■竹田いさみ
■世界史を作った海賊
■出版社: 筑摩書房 (2011/2/9)
■ISBN-10: 4480065946
■ISBN-13: 978-4480065940
■発売日: 2011/2/9
スペイン無敵艦隊を破ったイギリス海軍の主力が海賊だったり、エリザベスⅠ世が海賊のスポンサーだったのは有名な話だ。本書は、そんなイギリス海賊史をわかりやすく説明した本だ。
海賊達のスポンサーだったエリザベスⅠ世や貴族達について、大活躍したイギリス海賊達について、史料に基づきわかりやすく解説している。実際の海賊行為によってどれだけ儲かったのか、数字をあげて説明されており、わかりやすい。海賊の活躍(?)によって、大英帝国が資本を蓄積し、後に産業革命を起こす過程がよくわかる。
ポルトガルが独占していた奴隷貿易船を海賊達が航路の途中で襲撃し、船もろとも奴隷を略奪し、販売して儲けた時代が270年も続いたのには驚いた。そんな無法なことが許され、そんなに長く続いていたとは、呆れてしまう。
エリザベスⅠ世とほぼ同じ頃、日本は徳川幕府による鎖国政策へと向かっていったが、日本も英蘭に負けずに貿易にひた走っていたらその後の歴史はどうなっていただろうか?と考えると興味深い。
本書の残念な点は、襲撃されたスペイン・ポルトガル側からの視点が無いことだ。スペインやポルトガルはインカ帝国のように滅んだわけではないので、きっと史料が残っているだろう。両方の視点から歴史を捉えることで、より一層、歴史が立体的になり、面白いものになったと思う。