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竹村公太郎『地形と水脈で読み解く!新しい日本史』宝島社新書(2019/08/23)

 

新書版


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高速道路網の発達によるトラック輸送が中心となった現代日本の視点で過去を見るとよくわからないことが多い。

例えば、旧国名は、京都に近い方から上下、前後となる。例えば、備前、備後。上野、下野。しかし、千葉県は、京都からは遠い方から上総、下総だった。これは京都から大阪に出て海路で行くと、上総の方が近かったからだ。

 

トラック輸送が発達する前は鉄道輸送が物流の中心だったが、その前は、ずっと船による輸送が物流の中心だった。

 

古代史を学ぶと疑問が、なぜ盆地の奈良が都になったのか、だった。

本書によると奈良盆地の中央に巨大な湖があり、大仙古墳のすぐそばが海で、大阪湾から奈良盆地まで海路でつながっていたのだそうだ。

納得だ。

そして奈良の都を捨てた理由は、次のようなものだった。

人口増加=>周囲の山を伐採したことによるはげ山化=>山の保水力低下=>土砂崩れや田畑の浸水多発=>生活排水・汚水の流入=>船の往来の低下・疫病の流行

これも納得だ。

 

日本の神話で大国主命の子タケミナカタは諏訪に逃れるが、これも不思議だった。

なんであんな山奥に、と思ったが、これも水運で考えると納得だ。

 

足利幕府終焉の地鞆の浦も水運で考えると、なぜここに足利義昭が行ったかわかる。

 

安土城に行ったとき、なぜ信長がここに城を築いたか疑問だったが、本書p.133の図を見て納得した。

長浜、安土、大溝、坂本と琵琶湖を囲む水運ネットワークが築かれていたのだ。

 

豊臣秀吉が伏見に城を築いた理由も京都・伏見・大阪・広島を水運ネットワークで結んでいるとわかると納得だ。

 

水はヒトが生きていく上で必須の物質である。

真水はごくわずかな量しかない。地球温暖化や人口増により将来その奪い合いになるだろう。

幸い日本は水資源に恵まれた国である。

この貴重な資源を有効活用する方法を考えて実現していく必要があると改めて思った。