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さいとう・たかを『ゴルゴ13』第638話『哀しみの予知夢』(『ビッグコミック』2024/05/25号)

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『哀しみの予知夢』(脚本協力 香川まさひと) (『ビッグコミック』2024/05/25号)

 

依頼者:予知夢を見るマイケル

ターゲット:オハイオ大学の学生で後に独裁者になり核戦争を起こすドン・ボネット

依頼金額:不明

殺害場所:オハイオ大学の図書館

殺害人数・相手:オハイオ大学の学生で後に独裁者になり核戦争を起こすドン・ボネット

 

金持ちの男が亡くなった。

葬儀の場で息子の一人マイケルが、執事のダニエルに今日が何日かきく。

10月17日水曜日だった。

 

それはマイケルが見た夢だった。彼は予知夢を見る少年だった。

 

カリフォルニア州・アメリカで、病床の父がマイケルに、自分に万一のことがあっても、お金の心配がいらないことと、執事のダニエルと、家政婦のマリアと、飼い犬のチャーリーがいるから大丈夫だと話す。

 

マイケルは母親が事故死した時も予知夢を見ていた。

 

そして10月17日水曜日。

 

マイケルの父親は、マイケルの予知夢どおり大動脈解離で亡くなった。

 

ある日、マイケルは、2039年、ドン・ボネットと呼ばれる男が、アメリカの独裁者になり核爆弾を二回も使っている夢を見た。マイケルはボネットがどの大学出身か夢の登場人物に質問して、彼がオハイオ大学出身であることをつきとめた。

 

マイケルは予知夢を確かめるために、オハイオ大学に行き、ドン・ボネットに会い、政治の話をしようとしたが、断られた。

 

アメリカの都市がキノコ雲に包まれる夢を見たマイケルは、FBI出身のダニエルにスナイパーを紹介してもらおうとしたが、ダニエルは知らないとシラを切る。

 

マイケルはある本屋に行き、「ゴルゴダの丘について調べている」と言うと、店主が13年式トラクターに注文を出すように指示した。その夢を見たマイケルはそれが予知夢だと考えて、ゴルゴ13に連絡をとった。

 

約束通り、ゴルゴ13が現れ、連絡方法をマイケルがどうして知ったのか、質問した。マイケルは自分が予知夢を見たからだと正直に答えた。ゴルゴ13はマイケルの依頼を受けた。「世界には人智を超えた出来事などいくらでもある。」とゴルゴ13は答える。

 

オハイオ大学の図書室で、ドン・ボネットは眉間を撃たれて殺された。

 

ゴルゴ13の仕事だった。

 

狙撃事件を捜査している刑事が、ドン・ボネットの部屋にナチの旗があり、アドルフ・ヒトラーの『我が闘争』があったことを話していた。

 

マイケルは、マリアに遺書を残し、森に入っていき、一本の木で首を吊った。

 

その瞬間、ゴルゴ13は、飛行機の中で、悪い夢を見て、汗をかきながら、目覚めた。

 

[感想]

予知夢を見るマイケルの運命が切なく哀しい。

ゴルゴ13が、予知夢のような超自然現象を疑っていないことには驚いた。

現実主義者で超自然現象など信じないのかと思ったが、「世界には人智を超えた出来事などいくらでもある。」という彼の言葉は重い。確かにかつて超能力者とも戦ったことがあるから、そう思うのも無理はない。