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白土三平・岡本鉄二『カムイ伝 第二部 10』(小学館)(1994/06/01)


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●野望〔二〕

    堀田上野介正信の嘆願が受理され、軍事演習が始まった。
  その行く手を三名の武士が邪魔をした。
  
  その三名を金束大助(こづかだいすけ)という武士が斬り捨てた。
  
  演習はそのまま進められた。
  
  金束大助は旗本殺害のかどにより大目付北條安房守氏長が評定所よりやってきたが、その前にすでに切腹した。
  
  江戸城では、二度とあのような馬鹿騒ぎは禁物と、堀田上野介正信に申し伝えるよう、酒井雅楽頭忠清が決裁した。
  
  望月佐渡守の江戸下屋敷で、酒井雅楽頭忠清と佐渡守が今回は惜しかった、次の手は風流の道だと話す。
  
  四代将軍家綱は病がちで絵を描くのが好きで武道は嫌いな人だった。
  堀田備中守正俊が剣が嫌いな四代将軍家綱に、柳生家の高弟、木村勘九郎の稽古に宮城音弥を立ち合わせる。
  何度も倒されても立ち向かう宮城音弥の姿に家綱が気に入った。
  
  柳生家では木村勘九郎が宮城音弥の突きの凄さに驚いていた。
  
  狩野探幽に絵を学んでいた家綱には絵の才能があった。
  
  柳生家に稽古に向かう途中、宮城音弥をねたんでいる青山美濃守の近習三人が宮城音弥に因縁をつける。
  音弥は柳生家に向かい、三人も一緒に柳生家の稽古を受け、散々な目にあって退散する。
  稽古の後、柳生と囲碁を打ち酒を友にしながら会話する宮城音弥だった。
  
  江戸城で、将軍家綱と将棋を指しながら話す宮城音弥。
  そこに酒井雅楽頭忠清が来て、政治的な決裁を求める。
  特に殉死の禁の決裁を求めて来た。

  適当にあしらって宮城音弥との将棋を続ける将軍家綱。将棋の後は江戸城で釣りをする。釣りをしながら、剣法の極意と釣りのコツが似ていることを家綱に宮城音弥が教える。釣った獲物を調理して酒宴になると、宮城音弥が舞を舞う。

  舞いながら、音弥は、柳生流の剣の基本である五個の三学円の太刀を伝える。三学円の太刀の五個とは、一刀両断、斬釘截鉄、半開半合、右旋左転、長短一味だ。

  半開半合の舞の時に家綱の扇子が音弥の左眼に刺さってしまった。音弥は機転を利かせて柳生十兵衛三厳のように硬貨で眼帯を作って眼につけた。

 

  家綱の剣法の稽古の時、宮城音弥が家綱に釣りのコツを剣法に応用させた。家綱は剣法にも興味が出てきた。

 

  家綱の元から帰る宮城音弥を、覆面をつけて木刀を持った5人の男が、襲ってきた。倒れて気を失った宮城音弥を木村勘九郎が助け、従者の十蔵だった。その木村に宮城音弥は真剣を使わなかったのは相手が木刀だったこと、殺気がなかったことだと話した。

  宮城音弥を送る船の上で木村勘九郎は、家綱を剣法好きにさせた方法をきいた。宮城音弥は礼記を引用して説明する。それでは納得しない木村勘九郎に「闇の声に啼かぬ烏の声聞かば生まれぬ先の父ぞ悲しき」と謎かけする。

  宮城音弥は城で能を青山美濃守とともに見ている。

  その頃、木村勘九郎は5人の弟子(?)と語り合っていた。宮城音弥の剣の才能についてきいていた。おそらく宮城音弥を襲った覆面木刀の5人組は彼らだったのだ。

  その後、五人を連れて試し斬りに向かう。小柴、石原、市村は初めての試し斬りだった。

 

 下馬将軍(一)

  酒井雅楽守忠清は、彼の上屋敷が江戸城大手門の下馬札のすぐそばにあったからだ。多くの大名達がやってきて贈り物を贈ってくる。

  酒井雅楽守忠清が美濃屋という商人に紙、顔料、絵筆、スズリ、経師など最上の品を用意するように依頼する。その後、酒井雅楽守忠清は望月佐渡守と酒を呑む。佐渡守が、そろそろ佐渡守の願い事を進めるように依頼するが、酒井忠清ははっきりとした答をしなかった。

 

 下馬将軍(二)

  江戸城で、家綱の絵のモデルとなる宮城音弥。そこに酒井雅楽守忠清が来て、最高級のスズリ、スミ、絵筆、顔料、紙、絵絹を献上した。

 

 放鷹(一)

  徳川御三家の一つ尾張二代徳川光友のお狩り場で、家綱の実弟綱重が招待されていた。綱重の鷹の紫電か、光友の鷹である暁のどちらが先に獲物を獲るか勝負する。

  一羽の雉子を追って紫電が襲ったが、雉子は見事にかわした。低空を飛ぶ雉子を鷹が追い、犬が追った。そしてそれが一大事が起こるのだ・・・。

  

[感想]

 宮城音弥が、釣りや絵に剣法などで将軍家綱に気に入られていく。仲間達に妬まれてもそれを蹴散らした。出世の糸口をつかんだ宮城音弥がこの後どうなるのか楽しみだ。