アリス・セカンド・ライヴ
アリス・セカンド・ライヴ
1974年3月31日に神田共立講堂で行われたリサイタルの実況録音盤。
オフコースの鈴木康博、トランザムの後藤次利もゲスト・ミュージシャンとして参加している。
アリスが一番苦しかった頃のライヴアルバムだ。だが、春をテーマにした、明るいライヴになっている。
第一部は、ほとんどオリジナル曲が無く、小学校唱歌やスタンダードナンバー中心。第二部も後半になってようやくアリスのオリジナル曲を歌うが、『明日への讃歌』や『愛の光』のような初期アリスのスタンダード曲も歌っていない。どうしてこういう選曲をしたのか疑問だ。またこのライヴをレコードにしたのもビジネスとしても疑問だ。
アリス・オリジナル曲を聴こうと思ってこのライヴに行ったお客様はどう思っただろう?いくらヒット曲のない頃のアリスだとしても、いいオリジナル曲がたくさんあるのだから、正直、私なら、がっかりする。
いろいろと試行錯誤している時期のアリスの苦闘を感じるライヴ盤だ。
1.イントロダクション(春がいっぱい~マサチューセッツ)
『春がいっぱい』は、シャドウズのカバー、『マサチューセッツ』はビージーズのカバーだ。カバーだが、自分自身の曲としてきちんと消化して歌っている点がすごい。
2.ラヴ
ナット・キング・コールのカバー。
3.メドレー(春が来た~春の小川~花~恋は水色)
まさか小学校唱歌を歌うとは・・・・。『恋は水色』は、矢沢透のボーカル。ラストで、会場の笑いが起こるのだが、いったいなにが起こったのか気になる。
4.冬が終って
ようやく堀内孝雄のオリジナル曲が登場。MCでは、堀内孝雄と谷村新司が一曲ずつ歌うと言っているが、堀内孝雄だけ歌っている。谷村新司の歌はカットされたのかもしれない。
5.アンチェインド・メロディー
ライチャス・ブラザーズで知られる曲。堀内孝雄の歌のうまさが光る。
6.明日に架ける橋
サイモン&ガーファンクルのカバー。いろいろな人がカバーしているが、私は、アリスのカバーが最高だと思う。
7.バイ・バイ・ラヴ
これもサイモン&ガーファンクル。第一部の最後の曲。哀しい歌詞だが、明るく元気な曲だ。
8.ルイジアンナ
キャロルのカバー。このライヴの中で一番いいと思う。この曲もいろいろな人がカバーしているが、堀内孝雄がこのライヴでカバーしたこの曲が最高だ。「これに目覚めて、もっと早くロック調の曲作りをしていたら、アリスの下積み時代は短くなったのに」と思う。
矢沢透のドラムも聴き応え十分で圧巻だ。
9.噂の女
内山田洋とクールファイブのカバー。谷村新司のボーカルは、演歌にもよく似合う。
10.かもめ
アリスのオリジナル曲の二曲目。どういうわけでこの曲を選曲したのか、疑問に思う。
11.アリスのメッセージ(ナレーション)
アリスのライヴの良さは、デビュー当時から、語りの部分だ。20歳代前半でこういう話ができるのはさすがだ。
12.青春時代
アリスが他の作詞家作曲家の曲を歌い、ファンからたくさんの抗議を受けた曲だ。
13.青春の影
このライヴで歌った曲の中で、二番目にいいと思うのがこの曲。ボーカルと演奏がうまくコラボレートしている。
14.おまえ
この曲を聴くといつも思うのが、「24歳の男が お菓子の箱を持てたのも」という歌詞の部分だ。当時は、大の男が菓子の箱を持つのが照れくさい、恥ずかしい、というのが一般だったのだろう。今だと、菓子を買っていかないと恋人や奥さんに怒られるのに・・・。「諸行無常の響き」を感じる。
15.さよなら昨日までの悲しい思い出
デビュー曲『走っておいで恋人よ』のB面だ。B面だが、『走っておいで恋人よ』よりリズムがあって、いい曲だと、私は思う。