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第一章 タブテ
カマイタチ
蔵方役を首になった馬場平八郎はくすぶっていた。一方、橘軍太夫は出世しており家老になりそうな勢いだった。そんな馬場平八郎を辻斬りが襲う。彼はマゲを切られてしまった。辻斬りに遭ったというのは恥なので彼はマゲを切られたのはカマイタチのせいにした。
分身
カムイのしゃれこうべに向かって「弟・・・ばか!無駄死にしおって。死んだら何も残らない」と言うのは、カムイの双子の兄だった!!
タブテ
枯れ木屋敷にいたキギスがカムイの所にタブテという石つぶての得意な少年を連れてきた。カムイはタブテをコテンパンにのしてしまう。タブテは自分を子分にしてくれ、と頼む。サエサも仲間に入れてくれ、と頼む。しかし、カムイは断る。そこに横目が来て、「百姓が土地に縛られるように非人には非人の掟がある。この地からはでられぬぞ。」とカムイに釘を刺す。
キギスとサエサは横目とともに引き揚げるが、カムイはタブテに「ついてこい。」と言う。飢えさせた野犬を集めた柵の中にカムイは飛び込み俊敏な動きの訓練だ。
カムイは剣の技量を高め強くなることで誇りと自由を獲得しようとしていた。
餌漁(えりょう)
カムイとタブテは共同生活を始める。カムイは狩りや釣りが上手いがタブテはなかなかカムイのようにはいかない。自立をしようとしているがカムイの厄介になるタブテだ。二人は獲物が多い地域に入り込むがそこが藩主の狩り場とわかる。カムイは危険と感じてそこには入らないようにする。
密猟
タブテは夙谷の仲間に獲物を分けてあげることで皆の尊敬を得る。それが嬉しいあまり禁断の領主の狩り場に狩りに行く。冬眠明けの熊を見つけ罠をしかけるがその熊は罠を壊して逃亡した。
拷責
領主と橘軍太夫は、最近、狩り場が荒らされていることについて話し合う。
カムイは血で染まった刀身を水で洗い鞘に収める。一体、何を斬ってきたのだろうか?
一方、タブテは狩り場で領主の山役が仕掛けた罠に捕らわれてしまった。厳しい拷問に遭うが、タブテは自分一人でやったとシラを切り通す。一本杉に吊るされたタブテからシラミが離れていく。それはシラミにとってタブテが宿主としての意味がなくなったこと、つまり死を意味する。そのそばを発狂した小六が歩いて行く。
縄が切れてタブテは川に流される・・・が、「おれは死なねえぜ」と岩に手をかけてつぶやく。
[感想]
第2巻で斬首されたカムイは生きていた!!正確に言うと死んだのは弟で、兄が生きていたのだ。これで物語は進む。
領主の狩り場を荒らしたタブテ。カムイはタブテを見捨てた。名乗ったら自分も殺されてしまうのがわかっていたからだ。
これからどう話が進み、彼らがどう交わっていくのか楽しみだ。
第二章 鉄山
挑戦
その頃、武士が何人も辻斬りに遭っていた。
どうやらカムイが辻斬りをしていたようだ。
彼の次の獲物は、片足で松葉杖をつく水無月右近だった。片足の水無月右近は獲物にならないと思ったカムイに気づいた水無月右近は、横目を探している、と言う。
辻斬りをしようとしたカムイはとうとう茨木という武士を殺してしまった!!
長巻
辻斬り対策に城代は、風見多聞という居合いの名人を呼んだ。
領主と橘軍太夫は面白くない。そこで、彼らは、長巻が得意な長柄一族に風見多聞を斬らせる。
ツタ霞
カムイは凍った池からその池の主である巨大なコイを釣った。そこに橘一馬が来てコイを譲れ、と言う。カムイはコイを逃がしてしまう。そして望月領のシグレ沼に同じような大きさのコイがいる、と一馬に言って誘う。
シグレ沼でカムイが橘一馬に辻斬りをし、一馬の右脚を切り落とした。そこに長柄一族が現れた。さすがのカムイも長柄一族の長巻にはかなわず今にも殺されそうになったとき、露木鉄山という浪人が現れた。露木流ツタ霞という技によって長柄一族は残らず斬られてしまった。カムイは露木に弟子入りを志願するが、露木は断る。
カムイは夙谷に逃げ、サエサが看病していた。
鉄山
サエサの看病で回復したカムイは熊の死体を見つける。タブテが捕まえようとしていた熊だった。非人たちに知らせた。
カムイは山中の煙から、露木鉄山と娘のアテナと若い武士が生活している小屋を見つけ、鉄山に弟子入り志願する。しかし若い武士との対決に敗れる。
アテナがカムイを誘惑している、と誤解したサエサがアテナを襲うがアテナが返り討ちにした。
