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白土三平『カムイ伝14 蒼惶の巻』(小学館)(1969/04/10)



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第一章 怪異

 怪異

  日置領の山がはげ山になっていく。八重という女が神隠しにあい、その後見つかったが気が狂っていた。

  左卜伝とサエサを公儀隠密の忍者達が囲んだ。抜忍になることをあきらめた左卜伝は忍者達によって殺された。サエサはカムイの始末を任される。

  日置城内では橘一馬が木の間党の首領(草加竜之進)を拷問する。草加竜之進だとは気づいていない。厳しい拷問の末、首領(草加竜之進)は木の間党の本拠を吐いてしまった。

  橘玄蕃と橘一馬と横目は部下を率いて木の間党の拠点を攻撃しに行った。しかし木の間党の反撃に遭い、三人以外は全滅した。しかも城に置いてきたはずの木の間党の首領も反撃に加わっていた。城に戻ると木の間党首領は牢から消えていた。

  笹一角が草加竜之進と名乗り藩主を斬り殺したが、病死と幕府に届け出て養子もあっさり承認された。日置藩の謎のためだろう。

  橘一馬の指示で横目が偽木の間党となり、百姓を殺し、百姓と木の間党の分断を図る。

 鬼女

  横目が偽木の間党となり赤ん坊を誘拐したがその赤ん坊を誰かにさらわれた。追跡する横目だが、洞窟の中に入り何かを見て怯えて逃走した。

  花巻村では気が狂った八木沢の八重が歩いている。

  正助はナナのもとに夜行く。二人が愛し合っている間に一太郎が行方不明になり山狩りが行われる。南部藩に雇われた阿仁の狩人が一太郎をさらった何者かを仕留めた。それは人喰い鬼、鬼女だった。

  人々が神隠しや死体が消えた原因が女であることに驚いていると、正助だけが「あり得る。飢饉だ・・・」とつぶやく。

 

[感想]

 木の間党と百姓の分断を図る橘一馬と横目。神隠しをしており横目すら恐れた存在がが鬼女だったとは驚いた。

 

第二章 鬼女塚

 笹の花

  江戸の火事による木材景気のために山林を伐採したため、雨による土砂崩れや川の増水が始まった。袋堰が切れると新田が壊滅する。正助達百姓や木の間党の首領が協力する。

  三間堰が切れると夙谷が危ないので、スダレ(苔丸)も非人達を率いて助けに向かおうとした。そこに横目が現れ、行かせまいとする。キギスが手裏剣をスダレに向かって投げるとスダレの前にナナが立ちはだかり手裏剣で傷ついた。キギスは横目を殴り気を失わせ、スダレ達を堰に向かわせた。

  百姓達と木の間党と非人達の協力で何とか堰を守り切った。

 

 鬼女塚

  この年は順調で百姓達は年貢を納められない欠落が一人も出なかった。

  祭りも盛大に行われ、新田には次男三男が移り住み新しい村ができた。

  狩りをする橘玄蕃と橘一馬と横目。何か血のにおいを感じたので横目に見に行かせたが、横目は怯えて逃げ出してしまった。

  鬼女塚に花を供える正助。

  花巻では村の四番倉が襲われ米粒一粒残さずなくなった。

  花巻では見張りを立てることにしたが、そこに近づく多数の鼠たち・・・。

  

[感想]

 過剰な森林伐採の結果、自然のバランスが崩れ、鼠が大量繁殖し、人々の生活を脅かす。この後どうなるのだろうか?

 

第三章 寝地蔵

 漁り火

  五代木に肥料の買い付けに行った正助達百姓。しかし天候不順のようで老人が「夏が来なかったら」と懸念する。

  木の間党首領(草加竜之進)と夢屋七兵衛と正助が会って何やら相談している。

  公儀隠密の忍者達が木の間党首領の近くにいた猿に犬を襲わせるが、首領が犬を斬り殺し猿を助けた。その切り口を見て忍者達は恐れをなすが、公儀隠密の猿回しに化けた小頭は、彼こそ木の間党首領であり草加竜之進だ、と忍者達に説明する。

  猿を抱いたサエサが「カムイ・・・」とつぶやく。

 寝地蔵

  鼠の大量発生に対して何とか抑えた村もあったが、抑えきれなかった村もあった。非人達の草場では鼠たちに動物の死骸を食い尽くされて骨だけになっていた。

  夏になると水不足になり、水争いが始まった。

  村同士が争いになるように横目が画策する。

  実際に争いになったとき、代官の首を切って争いを止めたのは木の間党の首領だった。

  だが、日照りは続いた。

  寝地蔵が見つかり、泥を塗りつけ汚すと天が汚れを拭うために雨を降らせる、という信仰で百姓達は、地蔵を汚す。小六は小便をかける。

  そして雹が降った。

  雹のせいで綿が全滅した。

  そして大量の雨が降り地滑りが起こり、堰が切れた。

 

[感想]

 イカが取れたら遅い春・・・。鼠に日照りに雹に大量の雨に地滑り・・・。

 人々を襲う天変地異。この後どうなるのだろうか?人々はどう行動するのか?

第四章 飢饉

 飢饉

  飢饉が起こっていた。人々は米や麦を奪い合い殺人まで起こっていた。老人は首をくくり、赤ん坊は川に投げ捨てられる。

  ひょんな事から人々は一揆を起こそうとする。

  正助は止めに入るが皆に蹂躙される。

  木の間党の首領は「なぜ止めた・・・。」と馬上から正助に槍を向けながらきく。

 

[感想]

 飢饉の悲惨な状況がこれでもか、これでもか、と描かれる。正助はかつて自身が見た悲惨な一揆の状況を思い出して止めに入ったが、興奮した人々はそんな正助の声を聞かずに城に向かって突っ走る。

第五章 要注意人物

 要注意人物

  統一を欠いた一揆や打ちこわしは失敗し多くの人が死んだ。

  サエサと横目が会い、横目が、まだカムイを追っているのか、ときき、カムイに近づくヒントとして、ナナが正助の妻であることを教える。公儀隠密の忍者達もそれを聞いていた。

  橘軍太夫率いる日置藩の武士達は、年貢をきっちり搾り取るために倉の防備を固め、一揆の首謀者になりそうな要注意人物達を事前に捕らえた。

  武士達の取締は厳しい。藩内から逃げだそうとする者を捕らえ、隠し倉を摘発し、その米を別な村に引き渡させる。

 

 一揆

  橘軍太夫や一馬は正助やスダレを捕らえようとしていたが見つからない。

  ゴンと五郎は一揆を始める覚悟を決める。

  血吹き岩で、正助、木の間党の首領、スダレが会っていた。正助は一揆に一人反対していた。

  シブタレが正助達の居場所を発見し代官所に知らせる。その足で城代の所に行く。城代が馬に乗って屋敷から駆け出そうとしたところを橘玄蕃が馬の脚を斬った!橘玄蕃は公儀隠密が日置藩領内に入り込み何かを探っていることは気づいたがそれが何かはわかっていなかった。そこで城代にきこうとしたのだが、城代は当然話さない。

  夢屋七兵衛と日の市(赤目)は日置藩領を歩いて正助や竜之進に会いに向かっていたが、結界が張られていることに気づいた赤目が止める。

  正助は一揆ではなく逃散を提案するが、スダレや木の間党の首領は問題にならない、と言って席を立った。

 

[感想]

 このサブタイトルは目次では「一扶」だが、本編では「一揆」だ。この後一揆が起こるのだろうか?それとも逃散になるのだろうか?