増岡総理と料亭で何か会話する。
峯岸は大々的に「極北航路極東経済圏計画 マリンニューディールプラン」をぶち上げる。増岡総理は「まあ、お手並み拝見といきましょうかね・・・」と静観の構えだ。
しかし、峯岸の弟シェバーキンが十数億の金とともに突然行方をくらませた。病気で倒れた峯岸の下に外務省北米局長の杉下が、アメリカからの「極東の一切の権利からの撤退と事後の件に関知するな」という警告を伝えに来た。
峯岸の下にシェバーキンからの電話が入り、騙したことの謝罪と目を付けられると命が危ない、ということを話して電話が切れた。
シェバーキンはロシア内陸部 シーニー山脈の山小屋にいた。ゴルゴ13を迎え撃つためだった。二人の戦いは長期戦になるが、森林火災が二人に迫ってきた。トナカイの群れがシェバーキンの傍を通った時を利用してゴルゴ13がシェバーキンを射殺した。
シェバーキンは森林火災で死んだことになった。ゲイツがゴルゴ13に依頼してシェバーキンを殺したのが真相だ。久嶋はそのことを峯岸に伝え、去った。
極北航路を、日本と極東ロシア主導で進めることは、アメリカにとっても、ヨーロッパ・ロシアにとっても、面白くないことのようだ。そのため、シェバーキンは命を落とすことになり、それによって峯岸に警告したのだ。
地球温暖化により、極北航路は現実味を帯びてきたが、大国同士のエゴが衝突する場になりそうだ。
『標的(ターゲット)は陽気な悪魔』(2010/09作品)(脚本協力 氷室勲)
依頼者:元内閣軍事副大臣ルロイ・ボネット
ターゲット:ジンバブエ準備銀行総裁ラデオン・グノ
依頼金額:1,300京ジンバブエドル(依頼時100万米ドル相当 翌日10万米ドル相当)
狙撃場所:ジンバブエ
殺害人数:1人
ジンバブエの刑務所に収監されている元内閣軍事副大臣ルロイ・ボネットの裁判が始まった。
2009年1月23日午前、ボネットは、国際医療支援財団の車の荷台に積んだ1,300京ジンバブエドルで、ジンバブエ準備銀行総裁ラデオン・グノの暗殺を依頼した。理由は、ジンバブエのインフレを利用し、新札を刷り直す度にグノが私腹を肥やしているからだ。
1,300京ジンバブエドルは100万米ドル相当だが、激しいインフレのためにすぐに10万米ドル相当に値下がりするリスクがあるが、ゴルゴ13は「受取後の価値の下落は俺の側の問題だ。」と意に介さない。
ゴルゴ13はアーヴィングホテル10階にいるグノを狙撃するために600m離れたヴィクトリアホテルの13階1329号室からグノを狙撃した。
裁判でボネットに死刑が求刑されたが、弁護側は600m離れた地点からの狙撃が不可能なこと、ドイツ検察官ブレヒトを証人としたことで、ボネットに証拠不十分のため無罪が言い渡された。ブレヒトは新札印刷を請け負った会社のゴーゾッケとグノの不正を暴くために、ボネットを証人喚問したい、と言ったのだ。
それで有罪判決が出ればムンベ大統領に飛び火する可能性が出てきたのだ。
グノが死んだ後、ジンバブエドルは停止され米ドルを使うことになったことで、ジンバブエはインフレを断ち切ったのだった。
ボネットの暗殺依頼がジンバブエのインフレを止めたと信じるジンバブエの人達に対して、「いや、本当に、この国を救ったのは・・・・」と心の中で話すボネットだった。
ゴルゴ13の一弾が一国の経済を救った事例だ。
裁判の場の回想シーンの形でゴルゴ13の活躍を描いた面白い構成の作品だ。
『消えた原稿』(2010/12作品)(脚本協力 ながいみちのり)
依頼者:裏のメディア王 カリーの父
ターゲット:政治家秘書でありCIA ガセル
依頼金額:不明
狙撃場所:アメリカ サンディエゴ
殺害人数・相手:1人 政治家秘書でありCIA ガセル
アメリカ サンディエゴ ウエスタン・トリビュート・プレス社の記者ニールは局長賞の前祝いに呑みに行く。
そこで見習い記者のケインの原稿『マリンニューディール計画』を渡される。
翌日、政治家秘書をしているガセルが、ニールの元を訪れ、夜、呑みに行く。
酔って眠ってしまったニールはケインの原稿をガセルに渡してしまった。
ガセルはその原稿を買うとニールに言うが、ニールは自分の原稿ではないことを話し、ケインの所に連れて行った。ケインと彼女のカリーとニールとガセルは食事を共にする。
ケインはカリーの父親の会社から、原稿を出版するという理由で、ガセルに断る。
ガセルはプランBを発動する。
ケインの家が放火され、カリーの元には強盗が入った。そこにケインが入ってきて、強盗ともみ合いになり、カリーが死んでしまう。
ニールはガセルが黒幕と見抜き、ガセルを問い詰める。
その時、ガセルの眉間に銃弾が!
「カリーのオヤジ・・・ペンよりも、剣を使いやがった!」と震えるニールだった。
『極北航路』の前日譚だ。
『極北航路』でガセルの墓参りをしていた男は、登場しなかったが、どういう関係なのだろうか?
それにしても『極北航路』は、そんなに労力をかけて秘密にするような話だろうか?
地球温暖化により北極の氷が溶けることは周知の事実だし、そうなると誰もが考えつくことだ。
ニールやカリーの父にはまた登場してもらいたいものだ。