露木鉄山が住む小屋を遠くから謎の雲水が見つめる。
忍びの者
カムイは露木鉄山のもとにいる若い武士(笹一角)と稽古する。笹一角は水無月右近との戦いに敗れ死んだのではなく修業に出ていて、草加一門の全滅、弟兵庫の死も知らなかった。
謎の雲水が笹一角に水無月右近を見た、と言い、一角に水無月右近を追わせる。
露木鉄山とアテナだけになった小屋に雲水と忍びが襲いかかり、ついに露木鉄山は殺された。理由は露木鉄山が、彦根に忍び込んだ忍びを斬ったからだった。その忍びが何か情報を漏らしていないか疑い、その情報を知っていると思われる露木鉄山を殺したのだった。彦根に忍び込んだ忍びは口を割らなかったが、忍びにとってはそれはどうでもいいことだった。
露木鉄山の死体を発見したカムイは謎の雲水と戦うが、雲水の石つぶてにやられてしまう。
その頃、水無月右近と笹一角が斬り合っていたが、水無月右近が草加一門が滅ぼされたことを笹一角に話す。笹一角は目付、橘軍太夫を殺しに走る。
[感想]
強くなることで自由を得ようとするカムイだった。日置藩の武士たちより強くなったが、長柄一族はもっと強く、露木鉄山や笹一角はさらに強く、謎の雲水と忍びはさらにさらに強かった。
一体どこまで強くなれば自由を得ることができるのだろう
第三章 片目
袋がえし
橘軍太夫目指して走る笹一角が横目と出会う。横目は草加十兵衛が草加一門を裏切り生き残っていることを話す。笹一角は草加十兵衛を斬りに向かう。
水無月右近は茶漬けを食べに店に寄ったがそこの茶漬けで腹を下してしまう。
草加十兵衛邸に侵入した笹一角は十兵衛の娘、鈴を斬り殺す。十兵衛の真意を聞いた笹一角は十兵衛の右腕を斬り落とし、抜け穴を通って十兵衛邸から打出する。そこに橘軍太夫と横目がやってきたが、笹一角はもういなかった。
掟
横目は犬を使って笹一角の後を追う。待ち伏せしているところに、腹を下した水無月右近が現れ、水無月右近は戦いを挑むが、腹を下しているので戦えない。笹一角を捕まえる任務を優先する横目は立ち去る。
横目は笹一角を見つけ戦いを始める。横目の鎖鎌と目つぶしによって、自由を奪われた笹一角。絶体絶命のピンチの時にあの謎の雲水が現れ、横目の投げた手裏剣を返す木の実返しの秘術を見せ、空中で横目を失神させる。
気づいた横目に、謎の雲水が非人頭である弾左衛門車善七の書面を見せる。笹一角を殺すな、という命令なのだろう。その理由については明かさず、横目には非人と忍びの目がついてくることを警告して、雲水はで去って行った。
片目
対決しようとしていた第一巻第二章のラストシーンで片目と白い狼の対決が始まりそうなコマがあった。その続きだ。二匹は対決するが、何度負けても白狼は片目に接近しようとする。その都度追い払う片目だった。
片目が、三ツ目と呼ばれる狼がリーダーである群れのテリトリーに入った。二頭が対決しようとしたときあの白狼が三ツ目の群れに飛び込んできた。片目は堂々と引き揚げた。三ツ目の群れは他の獲物を見つけ去った。
二匹
それ以後、片目と白狼の不思議な共同生活が始まった。狩りは別々にやるが不思議な距離感を保っていた。白狼はあのオオサンショウウオを仕留めた。片目も真似をしてオオサンショウウオを白狼から奪った。
いつしか二匹で共同して大きな獲物を仕留めるようになった。
奇蹟
白狼が洞窟に入りコウモリ狩りをしようとして、深い穴に落ちてしまった。片目はその様子を見たが深すぎることがわかった。片目は鹿を襲い腹一杯食べると白狼のいる洞窟に向かいエサを吐き出す口腔給食をして白狼を助けた。
その洞窟に片目の狩人がやってきた。白狼を見つけ穴に降りようと丸太を降ろしたとき、白狼がその丸太を伝って穴から飛び出し逃げていった。
春
片目と白狼はいつしか夙谷の非人部落に近づいていた。
野犬の群れが夙谷の鶏小屋を襲っていた。人々はそれを片目と白狼の仕業と思っていた。片目と白狼は草場の死体からもエサを得ていた。
人々はあの片目の狩人(阿仁の狩人)に狼狩りを依頼する。阿仁の狩人は、礼はいらないが白狼を自分のものにする、と言う。草場に罠をしかけるがかかったのは野犬だった。春が来たので狼たちは山に戻ったのだった。
[感想]
主人公の一人、笹一角が生きていたこと、そしてあまりに一本気で、草加一門の仇討ちに走った。笹一角を倒した水無月右近。その水無月右近の脚を切った横目。横目を苦もなく倒した謎の雲水。一角を横目が殺そうとするのを、なぜ雲水は止めたのだろうか?謎が深まる。続きが気になる。