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第一章 マスどり
蔵方役
石垣伝兵衛という男が仇討ちに追われる。そこに謎の浪人が現れ、1対1で仇討ちするように命令する。見事仇討ちは成功する。
日置藩竹間沢村の庄屋の所に正助が字を習いに通っていた。伊集院がそれを見て褒める。
花巻村では小六の所に手紙が届いており、正助がそれを読む。小六の娘オミネが帰ってくると書いてあった。
仇討ちを果たした馬場平八郎は日置藩に帰参を許され、蔵方役に任じられた。次席家老の草加勘兵衛は藩主が決めたことに懸念を示す。
遊猟
日置藩藩主が狩猟を行う。その接待は百姓の役目だ。また狩猟で畑を荒らされるのも我慢しなければならない。
下人のダンズリは非人たちに犬のエサ同然の食事を出す。それを見た正助はダンズリに詰め寄るが、ダンズリは「親に逆らうな」と正助を殴る。それを天井から見つめるカムイ・・・。
狩猟の時に、謎の浪人が昼寝をしており、矢を刀で撃ち落とす。
小六の娘オミネが村に向かう途中、草加竜之進の矢が当たってしまう!!
検見
この年は不作だった。百姓たちは検見を申請し、家老の草加勘兵衛の一言で検見をすることになった。検見とは年貢の税率変更のために、農村を役人が調査することだ。
しかし、検見をするのはあの馬場平八郎だった。彼は多数の部下を連れてきた。その中にはあの浪人もいた。百姓たちに接待を強要する。
結局、百姓たちは検見を取り下げた。
それを聞いて、馬場平八郎と共に笑うのは橘軍太夫だった。
一方、次席家老の草加勘兵衛の所には江戸藩邸の金銭的な苦境が伝えられた。また、オミネを怪我させてしまった草加竜之進はオミネを見舞い、二人は恋に落ちてしまった。
マスどり
馬場平八郎は年貢取り立ての際、沢山の米をこぼしたり、前かきと呼ばれる量り方で、米を沢山こぼし、自らの余録にしていた。百姓たちはあまりにひどい仕打ちに徒党を組んで抵抗した。
藩主と橘軍太夫は武芸大会を催し、笹兵庫と浪人を対決させようとしているが、草加勘兵衛は、まずは年貢を無事に納めさせ、江戸に回米することだ、と直言した。そのため藩主は立腹する。城代は勘兵衛に「風にそよぐアシの心がけ」を説く。
刺客
徒党を組んだ罪で捕まっていた庄屋たちが釈放された。草加勘兵衛により罰金だけで済んだのだ。蔵方役の馬場平八郎はお役御免となった。
藩主と橘軍太夫は馬を並べて領内を走る。二人にとって勘兵衛の言動が面白くない。二人は草加竜之進とオミネが会っているのを目撃し策を弄することにした。
橘軍太夫は馬場平八郎のもとに行く。
草加竜之進のもとに例の浪人がやってきた果たし状を渡し戦う。
浪人は竜之進の左薬指と小指を切り落とす。とどめを刺そうとした浪人を竜之進は刀を立ててかろうじて殺す。
一方、オミネのもとには橘一馬が現れ、竜之進からの言づてと称して月山の池に誘う。そこには藩主がいてオミネを襲う。そこに短剣が刺さった!!
[感想]
『カムイ伝』の三人の主人公である草加竜之進、正助、カムイの人生が少しずつ合流してきた。
これからどう話が進み、彼らがどう交わっていくのか楽しみだ。
第二章 赤猫
凶器
短剣はカムイの槍の穂先についていたものが外れてしまったものだった。
藩主は橘軍太夫の活躍で短剣を投げた刺客に狙われたが助かった、ということになった。だが、草加勘兵衛は犯人を捕まえていないことで橘軍太夫を叱責する。
草加勘兵衛の娘、小夜は笹兵庫を好いていた。
正助はオミネから櫛を預かり竜之進に渡す。竜之進は重傷の身体でオミネのもとに向かおうとするが途中で倒れる。その横を目付の橘軍太夫が馬に乗り小六の家に行き、「オミネを城に」と言う。オミネは小六に「城に上がるくらいなら死にます」と言う。そして重傷を押してオミネの所に来た竜之進と抱き合うのだった。
一方、夙谷では横目が藩主を狙った短刀の持ち主をきく。カムイが自分のものだと言う。横目はその短刀をカムイから返してもらい、もっといい刀をやるから家に来るように、と言う。
ツブレ
オミネを藩主に差し出すことを断った小六は橘軍太夫と横目の策略により、年貢米を納められないことによって領主の下人に落とされた。それをツブレという。そしてたくさんの白米を下賜された小六の家では小六の父が白米をあわてて食べて死んでしまった。小六も精神的におかしくなってしまった。
赤猫
左手薬指と小指を失った竜之進はかつてのような剣術にはほど遠い状態だった。
横目が草加家の新田を調べていた。笹兵庫がそれを見つけ斬りかかるが横目はかわして遁走した。
藩主の下人になったオミネは藩主から夜伽を命じられ身投げした。
プライドを傷つけられた藩主はオミネの死体を草場に置くように命じた。つまり牛馬同様の扱いだった。
