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白土三平・岡本鉄二『カムイ伝 第二部 19』(小学館)(1998/10/01)



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●丹波崩し〔三〕

  錦丹波の危機を救ったのは宮城音弥の姉ハツだった。彼女はかつて女衒の罠に落ち、危ういところを錦丹波に救われたのだ。今は幕府奥祐筆役旗本・石坂武左ヱ門の妻女だ。

  彼女が屋敷内に錦丹波をかくまうと、奉行所の与力が家宅捜索にやってきた。ハツは屋敷内に入れないように抵抗するが、役人は入ってきた。錦丹波をかくまっている納屋に近づいた時、中にいた錦丹波とハツが役人を斬ってしまった。そこに宮城音弥とサブ(カムイ)がやってきて死体を始末することにした。

  宮城音弥は錦丹波を連れて舟で銀次の所に連れて行った。

 

 夜鷹(一)

  錦丹波と別れた鞘香を乞胸頭・仁太夫の手下が救って鬼塚の首つりの廃屋にかくまってトンボとスッポンの2人に見張りをさせていた。

  目が覚めた鞘香は自分が助けられたという記憶がなく、見張りのトンボとスッポンの2人を殺して逃亡した。

  

 夜鷹(二)

  地むぐりの辰と呼ばれる男が、お玉と呼ばれる夜鷹が縄張り外にいるので襲いかかる。そこに背後から鞘香が短刀で一突きして辰を殺した。女達が騒いでいるところにウツボの次助がやってきて、辰の死体を埋めるように、と指示した。

  その場を去ろうとした鞘香だが捕まってしまった。次助が、鞘香に売春をさせようとして、その際の取り分を他の女は四・六のところを、鞘香だけは七・三でいいという。鞘香は全員七・三にしろ、と言う。

  鞘香は次助と戦い、次助を殺してしまった。

  稼いだ分を全額自分のものにできる、と喜ぶ女達だが、元締めの山蛭の伝兵ヱがやってきた。

  鞘香は刀で伝兵ヱの手下を斬り殺すが、残った二人は拳銃を持っていた。

  自分を「殺せ」と言う鞘香の前に、お玉や女達が並ぶ。

 

 転進(一)

  宮城音弥は姉ハツとともに父の元を訪れる。竹細工に才能があった父・双兵衛は武士を捨てていた。

  そして父は宮城音弥に剣を教える。双兵衛は、相手に対して横に構える構えだった。暗殺剣その一・虎落笛(もがりぶえ)、その二・目無し、その三・カマイタチ、その四・カゲリを見せた。

 

 転進(二)

  宮城音弥の父・双兵衛は、かつて小人目付の配下だった。命令のまま暗殺剣を振るったのだ。頭が死んだ後、命令が来なくなった。やがて役無しとなり小人目付から徒歩衆になった。頭の死は、双兵衛と同じ暗殺剣による死だった。

  双兵衛は深川の黙々亭に案内する。双兵衛の竹細工の才能を見いだした夢泉という男がいた。宮城音弥のお茶は、将軍の茶道の師である作事奉行の片桐石見守の石州流だった。それを夢泉は見抜いた。双兵衛は夢泉から竹風という号をつけてもらっていた。双兵衛の花器が売れたので、五十両を双兵衛に渡した。

  そこに名張の五つが長崎からの笹一角らが無事に長崎に着いたとの便りを伝えて来た。

 

 竹間沢(一)

  日置領は望月佐渡守預かりとなった高札が出た。庄屋たちは明日、猿投沢城に出向くこと、という通達だった。

  翌日、望月佐渡守は代官として竹間沢の庄屋を任命した。竹間沢の庄屋は三つの質問をした。これまで通りの免四ツかどうか、新田開発などない場合あらためての検地をしないこと、綿蚕繭などの自由販売について、望月佐渡守は認めて、書面にした。その上、竹間沢の庄屋に苗字帯刀を許した。

 

 共鳴り(一)

  百姓達が、害鳥のスズメを追い、酒の入った餌を食べさせて酔わせてつかまえる共鳴りが始まった。狐や狸もつかまえた。

 共鳴り(二)

  スズメは、米を食べるという点では害鳥だが、春から夏にかけて虫を食べるので益鳥でもある。だからスズメ落としの共鳴りは、実は百姓らの軍事訓練の側面がある。竹間沢の庄屋があえてそれを望月佐渡守に見せたのは、日置の百姓の力を誇示することでもあった。

