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白土三平・岡本鉄二『カムイ伝 第二部 20』(小学館)(1998/11/01)



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●歯ッカケ〔二〕

  長耳との戦いで怪我を負った喜多郎のもとに怪我を負った歯ッカケが来た。

  五代木の大文字屋に薬を薬をもらいに行った喜多郎に、大文字屋は薬を渡した。

  喜多郎は鍛冶屋を訪ね、金塊の一部を渡し、義手を作るよう依頼した。

  歯ッカケの左手には、鍛冶屋に作ってもらった義手がついていた。喜多郎が隠していたラッパを入手した歯ッカケは元気になって群れに戻っていった。

 

 喜多郎小屋(二)

  歯ッカケは長耳に決闘を挑んだ。ラッパの音で脅かし、左手の義手で長耳を斬り殺した。

  歯ッカケが群れのボスに返り咲いたことを見届けた喜多郎は、彼がまた金塊を持ってくることを夢見てまどろむ。それを見ていた謎の男は「そっくり巻き上げるにはもってこいの場所・・・・」とほくそ笑む。

 

 喜多郎小屋(三)

  歯ッカケの群れが金塊を持って喜多郎の所にやってきた。喜ぶ喜多郎を背後から謎の男が脅す。戦って謎の男を斃した喜多郎の所に、大文字屋の番頭の市と陣内が現れた。死体を始末することを助言して湯に入る二人だった。陣内は大文字屋の番頭の市の護衛が仕事だった。

  喜多郎が市に、また泥棒が来たときにどうしたらいいか、相談する。市が犬を飼うといい、と答え、大きなグレートデーン種の洋犬を連れてきた。その犬は綱を噛み切って湯治客の父娘を襲って殺してしまった。さらに歯ッカケの群れと戦った。歯ッカケはラッパで洋犬を驚かせて、崖下に落下させた。歯ッカケの群れは風鳴り(ちぎなり)の地を去って行った。洋犬はかろうじて生きており、野犬の群れのボスに戦いを挑み勝利した。

  洋犬は歯ッカケの群れを追い、一本の大木に追い詰めた。樹上に籠城する猿たちだが、四日目、とうとう飢えた野犬たちが鹿の群れを襲いに木の下を離れた。洋犬も群れを追った。そのすきに歯ッカケの群れは木から下りて、川の向こう岸に渡ろうとした。戻ってきた洋犬を歯ッカケが義手で引っ掻いたので、洋犬は川に落ちた。かろうじて岸に上がった洋犬をカラスが襲った。カラスに反撃する洋犬だった。これで群れの信頼を回復した。

 

 隠山(かくれやま)(一)

  喜多郎の所には、あれから猿たちがやってこなくなった。そのため喜多郎は金塊を入手できなくなった。そこで猿たちがどこで金塊を手に入れているか探しにでかけた。

  転落した喜多郎は、とうとう金塊のある穴を発見した。だが、そこから上がるには、助けが必要だった。片目の狩人が五両で助けてやる、と言う。金がないと言って断る喜多郎だったが、五代木の大文字屋の所に連れて行ってくれたら、金を払うと言って、取引が成立した。

  大文字屋から戻った喜多郎の宿に、サブ(カムイ)と一太郎がいた。喜多郎から頼まれて、二人は喜多郎の留守中しばらく宿の番をすることになった。

  前将軍・家光の影忍群の首魁として活躍した中根正盛の手から、カムイが一太郎を奪い返した顛末は後に詳しく語ることになる。

 

 隠山(かくれやま)(二)

  喜多郎は歯ッカケが持ってきた金塊のある穴へのルートを探すために旅に出たのだ。ホクロの死体や猿の毛を見つけた喜多郎はとうとう金塊の穴への入口を発見した。

 

 隠山(かくれやま)(三)

  カムイと一太郎が忍術の訓練をしている。そして一太郎がカムイを背後から攻撃し、殺してしまった。叔父を殺したことに気づいた一太郎は動揺する。実はカムイによる薬活の術だった。ハシリドコロの根を使い妄想を抱かせたのだった。

  モグラを殺そうとした一太郎をカムイが止めて、戦国時代の忍者、土鬼の話をした。土鬼は一月も土の中に潜んでいたのだった。武田信玄の死が土鬼のせいだという話もあるという。

 

 土鬼(一)

  金塊の穴を喜んで掘っている喜多郎。その向こう側からも掘っている者がいた。それは猿投沢城一万石の城主望月佐渡守の指図のもと掘っていた男達だった。日置風鳴り(ちぎなり)の鉱山ができていたのだった。

  喜多郎は盗掘者としてつかまってしまった。大文字屋の番頭である市もどうしようもなかった。

  

  脱走の罪により処刑される男を斬れば、喜多郎を助けてやる、と望月佐渡守が言った。処刑される男は無宿人のところから、この鉱山に来たが、死ぬ前に一度家族に会いたいと脱走したがつかまったのだった。それを聞いた喜多郎は処刑することをやめた。望月佐渡守が脱走した男を斬り殺し、喜多郎は生かしておくと言い渡した。

  大文字屋の番頭である市が、サブ(カムイ)に、喜多郎を連れていくように頼んだ。

 

 土鬼(二)

  喜多郎は金塊から金を精錬しようとする。そのためたくさんの薪と鍋を用意しようとするが自分ではできない。それをサブ(カムイ)と一太郎が忍術を使って助けた。驚いた喜多郎は二人が何者か問い詰める。二人はコソ泥だと答えた。

 

 土鬼(三)

  金塊を精錬しようとする喜多郎だったが知識がない。金塊と思っていたのは実は黄鉄鉱だったので、喜多郎は硫黄ガスを吸ってしまう。サブ(カムイ)と一太郎に救われた喜多郎だったが、火の粉が風にあおられ、小屋の屋根に燃え移ってしまった。

 

[感想]

 望月佐渡守の野望が日置領から望月領にわたって存在する金にあることが明白になった。

 なるほど、だから、何とか日置領を手にしたかったのだ。だから、農業については竹間沢の庄屋に任せたわけだ。

 欲が深いのに無知な喜多郎は滑稽だ。どこか憎めない。

 

 それにしても大文字屋の番頭、市の正体は何者だろう?私は抜け忍・赤目ではないか、とずっと疑っているのだが・・・。

 

 カムイが一太郎を中根正盛から奪い返した顛末は後に語られる、とナレーションがあるが、語られるのだろうか?残り二巻が楽しみだ。