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田原 総一朗『ドキュメント東京電力―福島原発誕生の内幕』文藝春秋 (2011/07/08)

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■田原 総一朗 (著)

■ドキュメント東京電力―福島原発誕生の内幕 (文春文庫) [文庫]

■出版社: 文藝春秋 (2011/7/8)

■ISBN-10: 4167356155

■ISBN-13: 978-4167356156

■発売日: 2011/7/8

 

 日本の原子力発電所創設期の通産省と電力会社の熾烈な戦いをまとめたドキュメント。

第二次世界大戦の時の統制経済を再現しようとする政府-通産省に対して、あくまで民間主導で電力を供給しようとする電力会社が、新テクノロジーである原子力発電を巡って主導権を握ろうとしてあの手この手で戦う。

 電源開発という会社が官僚が主導権をとろうとして作った会社で、日本原子力発電が電力会社が官に主導権を奪われまいとして作った会社だとは知らなかった。

 本来水と油の左翼と右翼が、原発反対の左翼と統制経済志向の右翼とともに、民間企業を相手にして戦う姿が、不思議な光景だ。

 「優秀でまじめな官僚が、ふまじめな人より危険で、第二次世界大戦で国を滅ぼしたのが優秀な軍事官僚達だった」というのが印象的だ。

 現在、スマート・シティーと呼ばれているのと同じような考えが、1980年に既にローカル・エネルギー・システムという構想として存在していたのも驚きだ。

 

 現在、東京電力を国有化しようという動きがある。本書に登場する国有化に対して戦った民間電力会社の人達は、草葉の陰でどう思っているだろうか?