神田錦橋の普請を日置藩が命じられた。藩財政窮乏の折り、どうするか話し合う家老たち。草加勘兵衛は新田開発を提案する。藩主と橘軍太夫は五名ほどの禄をとりあげるが、それでは足りない。橘軍太夫に何か策があるようだ。
そんな時、夙谷で火事が起こった。火のついた棒を引きずって歩く小六。どうやら彼が夙谷に放火したようだ。放火の事を赤猫という。
最愛のオミネを失った竜之進は剣の道に開眼した。
隠し田
日置領内に倹約令が出た。厳しく取り締まる横目。
そんな時、草加勘兵衛抜きで先代の法事を挙行した。草加勘兵衛は藩主に食い下がる。藩主は草加勘兵衛に隠し田があることを追及する。草加勘兵衛は誰もが新田を開発していると答える。城代が神田錦橋の普請監督に草加勘兵衛を推薦する。
上意
草加竜之進の剣を見た笹兵庫は「あれは魔剣だ」と心配する。
草加竜之進が道を歩いているところを暴漢に襲われた。撃退した竜之進だが、その暴漢は何と藩主だった!!「おって沙汰する」と言って去る藩主・・・。
そして草加家に処分が下った。つるし首や斬首だった。怒った草加一門は、先に竜之進は逃がした上で武器を取って戦うことを選んだ。草加勘兵衛の妻と娘の小夜は自害した。藩主は草加一門討伐に笹兵庫を差し向けた。草加一門の草加十兵衛もそれに加わった。
草加一門は滅んだ。笹兵庫は草加竜之進と戦い竜之進は川に落ちた。しかし彼の死体は見つからず、竜之進を逃した罪で笹兵庫は切腹した。
草加一門を滅ぼしたのは藩主と橘軍太夫の陰謀だった。これで草加勘兵衛の1万石と一門の5000石が藩主のものになった。
草加竜之進を川から救い出したのは夙谷のカムイだった。
[感想]
やっと物語のペースが上がってきた。
竜之進とカムイはここからどうなっていくのだろうか?
第三章 斬首
欠落<逃散>
欠落とは百姓が田畑を放棄して他領に逃げることだ。音吉とその妻子はその罪で捕らえられ槍で突き刺されて処刑された。処刑人で非人の弥助は赤ん坊を刺すよう横目に命じられたができなかった。
百姓の処刑を非人がやるのは、百姓と非人の間を仲違いさせるための支配層の策略だ。正助の父で下人のダンズリは、非人の横目を襲うがかわされた。次にダンズリは処刑した非人の弥助を槍で襲う。弥助は、「自分は領主に言われて仕方なく処刑したが、お前は自分の意志でやった」とダンズリに言う。
枯れ木屋敷
発狂した小六に放火された夙谷にはカムイ以外誰もいなかった。そこに横目が来て刀を渡すから枯れ木屋敷に来い、と言う。枯れ木屋敷に着いたカムイに横目は、娘のサエサを紹介し、自分の部下になれ、という。非人だが江戸の弾左衛門車善七からこの地域の支配を任されていて、横目は大きな家を持ち裕福な生活をしていた。カムイは無視して刀を受け取る。試し斬りしたところ刀は折れてしまった。キギスがカムイに襲いかかるが、カムイは難なくキギスを倒してしまう。カムイは枯れ木屋敷を立ち去る。
「おしい。ああいうタイプは長生きはしまい・・・」と横目はつぶやく。
コゲラ
夙谷に帰ったカムイの所にコゲラという子どもが遊びに来る。母親が「あの子と遊んではいけない」と注意してコゲラを連れて帰る。
放火された夙谷の人達は血深沢に移ったり人からのほどこしを受けて生活していた。カムイはそれが許せず一人で夙谷に残った。竜之進の刀を木のうろに隠し、鷹を使って鳥を襲い、それをエサにして野犬と戦い、強さを追い求める。
非人救済のための炊き出しを百姓に命じたため百姓の非人への恨みが募っていた。
そしてコゲラが子どもにいじめられ、氏神様に奉納したものを盗むよう百姓の子どもに言われ、言われたままに氏神様のお供えものを食べたコゲラが花巻村の百姓の小頭に縛り付けられる。そしてコゲラは寒さのために死んでしまった。
怒ったカムイは竜之進の刀を持って小頭宅を襲い少女の腕を切断し小頭を誘拐し一本杉に吊るした。カムイを探す百姓たちだったがカムイはつかまらなかった。
斬首
横目は何とかカムイを助けようとしたが、目付橘軍太夫はそれを許さなかった。カムイの父弥助が捕まった。父を助けようとしてカムイが捕まった。そして父弥助がカムイの首をはねた!!
さらし首になったカムイの顔を見上げながら謎の雲水が「おしい男を・・・」とつぶやく。
横目の娘、カムイのしゃれこうべを見て哀しそうな表情をする。その背後に人影が近づく。振り向いたサエサは驚き気を失った・・・。
[感想]
主人公の一人草加竜之進が消え、もう一人の主人公カムイがここで斬首されるとは、想定外の展開にとても驚いた!!
この後どう物語が展開していくのだろうか?
それにしても藩主と橘軍太夫の張り巡らす陰謀はひどいものだ。
その橘軍太夫の手下の横目がカムイを買って橘軍太夫の命に背いたり、謎の雲水の存在など、この後どうなるか楽しみが尽きない。