『G13ファイル』(2011/06作品)(脚本協力 横溝邦彦)
依頼者:なし
ターゲット:なし
依頼金額:なし
狙撃場所:
1)不明
2)スウェーデン ストックホルム郊外の路上
殺害人数・相手:
1)1人(アフガニスタンのカブール基地に駐屯するクロスビー情報下士官)
2)2人(大型トラックの運転手 中国国家安全部の柳とジョルダンの額に埋め込まれたICチップ)
世界一有名な告発サイト、リアルリークスの創設者であるジョルダンがイギリスで逮捕された。
彼は、アフガニスタンのカブール基地に駐屯する23歳のクロスビー情報下士官から得たアメリカ国家機密のディスクにG13ファイルがあることを知った。
クロスビー下士官はゴルゴ13によって射殺された。次は自分だと恐れたジョルダンはイギリスで出頭したのだ。
アメリカ バージニア州マクレーンCIA本部でレクスター部長は、15歳の頃のジョルダンを知っていた。
ジョルダンがここまで大きくなる前に潰すことができたのに、とレクスター部長は後悔する。
ゴルゴ13がロンドンに現れたことを聞いたレクスター部長はロンドンに飛ぶ。そこで極秘会議が開催されるのだ。出席者は、レクスターの他に、中国国家安全部の柳、ロシアFSBのヤゾフ、イギリスMI6のバートンだった。
4人はG13ファイルがネットを監視し、ネットに出たことがわかり次第、サーバー管理者に圧力をかけて削除させることに合意する。
その頃、ゴルゴ13はスコットランドのエジンバラで、ジョルダンの恋人であり弁護士のレイラと会っていた。ジョルダンとゴルゴ13が直接交渉する。
「いつの時代であろうと、光あるところには・・・必ず闇がある・・・。ネットは単に通信の発展形でしかない・・・運営するのは”人”だ・・・」とゴルゴ13は無表情に答えてジョルダンとの取引に応じない。
ジョルダンはゴルゴ13に殺されると覚悟を決める。
ジョルダンの身柄はスウェーデンに移される。
飛行場で撃たれると思っていたジョルダンだったが、案に相違して飛行場では狙撃されなかった。
道路を車両で移動するジョルダンに向かって、大型トラックがスピードを上げる。
その時ゴルゴ13の銃が火を噴いた。死んだのは大型トラックの運転手だった。
ジョルダンのそばに駆け寄る4か国の情報機関の代表者達。その時、中国国家安全部の柳の眉間を銃弾が貫いた。彼は仕込み杖でジョルダンを殺そうと狙っていたのだった。
そして、次の瞬間、ジョルダンの左こめかみにゴルゴ13の銃弾が当たった!!
ゴルゴ13は男の場合、いつも眉間を撃つが、ジョルダンの場合、眉間ではなくこめかみを撃ち抜いていたのが不思議だった。
実際、ゴルゴ13は、ジョルダンが額に埋め込んでいたICチップを撃ったのだった。そして死の恐怖を植え付けたのだ。
ゴルゴ13による見事なファイル流出阻止劇だ。
『ミクロの油田』(2011/11作品)(脚本協力 横溝邦彦)
依頼者:不明(OPECか?)
ターゲット:アルギ・グリーン社のボトリオコッカス・オイル施設 アルギ・グリーン社のチャップマン主任 水島国際大学白髪教授の助手塩見
依頼金額:不明
狙撃場所:アメリカ オハイオ州、アルギ・グリーン社
殺害人数:2
横須賀や静岡の川の下流で相次いで魚が大量に死んだ。
水島国際大学白髪研究室の助手塩見が、まだ分析中ではあるが、魚の大量死の原因が生物毒であると言い切った。工場長は塩見にデータを渡すことにした。
アメリカ オハイオ州、アルギ・グリーン社ではチャップマン主任が、各セクションの人達と打合せをしている。藻を育てていること。100Lの培養液から0.5Lのオイルしか取れないことに怒っていた。
日本の白髪教授がオイルを生み出す藻オーランチオキトリウムの新種を発見したこと。しかもそれはアルギ・グリーン社が培養しているボトリオコッカスに対して36倍の速さで増殖すること、12倍の効率で炭化水素を生産することが語られる。
もしこのことをアルギ・グリーン社最大の出資者であるゲーリックが知ると、ゲーリックがアルギ・グリーン社に出資を再考する可能性がある。
チャップマンの父はテキサスで油田を掘り当て、大富豪になったが井戸が枯渇し会社が倒産したのだった。
白髪教授は石油資源のない日本のために藻による石油精製は日本で行おうとしており、海外からの高額なオファーを断っていた。
チャップマンは白髪教授のオーランチオキトリウムをごくわずかだが持っており、部下にその研究を命じる。
白髪教授のいる水島国際大学の研究室で白髪と塩見が会話する。塩見はもっと多くの予算をくれる海外に売ってはどうかと提案するが、白髪は却下する。
塩見の調査の結果、白髪教授のオーランチオキトリウムが毒素を持つ変異を起こしていることがわかった。
警視庁では、ゴルゴ13が日本に入国したこと、静岡と神奈川の毒素を流した工場付近にいたことを井上部長がつかんだ。
井上は、白髪教授に事情を話し、身辺警護することとした。
白髪教授は沖縄に飛び、藻の採集にとりかかった。そこにゴルゴ13が現れたが、井上達が向かったときには既に消えていた。
塩見は白髪教授のオーランチオキトリウムの株を持ってアメリカに高飛びした。ゴルゴ13も白髪教授もアメリカに飛んだ。
塩見はオーランチオキトリウムに毒素を持たせる変異を起こさせ、企業に渡し、白髪教授の株を盗んできた。
アルギ・グリーン社の周囲に多くの報道陣が集まってきた。その中継車両の一台のパラボラアンテナの背後にゴルゴ13がいた。ゴルゴ13はボトリオコッカス・オイルを狙撃し流出させ、曳光弾を枯れ葉に打ち込み火災を起こした。
その時、チャップマンと塩見の眉間をゴルゴ13の放った銃弾が貫いた。
オハイオ州のニッケイ食品の工場で、白髪教授が同社の小野にオーランチオキトリウムのクローン株を渡しており、白髪教授の希望はつながった。
藻はかつて酸素や鉄鉱石や石油を作り、人類を助けてきたのだ。
日本のエネルギー問題や貧弱な研究環境を真正面からとりあげた問題作だ。
ビル・ゲイツを彷彿とさせるゲーリックが登場する。
本作が発表されてから約12年経つが、今、最新研究はどうなっているのだろうか?