  翌日、鷹狩りに出る望月佐渡守を出迎えた竹間沢の庄屋のもとに狩人としてスダレ(苔丸)が紹介された。

  鷹狩りが始まったが、近くに鷲がいるため、躊躇する百舌兵ヱだったが、望月佐渡守は一喝して鷹狩りを始めた。順調に見えたが鷲が現れ、獲物を追っていた猟犬を襲って殺してつかんで去った。

  アオサギを得ようとして鷹を放つよう命じた望月佐渡守だった。百舌兵ヱは躊躇するが、望月佐渡守の命令ゆえに逆らえない。翼を広げると2mに達するアオサギは二羽の鷹に逆襲し、倒した。そこに狐が襲ってきた。矢で狐を狩ろうとしたが、後ろにいた熊を怒らせてしまった。

  熊を長槍で倒そうとした望月佐渡守だったが、長槍を折られてしまった。竹間沢の庄屋が棒で熊を叩くが熊はものともしない。スダレ(苔丸)が銃で撃つが、熊は襲ってくる。槍で熊を突くスダレだったが、熊によって崖下に落とされてしまった。

  熊を殺すことに成功したが、スダレはツタにつかまり助かった。

  望月佐渡守はスダレに褒美をとらせる、と言う。スダレは一度城に行く、と答えた。「何をねだるつもりだ?」と質問する竹間沢の庄屋にスダレは「わかっておろうが・・・」と答えた。

 

 共鳴り(三)

  猿投沢城を訪れたスダレと竹間沢の庄屋に望月佐渡守が日置・猿投・望月領の通行鑑札を渡した。

  これで影組も安泰だ、と喜ぶスダレと竹間沢の庄屋だった。

 

  望月佐渡守に、なぜ竹間沢の庄屋を日置代官にしたのか、と陣内と左紋次が質問する。騒ぎを起こさず年貢を納めるためには竹間沢の庄屋が一番いい、と望月佐渡守が答えた。あの二人(スダレと竹間沢の庄屋)からは目を離すな、と念押しした。

  陣内と左紋次がスダレと竹間沢の庄屋を尾行したが、スダレが術をかけた。

 

[感想]

 錦丹波と鞘香はとりあえず虎口を脱したようだ。

 宮城音弥の父・双兵衛は暗殺剣の名手だったのは意外だった。宮城音弥に剣の天分があったのも納得だ。

 望月佐渡守が日置領を手に入れた。そのために、望月佐渡守と酒井雅楽頭忠清は、代官・錦丹波を陥れたのだと、わかってきた。竹間沢の庄屋を代官にしたのは意外だった。ということは表高七万石、実高十万石の米が目的ではないようだ。何か別な目的があるようだ。それはなんだかわからない。

 

●歯ッカケ〔一〕 

  外様大名の大場出羽守の元を、オランダ人ヘイシンクが江戸訪問の帰途、訪れた。ヨーロッパの珍しいものに興味を示した大場出羽守だが、彼の跡継ぎ予備軍の一人ドド丸君がラッパに興味を持ち、大場出羽守がラッパを入手し、ドド丸に与えた。小堀伝兵衛をラッパ管理方に任命した。

  ラッパで遊んでいたドド丸が転んだ時、カラスがラッパをくわえて飛び去った。カラスを狩人が撃ち落としたが、野犬がラッパをくわえて走り去った。

  一ヶ月後、ラッパを持ち去られた小堀伝兵衛は割腹して果てた。小堀伝兵衛の息子はラッパを見つけ出すための旅に出た。

 

 喜多郎小屋(一)

  半年後、日置領から望月・猿投領にぬける風鳴峠(ちぎなりとうげ)で小堀伝兵衛の息子が行き倒れになっていたのを、温泉小屋の喜多郎が助けた。小堀伝兵衛の息子はラッパの絵を描き、十両でも二十両でも払う、と話し、喜多郎に手がかりを知らないか、ときく。実はラッパを拾っていたのは喜多郎だった。

  金塊を持ってくる歯ッカケに餌をやろうとした喜多郎は、猿の群れのボスが新しい長耳になっていたことに気づいた。長耳は喜多郎に襲いかかった。

 

[感想]

 いきなり場面が変わってラッパの話になった。どういう展開になるのだろうか、と思ったら、喜多郎の小屋につながってきた。この後どういう展開になるのだろうか?