堀辰雄の『風立ちぬ』の物語を、96式艦上戦闘機と零式艦上戦闘機の設計者、堀越二郎を主人公に翻案した物語。
美しい飛行機を作りたい堀越二郎が、時代という流れの中で、戦闘機を設計せざるを得ない。
結核で苦しむ菜穂子。サナトリウムから出てきて二郎と結婚するが、美しい思い出を残すために、サナトリウムに黙って戻る。
1930年代後半から敗戦までの時代背景の中で必死に生きる若者達を清冽に描いているアニメ作品だ。
飛行機は戦争によって発展したテクノロジーであることは残念ながら否定できない。
だが、設計者のほとんどは機銃や爆弾を搭載しないで、美しく高速で遠くまで飛べる飛行機を、おそらく作りたかっただけだろう。
時代という流れの中で仕方なく機銃や爆弾を搭載し兵器として世の中に送り出したと思う。
病気になりたくてなる人はいない。しかしなってしまうのが病気だ。
病気や時代という逆境でも人は与えられた状況で必死に生きていくしかない。そんな思いを込めた映画だと思う。